薄毛が気になる方は、手軽にできる対策として頭皮マッサージを試してみてはいかがでしょうか。頭皮マッサージに劇的な効果は期待できませんが、頭皮環境を整えることで太くてコシのある髪へと導くことができます。
ただし、頭皮マッサージは正しい方法で行わなければ、頭皮トラブルを引き起こしかねません。そこで、今回は正しい頭皮マッサージの方法や効果などについて詳しくご紹介します。
この記事の執筆者
藤田 英理 内科総合クリニック人形町 院長
東京大学医学部保健学科、横浜市立大学医学部を卒業。虎の門病院、稲城市立病院、JCHO東京高輪病院への勤務を経て内科総合クリニック人形町を開院。総合内科専門医。AGA治療や生活習慣病指導も行う。
頭皮の血流が悪いと健康な髪の毛が生えにくい
頭皮の血流が低下すると、頭皮環境が乱れます。なぜなら、血液が栄養や酸素を頭皮に送り届けることで、健康な髪が生えるからです。
どれだけ十分に栄養をとっていても、頭皮への血流が低下していると髪が栄養不足になります。栄養不足になった髪は、細くて短くなり、髪のボリュームが失われてしまうのです。
頭皮の血流が悪くなる原因は、ストレスや冷え、睡眠不足など。ストレスや睡眠不足は、自律神経のバランスを崩して、頭皮への血流を低下させます。また、冷えも同じく血管を収縮させて血流を低下。
頭皮マッサージで血流を改善できる
頭皮マッサージにより血流を促すことで、頭皮環境を整える効果が期待できます。血流が促されると、十分な栄養が毛乳頭細胞に。毛乳頭細胞は、髪を生み出す毛母細胞へ細胞増殖因子などを送り、髪の生成を促します。
そのため、毛乳頭細胞に十分な栄養が届くことは、髪の成長の促進を意味するのです。
ただし、頭皮マッサージで血流を改善できるのは一時的で、体質が変わるわけではないため、継続的に続ける必要があります。
頭皮マッサージで血流改善を行うと得られる効果
頭皮マッサージで血流が促されると、どのような効果が期待できるのか詳しくみていきましょう。
<頭皮マッサージの効果>
- 薄毛・抜け毛予防
毛乳頭細胞に十分な栄養が届くようになり、薄毛や抜け毛が起こりにくくなります。 - 白髪予防
白髪の原因は、髪の黒色を作るメラニン色素を生成するメラノサイトに何らかの異常が起こるからです。メラノサイトに酸素と栄養が十分に届くことで、栄養と酸素不足によるメラノサイトの異常を防げる可能性があります。 - リフトアップ
頭皮に十分な栄養が届くことで、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸といった頭皮に含まれる成分が保たれるため、リフトアップ効果が期待できます。
このように、頭皮マッサージには薄毛や抜け毛の予防以外にも、さまざまな予防効果が期待できます。頭皮マッサージには一切のコストがかからないため、できるだけ毎日続けたいところです。
頭皮マッサージの効果が得られるまでの期間
頭皮マッサージの効果を得られるまでの期間は、詳しくはわかっていません。栄養が十分に届き、見た目に変化が出るまでには長い時間がかかる可能性があるでしょう。
すぐに効果を得られないからといってやめてしまうと、当然ながら薄毛や抜け毛の予防効果は失われます。そのため、できるだけ毎日頭皮マッサージを続けることが大切です。
また、頭皮マッサージをするのであれば、シャンプーをするときがよいでしょう。シャンプーの泡が円滑剤の代わりになり、摩擦で頭皮がダメージを受ける負担を軽減してくれます。
また、入浴後の身体が温まっているタイミングであれば、入浴による血行促進との相乗効果が期待できるでしょう。
血流改善のための頭皮マッサージ方法
血流を促すための頭皮マッサージの方法は次のとおりです。
<頭皮マッサージのやり方>
- 前髪の生え際の真ん中あたりに指をあてて、5~6回ほど上下に動かす
- マッサージしながら両サイドへと指を動かす
- こめかみに達したら、円を描くようにマッサージする
- 耳の上付近も同じようにくるくるとマッサージする
