ケトコナゾールクリームは、真菌(カビ)の増殖を抑える働きがあるため、皮膚や頭皮のトラブルに役立つ医薬品です。
特に顔の脂漏性皮膚炎や頭皮の炎症が原因で生じるかゆみなどの症状に用いられ、適切に使うことで症状を緩和しやすくなります。
また、AGA(男性型脱毛症)の治療を考える上でも、頭皮環境の改善を目指した方法として選択肢になるケースがあります。
この記事では、顔や頭皮への塗布方法から使用時の注意点、他の治療との併用の可能性までを、できるだけ分かりやすく解説します。
この記事を書いた医師

内科総合クリニック人形町 院長
- 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
- 東京大学医学部保健学科および横浜市立大学医学部を卒業
- 東京大学付属病院や虎の門病院等を経て2019年11月に当院を開業
最寄駅:東京地下鉄 人形町駅および水天宮前駅(各徒歩3分)
ケトコナゾールクリームの概要
ケトコナゾールクリームは、真菌の増殖を抑制する薬剤であり、皮膚科や美容皮膚科の外来で処方されるケースが多いです。
顔の皮膚炎や頭皮のかゆみ・フケなどに悩む方に適用され、過剰な皮脂分泌によって悪化する症状の改善を目指します。
ケトコナゾールとは
ケトコナゾールは抗真菌薬の一種で、真菌が細胞膜を形成するのに必要なエルゴステロールという物質の合成を妨げます。
その結果、真菌の増殖を抑え、皮膚表面や毛穴周辺の環境を整える効果が期待できます。
脂漏性皮膚炎やマラセチア菌が関わる頭皮のトラブルなど、カビ由来の炎症が疑われる場合に用いられます。
どのような疾患に使われるのか
ケトコナゾールが配合されたクリームは、以下のような疾患や皮膚トラブルに広く使用されます。
- 脂漏性皮膚炎(顔・頭皮)
- マラセチア毛包炎
- フケやかゆみを伴う頭皮トラブル
- 体部白癬・股部白癬などの真菌感染症
これらの症状は、放置するとさらに炎症が悪化したり、慢性化したりする恐れがあります。
適切なタイミングで使用を開始すると、早期に症状が落ち着きやすいです。
クリームとしての特徴
ケトコナゾールの剤形には、内服薬やシャンプーなどもありますが、患部への直接塗布ができるクリーム剤は、狙った部位に効率的に作用しやすい点が特徴です。
皮膚が敏感な部分でも薄く塗り広げると副作用のリスクを抑えながら真菌を抑制できる可能性があり、他の外用薬と比較して使い勝手が良いと感じる方も少なくありません。
ケトコナゾールクリームに関するメリット・デメリット
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
塗布のしやすさ | 患部に直接塗れるため、狙った箇所に効果を及ぼしやすい | 塗りすぎるとベタつきやかゆみを助長する場合がある |
副作用のリスク | システム的な影響が少なく、内服薬よりも全身性の副作用が少ない傾向がある | 長期使用では皮膚の刺激感や乾燥などが見られるときがある |
他の治療薬との併用 | AGA治療薬や保湿剤などと併用しやすい | 症状によっては単独では効果が十分でない場合がある |
使用可能な部位 | 顔や頭皮を含めた広範囲 | 病変が広範囲に及ぶ際は大量が必要になるときがある |
このようにメリット・デメリットを理解したうえで使用すると、トラブルを減らしながらケトコナゾールクリームを活用できます。皮膚の状態に合わせて、医師の診察を受けることが重要です。
AGAとケトコナゾールクリームの関係
AGA(男性型脱毛症)の治療にケトコナゾールクリームを直接用いるケースは多くありません。
しかし、頭皮環境が悪化している方や脂漏性皮膚炎のある方が抜け毛や薄毛を自覚した場合、頭皮を清潔に保ち、真菌の増殖を抑えることは、健康な毛髪が生えやすい土台を作る助けになります。
AGAの進行に対しては発毛剤や内服薬も検討すべきですが、補助的にケトコナゾールクリームの選択が考えられる場面があります。
AGAの原因とケトコナゾールの働き
AGAの主な原因は、男性ホルモン(テストステロン)が変換されてできるジヒドロテストステロン(DHT)の作用による毛周期の乱れです。
