「髪のハリやコシがなくなってきた」「髪がパサついて、まとまりにくい」といったお悩みを抱えている女性も多いのではないでしょうか。
その原因は、髪の大部分を占める「コルテックス」の状態にあるかもしれません。コルテックスは髪のしなやかさや強さを決定づける重要な部分です。
この記事では、コルテックスの基本的な知識から、なぜ女性の髪質は変化しやすいのか、そして健やかな髪を取り戻すための具体的な方法まで、専門的な視点から詳しく解説します。
コルテックスとは?髪の85%を占める中心部
髪の美しさや健康を語る上で、コルテックスの理解は欠かせません。髪の内部にありながら、その質や量が髪全体の印象を大きく左右するからです。
ここでは、コルテックスがどのようなもので、どのような役割を担っているのか、基本的な知識を解説します。
髪の主成分「ケラチンタンパク質」
私たちの髪は、そのほとんどが「ケラチン」というタンパク質でできています。コルテックスも例外ではなく、硬い性質を持つケラチンタンパク質が主成分です。
このケラチンは18種類のアミノ酸が結合してできており、髪の強さや弾力性の源となっています。
コルテックス内部では、このケラチンが繊維状に集まって、髪の骨格のような構造を作っています。
コルテックスが持つ役割とは
コルテックスは、単なる髪の構成要素ではありません。髪の性質を決定づける、たいへん重要な役割を担っています。
具体的には、髪の弾力やしなやかさ、水分量を保つ働き、そして髪の色を決めるメラニン色素を含んでいます。
コルテックスが健康な状態であれば、髪は潤いを保ち、しなやかで切れにくい状態になります。
逆に、コルテックスがダメージを受けると髪はパサつき、弱々しい印象を与えます。
コルテックスの主な機能
- 髪の強度と弾力の維持
- 髪内部の水分保持
- メラニン色素による髪色の決定
コルテックスの量と密度が髪質を決める
髪の太さや硬さといった「髪質」は、コルテックスの量と密度に大きく影響されます。一般的に、髪全体の約85〜90%をコルテックスが占めています。
このコルテックスの量が多いほど髪は太くなり、密度が高いほどハリやコシのあるしっかりとした髪になります。
生まれつきの髪質は遺伝的な要因で決まりますが、後天的なダメージや栄養状態によってコルテックスの状態は変化し、髪質も変わる場合があります。
髪質とコルテックスの状態
| コルテックスの状態 | 髪質の特徴 | 見た目の印象 |
|---|---|---|
| 量が多く、密度が高い | 太く、硬い | ハリ・コシがある |
| 量が少なく、密度が低い | 細く、柔らかい | ボリュームが出にくい |
| 密度が不均一 | くせ毛、うねり | まとまりにくい |
髪の内部構造|キューティクル・コルテックス・メデュラ
私たちの髪の毛は外側から見ると一本の線ですが、その内部は三層構造になっています。
まるで海苔巻きのように、中心から「メデュラ」、その周りを「コルテックス」、そして一番外側を「キューティクル」が覆っています。
この三層がそれぞれ役割を果たし、協力しながら健康で美しい髪を維持しています。
一番外側で髪を守る「キューティクル」
キューティクルは、髪の一番外側にある保護層です。硬いタンパク質がうろこ状に何層にも重なり合って、外部の刺激や摩擦から内部を守っています。
また、髪内部の水分やタンパク質が流れ出るのを防ぐ重要な役割も担います。
キューティクルが整っていると、髪にはツヤが生まれ、手触りも滑らかになります。
しかし、パーマやカラーリング、間違ったヘアケアなどでキューティクルが剥がれたり傷ついたりするとツヤが失われ、手触りが悪くなります。
髪のしなやかさを生む「コルテックス」
キューティクルの内側にあるのがコルテックスです。前述の通り、髪の大部分を占める中心的な存在で、髪の性質を決定づけます。
繊維状のタンパク質の束で構成され、髪のしなやかさや強さ、弾力性を生み出します。
また、髪の水分を保持する能力もコルテックスに依存するため、ここの状態が髪の潤いを直接左右します。
髪の中心に存在する「メデュラ」
髪の中心部には、メデュラと呼ばれる芯のような部分があります。比較的柔らかいタンパク質と脂質からできており、内部に空洞を含んでいるのが特徴です。
メデュラの機能についてはまだ完全に解明されていませんが、髪の保温性や軽さに関わっていると考えられています。
細い髪の人にはメデュラが存在しない場合もあり、髪の健康状態に直接的な影響は少ないとされています。
髪の三層構造の役割比較
