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AGA治療は何から始めたらいいか分からない方向けに医師が解説します

AGA治療は何から始めたらいいか分からない

髪の毛が抜け始めたことに気づき、最初に考えるのは育毛剤、あるいはAGA専門クリニックを探すことから始めると思いますが、まず最初にやるべきは正しい治療薬を選ぶために必須の「遺伝子検査」です。

とはいえ、遺伝子検査をやるにしてもAGA治療の基礎が分かっていないと迷子になりますので、ゼロから勉強していきましょう。5分もあれば読み終えられると思います。

この記事を書いた医師

内科総合クリニック人形町 院長 藤田 英理(総合内科専門医)
Dr. 藤田 英理

内科総合クリニック人形町 院長
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
東京大学医学部保健学科および横浜市立大学医学部を卒業
東京大学付属病院や虎の門病院等を経て2019年11月に当院を開業
最寄駅:東京地下鉄 人形町駅および水天宮前駅(各徒歩3分)

目次

AGA治療には脱毛予防と発毛促進の2種類ある

AGA治療は、髪の毛を今以上に減らさないための「脱毛予防」と新しい髪を生やす「発毛促進」という2つの治療を行う必要があります。

多くの人が間違えるのが発毛に焦ってしまい脱毛予防がおろそかになることです。発毛に成功してもそれ以上抜けてしまっては意味がありません。

まだ軽度な薄毛なら発毛促進より脱毛予防だけでいいし、結果を急ぎたいなら脱毛予防と発毛促進治療を同時に行うべきです。

AGAの脱毛予防と発毛促進の基本的な違い

男性型脱毛症(AGA)の治療において、脱毛予防と発毛促進は、まったく異なる作用機序で効果を発揮します。

脱毛予防治療の主眼は、男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制することにあります。

DHTは5α還元酵素という酵素の働きによってテストステロンから変換される物質で、毛根に悪影響を及ぼすことが医学的に判明しています。

一方、発毛促進治療では、毛細血管の血流を活性化させることで、休眠状態にある毛根への栄養供給を促進します。

治療区分作用機序主な治療薬
脱毛予防DHT抑制フィナステリド、デュタステリド
発毛促進血流改善ミノキシジル外用薬、ミノキシジル内服薬

脱毛予防と発毛促進の違いを理解する

脱毛予防治療における5α還元酵素阻害薬は、体内でのDHT産生を抑制することで、毛根へのダメージを最小限に抑えます。

毛髪の生育サイクルには、成長期(アナジェン期)、退行期(カタジェン期)、休止期(テロジェン期)という3つの段階があり、DHTはこのサイクルを短縮させる要因となります。

毛髪周期期間特徴
成長期2-6年活発な成長
退行期2-3週間成長停止
休止期2-3ヶ月脱落準備

脱毛予防治療によってDHTの産生を抑制することで、毛髪周期の正常化が期待できます。実際の臨床データでは、治療開始後3ヶ月程度から効果を実感される患者様が増えはじめます。

発毛促進治療では、血管拡張作用を持つ外用薬を使用することで、毛根周辺の血流を改善します。血流が改善されることで、毛根に必要な酸素や栄養が十分に供給され、休止期にある毛根の活性化を促進します。

それぞれの治療効果と期間

治療効果の現れ方には、以下のような特徴があります。

  • 脱毛予防治療:2〜3ヶ月で抜け毛の減少を実感
  • 発毛促進治療:4〜6ヶ月で新しい毛の成長を確認
経過期間脱毛予防発毛促進
3ヶ月時点抜け毛減少産毛の増加
6ヶ月時点毛髪太さ改善毛髪数増加
12ヶ月時点効果維持明確な改善

脱毛予防治療は、比較的早期から抜け毛の減少という形で効果を実感しやすい特徴があります。ただし、治療効果を維持するためには、継続的な服薬が必須となります。

発毛促進治療では、毛根の活性化から実際の毛髪の成長までに一定の時間を要するため、目に見える効果の実感までにやや時間がかかります。しかし、6ヶ月以上の継続使用により、着実な改善を期待できます。

それぞれの治療法には固有の特徴があり、患者様の症状や生活スタイル、期待する効果によって最適な選択肢が変わってきます。

脱毛予防から治療を開始

男性型脱毛症(AGA)の治療は、必ず脱毛予防から始めてください。

船底に穴が開いた船を想像してください。まず穴をふさぎますよね?脱毛予防は船底の穴をふさぐのと同義です。

フィナステリドから治療開始

AGA治療の第一段階はフィナステリドという薬を飲むことから始まります。

フィナステリド FCI 富士学工業株式会社

濃度は0.5mgと1mgがありますが、必要な検査(遺伝子検査など)もせずにフィナステリドを飲むなら、必ず濃度が低い0.5mgから治療を開始してください。

フィナステリドには、脱毛の原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑える働きが備わっています。

