前頭部の生え際後退(M字)と、頭頂部の薄毛(O字)が同時に進行する状態は、AGA(男性型脱毛症)の中でも特に悩みが深い症状の一つです。
片方だけでも気になる薄毛が、二つの部位で同時に起こることで、全体的に髪の毛が少なくなった印象を与え、見た目の変化に大きな不安を感じる方も少なくありません。
この複合型のAGAは、進行度が高いケースが多く、より戦略的な治療計画を立てる必要があります。
この記事では、前頭部と頭頂部の薄毛が同時進行する原因、それが示す重症度、そしてその状態に合わせた具体的な治療法について詳しく解説します。
※CLINIC FORの情報提供元:CLINIC FOR
前頭部と頭頂部の同時進行が示す重症度

前頭部の生え際と頭頂部、この二つの部位で同時に薄毛が進行する場合、それはAGAがある程度進行しているサインと考えられます。
なぜなら、AGAの進行度を分類する「ハミルトン・ノーウッド分類」においても、前頭部と頭頂部の脱毛範囲が結合する状態は、重症度が高い段階に位置づけられているからです。
ここでは、ご自身の状態を客観的に把握するために、AGAの進行パターンと複合型の特徴について解説します。
AGAの分類と進行パターン
AGAの進行パターンは個人差が大きいものの、いくつかの典型的な型に分類できます。最も広く用いられているのがハミルトン・ノーウッド分類です。
この分類法は、薄毛の進行状態をⅠ型からⅦ型までの7段階で評価します。
初期段階では生え際がわずかに後退する程度ですが、進行するにつれて頭頂部にも薄毛が現れ、最終的には前頭部から頭頂部にかけての脱毛範囲が一体化します。
ご自身の状態がどの段階にあるかを知ることは、治療方針を決める上で重要な指標となります。
M字型とO字型の特徴

AGAの代表的な症状として、前頭部の生え際が剃り込みのように後退していく「M字型」と、頭頂部が円形に薄くなる「O字型」があります。
これらの症状は、男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)が毛乳頭細胞の受容体と結合し、ヘアサイクルを乱すことで発生します。
特に、前頭部には「Ⅰ型5αリダクターゼ」、頭頂部には「Ⅱ型5αリダクターゼ」という酵素が多く分布しており、それぞれがDHTの生成に関与しているため、薄くなる部位に特徴が現れるのです。
複合型の定義と進行予測

M字型とO字型が同時に進行する状態を「複合型」と呼びます。これは「U字型」とも言われ、ハミルトン・ノーウッド分類ではⅣ型以降に該当することが多い状態です。
片方の症状だけでなく、両方の特徴が同時に見られる場合、それはⅠ型とⅡ型両方の5αリダクターゼが活発に働いている可能性を示唆します。
そのため、治療介入をしない場合、将来的には側頭部と後頭部以外の広範囲な脱毛に至る可能性が比較的高く、早期からの適切な治療が大切になります。
ハミルトン・ノーウッド分類における進行パターンの例
| 分類 | 主な特徴 | 重症度の目安 |
|---|---|---|
| Ⅱ型~Ⅲ型 | 生え際の後退(M字)が中心 | 軽度~中等度 |
| Ⅲ vertex型 | 生え際の後退に加え、頭頂部の薄毛(O字)も始まる | 中等度 |
| Ⅳ型~Ⅵ型 | M字とO字の脱毛範囲が拡大し、やがて結合する | 中等度~重度 |
M字とO字の複合型AGAに必要な治療強度
前頭部と頭頂部の薄毛が同時に進行する複合型AGAは、単一の部位で進行するケースに比べて広範囲に影響が及んでいます。そのため、治療においても、より強力で包括的なアプローチが求められます。
標準的な治療法だけでは改善が限定的になる可能性があり、脱毛を引き起こす根本原因に対して、より強く働きかける治療法の選択が重要です。
ここでは、複合型AGAに対してなぜ高い治療強度が必要なのかを解説します。
標準治療の限界と積極的介入
AGA治療の基本は、5αリダクターゼの働きを阻害し、薄毛の原因であるDHTの生成を抑制することです。
一般的に、フィナステリドという成分が処方されることが多いですが、フィナステリドが主に阻害するのはⅡ型5αリダクターゼです。
前頭部と頭頂部の両方で薄毛が進行している場合、Ⅰ型とⅡ型の両方の酵素が関与している可能性が高いため、フィナステリドだけでは前頭部の薄毛に対する効果が十分ではないケースがあります。
そのため、より積極的な治療介入として、両方の酵素を阻害する薬剤の選択や、発毛を直接促す治療の併用を検討する必要があります。
治療薬の選択基準
複合型AGAの治療薬を選択する際には、単に薬を使うというだけでなく、「どの薬を、どのように使うか」が重要になります。
医師は、患者様の薄毛の進行度(ハミルトン・ノーウッド分類)、進行速度、年齢、健康状態、そして治療に対するご本人の希望などを総合的に判断し、治療計画を立てます。
特に複合型の場合、DHTの抑制効果の高さや、作用範囲の広さを重視して薬剤を選択する傾向があります。
Ⅰ型・Ⅱ型5αリダクターゼへのアプローチ
前述の通り、前頭部にはⅠ型、頭頂部にはⅡ型の5αリダクターゼが多く存在します。
複合型の薄毛を効果的に改善するためには、この両方の酵素の働きをしっかりと抑えることが治療の鍵となります。

