- 生え際後退のサインが現れたらセルフチェックを
- 生え際後退の原因は?
- できることから始めよう!生え際の後退を食い止める生活習慣の見直し方
- 脱毛症が疑われたらクリニックに相談しよう
今回のテーマは、「生え際後退のサインと原因について」です。
ある日鏡に映った自分のおでこを見て、「前より後退しているかも!?」と衝撃を受ける人も少なくありません。
これは感覚的なことなので、実際に後退したとは言い切れませんが、生え際後退のサインと捉えたほうがよいケースも多くあります。
生え際の後退を食い止めるには、早めの対策が必要です。「気のせい」と放っておかずに、この機会にチェックしてみてはいかがでしょうか。
当記事では、生え際後退のサインと見極め方からおでこが広くなってしまう原因、さらに生え際が後退してしまった時の対策についてご紹介します。
この記事の執筆者
藤田 英理 内科総合クリニック人形町 院長
東京大学医学部保健学科、横浜市立大学医学部を卒業。虎の門病院、稲城市立病院、JCHO東京高輪病院への勤務を経て内科総合クリニック人形町を開院。総合内科専門医。AGA治療や生活習慣病指導も行う。
生え際後退のサインが現れたらセルフチェックを
サインをキャッチしたら、後退しているかどうかチェックしてみましょう
- 生え際に変化を感じたら、後退している可能性大
- 生え際が後退しているかどうかは、「生え際」「頭皮」「抜け毛」の状態をそれぞれチェック
一度気になりだしたら止まらない、「前より生え際が後退したかも」という違和感。単なる気のせいか、それとも実際に後退してしまったのか気になってしまいますよね。
主な生え際後退のサインは、次の3つです。
- おでこが前よりも広くなった
- 生え際の産毛が目立ってきた
- 左右の生え際に剃り込みが出てきた
この中の1つでも当てはまったら、これからご紹介する方法でチェックしてみてください。
生え際後退のチェック方法①:おでこの状態をチェックする
最初に、以下の手順でおでこの広さをチェックしてみましょう。
- 右手で前髪を上げて額を出す。
- 左手の小指をまゆ毛の上に置き、薬指と中指を額につける。
- 中指と生え際の間に隙間ができていたら、後退している可能性大
(もともとおでこの広い人もいるので、あくまでも目安です)。
次に、生え際の状態も見てみましょう。
- 左右の生え際が中央よりも後退している
- 生え際全体が後退している
前者なら「M字はげ」、後者なら「U字はげ」の可能性があります。
生え際後退のチェック方法②:抜け毛の状態をチェックする
抜け落ちた毛根と毛の状態が以下に該当する場合は、生え際後退の可能性が高くなります。
毛根の状態
- 黒い
- 小さいまたはない
- 尖っている
毛の状態
- コシがなく弱々しい
- 途中で切れている
抜け毛がこれらの特徴に該当する場合、正常な成長期を経ずに抜け落ちたと考えられます。
生え際後退のチェック方法③:頭皮の状態をチェックする
両手で頭皮を軽く掴み、指の腹を使って動かしてみてください。健康な頭皮は、指の動きに合わせて一緒に動きます。
スムーズに動かないという場合は、頭皮が硬い、つまり頭皮環境が悪化している状態です。
生え際後退の原因は?
生え際後退の原因として挙げられるのは、
- AGA(男性脱毛症)
- 牽引性(けんいんせい)脱毛症
- 血行不良
の3つです。各原因について詳しく見てみましょう。
AGA(男性脱毛症)
AGAは、髪が部分的に薄くなるという特徴を持つ脱毛症です。
部分的に薄毛になるのは、5αリダクターゼという酵素が、つむじや生え際に多く存在しているため。
この5αリダクターゼには、テストステロンという男性ホルモンをジヒドロテストステロンに変換するはたらきがあります。
ジヒドロテストステロンは毛母細胞を攻撃して毛の成長を阻み、ヘアサイクルを乱します。
ヘアサイクルが乱れると毛は成長途中で抜け落ちてしまいますが、これが薄毛の原因です。
AGAを発症すると、M字型、U字型、またはつむじ周辺が薄くなるO型のいずれかの症状が見られるようになります(生え際の後退はM字型とU字型)。
AGAは加齢とともに発症しやすいといわれていますが、10~20代でもAGAの症状が出る人もいます。「若いから大丈夫」と思わずに、生え際が後退しているという場合はAGAを疑いましょう。
牽引性(けんいんせい)脱毛症
牽引性脱毛症とは、髪の毛に何らかの負担がかかることで、毛が抜け落ちてしまう症状のことです。
例えば、毎日のように髪を縛る、オールバックにするなど髪を引っ張る習慣がある場合、髪には負荷がかかり続け、最終的に抜け落ちてしまいます。
血行不良
頭皮が血行不良を起こすと髪の成長を司る毛母細胞に必要な栄養や酸素が行き届かなくなり、毛は成長しきれず抜け落ちてしまいます。
血行不良になる要因は、
- 過度の飲酒や喫煙
- 睡眠不足
- 偏った食生活
- ワックスやシャンプー洗い残し
など、生活習慣の乱れという場合がほとんど。