| 層 | 主な役割 | 特徴 |
|---|---|---|
| キューティクル | 外部刺激からの保護、ツヤの維持 | うろこ状、髪の一番外側 |
| コルテックス | 強度、弾力、水分保持、髪色 | 髪の約85%を占める中心部 |
| メデュラ | 保温性など(未解明な点も多い) | 髪の中心の芯、存在しない場合もある |
三層構造のバランスが美髪の鍵
美しい髪を保つためには、これら三層構造のそれぞれが健康であることが重要です。
キューティクルがしっかりとコルテックスを守り、コルテックスが十分な水分と栄養を保持している状態が理想です。
どれか一つでもバランスが崩れると髪全体の健康が損なわれ、様々な髪の悩みにつながります。
特に女性の髪はデリケートなため、このバランスを意識したケアが大切です。
コルテックスが髪の印象を左右する3つの理由
コルテックスが単に髪の大部分を占めているというだけでなく、見た目や手触りといった「髪の印象」そのものを決定づけているのはなぜでしょうか。
その理由は、コルテックスが持つ3つの重要な要素、すなわち「メラニン色素」「水分保持能力」「繊維構造」にあります。
髪の色を決めるメラニン色素
私たちの髪の色は、コルテックスの中に含まれるメラニン色素の種類と量によって決まります。
メラニンには、黒〜褐色系の「ユーメラニン」と、黄〜赤色系の「フェオメラニン」の2種類があります。
これらのバランスによって、黒髪、ブロンド、赤毛といった多様な髪色が生まれます。
白髪は、加齢などによりメラニンを作り出す細胞(メラノサイト)の働きが低下し、コルテックス内にメラニン色素が供給されなくなって生じます。
メラニン色素と髪色の関係
| メラニンの種類と量 | 主な髪色 | 特徴 |
|---|---|---|
| ユーメラニンが多い | 黒髪、ダークブラウン | アジア人やアフリカ系の人に多い |
| フェオメラニンが多い | 赤毛、ブロンド | ヨーロッパ系の人に多い |
| メラニンが非常に少ない | 白髪、金髪 | 加齢や遺伝的要因による |
髪の水分量を保持する力
髪の潤いやしなやかさは、内部の水分量によって保たれています。健康な髪は、約11〜13%の水分を含んでいます。
この水分を蓄えているのが、主にコルテックスです。コルテックス内部のタンパク質は水分と結びつきやすい性質を持っており、これを「親水性」と呼びます。
カラーやパーマ、紫外線などによってコルテックスがダメージを受けると、タンパク質が流出し、水分を保持する力が低下します。
これが、髪のパサつきや乾燥の直接的な原因です。
髪の弾力と強度を生み出す繊維の束
コルテックスはミクロフィブリルという極細の繊維が集まってできており、さらにそのミクロフィブリルは、マクロフィブリルというより大きな繊維の束を形成しています。
この縄のように強固な繊維構造が、髪に弾力と強度を与えています。髪を引っ張っても簡単には切れず、曲げても元に戻るのは、このコルテックスの構造のおかげです。
ダメージによってコルテックスの繊維が弱くなったり、内部に空洞(ダメージホール)ができたりすると髪が切れやすく、ハリやコシが失われてしまいます。
コルテックスの状態が髪に与える影響
| 状態 | 髪への影響 | 具体的な悩み |
|---|---|---|
| 健康的 | 潤いがあり、しなやかで強い | ツヤがあり、まとまりやすい |
| ダメージ | 乾燥し、弱く切れやすい | パサつき、枝毛、切れ毛 |
なぜ女性のコルテックスは乱れやすいのか
多くの女性が髪質の変化に悩む背景には、女性特有の要因が複雑に関わっています。男性に比べて、日々の生活の中でコルテックスの状態が揺らぎやすいのです。
「昔はもっと髪がきれいだったのに」と感じるのは、単なる気のせいではありません。
ここでは、なぜ女性のコルテックスが乱れやすいのか、その背景にある理由を深掘りします。
ホルモンバランスの変化による影響
女性の体は、一生を通じてホルモンバランスが大きく変動します。
特に、女性ホルモンである「エストロゲン」は、髪の成長を促進してハリやツヤを保つ働きがあります。
しかし、妊娠・出産や月経周期、更年期などによってエストロゲンが減少すると髪の成長期が短くなり、休止期に入る毛髪が増えます。
これによって一本一本の髪が細くなったり、全体のボリュームが減少したりして、コルテックスの密度が低下する原因となります。
過度なダイエットと栄養不足
美しいスタイルを維持したいという思いから行うダイエットも、行き過ぎると髪に深刻な影響を与えます。
