- 初期脱毛のメカニズム
- 初期脱毛の期間
- 初期脱毛が止まらないケース
- 初期脱毛が気になるときの対処法
AGA治療のための薬を使用すると「初期脱毛」が起こります。これまで以上の抜け毛が発生することで、驚いて薬の使用をやめてしまう方がいます。しかし、ここで薬を中断してしまうと発毛につながらなくなってしまうため、気をつけてください。AGA治療中の抜け毛は、大体の場合心配ありません。
今回は、初期脱毛のメカニズムと対処法について、クリニック院長藤田先生に解説していただきます。
AGA治療中に起こる「初期脱毛」とは?



解説いたします
- 初期脱毛による抜け毛はAGA治療に必要な過程
- ミノキシジルでヘアサイクルを戻すために髪が抜ける
- 抜け毛が増えたからといって治療中断はNG
「初期脱毛」とは?
初期脱毛とは、AGA治療薬を使用した後に、一時的に抜け毛が増える状態のことを言います。抜け毛が落ち着いた後に発毛が起こるため、AGA治療中には必要な過程であり、基本的には心配する必要のない抜け毛です。
なぜ「初期脱毛」が起こるのか?
初期脱毛が起こるメカニズムをお伝えする前に、AGAが起こるヘアサイクルとAGA治療薬の効果について解説します。
AGAはヘアサイクルが乱れる
AGAはヘアサイクルが乱れることによって薄毛になる病気です。ヘアサイクルには3段階あります。
- 成長期:髪が成長する段階の時期。正常な場合、2~6年の期間が成長期
- 退行期:次の段階の「休止期」に移行する過程の時期。期間は1~2週間
- 休止期:毛髪の製造が完全にストップし、抜け落ちる時期
成長期→退行期→休止期を経て、また成長期に突入します。これをヘアサイクルと言います。
AGAは、ヘアサイクルの「成長期」が正常な期間よりも短くなる病気です。成長期が短くなることで抜け毛が増えたり、成長しない髪が増えることから一本一本の髪が細くなったりします。
AGA治療薬に含まれる「ミノキシジル」の効果
乱れたヘアサイクルを正常に戻すことで発毛を促すことができます。この役割を果たすものがAGA治療薬に含まれる「ミノキシジル」です。
ミノキシジルは、毛包に直接作用し、細胞の増殖やタンパク質の合成を促し、発毛へと導きます。ミノキシジルによってヘアサイクルに変化が起こり、小さくなった毛包を大きく深く成長させることができるのです。
ミノキシジルで「初期脱毛」が起こる理由
それではいよいよ、「なぜAGA治療薬を使用すると初期脱毛が起こるのか?」解説します。
新しい髪の毛を生やすためには、退行期の髪に働きかけ、休止期を経て成長期へと導かなければいけません。上記で説明した通り、ミノキシジルは毛母細胞を刺激することで、新しい髪を成長させます。すでに成長期を終えた退行期の髪がミノキシジルによって休止期に入り、一気に抜け落ちることから「抜け毛が増えた」と思ってしまいますが、これは次の成長期に突入するために大切な過程なのです。
初期脱毛症状として、1日3000本抜けることも
ミノキシジルによってヘアサイクルを整えるために、髪が一度に抜けることを「初期脱毛と呼ぶ」と解説しました。初期脱毛で抜ける髪は、放っておいてもいずれ抜ける髪のため、心配する必要はありません。
AGA治療中の初期脱毛では1日3000本抜けることがあります(正常時は1日100本前後)。通常時の数十倍抜け毛が増えるため、シャンプーをしたときに抜ける髪の量や朝起きて枕についている抜け毛の多さに驚くかもしれません。「何かの病気かも?」「AGA治療薬を中断した方がいいのでは」などと心配になるかもしれませんが、初期脱毛の症状のため、問題ありません。
AGA治療中に自己判断で投薬中断することはNG
初期脱毛の抜け毛量に驚いたり、「なかなか発毛しないから」と嫌になったりして、自己判断で投薬を中断してしまうと、せっかく積み重ねてきた努力が水の泡になってしまいます。初期脱毛は一時的なものですし、抜け毛が起こっていることは、太くてハリのある髪が生える前段階だとポジティブに捉え、焦らずにがんばりましょう。
初期脱毛の期間



