薄毛や抜け毛が気になり始め、「はげ予防にシャンプーを見直そう」と考える方は少なくありません。しかし、世の中には多くのシャンプーがあり、どれが本当に自分の頭皮に合っているのか迷ってしまいます。
シャンプーは「発毛剤」ではありませんが、頭皮環境を健やかに保つためには重要な役割を担います。
この記事では、はげ予防や薄毛対策の観点から、シャンプーの正しい選び方、注目すべき成分、そしてシャンプーの限界について、医療的な視点も交えて詳しく解説します。
シャンプーで「はげ予防」は本当にできるのか?
シャンプーが直接的に「はげ(薄毛)を治す」または「髪を生やす」ことはありません。シャンプーの最も大切な役割は、頭皮や髪の汚れを落とし、頭皮環境を清潔に保つことです。
適切なシャンプーを選び、正しく使用することで頭皮環境が整い、それが結果として抜け毛の減少や健康な髪の育成につながる可能性はあります。
しかし、シャンプー自体に発毛効果を期待するのは誤解です。
シャンプーの本来の役割 頭皮環境の清掃
シャンプーの主な目的は、頭皮に溜まった皮脂、汗、ほこり、古い角質、そして整髪料などの汚れを洗い流すことです。
これらの汚れが頭皮に残ったままだと、毛穴が詰まったり、雑菌が繁殖したりして、かゆみ、フケ、炎症といった頭皮トラブルを引き起こす原因となります。
頭皮は髪の毛が生える土壌です。この土壌を清潔で健康な状態に保つことが、シャンプーに求められる最も基本的な役割です。
「はげ予防」の誤解 シャンプーは発毛剤ではない
市場には「育毛シャンプー」や「スカルプシャンプー」といった名称の商品があふれており、「これを使えば髪が増えるかもしれない」と期待する方もいるでしょう。
しかし、日本においてシャンプーは「化粧品」または「医薬部外品」に分類されます。
「医薬部外品」のシャンプーには頭皮環境を整える有効成分が含まれていますが、これらは主にフケ・かゆみ防止、抗炎症、血行促進などを目的としたものです。
発毛効果が認められているのは「医薬品」に分類される外用薬(ミノキシジルなど)や内服薬であり、シャンプーとは明確に区別されます。
シャンプー選びが重要な理由 頭皮環境の悪化を防ぐ
シャンプーに発毛効果はないものの、シャンプー選びを間違えると頭皮環境を悪化させ、抜け毛を助長する可能性があります。
例えば、乾燥肌の人が洗浄力の強すぎるシャンプーを使うと、必要な皮脂まで奪われて頭皮がさらに乾燥し、フケやかゆみ、炎症を引き起こすことがあります。
逆に、脂性肌の人が洗浄力のマイルドすぎるシャンプーを使うと、皮脂や汚れが十分に落ちず、毛穴の詰まりや脂漏性皮膚炎につながる恐れもあります。
自分の頭皮タイプに合わないシャンプーを使い続けることは、はげ予防の観点から見てもマイナスです。
薄毛の原因とシャンプーの限界
薄毛や抜け毛の原因は多岐にわたりますが、特に成人男性の薄毛の多くはAGA(男性型脱毛症)が関与しています。
シャンプーは頭皮環境を整える上で大切ですが、AGAのような疾患が原因である場合、シャンプーのみでの対策には限界があります。
薄毛の多くはAGA(男性型脱毛症)が関係
もしあなたが「生え際が後退してきた」「頭頂部が薄くなってきた」と感じている場合、それはAGA(Androgenetic Alopecia:男性型脱毛症)のサインかもしれません。
AGAは思春期以降に発症し、徐々に進行する脱毛症です。
日本人男性の約3人に1人がAGAを発症すると言われており、薄毛の悩みを持つ男性の多くがこのAGAに該当します。
AGAの原因 ホルモンと遺伝
AGAの主な原因は、男性ホルモンの一種である「テストステロン」が、頭皮に存在する「5αリダクターゼ」という酵素の働きによって、より強力な「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変換されることです。