直接的にはケトコナゾールが男性ホルモンを抑制するわけではありませんが、炎症を起こした頭皮環境を整える点は、AGA治療の土台作りに役立つと考えられています。
頭皮環境の改善効果
ケトコナゾール配合のクリームやシャンプーを使用すると、マラセチア菌などの真菌増殖が原因で生じる頭皮のかゆみやフケを和らげやすくなります。
頭皮のトラブルが続くと抜け毛のリスクが高くなる場合があるため、炎症を抑えることは髪の育成を助ける要素の1つです。
頭皮環境を悪化させる要因
- 過剰な皮脂分泌
- 真菌や細菌の増殖
- 不適切なヘアケア製品の使用
- 頭皮の摩擦や強い刺激
- 栄養バランスの偏り
- ストレスや睡眠不足
頭皮環境を改善する上では、上記のような要因を取り除く努力も大切です。
ケトコナゾールクリームを使うだけでなく、普段のヘアケアや生活習慣を見直すとAGA対策にも良い影響を与えます。
ケトコナゾール配合シャンプーとの比較
ケトコナゾール入りのシャンプーは、市販やクリニックで取り扱われています。
シャンプーは頭皮全体を洗い流す際に成分が行き渡りやすいため、予防的に利用しやすい側面があります。
しかし、すでに炎症が強い部分や特定の部分に集中的に治療効果を届けたい場合は、クリームでの塗布が向いています。目的や症状の程度に応じて選択肢を検討してください。
ケトコナゾール配合シャンプーとクリーム
特徴 | 配合シャンプー | クリーム |
---|---|---|
主な使用目的 | 頭皮全体の環境ケア | 局所的な真菌や炎症の抑制 |
使用のしやすさ | 日常のシャンプー代わりに使いやすい | 気になる部分に塗り込む手間が必要 |
効果の現れ方 | 全体的な頭皮の清浄化に寄与 | 局所集中型で炎症部位をカバー |
特に適している場面 | 軽度の頭皮トラブル、予防を目的としたケア | 炎症が強い部分や特定部位への治療 |
両者をうまく組み合わせて使用すると、より頭皮環境が整うことが期待できます。特にAGA治療を視野に入れている方は、複数の方法を検討するとよいでしょう。
顔への使用方法
顔にケトコナゾールクリームを用いる場合は、脂漏性皮膚炎やニキビ様の湿疹が疑われる状況で使われることが多いです。
皮膚の薄い顔は刺激を受けやすい部位なので、用法用量や塗り方を守ることが大切です。
洗顔後の基本的な塗り方
まずは洗顔で皮脂や汚れをしっかり落とすところから始めます。
洗顔後は清潔なタオルで軽く押さえるように水気を取り除いたうえで、指先に少量のクリームをとって患部に薄く伸ばすのが基本です。
過剰に塗りすぎると毛穴が塞がるリスクがあるため、適量を守って塗布してください。
顔に塗る際の基本的な流れ
手順 | やり方 |
---|---|
1.洗顔 | 優しく洗い上げて皮脂やメイク汚れを取り除く |
2.拭き取り | 水分を軽く押さえるように拭き取る |
3.クリーム取得 | 指先に適量を取り、患部より少し広めの範囲に塗れる程度を意識 |
4.塗布 | 円を描くように薄く伸ばし、厚塗りは避ける |
5.仕上げ | クリームが浸透するまで数分待ち、必要に応じて他のスキンケアを行う |
強くこすりながら塗り込むと皮膚が刺激される可能性があります。優しい力加減でなじませるように塗るのを意識してください。
塗布するタイミングと頻度
1日1回から2回の塗布が一般的ですが、炎症が強い場合には医師の判断で頻度を増やすケースがあります。
洗顔後に皮膚が清潔な状態で塗るのが望ましいため、朝と夜の2回に分けてケアすると良い場合が多いです。
ただし、顔に他の外用薬を使っているときや保湿剤を併用しているときは、塗る順番やタイミングを調整する必要があります。
メイクやスキンケアとの併用
女性の場合は日常的にファンデーションや下地などを使用することがあるため、ケトコナゾールクリームとメイク製品の相性に気をつける必要があります。
クリームを塗ったあとは完全に肌になじませてからメイクを始めると、化粧くずれや毛穴詰まりを回避しやすくなります。
保湿剤や美容液など、他のスキンケアアイテムとの併用を考える際は、先に医師や薬剤師に相談すると安心です。