- 頭全体を両手でつかみ、すべての指で頭のツボを刺激する。このとき、上向きに寄せるイメージを持つ
- 後ろ側の首の付け根をマッサージする
- そのまま上がっていき、後頭部から側頭部にかけて移動しながらマッサージする
- 耳の後ろのくぼみをくるくるとマッサージする
このように、頭皮マッサージは、円を描くように動かしたり、上下に動かしたりと、さまざまな方法で行います。薄毛が気になる部位だけではなく、頭部全体をマッサージすることが大切です。
頭皮の血流を促進するヘアブラシを使用したマッサージ方法
頭皮マッサージには、ヘアブラシを使うのもおすすめです。ただし、強くたたいたり、とかしすぎたりすると頭皮が傷つくため、適度な力加減でマッサージしましょう。
また、頭皮マッサージにはループブラシがおすすめです。ループブラシは、縦長の円形の毛がついています。
通常のヘアブラシでは、頭皮に直接刺激が及びますが、ループブラシは毛に先端部分がないため、頭皮を傷つける心配がありません。
<ヘアブラシを使用した頭皮マッサージのやり方>
- 耳の上から頭頂部にかけて、ほどよい圧をかけながらジグザグに動かす
- 同じように、眉頭付近、後頭部の付け根、耳の後ろから頭頂部に向かって動かす
- 「の」の字を描きながら頭皮全体を軽くたたく
- 頭部の血流が促されて温かくなるまで続ける
また不潔なブラシを使うと、頭皮に炎症が起こる恐れがあるため、こまめに洗うことが大切です。
頭皮マッサージのやりすぎには注意!
頭皮マッサージは、やりすぎに注意しましょう。毎日、継続することが大切ですが、1回に何十分もかけると、頭皮にダメージが及びます。1回5分を限度とすることが大切です。
ただし、1日の中で何回か行うことは問題ありません。起床後、食後、就寝前など、決まったタイミングで頭皮マッサージをすることを習慣づければ、やり忘れを防げます。
また、頭皮マッサージのときは、必ず爪を短く切りましょう。指の腹でマッサージをしていても、うっかり爪で頭皮を傷つける恐れがあるからです。
頭皮の血流を促進するツボ
頭皮の血流を促進させるためには、効果的なツボがあります。以下の3つが、頭皮の血流を促進させるツボになります。
<頭皮の血流を促進するツボ>
- 百会(ひゃくえ)
耳の上からまっすぐ上がったところと、眉間からまっすぐ上がったところが交差するところにあるツボです。 - 通天(つうてん)
百会から少しだけ左右に移動したところにあります。 - 風池(ふうち)
襟足の生え際にある2本の筋肉の外側に、天柱(てんちゅう)というツボがあります。風池は、天柱から、約1cm外側に移動したところにあるツボです。
これらのツボを刺激することで、頭皮マッサージの効果が高まるでしょう。
逆立ちをすると頭皮の血流が良くなるのか
逆立ちをすると、頭皮の血流が良くなるといわれています。逆立ちと頭皮の血流の関係性や、効果的な逆立ちの方法を詳しくみていきましょう。
逆立ちと頭皮の血流の関係性
逆立ちをすると、血液が頭皮に行き渡りやすくなります。ただし、逆立ちをしている間だけの効果のため、実質のところ薄毛の改善効果はありません。
むしろ、長時間の逆立ちは「頭に血が上る」という状態になるため、何らかの健康被害を受ける可能性があります。
そのため、逆立ちをして頭皮の血流を促そうとするのは避けたほうがいいでしょう。ただ、毎日短時間に限り継続的に行うことで、頭皮への血流が良い時間が増え、結果的に髪への栄養供給が高まる可能性があります。
効果的な逆立ちの方法
頭皮の血流を促すことを目的に逆立ちをする場合は、次のポイントを押さえましょう。
<逆立ちのポイント>
- 肩幅に広げ、両手の指は扇状に広げる
- 目線は親指に向ける
- まずは5秒を目安に行う
- クリアできたら15秒を目指す
頭皮の血流を良くするためにできること
頭皮の血流を良くする方法は頭皮マッサージだけではありません。次のような方法でも頭皮の血流を促せます。
<頭皮の血流を良くする方法>
- 頭皮の血流促進を補助するサプリメント