このDHTが毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体と結合すると、髪の毛の成長期が短縮され、髪の毛が太く長く成長する前に抜け落ちてしまいます。
この5αリダクターゼの活性度や男性ホルモン受容体の感受性は、遺伝的な要因が大きく関わっています。
シャンプーではAGAの進行を止められない
AGAは体内のホルモンと酵素の働きによって引き起こされる進行性の脱毛症です。
シャンプーは頭皮の表面を清潔に保つためのものであり、AGAの根本原因であるDHTの生成を抑制したり、遺伝的な要因にアプローチしたりすることはできません。
どれほど高価で優れた成分が入ったシャンプーを使っても、それだけでAGAの進行を止めることは困難です。
クリニックでの専門的な対策が必要な理由
AGAは進行性であるため、放置すると薄毛は徐々に進んでいきます。
シャンプーでのケアを続けながらも抜け毛が減らない、あるいは薄毛が進行していると感じる場合は、AGAの可能性を疑い、早めに専門のクリニックに相談することが重要です。
クリニックでは、医師が頭皮の状態や薄毛の進行度を診察し、AGAであるかどうかを診断します。
そして、必要に応じてAGAの進行を抑制する内服薬(フィナステリド、デュタステリドなど)や、発毛を促す外用薬(ミノキシジル)など、医学的根拠に基づいた治療法を提案します。
失敗しない「はげ予防」シャンプー選びの基本
シャンプー選びの第一歩は、ご自身の「頭皮タイプ」を正確に把握することです。頭皮も顔の肌と同様に、乾燥肌、脂性肌、敏感肌などのタイプに分けられます。
自分の頭皮タイプに合った洗浄成分(界面活性剤)を選ぶことが、頭皮環境を健やかに保つ上で最も重要です。
自分の頭皮タイプ(乾燥肌・脂性肌・敏感肌)を知る
まずは自分の頭皮がどのタイプかチェックしてみましょう。シャンプー後、数時間で頭皮がベタつく、あるいは日中に髪の毛が束になる感じがする人は「脂性肌」の可能性があります。
逆に、シャンプー後に頭皮がつっぱる感じがする、フケがパラパラと落ちやすい人は「乾燥肌」かもしれません。
また、特定のシャンプーを使うと赤みやかゆみが出やすい人は「敏感肌」の傾向があります。
頭皮タイプ別のおすすめ洗浄成分
シャンプーの洗浄力は、主に含まれている「洗浄成分(界面活性剤)」の種類によって決まります。洗浄力が強ければ良いというものではなく、頭皮タイプに合わせた選択が求められます。
乾燥肌・敏感肌
洗浄力がマイルドで、頭皮への刺激が少ない「アミノ酸系」や「ベタイン系」の洗浄成分が主体となっているシャンプーが適しています。
脂性肌
ある程度の洗浄力が必要ですが、強すぎると皮脂の過剰分泌を招くこともあります。
適度な洗浄力を持つ「アミノ酸系」や「ベタイン系」、あるいは洗浄力の高い「高級アルコール系」でも刺激の少ないものを選ぶと良いでしょう。
刺激の強い成分は避ける
頭皮タイプに関わらず、シャンプーに含まれる添加物にも注意が必要です。特に敏感肌の方は、香料、着色料、防腐剤(パラベンなど)、エタノール(アルコール)などが刺激になることがあります。
成分表示を確認し、これらの成分が少ない、あるいは含まれていない「無添加」や「低刺激」と表示されたシャンプーを選ぶのも一つの方法です。
ただし、「無添加」とあっても何が無添加なのかは製品によって異なるため、成分表示の確認は大切です。
頭皮タイプ別 おすすめの洗浄成分(アミノ酸系・ベタイン系)
シャンプーの洗浄成分の中で、特に「はげ予防」や頭皮ケアを意識する方におすすめなのが、「アミノ酸系」と「ベタイン系」の洗浄成分です。