血行不良を起こしている頭皮は、筋肉がこって硬くなる傾向があります。生活習慣を見直して頭皮を柔らかくすることが、血行不良解消につながります。
できることから始めよう!生え際の後退を食い止める生活習慣の見直し方
生え際が後退していくのを防ぐには、その原因を取り除く必要があります。
AGAは進行性のため専門家による治療が必要ですが、たとえAGAが原因だったとしてもまずは生活習慣を見直すことから始めましょう。
健康な髪を作る土台は頭皮。
- バランスの取れた食事で必要な栄養を補う
- 正しいシャンプーで頭皮を清潔に保つ
- 成長ホルモンを分泌させて髪の成長を促す
ことで頭皮の状態を良好に保ち、髪の毛が育ちやすい環境を整えてあげることが大切です。
生え際後退の予防策①:髪に必要な栄養を含む食事を心がける
健康な髪作りに欠かせないのは、基本的に栄養のバランスが取れた食事です。そこに、髪に必要な栄養素を意識的にプラスするとよいでしょう。
髪の毛の主成分は、ケラチンというタンパク質です。また、亜鉛などのミネラルは、髪の成長を促すのに必要な栄養素といわれています。
タンパク質を多く含む食品は、肉類・魚類・乳製品・豆類などです。亜鉛は、カキやレバー、うなぎ、ゴマなどに多く含まれています。
生え際後退の予防策②:正しいシャンプー方法で髪を洗う
シャンプーは、髪や頭皮を清潔にするために必要です。
しかし、間違った洗い方をしていると頭皮を傷つけたり、毛穴をつまらせたりするなど頭皮環境を悪化させることにつながります。
この機会に正しいシャンプーのやり方を覚えてしまいましょう。
正しいシャンプー方法
- ぬるま湯(34~37度)で髪全体をぬらす。
- シャンプーを適量手に取り、泡立ててから髪全体にのばす。
- 指の腹を使って、優しくマッサージするように髪全体を洗う。
- シャンプーが残らないように、念入りにすすぐ(特に生え際)
使用するシャンプーは、アミノ酸など刺激の少ないものを使うことをおすすめします。
生え際後退の予防策③:質の良い睡眠を心がける
質の良い睡眠も、薄毛予防に欠かせません。
髪の成長に必要な成長ホルモンは、睡眠中に分泌されます。
眠りが浅かったり寝つきが悪かったりすると、ホルモンが十分に出ず髪は成長の途中で抜ける可能性が高くなります。
寝つきが悪い場合は、就寝する1~2時間ほど前にお風呂に入って体を温めましょう。お風呂から上がると高かった体温が急に下がっていきますが、この体温の変化が眠気を誘います。
また、部屋を真っ暗にして寝ることも効果的です。
脱毛症が疑われたらクリニックに相談しよう
- AGAの診察・治療は皮膚科または薄毛専門クリニックで可能
- AGAの治療には、飲み薬・塗り薬・注入薬・自毛植毛の4種類がある
残念ながらAGAを自然治癒や自力で治すことは期待できません。なぜなら、AGAは発症すると症状が進むだけで、時間が経てば治るというタイプの脱毛症ではないからです。
例えばM字ハゲを放置すると、左右の剃り込みがどんどん深くなります。やがて頭頂部も薄くなり、最終的におでこから頭頂部にかけて毛が抜け落ちてしまいます。
こう聞くとがっかりしてしまうかもしれませんが、ラッキーなこともあります。それは、AGAは比較的薬が効きやすいという点。
早い段階で治療を始めれば、生え際の後退を食い止めることも不可能ではありません。
AGAかどうか知るには、皮膚科または薄毛専門クリニックを受診します。皮膚科でもAGAに詳しい先生がいればよいですが、期待できない場合は薄毛専門クリニックを選びましょう。
クリニックでは最初にAGAかどうかの診断をし、AGAであれば治療に進みます。
AGAの治療方法には以下のものがあります。
- 飲み薬(フィナステリド、デュタステリドなど)
- 塗り薬(ミノキシジルなど)
- 注入薬(成長因子にミノキシジルやビタミンなどを配合した薬剤)
- 自毛植毛
脱毛の進行度によって治療方法は異なりますが、最初は飲み薬から始めることが多いようです。
生え際の後退が気になり始めたという段階であれば、内服薬による治療からスタートすることになるでしょう。
処方薬や治療にかかる費用など、クリニックによって異なる点はいくつかあります。クリニックの相談サービスを利用して、できるだけ事前に情報収集することが賢明です。
まとめ
生え際後退のサインや原因についてご紹介しました。
ここで、当記事の要点をまとめてみます。
- 生え際後退のサインに気づいたら、おでこの広さや産毛の有無、頭皮の状態をチェックする
- 生え際が後退する主な原因は、AGA・牽引性脱毛症・血行不良の3つ
- 生え際の後退を防ぐには、生活習慣を見直すこととクリニックなどで診察してもらうことがポイント
「ハゲ」に明確な定義はありません。生え際の後退が進行するのを防ぐためにも「ハゲるかもしれない」サインを見つけ、その時点で生え際をチェックすることはとても大切です。
できるだけ早く生え際が後退する原因を把握して、早めに対策に乗り出しましょう。