解説いたします
- 初期脱毛は個人差があるが、多くは1ヶ月半~3ヶ月で終わる
- 発毛を実感するのは3ヶ月~6ヶ月後
初期脱毛が始まる時期は治療から10日~1ヶ月
初期脱毛は、AGA治療を始めてから10日~1ヶ月の間に始まることが一般的です。
初期脱毛の期間は1ヶ月半~3ヶ月ほど
多くのAGA患者さんが、1ヶ月半~3ヶ月ほどで初期脱毛が終わったことを実感しています。「おさまったかな?」と思っても翌日また大量に髪が抜けることもありますが、徐々に抜ける本数が減ったり、たまに増えたりを繰り返しながら初期脱毛が終わっていきます。
初期脱毛に明確な「終わり」はない
ぴたりと脱毛が止まるわけではないため、初期脱毛終了を自覚しにくいケースが多いです。「あれ?そういえば最近抜け毛が減ってきたな」と感じたら、初期脱毛が終わったのかもしれません。初期脱毛が終われば、発毛の時期に入ります。
発毛を実感するのは3ヶ月~6ヶ月
AGA治療の効果を実感するのは、早くて3ヶ月後、多くの方は6ヶ月ほどかかるため、気長に待ちましょう。4ヶ月後あたりから徐々に毛髪が濃くなっていくことを実感する方が多いです。
初期脱毛が起こらないケースと長引くケース



- 初期脱毛が起こらなくても問題ないケースもある
- 初期脱毛が長引いた場合、別の症状を疑った方がいいケースもある
初期脱毛が起こらないケース①治療効果に問題はない場合も
初期脱毛による抜け毛の程度には個人差があるため、「初期脱毛が起きなかった」といって治療効果が出にくくなるわけではありません。不安な場合は医師に相談するといいでしょう。
初期脱毛が起こらないケース⓶ミノキシジルを含有していない場合
AGA治療薬でミノキシジルではなく、プロペシアやザガーロ(デュタステリド)を使用している場合、初期脱毛が起こる可能性が低くなっています。
プロペシアとザガーロ(デュタステリド)は、AGA発症の原因物質である5αリダクターゼという酵素を阻害し、抜け毛の直接的な原因となるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑制することによって、薄毛の進行を予防する薬です。ミノキシジルとは違い、プロペシアやザガーロ(デュタステリド)には毛母細胞を直接刺激する効果はないため、初期脱毛が起こりにくいと考えられています。
初期脱毛が長引くケース①頭皮の炎症
初期脱毛が長引くケースの一つとして、頭皮の炎症が考えられます。ミノキシジルの副作用として頭皮のかぶれやかゆみが起こることがあるため、かぶれなどを感じた場合、医師に相談するといいでしょう。
初期脱毛が長引くケース⓶AGA以外の脱毛症
初期脱毛が長引く場合、その抜け毛は初期脱毛によるものではなく円形脱毛症や脂漏性脱毛症・牽引性脱毛症などAGA以外の脱毛症が起こっているケースがあります。AGA以外の脱毛症は治療方法が異なるため、AGA治療薬では改善できません。脱毛が止まらない場合、自己判断せずに医師に相談しましょう。
初期脱毛が長引くケース③生活習慣の乱れ
栄養バランスの悪い食生活を続けていたり睡眠時間が短かったりすると、治療効果が十分に発揮できない場合があります。AGA治療薬のみに頼るのではなく、並行して生活習慣を整えていくことが大切です。適度な運動やストレスを溜めすぎないことも意識するといいでしょう。
初期脱毛が気になるときの対処法



解説いたします
- 人目が気になる場合は帽子やウィッグで隠す
- 薄毛が気にならない髪型にする
対処法①帽子やウィッグを使用する
スカスカになっている頭部を見られることに抵抗がある場合、帽子やウィッグで見えないようにするといいでしょう。ただし、帽子の通気性が悪かったり被り続けたりしていると蒸れて頭皮環境が悪化し、抜け毛の原因になってしまうことがあります。帽子やウィッグは定期的にとって汗を拭うことを意識しましょう。
対処法②髪型を変える
薄毛を隠そうと髪を伸ばすと余計に目立ってしまうため、全体的に短くするといいでしょう。思い切って坊主にすることもいいですし、ソフトモヒカンやショートヘアもおすすめです。
まとめ
AGA治療中に起こる初期脱毛について解説しました。ヘアサイクルを正常に戻すために、一度悪いヘアサイクルをリセットする必要があります。その過程として抜け毛が起こるため、初期脱毛の抜け毛は心配ありません。「抜け毛が起きたから」と言って育毛剤の併用などをする必要もありません。医師の処方通りに投薬し、発毛する日を辛抱強く待ちましょう。