Ⅱ型のみを阻害する治療では、前頭部の薄毛改善が頭頂部に比べて緩やかになる可能性があります。そのため、Ⅰ型とⅡ型の両方に作用する治療薬が、複合型AGAの第一選択肢となることが多いのです。
デュタステリドが複合型薄毛に選ばれる理由
前頭部と頭頂部の同時進行という難しい症状に対して、デュタステリドという治療薬が有効な選択肢として注目されています。
同じAGA治療薬であるフィナステリドと比較して、デュタステリドはより強力なDHT抑制作用を持つことが知られています。その作用特性から、広範囲に進行した複合型の薄毛に対して、高い改善効果が期待できます。
なぜデュタステリドが選ばれるのか、その理由を詳しく見ていきましょう。
フィナステリドとの作用の違い

デュタステリドとフィナステリドは、どちらも5αリダクターゼ阻害薬に分類されますが、その作用範囲に大きな違いがあります。
フィナステリドが主にⅡ型の5αリダクターゼを阻害するのに対し、デュタステリドはⅠ型とⅡ型の両方を阻害する能力を持っています。この違いが、特に前頭部への効果の差として現れることがあります。
Ⅰ型5αリダクターゼの役割
Ⅰ型5αリダクターゼは、皮脂腺に多く存在し、前頭部や側頭部の毛包にも分布しています。
M字部分の薄毛進行に深く関与していると考えられており、このⅠ型の働きを抑えることが、生え際の維持・改善には重要です。デュタステリドは、このⅠ型酵素を強力に阻害します。
Ⅱ型5αリダクターゼの役割
Ⅱ型5αリダクターゼは、毛乳頭細胞に多く存在し、特に頭頂部の毛包に高濃度で分布しています。
O字部分の薄毛進行の主な原因とされており、フィナステリドとデュタステリドの両方がこのⅡ型酵素を阻害します。
デュタステリドとフィナステリドの比較
| 項目 | デュタステリド | フィナステリド |
|---|---|---|
| 阻害する酵素 | Ⅰ型とⅡ型 | Ⅱ型のみ |
| 血中DHT抑制効果 | 約90%以上 | 約70% |
| 得意な部位 | 前頭部・頭頂部の両方 | 主に頭頂部 |
DHT抑制効果の高さ
デュタステリドの最も大きな特徴は、DHTの生成を極めて強力に抑制する点にあります。
臨床試験のデータでは、フィナステリドが血中のDHT濃度を約70%低下させるのに対し、デュタステリドは約90%以上も低下させると報告されています。
薄毛の直接的な原因物質であるDHTをより強力に、かつ広範囲で抑制することができるため、M字とO字が同時に進行する重度のAGAに対しても高い発毛効果を発揮することが期待できるのです。
ミノキシジル内服薬による全体的な発毛促進
デュタステリドで薄毛の進行を食い止める「守り」の治療を行うと同時に、より積極的に髪の毛を増やす「攻め」の治療を組み合わせることで、複合型AGAの改善効果をさらに高めることができます。
その「攻め」の治療の代表格がミノキシジル内服薬です。頭皮の血流を促進し、毛母細胞に栄養を届けることで、頭部全体の髪の毛を太く、強く育てます。
血流改善と毛母細胞の活性化