5αリダクターゼ2型という酵素を抑制することで薄毛の直接の原因であるDHTの生成を防ぎます。

フィナステリド5αリダクターゼ2型の抑制
頻度1日1錠

効果がなければデュタステリドに移行

フィナステリドによる治療で十分な効果が得られない患者様には、より強力な脱毛抑制剤であるデュタステリドへ切り替えます。

デュタステリド

フィナステリドとの違いは、薄毛の原因酵素である5αリダクターゼの1型と2型の両方に作用する点にあります。
※フィナステリドは2型にしか効きません

5αリダクターゼ1型は、前頭部(M字)に特徴的に出現するので、デュタステリドを飲むと生え際の脱毛予防になりそうな気がしますが、明確なエビデンスは存在しません。

ただし、フィナステリドより効果が強いことは数々の論文などで実証されていますので、フィナステリドで脱毛が止まらないときはデュタステリドに移行しましょう。

ただし、副作用はフィナステリドより若干ですが強いです。性欲減退が主な副作用ですのでEDの方はデュタステリドの服用は慎重に判断してください。

デュタステリド5αリダクターゼ1型および2型の抑制
頻度1日1錠

デュタステリド予防効果が出るまでの期間

デュタステリドの脱毛抑制効果を実感できるのはフィナステリドと同じで3か月程度です。

ただし、抜け毛が減るだけで髪の毛が増えるわけではありませんのでご留意ください。フィナステリドやデュタステリドだけで青春を取り戻せるわけではありません。

次に発毛治療

男性型脱毛症(AGA)の発毛治療において、ミノキシジルは治療の要となる薬剤です。

ミノキジルには外用薬と内服薬の2種類があり、まず外用薬(頭皮に塗る)から治療からスタートし、その反応を見極めながら内服薬への段階的な移行を進めることになります。

まずはミノキシジル外用薬から

ミノキシジル外用薬

フィナステリドあるいはデュタステリドとともに使用して欲しいのがミノキシジル外用薬です。

副作用はほとんどありません。しいて言えば頭皮のかぶれくらいですので、警戒するような薬ではありませんのでご安心ください。

濃度は、市販薬は5%までで、医薬品になると6%から最大15%までラインアップされています。

使用方法使用上の留意点
1日2回塗布頭皮の清潔保持
適量使用過度な塗布を控える

ただし、ミノキシジル外用薬で「うわっ!すごっ!!」みたいな劇的な発毛効果を体験できる人は稀です。

結果に満足できず、大多数の患者さんは次に紹介するミノキシジルタブレット(内服薬)に移行することになります。

効果がなければミノキシジルタブレットに変える

外用薬による6ヶ月間の治療で十分な改善が見られない時点で、内服薬への切り替えを検討していきましょう。

内服薬は血流を介して全身に作用するため、外用薬と比べてより強力な発毛促進効果を発揮するのが特徴です。

ただし、副作用が強い薬なので服用には十分に注意してください。主な副作用は以下です

  • 多毛症(指毛や腕毛、などの体毛が濃くなる)
  • 動悸
  • 心臓の痛み
  • 初期脱毛

初期脱毛

ミノキシジルタブレットを服用すると、飲み始めて3週間をすぎたあたりから2か月くらいまでの間に、既存の髪の毛が抜けます。

初期脱毛と呼ばれるこの現象は、ただでさえ薄毛で悩んでいる患者さんをさらに悩ませる厄介なものですが、初期脱毛を乗り越えた先に満開の桜が咲きますので耐えてほしいです。

効果の実感は5か月目以降

服用後5か月を過ぎたあたりで発毛促進を実感できるようになることが多いです。5か月って長いですよね。でも飲み続けてほしいです。

ミノキシジルタブレットは発毛治療の生命線を握っています。これでダメなら自毛植毛かウィッグに頼るしかありませんので、しっかりミノキシジルタブレットと向かい合ってほしいです。

薬は徐々に濃くしていく

男性型脱毛症(AGA)の治療では、薬剤濃度の適切な管理が治療効果を左右する大変重要な要素となります。

簡単に言うと以下です。

「あなたの頭皮に薬への耐性が出来てしまうので、薄い薬から少しづつ長い年月をかけて濃くしていかないと、飲める薬がなくなってしまいますよ?」

ホメオスタシス(生物恒常性)

うつ病の患者さんが、薬漬けになるみたいな話を聞いたことはないでしょうか?