顔用クリームとの併用時のポイント
- ケトコナゾールクリームを先に塗って少し時間をおく
- 刺激の強いピーリング剤や強いアルコール成分入りの化粧品は避ける
- 保湿剤を併用する際は、刺激を感じたら使用を中止して医師に報告する
- 日焼け止めを使う場合は、ケトコナゾールクリームがなじんでから重ねる
顔は敏感でトラブルが起きやすい部位なので、慎重に使いながら肌の状態を観察することが大切です。
頭皮への使用方法
頭皮は髪の毛が生えているためクリームを塗りづらい部分ですが、しっかりと皮膚に届くように塗布することで効果が期待できます。
シャンプーや生活習慣との相乗効果を狙うのも大切ですので、ケトコナゾールクリームを頭皮に用いるときにはいくつかのポイントを押さえましょう。
シャンプー後の基本的な塗り方
髪を洗って頭皮が清潔になったあと、タオルドライで水分をおおまかに取り除きます。
その状態で、指先に適量のクリームを取り、頭皮の気になる部分に優しく塗り込みます。
頭皮は顔に比べると多少皮膚が厚いですが、強く擦りすぎると摩擦が起きやすいので注意してください。
頭皮に塗る流れ
手順 | やり方 |
---|---|
1.シャンプー | 普段使いのシャンプーまたはケトコナゾール配合シャンプーで頭皮を洗浄 |
2.タオルドライ | 水滴が落ちない程度までしっかり拭き取る |
3.クリーム取得 | 指先に必要最小限の量を取り、毛髪をかき分けながら地肌に届くように用意 |
4.塗布 | 円を描くイメージで頭皮に軽く塗り広げる |
5.放置 | 数分間はそのまま放置し、完全に吸収させる |
クリームを塗ってすぐに髪を乾かそうとドライヤーを使うと、熱や風の影響で塗った薬剤が流れたり飛んだりする可能性があります。
可能な範囲で、塗布後に数分置いてから乾かすほうが効果を得やすいでしょう。
マッサージのコツ
頭皮へ塗布するときに軽くマッサージを併用すると、血行を促しながらクリームを行き渡らせやすくなります。
ただし、力任せにゴシゴシとこするのは避け、指の腹でやや圧をかける程度の優しいマッサージを心がけることが重要です。
頭皮マッサージの方法
- 指の腹を使って、こめかみから頭頂部へ向かう円形の動き
- うなじから後頭部をゆっくりと上に押し上げるような動き
- 1回あたり数分程度を目安に短時間で行う
頭皮マッサージにはリラクゼーション効果も期待できるため、睡眠の質向上なども期待できるかもしれません。
ただし、炎症が強いときは痛みを伴う場合があるため、無理にマッサージしないようにしてください。
AGA治療への応用
AGA治療の中核は発毛剤(ミノキシジルなど)や内服薬(フィナステリド、デュタステリドなど)ですが、頭皮環境をサポートする目的でケトコナゾールクリームが併用される場合があります。
炎症がある箇所にクリームを塗り、落ち着かせたうえでメインのAGA治療を行うことは、毛根が健康に活動できる下地を整えるうえで役立ちます。
ただし、併用のタイミングや間隔は医師の指示を仰ぐと安心です。
使用上の注意点
ケトコナゾールクリームは比較的安全性の高い外用薬ですが、使用方法を誤ると肌荒れやかゆみが悪化する場合があります。
アレルギーの有無や使用量、他の外用薬との兼ね合いなど、基本的な注意点の把握が大切です。
アレルギーの有無
ケトコナゾール成分や添加物に対してアレルギーがある場合、塗布後に強いかゆみや赤み、腫れなどが現れることがあります。
初めて使う方は、腕の内側など皮膚の薄い部位で少量を試してみる「パッチテスト」を行う方法も検討してください。異常を感じたらすぐに洗い流し、医師に相談しましょう。
ケトコナゾールクリーム使用前に確認したいこと
確認項目 | 内容 |
---|---|
アレルギー歴の有無 | 以前に薬剤や化粧品でアレルギーを起こした経験がないか |
既往症の確認 | アトピー性皮膚炎など皮膚が敏感になりやすい疾患の有無 |
他の使用薬剤との重複 | 他の抗真菌薬やステロイド外用薬を使っていないか |
医師との相談 | 気になる点や不安があれば処方医に相談する |