- 頭皮の血流を良くする食べ物
- 育毛剤の使用で血流を良くする
- 頭皮の血流を良くする運動
すべての方法を実践することで、効率的な血流ケアが可能です。
頭皮の血流促進を補助するサプリメント
頭皮の血行促進をサポートするサプリメントを飲みましょう。ビタミンEには、血行を促す働きがあるため、不足しがちな場合は、サプリメントで補いましょう。
ビタミンEは、植物脂やピーナッツ、アーモンドなどに多く含まれているため、洋食中心の食生活であれば自然に摂れていることが多いです。
ビタミンEのサプリを飲むときは、目安量を守ることが大切です。また、ある程度の量を食事から補えている場合は、目安量よりも少ない量にとどめておきましょう。
ビタミンEは、身体にためこみやすい脂溶性ビタミンのため、飲みすぎると健康被害を受ける恐れがあるからです。
頭皮の血流を良くする食べ物
頭皮の血流を促す食べ物は次のとおりです。
<頭皮の血流を良くする食べ物>
- とうがらしやししとう
これらにはカプサイシンが豊富に含まれています。カプサイシンとは唐辛子の辛味成分ですが、身体を温めることで血管を広げ、血流を促す効果が期待できます。多量に食べると胃腸に悪影響が及ぶため、摂りすぎないようにしましょう。 - トウモロコシやナッツ類
これらはビタミンEが豊富な食べ物です。ビタミンEは血流を促す栄養素なので、こうした物を食べたり、植物油を使った料理を週2~3回ほど食べたりすれば、不足することはないでしょう。
このように、血流を促せる食べ物は限られています。食事だけで血行を促そうとするのではなく、他の対策もあわせて実践しましょう。
育毛剤の使用で血流を良くする
血流を促したいときは、血行促進成分が含まれた育毛剤を使うのがおすすめです。ただし、育毛剤の目的は健康な髪の成長をサポートすることのため、劇的な効果は期待できません。
また、継続的に使用することで効果が期待できるものです。半年程度は、根気よく続けて改善効果を検証しましょう。
<育毛剤の使い方>
- 育毛剤をつけたいところの頭皮を露出させる
- 分け目に沿って育毛剤をつける
- 自然乾燥させる
育毛剤をつけるタイミングは、入浴後です。清潔な頭皮につけることで、成分が浸透しやすくなります。
頭皮の血流を良くする運動
頭皮の血流を促したいのであれば、適度な運動を習慣づけましょう。手軽に始められる運動はウォーキングですが、ただの散歩とは異なり、次のように行う必要があります。
<ウォーキングのやり方>
- ひじを曲げて腕全体を振る
- 後ろ足のつま先で地面を踏み込むように重心を前方へ移動させる
- 足のすべての指が動くイメージでしっかり踏み込む
- 目線は前で、背筋をしっかり伸ばす
ウォーキングは、1日30分、週3日など、無理のない範囲で続けましょう。そして、ウォーキングの前後は、しっかり水分補給を。
頭皮の血流を良くすることで得られる育毛以外の効果
頭皮の血流を促すことには、薄毛の改善や予防のほかに、次のような効果も期待できます。
- 顔のたるみ改善効果
皮膚に十分な栄養が届くことで、ハリ成分の健康を保ちやすくなります。 - 顔のむくみ解消効果
血流が促されることで、部分的に血液がたまる事態を防げるため、顔のむくみが解消されます。 - 肌の透明感が上がる効果
皮膚に十分な栄養が届くことで生まれ変わりのサイクルが整って、透明感が上がる可能性があります。 - 全身の血流が良くなる効果
全身の血流が促されることで、疲れが取れやすくなります。 - 睡眠の質向上効果
血流がよくなることで身体がリラックスして、睡眠の質が上がります。
このように、頭皮の血流を促す行為によって、結果的にさまざまな健康・美容効果を得られるため、積極的に実践することをおすすめします。
まとめ
頭皮の血流を促すことで栄養と酸素が頭皮にしっかり届き、薄毛や抜け毛の改善や予防ができるだけでなく、肌の透明感アップやむくみケアなどさまざまな効果が期待できます。
しかし、効果が現れるまでには時間がかるため、継続的に続けることが大切です。