あるいは、不眠症の方が睡眠薬を飲んでも眠れないということを聞いたことはないでしょうか?

医薬品に人間の身体は徐々に慣れてきます。飲み始めは効いても、長い年月同じ薬を飲んでいるとほぼ効かなくなるに等しいくらい効果が落ちてきます。

これをホメオスタシス(生物恒常性)と言います。

「薄ければ良い」ということでもないのがややこしい

「じゃあ薄い薬から飲めばいいのか」と結論付けしたいのですが、間違いとはいいませんが正解でもないです。

フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルの頭皮への耐性を考えると、薄い薬から飲むのは正しいやり方の一つです。

ですが、進行は早いタイプのAGAだった場合、薄い薬を飲んでいる間にどんどん抜けていってしまうことは十分にありえます。

一切検査もせずに治療をするなら薄い濃度の薬から治療を開始して欲しいですが、治療前に適正な検査をすれば「適正濃度」と「補助すべき栄養」が分かります。

「適正な検査」とは何か、を次章で説明します。

AGA遺伝子検査

AGAには色んなタイプがあって、治療薬の種類と濃度の正しい選定に加えて、治療薬だけでは足りない成分も補助していく必要があります。

正しい治療薬を選ぶために必要なのが「遺伝子検査」です。

身体の調子が悪いとき、尿検査や血液検査、レントゲン、CT、MRIなどを行うと思いますが、AGA治療では遺伝子検査を行います。

多くの医療機関では遺伝子検査の過程を飛ばして治療を始めてしまうので、結果(発毛)が思うように出ないし、結果が出たとしても長続きしません。

遺伝子検査で分かること

遺伝子検査によって、AGAの病型を27パターンに分類します。

27パターンのどれに当てはまるかによって治療薬が変わります。詳しくは以下の記事で解説しています。

AGA遺伝子検査の詳細

遺伝子検査を行わない場合

治療開始前に遺伝子検査を行わないとどうなるか。

たまたま選択した薬がドンピシャでヒットすれば望む結果は得られると思います。ですので、博打が好きな人は遺伝子検査を無理して行う必要はないと思います。

とにかく今すぐ生えればいい、2年後3年後に再び薄くなっても構わないという方は、デュタステリドと濃いミノキジルタブレットを飲めば結果は出ると思います。

ただし、副作用が出てしまったり、濃い薬から始めたことで後がなくなり、数年後には額(ひたい)は後退し頭頂部は薄くなっていくことが容易に予想されます。

検査費用

検査費用は各医療機関でまちまちです。

一般的には、治療とセットの場合は遺伝子検が無料のところも一院だけありますが、ほとんどの医療機関では遺伝子検査の費用は1~2万円くらいだと思います。

プラン費用目安
検査のみ10,000円~
治療とセット無料

治療とセットではありますが、遺伝子検査を無料で行っている医療機関が一つだけあります。

当院(内科総合クリニック人形町)にお越しのAGA患者さんで遠隔診療を希望される方には無料で遺伝子検査を行える以下の医療プログラムを紹介するようにしています。

薄毛遺伝子検査AGAプログラム

上記はLINE登録になっています。私があなたの背中を押すようなことはいたしませんので、ご自身の判断でお願いします。

高額医療はほぼ意味がないことを知る

男性型脱毛症(AGA)の治療法は、医学的根拠のある標準治療から、効果が未実証の高額治療まで様々です。

メソセラピーは医学的根拠がない

AGAメソセラピー

メソセラピー(頭皮に栄養成分を直接注入する治療)については、その有効性を裏付ける科学的なデータが十分ではありません。

治療手法学術的評価
標準治療有効性確認済
メソセラピー検証不十分

一度の施術で数万円という費用が発生するうえ、治療効果の持続性を実証した研究成果も乏しい状況にあります。

  • 注入部位の感染リスク
  • 定期的な通院負担
  • 高額な治療費用

幹細胞移植は商用化まで時間がかかる

再生医療の一つである幹細胞治療は、毛髪再生への応用が期待される一方で、臨床研究の段階にとどまっています。

開発段階進捗状況
安全性確認実証中
効果検証継続調査

製造工程の標準化や品質管理体制の構築など、実用化に向けた課題は山積みとなっているのが実情です。

臨床応用までには、まだ相当な時間を要する見込みとなっているのです。

月に15,000円以内に抑えよう

効果的なAGA治療は、必ずしも高額な投資を必要としません。

科学的根拠が確立された内服薬と外用薬による標準治療なら、月額15,000円程度で十分な治療が可能です。

継続的な治療こそが発毛効果を高める鍵となるため、無理のない予算設定で長く続けられる治療法を選ぶべきでしょう。