事前にこれらを確認しておくと安心して使用できます。特に複数の薬を使っている方は、医師に必ず使用状況を伝えてください。
塗布量と塗布回数
一般的な目安として、顔ならパール粒程度、頭皮なら気になる部分ごとに指先に軽く載る程度の量を薄く伸ばす塗り方が推奨されます。
塗布回数は症状によりますが、1日1~2回程度が多いです。回数を増やすことで効果が上がるわけではないので、医師の指示に従うのが望ましいです。
他の外用薬との相互作用
脂漏性皮膚炎やAGAなどは複数の外用薬や内服薬を組み合わせて治療するケースも少なくありません。
ケトコナゾールクリームとステロイド外用薬を同時に使う場合、皮膚刺激が増す恐れもあるため、塗る順番やタイミングには気を配る必要があります。
医師や薬剤師に相談し、併用する薬剤の特性を理解しておきましょう。
他の外用薬と併用する際の注意点
- 同じ部位に複数の外用薬を塗る際は、医師の指示に従う
- 塗布の間隔を十分にあけて、皮膚への負担を減らす
- かゆみや発疹などの異常があれば使用を中止して受診する
- 処方薬以外の市販薬やサプリメントも医師に報告しておく
複数の薬剤を使っていると、どれが原因で副作用が起きているのか分かりにくくなります。こまめに状態をチェックするようにしましょう。
効果を引き出すための工夫
ケトコナゾールクリームの効果をより感じやすくするには、薬剤そのものの作用に頼るだけでなく、スキンケアや生活習慣などをトータルで見直すことが大切です。
適切な洗髪・洗顔方法
ケトコナゾールクリームを使う前に、洗髪や洗顔で皮脂汚れを落としておくと薬剤が浸透しやすくなります。
ただし、過度な洗浄は皮膚を乾燥させてしまい、逆に炎症を助長する可能性があるため適度な洗い方を意識してください。
熱いお湯での洗浄や長時間のシャワーは皮脂を過剰に落としすぎる場合があるので、ぬるま湯を使った短めの洗い方が良いでしょう。
洗髪・洗顔で気をつけたいポイント
項目 | ポイント |
---|---|
温度 | 38℃前後のぬるま湯が皮脂を落としすぎず適度 |
洗浄剤の選択 | 刺激の少ないシャンプー・洗顔料を使用 |
洗い方 | 爪を立てず指の腹で優しく洗う |
洗い流し | シャンプーや洗顔料が残らないよう十分にすすぐ |
タオルドライ | ゴシゴシ拭かず、押さえるように水分を吸収させる |
洗顔や洗髪後にケトコナゾールクリームを塗るとき、皮膚や頭皮の水分が多すぎると薬剤が均等に塗りにくくなります。水気をある程度取ったうえで塗ると、ムラが減りやすいです。
保湿との併用
炎症や真菌に対する治療を行うとき、皮膚が乾燥しやすくなるケースがあります。
とくに顔は保湿不足になるとバリア機能が低下してトラブルが再発しやすくなるため、ケトコナゾールクリームによる治療と並行して保湿ケアを行うとよいでしょう。
頭皮でも同様に、保湿スプレーやトリートメントなどを必要に応じて利用すると、肌状態の安定を図れます。
規則正しい生活習慣
食生活や睡眠、ストレス管理など、生活習慣も皮膚や頭皮の状態に直結します。
偏った食事が続くと皮脂の分泌量が乱れやすくなり、睡眠不足やストレス過多はホルモンバランスを乱して免疫力を落とす可能性があります。
皮膚や頭皮を整えやすくする生活習慣
- バランスの良い食事(野菜、タンパク質、良質な脂質の摂取)
- 1日6~7時間以上の十分な睡眠
- 適度な運動で血行を促進する
- アルコールや喫煙を控える
- 定期的に医師の受診をして現状を確認する
これらの習慣を取り入れながらケトコナゾールクリームを使うことで、より良い結果を得やすくなります。
効果が感じられないときの対処法
ケトコナゾールクリームを一定期間使っても効果が感じられない場合、使い方や症状の原因そのものに見落としがあるかもしれません。
早めに専門家に相談し、別の治療法の検討や使用方法の修正を行うことが重要です。
医師への相談
通院先のクリニックや皮膚科で定期的に経過を報告し、薬の効き目や肌状態について情報を共有してください。
医師は症状の変化や副作用の有無を総合的に判断し、必要に応じて他の薬剤や治療法を提案してくれます。
