- 毛根に付く白い塊の正体
- 毛根鞘が付いている場合は正常か異常か
- 異常な毛根について
- 毛根が異常な場合の対処法
誰もが薄毛には「できる限りなりたくない」もの。
「毛根の状態で頭皮の異常がわかる」と聞いたことがある方は、毛根に異変が現れたら心配になりますよね。そこで今回は、毛根に付いている「毛根鞘」の役割と薄毛との関係の有無について説明します。
また異常のある毛根の状態と対処法についてもクリニック院長藤田先生に解説していただきます。ご自身の抜け毛と照らし合わせながら参考にしてください。
この記事の執筆者
藤田 英理 内科総合クリニック人形町 院長
東京大学医学部保健学科、横浜市立大学医学部を卒業。虎の門病院、稲城市立病院、JCHO東京高輪病院への勤務を経て内科総合クリニック人形町を開院。総合内科専門医。AGA治療や生活習慣病指導も行う。
毛根につく白い塊が「毛根鞘」の場合は正常
- 抜け毛の根元に付く白い塊が毛根鞘であれば自然な抜け毛
- 毛根鞘が抜けても再び発毛する
毛根鞘(もうこんしょう)が付いている場合は自然な抜け毛
抜け毛に毛根鞘が付いている場合の多くは、心配する必要がありません。成長しきった髪が抜けているため、自然な抜け毛と言えます。
「毛根鞘」とは?
毛根鞘とは、毛根の周囲にある組織のことです。毛根鞘は、髪の毛と頭皮をつなぎ止める接着剤のような役割をしています。髪にとって非常に重要な物質です。
毛根内部にあり毛根側と接しているものを「内毛根鞘」、内毛根鞘の外側を囲って皮膚側と接しているものを「外毛根鞘」と呼びます。内毛根鞘と外毛根鞘を合わせたものが毛根鞘です。
毛根鞘に血が付いている場合は異常
抜け毛に毛根鞘が付いていること自体は自然なことですが、毛根鞘に血が付いている場合は要注意です。
毛穴や毛母細胞などに傷がある可能性があります。髪を引っ張って抜く際にこのような傷がつくことがあるため、むやみに引っ張ることはやめましょう。
毛根鞘が抜けても新しい髪が生えてくる
毛根鞘が抜けても毛乳頭と毛母があれば髪は再び生えてくるため、安心してください。
毛乳頭とは、毛細血管から栄養を取り込み、毛母細胞に送ることで発毛や髪の成長を促すものです。
毛乳頭が破壊されない限りは、新しい髪が生えてくる状態だと言えます。新しい髪が生えてくる際にまた新しく毛根鞘がつくられます。
毛根につく白い塊が「皮脂」の場合は要注意
- 白い塊の正体が「皮脂」の場合は薄毛や抜け毛につながる恐れがある
- 皮脂の過剰分泌は適切な対処で改善することができる
毛根に付く白い塊が「皮脂」の場合は頭皮トラブルの危険性
抜け毛の毛根に皮脂が付着している場合、皮脂の過剰分泌を起こしていることが考えられます。
頭皮の皮脂は、頭皮を乾燥から守る役割をするため大切なものですが、抜け毛にべったりと付いている場合は要注意です。頭皮トラブルにつながってしまうことがあります。
長期間皮脂を放置していると「脂漏性脱毛症」という脱毛症が起こることもあるため、毛根の皮脂を確認したら早急に対処しましょう。
毛根鞘と皮脂の見分け方
毛根に付く白い塊が毛根鞘の場合は正常な抜け毛で、皮脂の場合は頭皮トラブルになる可能性があると前述しました。
毛根鞘は髪を守り、皮脂は頭皮を守る役割があります。役割は違うものの見た目が似ているため区別がしづらいですが、異常かどうかを見極めるためにはよく観察する必要があります。見分け方は下記の通りです。
- 毛根鞘…ふっくらとした半透明。ゼリー状でぷるぷるしている
- 皮脂…白くて触るとベタつきがある。嫌な臭いがある
毛根に付く白い塊が皮脂の場合の対処法
毛根に付く白い塊の正体が毛根鞘ではなく皮脂の場合、適切な対処をしないと脱毛症などの頭皮トラブルにつながってしまう恐れがあります。抜け毛に皮脂が付着していた場合、下記の対処をするといいでしょう。
白い塊が皮脂の場合の対処法①シャンプーの仕方を見直す
頭皮をシャンプーでしっかり洗えていなかったり、洗っていてもすすぎ残しがあったりすると皮脂が溜まってしまうことがあります。シャンプーは泡立ててから頭皮につけ、指の腹で優しくマッサージするように洗いましょう。
すすぎはシャンプーの倍の時間をかけます。また洗浄力が強いシャンプーを使っていると頭皮が乾燥して皮脂が増えてしまうことがあるため、頭皮に優しいアミノ酸シャンプーの使用をおすすめします。
白い塊が皮脂の場合の対処法②頭皮を保湿する
頭皮が乾燥すると肌のバリア機能が弱くなり、皮脂の過剰分泌が起こる可能性があります。