ミノキシジルは、もともと高血圧の治療薬として開発された成分で、血管を拡張させる作用があります。この作用が頭皮の毛細血管にも働き、毛根への血流を増加させます。
血流が増えることで、髪の毛の成長に必要な酸素や栄養素が毛母細胞に効率良く供給されるようになります。
さらに、ミノキシジルには毛母細胞そのものを活性化させ、ヘアサイクルにおける成長期を延長させる働きもあります。これにより、細く短くなる前の髪の毛が、太く長く成長するのを助けます。
内服薬と外用薬の使い分け
ミノキシジルには、頭皮に直接塗布する外用薬と、体の中から作用する内服薬があります。

外用薬は気になる部分にピンポイントで使用できる手軽さがありますが、複合型のように薄毛が広範囲に及んでいる場合、塗りムラが出たり、全体をカバーしきれなかったりすることがあります。
一方、内服薬は血流に乗って全身に作用するため、頭皮の隅々まで成分が行き渡り、前頭部や頭頂部を含む頭部全体の毛髪に対して、均一な発毛効果を期待できるのが大きな利点です。
ミノキシジル内服薬と外用薬の作用範囲
| 種類 | 作用の仕組み | 適した症状 |
|---|---|---|
| 内服薬 | 全身の血流を通じて頭皮全体に作用 | 広範囲の薄毛(複合型など) |
| 外用薬 | 塗布した部分の血流を局所的に促進 | 限定的な範囲の薄毛 |
発毛効果の範囲
デュタステリドが「抜け毛を減らす」ことで薄毛の進行を止めるのに対し、ミノキシジル内服薬は「新しい髪を生やし、育てる」働きを担います。
この二つの薬を併用することは、AGA治療における相乗効果を生み出します。
特に、複合型AGAでは休止期に入ってしまった毛根も多いため、ミノキシジルでこれらの毛根を刺激し、再び成長期へと導くアプローチが改善の鍵となります。
前頭部と頭頂部で異なる治療反応性

AGA治療を開始すると、多くの方が一日でも早い改善を期待します。
しかし、同じ治療薬を使用していても、頭の部位によって効果の現れ方やスピードが異なることを理解しておくのはとても大切です。特に、前頭部(生え際)と頭頂部(つむじ)では、治療に対する反応性に差が見られることが少なくありません。
この違いを知ることで、治療経過に対する過度な不安を和らげ、長期的な視点で治療を続けることができます。
前頭部の治療の難しさ
一般的に、M字部分などの前頭部は、頭頂部に比べて治療効果を実感しにくい、あるいは改善に時間がかかると言われています。
これにはいくつかの理由が考えられます。まず、前頭部は頭頂部に比べて毛細血管の分布が少ない傾向にあり、ミノキシジルなどの血行促進薬の効果が及びにくい可能性があります。
また、AGAの進行によって毛根が完全にミニチュア化(矮小化)し、産毛すら生えていない状態になると、その毛根を再び活性化させるのは容易ではありません。
さらに、Ⅰ型5αリダクターゼが関与していることも、治療の難易度を上げる一因と考えられています。
頭頂部の改善が見えやすい理由
一方、頭頂部は前頭部に比べて改善を実感しやすい部位です。頭頂部は比較的太い血管が通っており血流が豊富なため、治療薬の成分が行き渡りやすく、ミノキシジルの効果も出やすい傾向にあります。
また、薄毛が進行していても産毛が残っているケースが多く、それらの髪が治療によって太く長く成長することで、見た目の変化として認識しやすいのです。
治療を開始して最初に「髪にコシが出てきた」「地肌が透けにくくなった」といった変化を感じるのは、頭頂部であることが多いです。
部位別の治療反応性の一般的な傾向
| 部位 | 反応性の傾向 | 主な理由 |
|---|---|---|
| 前頭部(生え際) | 反応が緩やかで時間がかかる | 血流が少ない、毛根のミニチュア化が進みやすい |
| 頭頂部(つむじ) | 反応が比較的早く、効果を実感しやすい | 血流が豊富、産毛が残りやすい |
治療効果の評価時期
このような部位による反応性の違いから、治療効果を判断する際には注意が必要です。例えば、治療開始後3ヶ月で頭頂部に変化が見られても、前頭部にはまだ変化がないかもしれません。
そこで「自分には効果がない」と諦めてしまうのは早計です。前頭部の改善には、少なくとも6ヶ月から1年以上の期間を要することも珍しくありません。
焦らず、根気強く治療を続けることが、複合型AGAの克服には重要です。
複合型AGAの治療期間と改善の目安