洗浄力が比較的マイルドで、頭皮への刺激が少ない特徴があります。
乾燥肌・敏感肌向け アミノ酸系洗浄成分
アミノ酸系洗浄成分は、人間の皮膚や髪の毛を構成するタンパク質(アミノ酸)と同じ成分から作られています。洗浄力は穏やかで、皮脂を取りすぎず、頭皮に必要なうるおいを残しながら洗い上げます。
コンディショニング効果が高いのも特徴で、髪のきしみが少ないです。
乾燥肌や敏感肌の方、また、頭皮トラブルを防ぎたい方に適しています。
アミノ酸系洗浄成分の主な種類と特徴
| 洗浄成分の種類 | 成分表示名(例) | 主な特徴 |
|---|---|---|
| グルタミン酸系 | ココイルグルタミン酸Na、ラウロイルグルタミン酸Na など | 非常にマイルド。しっとりとした洗い上がり。 |
| アラニン系 | ココイルアラニンNa、ラウロイルアラニンNa など | 適度な洗浄力と泡立ち。さっぱり感あり。 |
| グリシン系 | ココイルグリシンK など | アミノ酸系の中ではやや洗浄力高め。泡立ちが良い。 |
脂性肌向け(適度な洗浄力) ベタイン系・アミノ酸系
脂性肌の方も、基本的にはアミノ酸系のシャンプーがおすすめです。皮脂を落としすぎないことで、かえって皮脂の過剰分泌を抑える効果が期待できるからです。
もしアミノ酸系で洗浄力に物足りなさを感じる場合は、「ベタイン系」の洗浄成分が配合されたものを選ぶと良いでしょう。
ベタイン系はアミノ酸系と同様に低刺激ですが、やや洗浄力が高く、泡立ちも良い傾向があります。
アミノ酸系とベタイン系が組み合わさっているシャンプーも多く、バランスが良い選択肢となります。
ベタイン系洗浄成分の主な種類と特徴
| 洗浄成分の種類 | 成分表示名(例) | 主な特徴 |
|---|---|---|
| ベタイン系 | コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン など | 低刺激。アミノ酸系より泡立ちが良い。他の洗浄成分の刺激を緩和する働きも。 |
注意が必要な洗浄成分(高級アルコール系・石けん系)
市販のシャンプーで最も多く使われているのが「高級アルコール系」の洗浄成分です。
安価で泡立ちが良く、洗浄力が非常に高いという特徴がありますが、頭皮への刺激が強く、はげ予防や薄毛対策の観点からは注意が必要です。
また、「石けん系」も洗浄力が高い部類に入ります。
脂性肌でも注意 高級アルコール系(ラウリル硫酸など)
「高級アルコール系」は、皮脂を強力に洗い流すため、洗った直後は非常にさっぱりします。
しかし、この強力な洗浄力が頭皮に必要な皮脂まで根こそぎ奪ってしまい、頭皮のバリア機能を低下させる可能性があります。その結果、頭皮が乾燥しやすくなったり、外部からの刺激に弱くなったりします。
また、皮脂が奪われすぎると、頭皮は「皮脂が足りない」と判断し、かえって皮脂の分泌を活発にさせてしまうこともあります。
脂性肌の人が使うと、一時的にさっぱりしても、長期的には頭皮環境を悪化させる恐れがあります。
高級アルコール系洗浄成分の主な例
| 成分表示名 | 主な特徴 |
|---|---|
| ラウリル硫酸Na | 洗浄力・泡立ちが非常に強い。刺激も強い。 |
| ラウレス硫酸Na | ラウリル硫酸Naより刺激を抑えているが、依然として洗浄力は強い。 |
| スルホン酸Na (オレフィン(C14-16)スルホン酸Na など) | 洗浄力が非常に高く、脱脂力も強い。 |
これらの成分が成分表示の上位(水の次に記載されていることが多い)に来ているシャンプーは、洗浄力が非常に強いと判断できます。
石けん系シャンプーの特性と注意点
「石けん系」(カリ石ケン素地、脂肪酸ナトリウムなど)も、高級アルコール系と同様に洗浄力が高い洗浄成分です。