標準治療を基本とした適切な治療計画を立てることが、結果的に最も賢明な選択となっていくのです。

自毛植毛するなら前髪だけに全集中

フィナステリドを飲んでもミノキシジルを飲んでも生えてこない人は、自毛植毛手術を選択せざるを得ないと思います。

自毛植毛を一言でいうと「後頭部から頭頂部あるいは前頭部への髪の毛の引っ越し」です。

頭頂部は薬が効きやすい

フィナステリドやデュタステリド、そしてミノキシジルは、頭頂部には効果を発揮しやすいです。

理由は分かっていませんが、頭頂部は薬の反応が良いことが論文で示されています。

前頭部(M字)は薬が効きにくい

一方で、髪の毛の生え際(M字部分)は薬が効きにくいことが分かっています。

前髪に効くのでは?という都市伝説を持つデュタステリドも、前頭部への効果は期待薄です。

冒頭で「植毛は髪の毛の引っ越し」と申し上げました。自毛植毛はAGAの影響を受けにくい後頭部から髪の毛を毛根ごと採取して、薄い部分に移植(引っ越し)します。

後頭部の髪の毛の本数は限られていますので、自毛植毛を行う場合はM字部分に優先的に植毛するようにしてください。

できればFUEではなくFUTを選ぼう

日本では絶滅危惧種のようになっていますが、自毛植毛ではFUTという方式を選ぶのが正しいやり方です。

FUTは後頭部にメスをいれて髪の毛を皮ごとはぎ取るので、傷痕は少し目立ちます。しかし、パンチドリルをつかって数本づつ採取するFUEと比べて、毛根採取時の失敗率が非常に低いのがFUT法です。

ですので、まずはFUTで前頭部に植毛を行い、「FUTでこれ以上採取できない」となったときに、メスを使わないFUE法を選ぶようにしてください。

生着までの期間は約1年

後頭部から前頭部などに移植された毛髪は、徐々に自然な毛周期へと移行していく過程を辿ります。

手術から2週間ほど経過すると一時的な脱落が始まりますが、これは正常な治癒過程の一環となります。

その後、3〜4ヶ月を経て新しい毛髪の成長が始まり、約1年かけて理想的な太さと密度が実現されていきます。

ただし、自毛植毛は後頭部から採取できる毛根の数に限界がある(約3000株が限界)ので、自毛植毛を行ったとしても、フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルでのAGA治療は続くことになります。

おすすめの自毛植毛クリニックについては以下で解説しております。

まとめ

ここまでをまとめます。

  1. 薬は薄く始めて徐々に濃くしていく
  2. 治療薬に足りない成分は食生活やサプリなどで補う
  3. 最短で結果を出すために遺伝子検査を行う

薬は薄く始めて徐々に濃くしていく

治療開始時には低濃度の薬剤を使用し、体の反応を見極めながら段階的に濃度を上げていきます。こうすることで頭皮の薬への耐性を回避でき、良い意味で長く治療を続けることができます。

ただし、薄ければ良いというものではありません。

治療薬に足りない成分は食生活やサプリなどで補う

  • 必須アミノ酸を含む良質なタンパク質
  • 毛髪の健康維持に関わるビタミン類
栄養成分主な供給源
ビオチン大豆製品、卵類
亜鉛魚介類、種実類

医薬品による治療と並行して、毛髪の成長に必要な栄養素を意識的に補給することが望ましいでしょう。

食事だけでは充足が難しい栄養素などの成分については、サプリメントの活用も検討に値します。

髪の毛に必要な治療薬以外の成分については、AGA遺伝子検査によって分かります。

最短で結果を出すために遺伝子検査を行う

遺伝子検査により、各患者ごとの体質や特性を科学的に把握することで、より精密な治療計画を立案できます。

  • フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルをどの濃度から始めるべきか
  • 上記治療薬で足りない成分は何か
  • 副作用リスクの低減

GoogleやXなどの広告で出てくる格安のAGAオンライン診療クリニックでは遺伝子検査を行うことはありません。

どんなに治療費が安くても正しい薬が分からなければ遠回りしてしまい結果して「安物買いの銭失い」なってしますので、治療を行う前にまずは遺伝子検査を行うようにしてください。

薄毛遺伝子検査AGAプログラムの紹介

最後、遺伝子検査プログラムについて紹介いたします。

遺伝子検査は無料です。遺伝子検査結果にもとづいて正しい治療薬を選定してくれ、毎月郵送で治療薬が送られてきます。

月額12,800円(税込)ですので、十分良心的で、当院(内科総合クリニック人形町)のAGA治療費より安いくらいです。

薄毛遺伝子検査AGAプログラム

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