複合型AGAの治療は、残念ながら短期間で劇的な変化が現れるものではありません。乱れてしまったヘアサイクルを正常化させ、弱った髪の毛を再び太く長く育てるには、相応の時間が必要です。
治療を始める前に、どのくらいの期間でどのような変化が期待できるのか、現実的な目安を知っておくことは、モチベーションを維持し、治療を継続する上で非常に重要です。
初期脱毛とその後の経過
ミノキシジルなどの発毛を促す治療を開始すると、治療開始後2週間から1ヶ月程度の時期に、一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」が起こることがあります。
これは、乱れたヘアサイクルの髪の毛が、新しく健康な髪の毛に生え変わるために押し出される正常な反応です。
驚いて治療を中断してしまう方もいますが、これは治療が効いている証拠でもあるため、自己判断でやめずに継続することが大切です。初期脱毛は通常1ヶ月から2ヶ月程度で自然に収まります。
- ヘアサイクルの正常化
- 休止期の毛髪の脱落
- 新しい成長期の開始
治療効果を実感するまでの期間
AGA治療の効果判定には、最低でも6ヶ月間の継続が必要です。髪の毛は1ヶ月に約1cmしか伸びないため、目に見える変化が現れるまでには時間がかかります。
焦らずに日々の治療を続けることが、確実な改善への近道です。
3ヶ月時点での変化
治療開始から3ヶ月が経つ頃には、初期脱毛が落ち着き、抜け毛の減少を実感し始める方が多いです。マイクロスコープなどで頭皮を観察すると、細く短い産毛が生え始めているのを確認できることもあります。
この段階ではまだ見た目に大きな変化はありませんが、水面下では着実に改善が始まっています。
6ヶ月から1年での変化
6ヶ月を過ぎると、多くの方が明らかな改善を実感します。産毛が太く成長し、髪の毛全体のボリューム感やハリ・コシがアップします。特に頭頂部では、地肌の透け感がかなり改善されるケースが多いです。
前頭部に関しても、生え際に産毛が増え、少しずつラインが整ってくる変化が期待できます。1年継続することで、治療効果はさらに高まります。
治療期間と改善の目安
| 期間 | 期待できる変化 | ポイント |
|---|---|---|
| 1~3ヶ月 | 初期脱毛、抜け毛の減少、産毛の発生 | 見た目の変化は少ないが、治療継続が重要 |
| 3~6ヶ月 | 産毛の成長、髪のハリ・コシ改善 | 頭頂部を中心に効果を実感し始める時期 |
| 6ヶ月~1年 | 明らかな毛量増加、地肌の透け感改善 | 前頭部にも変化が見られ始める |
長期的な治療の必要性
重要な点として、AGAは進行性の脱毛症であり、治療を中断すると再び薄毛が進行してしまうことを理解しておく必要があります。
デュタステリドやミノキシジルの効果で改善した状態を維持するためには、医師の指示に従い、治療を長期的に継続することが大切です。
同時進行型に特有の副作用リスクと管理

