こんばんは。総合内科専門医の藤田です。
健康食品の中でも人気の高い青汁。
日常的に飲んでいる方も多いと思いますが、体に良いと思って飲んでいる青汁も、毎日同じ飲み方だと飽きてしまうことはありませんか?
そこでおすすめしたいのが、青汁の牛乳割りです。
ここでは、管理栄養士・健康運動指導士の岩見真由美さんに、青汁を牛乳と合わせたときに期待できる健康効果やメリット・デメリット、おすすめレシピを伺いました。
この記事の執筆者
藤田 英理 内科総合クリニック人形町 院長
東京大学医学部保健学科、横浜市立大学医学部を卒業。虎の門病院、稲城市立病院、JCHO東京高輪病院への勤務を経て内科総合クリニック人形町を開院。総合内科専門医。AGA治療や生活習慣病指導も行う。
この記事の監修者
岩美 真由美さん 管理栄養士・健康運動指導士
管理栄養士・健康運動指導士としてフリーランスで活動。特定保健指導では生活習慣病予防を、介護予防事業では高齢者のフレイル予防と、食事と運動の両面から健康づくりのお手伝いをしています。
青汁×牛乳、期待できる健康効果とは
青汁の牛乳割りは、お互いの足りない栄養素を補い、より栄養価が高い飲み物になります。
牛乳は消化吸収がよく、ほとんどの栄養素が含まれています。特にカルシウムとたんぱく質、ビタミンB₂の優れた供給源となります。 しかしながら、牛乳には鉄とビタミンCはごく微量しか含まれておらず、食物繊維は含まれていません。
牛乳1本(200g)あたりの栄養成分
エネルギー | 134kcal | ビタミンA | 76μg |
たんぱく質 | 6.6g | ビタミンB₁ | 0.08mg |
脂質 | 7.6g | ビタミンB₂ | 0.30mg |
カルシウム | 220mg | ビタミンC | 2mg |
鉄 | 0.04mg | 食物繊維 | (0) |
食物繊維は、動物性食品にはほとんど含まれず、植物性食品に多く含まれています。
穀類・いも類・豆類の摂取量の減少に伴い、日本人の平均食物繊維摂取量は低下している現状です。最近の報告によれば平均摂取量は1日あたり14g前後と推定されており、不足しています。*1
青汁を牛乳で割ることで、青汁に含まれる食物繊維がプラスされ、不足している食物繊維を補うことができます。
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青汁を牛乳で割ることのメリット・デメリット
青汁を牛乳で割ると、青汁だけでは摂取できない良質なたんぱく質やカルシウム、ビタミンB₂といった栄養素も補えるのがメリットですね。
はい!栄養バランスがさらに向上します。一方で、飲みすぎると太る、というのがデメリットです。気になる方は低脂肪乳や無脂肪牛乳を使用すると良いと思います。
メリット
牛乳には良質のたんぱく質、脂質、カルシウム、リン、ビタミンB₂などが多く含まれていて、青汁を牛乳で割ることで栄養価の高い飲み物になります。
青汁にはあまり含まれていないこれらの栄養素を補うことができ、栄養バランスがさらに向上します。 青汁を牛乳で割ることのメリットを、それぞれの栄養素の役割からみていきましょう。
牛乳に含まれる良質のたんぱく質がプラスされる
たんぱく質は、筋肉や臓器、骨、血液、髪、爪など体の主成分で、体重の約20%を占めます。
牛乳のたんぱく質の約80%はカゼイン※で、カルシウムの吸収を助けます。また、必須アミノ酸をバランスよく含んでいます。*2
※カゼインとは?
牛乳やチーズなどに含まれるたんぱく質のひとつで、カルシウムと結びつきやすい性質をもちます。
必須アミノ酸は、体の中で合成できないために、食事から摂取しないといけないアミノ酸です。この必須アミノ酸を適切な割合で含むものを「良質のたんぱく質」といいます。*3
たんぱく質が不足すると、体力や免疫力、思考力など体全体の機能低下や、筋肉の減少を招いてしまいます。*2
手軽に飲める青汁の牛乳割りで、体に必要なたんぱく質を補いたいですね。
脂溶性ビタミンの吸収をたすける脂質もアップ!