天然由来で安全なイメージがありますが、アルカリ性であるため、弱酸性である頭皮や髪の毛に使用すると、髪がきしみやすく、頭皮がつっぱりやすい傾向があります。
特にヘアカラーやパーマをしている髪とは相性が悪い場合があります。
洗浄力も強いため、乾燥肌や敏感肌の方にはあまりおすすめできません。
洗浄力が強すぎることのリスク
頭皮の汚れを落とすことは大切ですが、洗浄力が強すぎるシャンプーを日常的に使い続けることは、頭皮のバリア機能の低下、乾燥、皮脂の過剰分泌、フケ、かゆみ、炎症など、さまざまな頭皮トラブルを引き起こすリスクを高めます。
これらの頭皮トラブルは、健康な髪の育成を妨げ、抜け毛の原因ともなり得ます。
はげ予防を考えるならば、洗浄力は「適度」であることが重要です。
薄毛対策で注目したいシャンプーの補足成分
シャンプーの基本は洗浄成分ですが、「医薬部外品」のシャンプー(スカルプシャンプーなど)には、頭皮環境を整えるための様々な「有効成分」が配合されています。
発毛を促すものではありませんが、頭皮を健やかに保つ上で役立ちます。
頭皮の炎症を抑える成分(抗炎症)
頭皮が赤みを帯びていたり、かゆみがあったりする場合、軽度の炎症が起きている可能性があります。
頭皮の炎症は抜け毛につながることもあるため、抗炎症成分が配合されたシャンプーは有効です。フケやかゆみを防ぐ目的でも配合されます。
主な抗炎症成分
| 成分名 | 主な働き |
|---|---|
| グリチルリチン酸2K(ジカリウム) | 甘草(カンゾウ)由来の成分。炎症を鎮める。 |
| アラントイン | 抗炎症作用のほか、組織修復作用も。 |
| ピロクトンオラミン | 抗真菌(カビ)作用もあり、脂漏性皮膚炎によるフケ・かゆみにも。 |
頭皮の血行を促す成分(血行促進)
髪の毛は、毛根にある毛母細胞が毛細血管から栄養を受け取って成長します。頭皮の血行が悪くなると、毛母細胞に十分な栄養が届かず、髪の毛が細くなったり、抜けやすくなったりする可能性があります。
血行促進成分は頭皮の血流をサポートし、栄養が届きやすい環境を作る手助けをします。
主な血行促進成分
| 成分名 | 主な働き・由来 |
|---|---|
| センブリエキス | リンドウ科の植物センブリから抽出。 |
| 酢酸トコフェロール(ビタミンE誘導体) | 血管を拡張し、血行を促進する。 |
| ニンジンエキス(オタネニンジンエキス) | ウコギ科のオタネニンジンから抽出。 |
保湿・フケかゆみを防ぐ成分
頭皮の乾燥は、バリア機能の低下を招き、フケやかゆみの大きな原因となります。特に洗浄力のマイルドなシャンプーを選んだ上で、保湿成分が配合されていると、洗い上がりの乾燥を防ぐのに役立ちます。
また、特定の菌の増殖がフケの原因である場合、抗菌・殺菌成分が有効なこともあります。
主な保湿・フケかゆみ対策成分
| 成分の種類 | 成分名(例) | 主な働き |
|---|---|---|
| 保湿成分 | セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン、グリセリン、アミノ酸類 | 頭皮の水分を保持し、乾燥を防ぐ。 |
| 抗菌・殺菌成分 | ピロクトンオラミン、ミコナゾール硝酸塩 | フケの原因となるマラセチア菌などの増殖を抑える。 |
シャンプー選びの「落とし穴」 宣伝文句に惑わされないために
シャンプー市場は競争が激しく、消費者の関心を引くために様々なキャッチコピーが使われます。
「ノンシリコン」「オーガニック」などはその代表例ですが、これらの言葉が必ずしも「はげ予防に良い」とは限りません。
イメージに流されず、成分の本質を見極める目を持つことが重要です。
「ノンシリコン」は本当に良いのか?