デュタステリドとミノキシジル内服薬を併用する治療は、複合型AGAに対して高い効果が期待できる一方、医薬品である以上、副作用のリスクも存在します。
特に、作用の強い薬を組み合わせるため、それぞれの薬が持つ副作用について正しく理解し、適切に管理することが安全な治療のためには重要です。
副作用は必ずしもすべての人に起こるわけではありませんが、万が一の際に備えて知識を持っておきましょう。
デュタステリドの主な副作用
デュタステリドは男性ホルモンに作用する薬のため、性機能に関連する副作用が報告されています。主なものとして、性欲減退、勃起機能不全(ED)、射精障害などが挙げられます。
また、頻度は稀ですが、肝機能障害や気分の落ち込み、乳房の女性化なども報告されています。これらの症状は、服用を中止すれば改善することがほとんどです。
ミノキシジル内服薬の主な副作用
ミノキシジル内服薬は血管を拡張させる作用を持つため、循環器系への影響が考えられます。代表的な副作用は、髪の毛以外の体毛が濃くなる「多毛症」です。
その他、動悸、息切れ、めまい、頭痛、手足のむくみなどが起こる可能性があります。また、治療開始初期の「初期脱毛」も副作用の一つと捉えられます。
主な副作用と初期症状
- 多毛症(腕、足、顔など)
- むくみ(特に顔や手足)
- 動悸・息切れ
- 頭痛・めまい
副作用の発現率と対処法
これらの副作用の発現率は、いずれも数%程度と決して高くはありません。
しかし、体質やその日のコンディションによっても変わるため、服用を開始して体に何らかの異変を感じた場合は、すぐに自己判断で対処せず、処方を受けた医師に相談することが最も重要です。
医師は症状に応じて、薬の減量や一時的な休薬、あるいは他の治療薬への変更などを検討します。
副作用が疑われる場合の対処法
| 薬剤 | 主な副作用 | 対処法 |
|---|---|---|
| デュタステリド | 性機能障害、肝機能障害 | 医師に相談。減量や休薬を検討。 |
| ミノキシジル内服薬 | 多毛症、むくみ、動悸 | 医師に相談。特に循環器系の症状は速やかに。 |
定期的な血液検査の重要性
特にデュタステリドは肝臓で代謝されるため、長期的に服用する場合は、肝機能に異常がないかを確認するために定期的な血液検査を行うことが推奨されます。
多くの専門クリニックでは、治療開始前と治療開始後、定期的に血液検査を実施し、患者の安全を確保しながら治療を進めています。
安全に治療を継続するためにも、医師の指示に従い、定期的な診察を受けるようにしましょう。
治療費用と長期継続のための戦略

AGA治療は、効果を維持するために長期的な継続が必要です。そのため、治療そのものの効果だけでなく、費用面も無理なく続けられる計画を立てることが、治療を成功させるための重要な要素となります。
複合型AGAの治療では、複数の薬剤を併用することが多いため、月々の費用負担も大きくなりがちです。ここでは、治療にかかる費用の相場と、負担を抑えながら治療を続けるための戦略について解説します。
AGA治療薬の費用相場
AGA治療は自由診療のため、医療機関によって費用が異なります。デュタステリドとミノキシジル内服薬を併用する場合、月々の薬剤費はおおよそ15,000円から25,000円程度が相場となります。
これに加えて、初診料や再診料、定期的な血液検査の費用などが別途かかる場合があります。
ジェネリック医薬品の活用
治療費用を抑えるための最も効果的な方法の一つが、ジェネリック医薬品(後発医薬品)の活用です。
デュタステリドにもフィナステリドにもジェネリック医薬品が存在し、先発医薬品と同等の有効成分・効果でありながら、より安価に処方を受けることが可能です。
ミノキシジル内服薬は国内未承認薬のため、もともとジェネリックという概念ではありませんが、クリニックによって採用している薬剤の価格は異なります。
薬剤費用の比較(月額目安)
| 薬剤 | 先発医薬品 | ジェネリック医薬品 |
|---|---|---|
| デュタステリド | 約8,000円~10,000円 | 約5,000円~8,000円 |
| ミノキシジル内服薬 | – | 約5,000円~10,000円 |
クリニック選びのポイント
長期的に通うことを考えると、クリニック選びは慎重に行う必要があります。
単純な費用の安さだけでなく、AGA治療に関する医師の知識や経験、副作用が起きた際のサポート体制、プライバシーへの配慮などを総合的に比較検討することが大切です。
カウンセリングで、治療計画や費用について丁寧に説明してくれる、信頼できるクリニックを選びましょう。
オンライン診療という選択肢
近年、スマートフォンやPCを使って、自宅にいながら医師の診察を受け、薬を処方してもらえるオンライン診療が普及しています。
通院にかかる時間や交通費を節約できるだけでなく、全国の専門クリニックから自分に合った治療を選ぶことができるのが大きなメリットです。
費用も対面診療より抑えられている場合が多く、忙しい方や近くに専門クリニックがない方にとって、治療を継続しやすい有効な選択肢と言えます。
部位別の改善度評価と治療調整
複合型AGAの治療は、ただ薬を飲み続けるだけでは不十分です。
治療が本当に効果を発揮しているのかを客観的に評価し、その結果に基づいて必要であれば治療内容を調整していくことが、より高い改善を目指す上で重要になります。
特に前頭部と頭頂部で反応性が異なるため、それぞれの部位の変化を注意深く観察し、医師と共有しながら治療を進めていきましょう。
定期的な写真撮影による記録