脂質は悪者扱いにされがちですが、実は体に欠かせない栄養素です。
体の細胞膜やホルモンの主成分になるだけでなく、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・Kなど)の吸収を助ける働きもあります。*2
脂質の摂りすぎは肥満や生活習慣病の原因になりますが、不足するとエネルギー不足になってしまいます。また、脂溶性ビタミンの吸収が悪くなり、皮膚炎など肌荒れや便秘を起こしやすくなります。
青汁にはあまり含まれないカルシウムが摂れる
カルシウムは骨や歯の主成分。99%が骨や歯に、残りの1%が血液中に存在します。*2
カルシウムは体内で吸収されにくい栄養素ですが、牛乳のカルシウムの吸収率は約40%、小魚で約30%、野菜で約20%程度と、牛乳はカルシウムの吸収率が高いことが特徴です。*3
青汁に含まれるカルシウムはわずかなため、牛乳で割ることで補うことができますよ。
美容ビタミンとも言われるビタミンB₂が摂取できる
ビタミンB₂は、糖質や脂質、たんぱく質の代謝に欠かせないビタミンで、別名「美容ビタミン」ともいわれています。
不足すると、
- 肌荒れ
- 髪のトラブル
- 口内炎・口角炎などの口内のトラブル
- にきびなどの脂漏性皮膚炎
が見られます。*3
青汁にはビタミンB₂はほとんど含まれていません。牛乳割りでお肌の調子も整えたいですね!
デメリット
良い点ばかり見てきましたが、実は、青汁を牛乳で割ることでデメリットもあります。
飲みすぎると太る
青汁の牛乳割りは1日200mlぐらいが適量。飲みすぎると太ってしまう懸念があります。*4
そもそも太るメカニズムは、消費エネルギーより摂取エネルギーが多い状態をいいます。
いくら体に良いからといって、水分補給の代わりに飲むと、牛乳に含まれる飽和脂肪酸を摂りすぎることになり、内臓脂肪としてお腹周りに蓄えられてしまいます。
とはいえ、牛乳は栄養価の高い飲み物なので、ぜひ日々の食生活に取り入れてほしいですね。
太るのが気になる方は、青汁を低脂肪乳や無脂肪牛乳で割る方法がおすすめです!
青汁の牛乳割り、よくあるギモンQ&A
青汁を牛乳で割るとき、よくあるギモンにお答えします!
牛乳はどのくらいの量がよいでしょうか?
牛乳は100ml~200mlをおすすめします。
50mlの牛乳でも粉末青汁を溶かすことができますが、青汁特有の青臭さが残ってしまい、苦手な方は飲みにくいと思います。
粉末青汁のダマができないように溶かすには、予め粉末青汁をコップに入れておき、牛乳を少しずつ入れ、コップの底からかき混ぜることです。
このやり方で作れば、粉末青汁が溶けないことはなくなりますよ。
ホットミルクで割ることのメリットは?
第一に、粉末青汁が溶けやすくなります。また、一般的にホットミルクにすると、冷たい牛乳よりも飲み干すのに時間がかかるので、満足感が得やすくなります。
ダイエット中の小腹がすいたときにおすすめの飲み方です!
はちみつを加えたときの効能は?