一時期ブームになった「ノンシリコンシャンプー」ですが、「シリコン(ジメチコン、シクロメチコンなど)」は髪の毛のキューティクルをコーティングし、指通りを滑らかにし、摩擦によるダメージを防ぐ役割があります。
シリコンが毛穴に詰まってはげの原因になる、といった情報が広まりましたが、現在ではシャンプーに含まれるシリコンが毛穴に詰まって悪影響を及ぼすという医学的根拠は乏しいとされています。
むしろ、髪がきしみやすいアミノ酸系シャンプーのデメリットを補うために、シリコンが配合されていることもあります。
ノンシリコンが良いかどうかは、髪質や好みによります。
「オーガニック」「天然由来」のイメージ先行
「オーガニック(有機栽培)」や「天然由来」といった言葉は、肌に優しく安全なイメージを与えます。
確かに、化学的な刺激物を避けたい方には一つの選択肢となります。しかし、「オーガニック認証」の基準は国や機関によって様々であり、「天然由来」と表示されていても、化学的な処理が施されている成分も多くあります。
また、植物由来の成分がすべての人に安全とは限らず、アレルギー反応(かぶれなど)を引き起こす可能性もあります。
イメージだけでなく、洗浄成分や他の配合成分もしっかり確認することが大切です。
スカルプケアと育毛・発毛の違い
シャンプーや関連商品には「スカルプケア」「育毛」「発毛」といった言葉が使われますが、これらの意味は異なります。
特に「育毛」と「発毛」は混同されがちですが、医学的には大きな違いがあります。
スカルプケア・育毛・発毛の定義の違い
| 分類 | 主な目的 | 該当する製品(例) |
|---|---|---|
| スカルプケア | 頭皮環境を健やかに保つ。(化粧品・医薬部外品) | スカルプシャンプー、頭皮用ローション |
| 育毛(養毛) | 今ある髪の毛の成長を促し、抜け毛を防ぐ。(医薬部外品) | 育毛剤、育毛トニック |
| 発毛 | 髪の毛を新たに生やす。毛母細胞の働きを高める。(医薬品) | 発毛剤(ミノキシジル外用薬など)、AGA治療薬 |
シャンプーは「スカルプケア」の一部であり、「発毛」の効果はありません。
この違いを理解していないと、シャンプーに過度な期待を抱いてしまい、本来必要な治療の開始が遅れてしまう可能性があります。
成分表示(裏面)を見る習慣をつける
シャンプーボトルの表面に書かれているキャッチコピーやイメージ広告(CMなど)に惑わされず、裏面に記載されている「全成分表示」を確認する習慣をつけましょう。
成分表示は、配合量の多い順に記載されています(一部例外あり)。
特に「水」の次に書かれている成分が、そのシャンプーの洗浄力の主体となる洗浄成分です。
そこで「ラウレス硫酸Na」などが書かれているか、「ココイルグルタミン酸Na」のようなアミノ酸系の成分が書かれているかを見るだけで、そのシャンプーの特性がおおよそ判断できます。
効果を高めるシャンプーの方法と頭皮ケア
どんなに良いシャンプーを選んでも、洗い方が間違っていては効果が半減してしまいます。
正しいシャンプーの方法を身につけ、頭皮への負担を減らし、頭皮環境を整えることがはげ予防の第一歩です。
正しいシャンプーの手順
毎日のシャンプーを「作業」で終わらせず、「頭皮ケア」として丁寧に行いましょう。
シャンプー前に、乾いた髪を優しくブラッシングします。髪のもつれをほどき、ほこりや汚れを浮き上がらせます。
シャンプー剤をつける前に、38度程度のぬるま湯で頭皮と髪をしっかりと濡らし、1〜2分かけて洗い流します。これだけで汚れの7割程度は落ちると言われています。
シャンプー剤を手のひらに適量取り、少量のぬるま湯を加えながら、両手でしっかりと泡立てます。
泡立てたシャンプーを髪全体になじませ、指の腹を使って頭皮をマッサージするように優しく洗います。爪を立ててゴシゴシ洗うのは厳禁です。髪の毛自体は、泡を行き渡らせる程度で十分汚れは落ちます。
最も重要な工程です。シャンプー剤が頭皮に残らないよう、洗い時間の2倍以上の時間をかけるつもりで、ぬるま湯で徹底的にすすぎます。生え際、耳の後ろ、襟足などは特に残りやすいので注意しましょう。