治療効果を客観的に評価する最も簡単で効果的な方法は、定期的に頭部の写真を撮影して記録することです。
スマートフォンなどを使い、「同じ場所」「同じ明るさ」「同じ角度」で、生え際、頭頂部、全体の写真を撮影しましょう。
1ヶ月に1回など、間隔を決めて撮影することで、自分では気づきにくい細かな変化を時系列で比較することができます。
毎日のように鏡を見ていると変化に気づきにくいですが、写真で比較すると改善度が一目瞭然となり、治療継続のモチベーションにもつながります。
医師によるマイクロスコープ診断
専門クリニックでは、数十倍から数百倍に頭皮を拡大できるマイクロスコープ(ダーモスコピー)を用いて、より専門的な観点から治療効果を評価します。
毛穴から生えている髪の毛の本数(毛密度)や、一本一本の髪の毛の太さの変化などを数値的に把握することができます。
肉眼ではまだ産毛にしか見えない段階でも、マイクロスコープで見れば毛が太くなり始めていることが分かるなど、治療が順調に進んでいることを確認できます。
治療薬の増減や変更のタイミング
治療を開始して6ヶ月から1年が経過しても、期待したほどの効果が得られない場合、治療計画の見直しを検討します。
例えば、ミノキシジル内服薬の濃度(mg数)を調整したり、デュタステリドに加えてミノキシジル外用薬を併用したりと、より発毛効果を高めるためのアプローチを医師と相談します。
自己判断で薬の量を変えたり、中止したりするのは副作用のリスクを高めるだけでなく、治療効果を損なう原因にもなるため、必ず医師の指示に従ってください。
併用療法の検討
内服薬や外用薬による治療で改善が頭打ちになった場合や、さらなる改善を希望する場合には、他の治療法を組み合わせることも選択肢となります。
頭皮に直接有効成分を注入する「メソセラピー」や、ご自身の後頭部の毛髪を薄毛部分に移植する「自毛植毛」などがあります。
特に、M字部分のラインを整えたい場合など、デザイン性が求められるケースでは自毛植毛が有効な手段となることがあります。
前頭部と頭頂部同時後退のAGA治療で推奨する育毛剤・AGAクリニック

薄毛の悩み解決には、個人の現状や価値観にマッチした手法を見つけることが重要です。以下では、あなたのお悩みに応える2つの方法論をお示しします。
AGA対策その1:まずはご自身の頭皮状態を遺伝子レベルで理解したい方向け

育毛剤選びで迷った経験はありませんか?一般的な製品を使っても、本当に効果があるのか疑問に思うことがあるでしょう。
効果的な育毛対策の鍵は、個人の頭皮状態に適した製品選びにあります。
遺伝子検査つき育毛剤Pesodなら、最初に遺伝子レベルで頭皮の特性や抜け毛リスクを詳しく調べます。
解析データをもとにカスタマイズされた育毛剤をお届けするので、推測に頼らない科学的根拠に基づいたケアが実現できます。

医薬品の使用に躊躇する方や、どこから対策を始めるべきか迷っている方は、まず客観的なデータで現在の状況を把握することをお勧めします。
安全性を重視される方には、安心してスタートできる選択肢と言えるでしょう。
初回価格2,980円、2回目以降7,980円(税込)となっています。定期縛りはなく、いつでも解約可能です。
AGA対策その2:本格的なAGA治療をオンラインで開始したい方へ
市販の育毛用品や各種ヘアケア製品では効果を実感できない時、男性型脱毛症(AGA)が進んでいる可能性があります。
このような状況では、専門医による診断を受けて、フィナステリドやミノキシジルなどの医薬品による治療が効果的な対策となるでしょう。
オンライン診療なら、クリニックへ足を運ぶ負担もなく、在宅のまま専門医の診断と薬剤の処方が可能です。
費用の高いクリニックにこだわる必要はなく、継続しやすい治療環境を見つけることが大切です。