青汁の牛乳割りにはちみつを加えると、ほんのりとした甘みがついてお子さんにも飲みやすいドリンクに。
はちみつは、成分のほとんどがブドウ糖と果糖です。はちみつに含まれるブドウ糖と果糖は速やかに体に吸収され、すばやく活動エネルギーに変わります。そのため、疲れたときの体力回復が期待できます。
また、ブドウ糖から発生するグルコン酸が、腸内環境を整えるといわれています。
ただ、注意したいのが、摂りすぎると太る原因に。はちみつは大さじ1杯(15g)で約45kcalです。
乳児ボツリヌス症を起こすことがあるので、1歳未満の赤ちゃんには食べさせないようにしましょう。*2
【レシピ】青汁を牛乳で割るときの作り方・割合
粉末青汁を水や牛乳に溶かすとき、ダマができて「溶けない」ということはありませんか?作り方のコツをつかめば、「粉末青汁が溶けない」の悩みを解消することができます。
シェイカーがなくても、グラスとマドラーがあれば、簡単に青汁の牛乳割りが作れますよ。
ここでは、基本の青汁牛乳割りレシピと、アレンジレシピを2つご紹介します。
- 粉末青汁はパッケージに記載のある量を守るようにしましょう。
- 1歳以降のお子さんには、お子さん向けの青汁を使用しましょう。
- 妊娠・授乳中の方や、食べ物に制限のある方は、医師に相談しましょう。
- ワルファリンを服用中の方、通院中の方、その他医薬品を処方されている方は、医師や薬剤師に相談しましょう。
- 腎臓の機能が低下している方は、カリウムを多く摂ることで、高カリウム血症になることがあります。
※高カリウム血症では、不整脈や血圧の低下を引き起こすことがあるため*3、医師や管理栄養士に相談してください。
【基本のレシピ】青汁を牛乳で割るときの作り方!
- 牛乳 100ml~
- 粉末青汁 1本
所要時間:1分
- 粉末青汁をコップに入れる。
- 牛乳を少しずつ入れ、マドラーでかき混ぜながら粉末青汁を溶かす。
【こんな方におすすめ】
免疫機能の向上
骨粗しょう症の予防
胃粘膜の保護に
朝食の一品に
おやつの代わりとして
【おすすめレシピ1】青汁×レモンラッシー
ラッシーは、基本的には牛乳とヨーグルトで作りますが、今からご紹介するレシピではヨーグルトなしでも簡単に作れますよ。 おいしいドリンクなので、ぜひお試しください。
- 牛乳 200ml
- 粉末青汁 1本
- レモン汁 大さじ2
- はちみつ 大さじ1
所要時間:3分
すべての材料をグラスに入れ、よく混ぜる。
【こんな方におすすめ】
腸内環境を整えたい
免疫機能の向上
骨粗しょう症の予防
疲労回復に
朝食の一品に
おやつの代わりとして
レモンはビタミンCが豊富な果物です。
ビタミンCは、肌の調子を整え、風邪予防の効果が期待できます。レモンの強い酸味はクエン酸によるもの。クエン酸は疲労回復や、鉄やカルシウムの吸収率をアップさせる働きがあるとされます。※2
【おすすめレシピ2】青汁×スムージー
粉末青汁をスムージーの中に入れても、おいしく飲むことができます。とろっとした口当たりです♪
- キウイフルーツ 1/2個
- りんご 1/4個
- バナナ 1/2本
- キャベツ 20g
- 粉末青汁 1本
- 牛乳 150ml
- はちみつ 大さじ1/2
- レモン汁 小さじ1/2
所要時間:10分
- キウイフルーツは、皮をむいて角切り、りんごも皮をむいて角切りにする。バナナは皮をむき、輪切りにする。
- キャベツはせん切りにする。
- ミキサーに①②の材料と、粉末青汁、牛乳、はちみつ、レモン汁を入れ、攪拌する。
【こんな方におすすめ】
腸内環境を整えたい
免疫機能の向上
骨粗しょう症の予防
朝食の一品に
おやつの代わりとして
りんごは、カリウムが豊富に含まれる果物です。
りんごの皮や果肉にも水様性食物繊維のペクチンが豊富に含まれています。ペクチンは腸内で消化されずに、腸内の有害物質を排泄してくれる役割をしてくれます。※5
参考文献(References)
※1 厚生労働省e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
※2 飯田薫子・寺本あい監修 (2019). 一生役立つ きちんとわかる栄養学 西東社 p.78 pp.84-85 p.122 p.267 pp.227-228
※3 上西一弘 (2016). 栄養素の通になる第4版 女子栄養大学出版部 p.26 pp.88-89 pp.171-172 p.183
※4 食事バランスガイド 農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/kakudaizu.html
※5 吉田企世子・松田早苗監修 (2010). おいしく健康をつくる あたらしい栄養学 高橋書店 p.115
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