清潔なタオルで、髪の毛を挟むようにして優しく水分を拭き取ります。ゴシゴシこすらないように注意します。その後、ドライヤーで頭皮から乾かします。濡れたまま放置すると雑菌が繁殖しやすくなるため、必ず乾かしてください。
予洗いの重要性
正しいシャンプーの手順の中でも、特に「予洗い」は重要です。予洗いをしっかり行うことで、シャンプーの使用量を減らすことができ、泡立ちも良くなります。
シャンプー剤の頭皮への残留リスクを減らすことにもつながります。
また、熱すぎるお湯は頭皮を乾燥させる原因になるため、38度前後の「ぬるま湯」で行うのがポイントです。
洗いすぎは逆効果 一日一回で十分
頭皮のベタつきが気になるからといって、朝と夜など一日に何度もシャンプーをするのは逆効果です。洗いすぎは頭皮に必要な皮脂まで奪ってしまい、バリア機能の低下や乾燥、皮脂の過剰分泌を招きます。
シャンプーは、基本的には一日一回、夜に行うのが理想的です。
日中に付着した汚れや皮脂をその日のうちにリセットし、清潔な状態で就寝(髪の成長時間)を迎えることができます。
シャンプー以外の生活習慣の見直し
健康な髪の毛は、健康な体から作られます。シャンプーでの外側からのケアと同時に、内側からのケア、すなわち生活習慣の見直しも非常に重要です。
- バランスの取れた食事:髪の毛の主成分であるタンパク質、およびビタミン、ミネラル(特に亜鉛)を意識して摂取しましょう。
- 十分な睡眠:髪の毛は夜間に成長します。質の良い睡眠時間を確保することが大切です。
- ストレス管理:過度なストレスは自律神経を乱し、血行不良やホルモンバランスの乱れを引き起こし、抜け毛の原因となります。
- 禁煙:喫煙は血管を収縮させ、頭皮の血行を悪化させます。
はげ予防シャンプーに関するよくある質問(Q&A)
はげ予防やシャンプーに関して、患者様からよくいただく質問とその回答を紹介します。
- 高価なシャンプーほど効果がありますか?
-
一概にそうとは言えません。シャンプーの価格は、洗浄成分の原価だけでなく、配合されている補足成分(保湿、抗炎症など)の種類や量、ブランドイメージ、広告費などによって決まります。
高価なシャンプーが必ずしもご自身の頭皮に合うとは限りません。大切なのは、価格ではなく、ご自身の頭皮タイプに合った洗浄成分が使われているかどうかです。
- シャンプーを変えたら抜け毛が増えた気がします
-
シャンプーを変えた直後に一時的に抜け毛が増えたと感じる場合、いくつかの可能性が考えられます。一つは、新しいシャンプーの洗浄力が合わず、頭皮に刺激になっている可能性です。
もう一つは、シャンプーの変更とは関係なく、ヘアサイクルの乱れやAGAの進行など、別の要因で抜け毛が増えているタイミングだった可能性です。
もし使用を続けても抜け毛が減らない、あるいは頭皮にかゆみや赤みが出るようであれば、使用を中止し、元のシャンプーに戻すか、別のシャンプーを試すことをおすすめします。
- 女性用シャンプーを使っても問題ないですか?
-
大きな問題はありません。男性用と女性用シャンプーの最大の違いは、洗浄力や仕上がりの質感(男性用はさっぱり系、女性用はしっとり系が多い)、そして香り付けです。
男性でも頭皮が乾燥しがちな方や、マイルドな洗い上がりを好む方は、女性用のシャンプー(特にアミノ酸系のもの)が合う場合もあります。
成分表示を見て、ご自身の頭皮タイプに合っているかどうかが判断基準となります。
- シャンプーだけで薄毛は改善しますか?
-
残念ながら、シャンプーだけで薄毛(特にAGA)を改善することはできません。シャンプーの役割は、あくまで頭皮環境を清潔に保つことです。
頭皮環境が整うことで、抜け毛が減る可能性はありますが、それは「発毛」とは異なります。
もし薄毛の進行を感じているのであれば、シャンプー選びと並行して、できるだけ早くAGA専門のクリニックを受診し、医師の診断を受けることが改善への最も確実な道です。
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