AGAオンライン診療の料金比較一覧
電気製品などでよく言われる「安いものは質が悪い」という概念は、オンライン診療で取り扱われるAGA治療薬(医薬品)には当てはまりません。
したがって、AGA治療のオンライン診療では、コスト面を重視して選択しても全く問題ございません。推奨される治療薬の組み合わせは次の通りです。
| 薄毛の進行具合 | おすすめの治療薬セット |
|---|---|
| 髪が少し減り始めた人 | フィナステリド+ミノキシジル外用薬 |
| 何年も前から髪が薄い人 | フィナステリド+ミノキシジルタブレット |
| とにかく早く発毛させたい人 | デュタステリド+ミノキシジルタブレット |
髪が少し減り始めた人
髪が薄くなってきた初期段階の方には、フィナステリドとミノキシジル外用薬の組み合わせを推奨いたします。
下記にフィナステリドとミノキシジル外用薬の料金一覧を掲載しています。
クリニック名の青色テキストをクリック(タップ)していただくと公式ページへ移動いたしますので、それぞれのクリニックサイトで詳細内容をご確認ください。
クリニック間で料金に違いはありますが、医薬品の品質については差がないとお考えいただいて問題ありません。
| 月額(税込) | クリニック公式サイト | 説明 |
|---|---|---|
| 9,000円~ | フィットクリニック | 格安系オンライン診療&対面診療 |
| 9,301円~ | レバクリ | スマホ完結オンライン診療クリニック |
| 9,356円~ | Oops HAIR | パッケージがお洒落 |
| 9,167円~ | DMMオンラインクリニック | オンライン診療のプラットフォームサービス |
| 15,600円~ | AGAヘアクリニック | オンライン診療の老舗 |
| 18,216円~ | クリニックフォア | 対面診療が充実 |
何年も前から髪が薄い人
薄毛の症状が数年続いている方には、フィナステリドとミノキシジル内服薬を併用した治療法を推奨いたします。各医療機関におけるフィナステリド+ミノキシジル内服薬の料金比較一覧を以下に掲載しています。
各クリニック名をタップ(クリック)していただくと、それぞれの公式ウェブサイトへアクセスできますので、詳細な情報をご確認ください。
料金の高額な医療機関をわざわざ選択する必要はありません。
| 月額(税込) | クリニック公式サイト | 説明 |
|---|---|---|
| 1,650円~ | レバクリ | スマホ完結オンライン診療クリニック |
| 2,900円~ | フィットクリニック | 格安系オンライン診療&対面診療 |
| 2,900円~ | Oops HAIR | パッケージがお洒落 |
| 5,958円~ | DMMオンラインクリニック | オンライン診療のプラットフォームサービス |
| 8,732円~ | クリニックフォア | 対面診療が充実 |
| 12,600円~ | AGAヘアクリニック | オンライン診療の老舗 |
とにかく早く発毛させたい人
「即効性を求める」方については、リスクを十分に把握した上で強力な薬剤を選択する必要があります。デュタステリドとミノキシジル内服による治療を検討しましょう。
ただし、必ず定期的な医師による検査を受けることが大切です。体に異変を感じた際は、すぐに薬の使用を停止してください。
各クリニック名をタップ(クリック)していただくと公式ページに移動しますので、詳細をご確認ください。
料金の高低に関わらず、治療の効果に差はありません。使用する薬剤が同一(ジェネリック薬品)であるためです。よって価格で選んで全く問題ありません。
| 月額(税込) | クリニック公式サイト | 説明 |
|---|---|---|
| 3,750円~ | フィットクリニック | 格安系オンライン診療&対面診療 |
| 5,958円~ | DMMオンラインクリニック | オンライン診療のプラットフォームサービス |
| 4,384円~ | レバクリ | スマホ完結オンライン診療クリニック |
| 6,578円~ | Oops HAIR | パッケージがお洒落 |
| 14,652円~ | クリニックフォア | 対面診療が充実 |
| 16,200円~ | AGAヘアクリニック | オンライン診療の老舗 |
よくある質問
- 前頭部と頭頂部が両方薄くなっている場合、治療効果は期待できますか?
-
はい、両部位同時の薄毛でも治療効果は期待できます。ただし、一般的に頭頂部の方が前頭部よりも治療反応が良いとされています。
前頭部は血流が少なく、より進行したAGAの影響を受けやすいためです。両部位を同時に治療することで、全体的な毛髪密度の改善と進行抑制が可能です。
早期治療開始が重要で、完全に毛根が失われる前であれば発毛効果も期待できます。
- 両部位同時の薄毛に対する最適な治療アプローチは?
-
多角的なアプローチが効果的です。内服薬(フィナステリドやデュタステリド)でDHTの産生を抑制し、外用薬(ミノキシジル)で血流改善と発毛促進を図ります。
より積極的な治療として、メソセラピーや自毛植毛も選択肢となります。特に前頭部は外用薬が届きにくいため、内服薬との併用が重要です。
頭頂部と前頭部で治療反応が異なるため、定期的な経過観察で治療法を調整していきます。
- 両部位の治療効果が現れるまでの期間と、効果の違いはありますか?
-
頭頂部は通常3〜6ヶ月で効果が現れ始めますが、前頭部は6〜12ヶ月かかることが多いです。頭頂部の方が血流が良く、毛根の活動性が保たれやすいためです。
前頭部は改善に時間がかかり、効果も限定的な場合があります。しかし、進行抑制効果は両部位で期待できるため、根気強く治療を継続することが重要です。