加湿器を使って室内の湿度を上げたり頭皮用ローションを使用して保湿をしたりするといいでしょう。また紫外線を浴びることも頭皮の乾燥につながるため、外出時は頭皮用日焼け止めを使用したり帽子をかぶったりするといいでしょう。
白い塊が皮脂の場合の対処法③食生活を見直す
ジャンクフードや揚げ物など、脂質が多い食事ばかりを摂っていると、皮脂の過剰分泌が起こる可能性があります。三食バランスの良い食事を心がけ、外食をする際にはサラダを追加するなど意識するといいでしょう。
白い塊が皮脂の場合の対処法④ストレスを発散する
ストレスが溜まると自律神経が乱れ、頭皮のターンオーバーにも影響し、皮脂の過剰分泌につながることがあります。ストレスを上手に発散させましょう。
息抜きの時間をつくったり運動をしたりすることがおすすめです。また睡眠不足も自律神経が乱れる原因になるため、上質な睡眠も意識するといいでしょう。
白い塊が皮脂の場合の対処法⑤クリニックへ行く
皮脂の過剰分泌が気になったりかゆみや痛みを感じたりしている場合、皮膚科を受診することをおすすめします。
ヘアケアや生活習慣を見直すことも大切ですが、改善するまでに時間がかかる可能性があるため、早急に改善したい場合はクリニックへ行き、薬を処方してもらいましょう。
毛根の状態で異常かどうかがわかる
- 異常な毛根状態
- 毛根鞘が付いていない場合はAGAの可能性がある
- 異常な毛根を健康な状態にする対処法
毛根の先が細い場合
通常の毛根よりも細い場合、栄養不足や血行不良が考えられます。毛根の寿命が短くなっている可能性があるため、放っておくと抜け毛が増えてしまうかもしれません。
毛根の先が細くとがっている場合
ストレスやホルモンバランス異常が考えられます。円形脱毛症の方に多くみられる形です。化学療法を受けている方もこのような毛根になることがあります。
毛根がギザギザの場合
毛根が細くなったり太くなったりを繰り返すことで、ギザギザしたような変わった形になります。強いストレスがかかっていたり過度なダイエットをしていたりする可能性があります。
毛根の先から毛が生えている場合
抜けた毛根の先から細い毛が生えている場合、毛根が頭皮に根付かず、新たに生えてきた髪も一緒に抜けてしまっています。ストレスや血行不良・栄養不足・頭皮の乾燥などの原因が考えられます。
毛根が黒い場合
毛根が黒い場合、頭皮の血行不良が考えられます。一気に髪が抜け落ちる前兆の可能性があるため、要注意です。
毛根が短い場合
乾燥によって頭皮が硬くなっている可能性があります。乾燥によるかゆみから抜け毛につながる恐れがあります。
毛根鞘が付いていない場合
毛根鞘が付いていないと髪が成長していない可能性があります。数本程度そのような状態の場合は心配ありませんが、抜け毛の量が増えた上、ほとんどの抜け毛に毛根鞘が付いていない場合はAGAを発症している可能性があります。
AGAはヘアサイクルが乱れることで成長しない毛が抜ける
髪の毛は、<成長期→退行期→休止期>の3つを繰り返すことで自然と抜け、また生えてきます。
正常であれば2~6年かけて成長しきった髪が退行期(休止期の準備期間)に入り、髪が抜けるのですが、AGAを発症するとヘアサイクルが乱れ、成長期が短くなってしまいます。
成長しきる前に抜けてしまうため、毛根も成長していない状態になってしまうのです。
毛根が異常な場合の対処法
前述したように毛乳頭がある限りは髪が生える状態のため、対処の仕方によっては再び元気な髪の毛を発毛させることは可能です。
毛根が異常な場合の対処法①ストレス発散と生活習慣の見直し
皮脂の過剰分泌時の対処法と同様、ストレスや食生活などは髪や頭皮に大きく影響します。そのため、ストレスが溜まっている自覚がある場合は息抜きをしたり食事のバランスを意識したりするといいでしょう。
毛根が異常な場合の対処法②クリニックへ相談に行く
毛根鞘がなく、その原因がAGAを発症している場合、治療をしないと治らないためクリニックへ行きましょう。
AGAは進行型のため、何も対処をしないとどんどん薄毛や抜け毛が増えていってしまいます。ミノキシジルなどのAGA治療薬を使用してヘアサイクルを整えれば、健康な毛根に戻ることが期待できます。
まとめ
抜けた毛の根元に付いている白い塊の正体について説明しました。毛根がふっくらしており、薄白いものが付いていればそれは毛根鞘のため、自然な抜け毛と言えるでしょう。
成長しきった髪が抜けている証拠のため問題ありません。
白い塊が皮脂であったり、毛根が通常のふっくらした形とは異なる形をしていたりする場合、注意が必要です。放っておくと頭皮トラブルにつながったりAGAが進行してしまったりする可能性があります。