自己判断で使用を中止せず、まずは医師と相談することが大切です。
抜け毛が進行している場合
頭皮の炎症が治まらず、抜け毛が進行していると感じる場合は、AGA治療専門のクリニックなどへの受診も検討してください。
真菌による炎症以外にも、ホルモンバランスや遺伝的要素が強く影響している可能性があるためです。ケトコナゾールクリームの使用だけでは解決しないケースもあります。
抜け毛が進行していると感じたときのチェック項目
チェック項目 | 内容 |
---|---|
抜け毛の量 | 明らかに増えてきたか |
頭皮の状態 | かゆみやフケ、赤みが持続しているか |
生活習慣の乱れ | 睡眠不足や食生活の偏りが続いていないか |
ストレスの程度 | 過度なストレスにさらされていないか |
AGAの家族歴 | 親族にAGAが多い家系かどうか |
これらを総合的に判断し、AGA専門医に相談するときの情報として伝えると、より適切な治療方針を立てやすくなります。
内服薬への切り替え
真菌の感染が全身に影響を及ぼしていたり、外用薬だけでは改善が見られないほど症状が重かったりする場合は、ケトコナゾールの内服薬を含めた他の治療方法が検討される場合もあります。
ただし、内服のケトコナゾールは肝障害などの副作用リスクが高まる可能性があるため、専門の医師の管理下で慎重に進める必要があります。
自分に合った治療プランを検討する
ケトコナゾールクリームを一定期間使用した結果、症状が落ち着いてくると治療を継続するか、他の方法に切り替えるかを判断する段階に入ります。
定期的に専門医に相談し、自分の肌や頭皮の状態をチェックして、より良い治療プランを立ててください。
継続的な経過観察
皮膚や頭皮の状態は季節や体調によって変化しやすく、いったん良くなったように見えても再発する場合があります。
継続的な経過観察を続けることで、再発の早期発見や再発防止策の調整がしやすいです。症状が改善したと感じても、勝手に薬をやめるのではなく、医師との相談を継続することが推奨されます。
ケトコナゾールクリーム使用中の定期チェック
- 塗布後の肌や頭皮のかゆみ・赤み
- 髪や肌の乾燥状態
- 洗髪や洗顔の頻度や方法
- 生活習慣(睡眠・食事・運動など)の乱れ
- AGA治療を行っている場合の抜け毛の変化
これらを記録しておくと、次回受診時に医師へ正確な情報提供がしやすくなります。
クリニックでの相談タイミング
症状が軽快した場合でも、1~2カ月に1回程度は受診して経過を報告すると安心です。自己判断だけで治療を続けると、思わぬ副作用や見落としが起きる可能性があります。
クリニックでは医師が皮膚や頭皮を診察し、必要に応じて薬の使い方や生活改善のアドバイスを行います。
相談時に役立つ情報
相談内容 | 詳細例 |
---|---|
使用状況の詳細 | どの部位に1日何回塗っているか |
症状の変化 | かゆみやフケ、赤みなどの程度はどう変わったか |
生活習慣の変化 | 睡眠時間や食事内容の改善、ストレスの増減 |
他の治療との併用状況 | AGA治療薬や保湿剤、サプリメントの使用状況 |
気になる副作用 | 塗布部分の痛み、むくみ、皮膚のひび割れなど |
これらを医師に報告すると、より適切な治療指導が受けられます。疑問点や不安があれば遠慮なく相談してください。
AGA治療につなげるポイント
AGAを疑っている場合、ケトコナゾールクリームで頭皮をケアしながら、抜け毛の程度や頭皮の状態を観察し、必要に応じて本格的な治療をスタートするのも一案です。
AGAは進行型の脱毛症なので、早めに対策を始めるほど、髪を残せる可能性が高くなると言われています。
AGA治療には内服薬や外用薬などさまざまなアプローチがあるため、専門医と相談しながら自分に合った方法を選択してください。
ケトコナゾールクリームが炎症の鎮静や頭皮環境の改善で役立つ場合は、そのまま継続しつつAGA治療薬を加えるなど複合的な治療プランを立てると、より効果を得られる可能性が高まります。
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