12〜18ヶ月継続して効果を判断するのが一般的です。
- 両部位同時薄毛の場合、植毛とAGA治療薬のどちらを優先すべきですか?
-
まずはAGA治療薬から始めることを推奨します。内服薬で進行を抑制し、既存の毛髪を維持・改善させた上で、効果不十分な部位に植毛を検討するのが理想的です。
特に前頭部は薬物治療の効果が限定的なため、将来的な植毛候補となりやすいです。植毛後もAGA治療薬の継続が必要で、薬物治療なしでは植毛した毛髪以外の進行が続きます。
年齢、進行度、予算を考慮して治療計画を立てることが大切です。
この記事では、前頭部と頭頂部が同時に薄くなる複合型AGAについて解説しました。
一方で、特定の部位だけでなく、髪の毛が全体的にボリュームダウンし、分け目が目立つようになってきた、というお悩みを持つ方もいらっしゃるかもしれません。
それは「びまん性脱毛症」の可能性があります。びまん性脱毛症は、AGAとは原因やアプローチが異なる場合があり、ホルモンバランスの乱れや栄養不足、ストレスなどが複雑に関係しています。
もし、ご自身の症状が全体的な薄毛だと感じる場合は、以下の記事でびまん性脱毛症に特化した治療法やセルフケアについて詳しく解説していますので、以下の記事を参照ください。
Reference
HILLMANN, Kathrin, et al. A single-centre, randomized, double-blind, placebo-controlled clinical trial to investigate the efficacy and safety of minoxidil topical foam in frontotemporal and vertex androgenetic alopecia in men. Skin pharmacology and physiology, 2015, 28.5: 236-244.
JOHNSON, Hans, et al. Effectiveness of Combined Oral Minoxidil and Finasteride in Male Androgenetic Alopecia: A Retrospective Service Evaluation. Cureus, 2025, 17.1.
KRZESŁOWSKA, Wiktoria Julia; WOŹNIACKA, Anna. The frontal fibrosing alopecia treatment dilemma. Journal of clinical medicine, 2024, 13.7: 2137.
ABDELKADER, Afaf, et al. Androgenetic alopecia: an overview. Benha Journal of Applied Sciences, 2024, 9.2: 37-50.
KOWSHIK, Kumar M. A Randomised Controlled Single Observer Blinded Study To Determine The Efficacy Of Topical Minoxidil Plus Microneedling Versus Topical Minoxidil In The Treatment Of Androgenetic Alopecia. 2017. PhD Thesis. BLDE (Deemed to be University).
SADEGHZADEH BAZARGAN, Afsaneh, et al. The efficacy of the combination of topical minoxidil and oral spironolactone compared with the combination of topical minoxidil and oral finasteride in women with androgenic alopecia, female and male hair loss patterns: a blinded randomized clinical trial. Journal of Cosmetic Dermatology, 2024, 23.2: 543-551.
MOREIRA, Diogo Fernando Sousa Oliveira. Non-surgical Treatments for Androgenetic Alopecia In Adult Men: Indications, Adverse Effects and Efficacy: Systematic Review. PQDT-Global, 2022.
OVCHARENKO, Yuliya; KHOBZEI, Kuzma; LORTKIPANIDZE, Nino. Androgenetic alopecia. In: Psychotrichology: Psychiatric and Psychosocial Aspects of Hair Diseases. Cham: Springer Nature Switzerland, 2025. p. 137-170.
BAJORIA, Parth S., et al. Comparing current therapeutic modalities of androgenic alopecia: a literature review of clinical trials. Cureus, 2023, 15.7.