髪の主成分はケラチンタンパク質であり、その生成には十分な栄養が必要です。
特に、タンパク質や亜鉛、鉄分やビタミン類が不足すると、健康なコルテックスを作れません。
食事を極端に制限すると、体は生命維持に必要な臓器へ優先的に栄養を送るため、髪は後回しにされます。その結果、髪が細く弱々しくなってしまうのです。
ストレスが引き起こす頭皮環境の悪化
仕事や家庭、人間関係など現代女性は多くのストレスにさらされています。精神的なストレスは、自律神経のバランスを乱し、血管を収縮させます。
これは、頭皮の血行不良を招く大きな原因です。頭皮の血行が悪くなると、髪の成長に必要な栄養や酸素が毛根まで届きにくくなります。
栄養不足に陥った毛根からは、健康で密度の高いコルテックスを持つ髪は生まれません。ストレスが薄毛や髪質の低下につながるのは、このためです。
年齢による髪質の自然な変化
加齢も、コルテックスの状態に影響を与える避けられない要因です。
年齢を重ねると、髪を作る毛母細胞の働きが徐々に低下します。また、ホルモンバランスの変化も相まって、髪の成長サイクルが乱れがちになります。
その結果、髪の内部にあるコルテックスの密度が低下して髪が細くなったり、うねりが出やすくなったりします。
これは誰にでも起こりうる自然な変化ですが、日頃のケアによってその進行を緩やかにすることは可能です。
女性のコルテックスが乱れる要因
| 要因 | 髪への影響 | 具体的なサイン |
|---|---|---|
| ホルモンバランス | 髪の成長期が短縮、細毛化 | 産後の抜け毛、更年期のうねり |
| 栄養不足 | コルテックスの材料不足、弱毛化 | 髪のパサつき、切れ毛の増加 |
| ストレス | 頭皮の血行不良、栄養供給の低下 | 抜け毛の増加、髪に元気がない |
| 加齢 | 毛母細胞の機能低下、密度の低下 | 全体のボリュームダウン、ハリ・コシの低下 |
コルテックスの状態をセルフチェックする方法
自分のコルテックスが健康な状態か、それともダメージを受けているのか、気になるのではないでしょうか。
専門的な機器がなくても日常生活の中で髪の状態を観察すると、ある程度のセルフチェックが可能です。
いくつかの簡単な方法で、ご自身の髪からのサインを読み取ってみましょう。
髪のハリ・コシを確認する
まず、乾いた状態の髪を一本、指に巻きつけてみてください。健康でコルテックスがしっかりしている髪は、指から離したときに、元のまっすぐな状態に戻ろうとする弾力があります。
もし、髪が力なく垂れたままだったり、巻きつけた形のままクセがついてしまったりする場合は、コルテックスの強度が低下しているサインかもしれません。
濡れた髪の伸び方を観察する
髪が濡れているときはキューティクルが開き、髪の内部構造が露わになりやすい状態です。
シャンプー後などに、濡れた髪を一本優しく引っ張ってみてください。健康な髪は少し伸びた後、元の長さに戻ります。
しかし、コルテックスがダメージを受けている髪はゴムのように伸びてしまい、元に戻らなかったり、そのまま切れてしまったりします。
この現象は内部のタンパク質が流出して、構造が弱くなっていることを示しています。
セルフチェックで確認するポイント
- 乾いた髪の弾力性
- 濡れた髪の伸縮性
- 髪全体のツヤとまとまり
光に透かしたときの色ムラ
髪を数本束にして、明るい光にかざしてみてください。健康な髪は色が均一に見えます。
しかし、パーマやカラーを繰り返してコルテックスが傷んでいるときは、内部にダメージホールと呼ばれる空洞ができている場合があります。
この空洞が光を乱反射するため、部分的に白っぽく見えたり色ムラがあるように感じられたりします。
これは、コルテックスの密度が不均一になっている証拠です。
食生活からコルテックスを健やかに保つ
美しい髪は体の内側から作られます。どんなに高価なヘアケア製品を使っても、髪の材料となる栄養が不足していては、健康なコルテックスを育めません。
毎日の食生活を見直し、髪に必要な栄養素をバランスよく摂取するのが、髪質改善の第一歩です。
タンパク質は髪の基本材料
髪の主成分はケラチンというタンパク質なので、良質なタンパク質の十分な摂取が何よりも重要です。
肉や魚、卵や大豆製品、乳製品など、様々な食品からバランスよくタンパク質を摂るように心がけましょう。
タンパク質が不足すると体は生命維持を優先するため、新しい髪を作ることが後回しになり、細く弱い髪しか生えてこなくなります。
髪の健康を支える三大栄養素
| 栄養素 | 主な働き | 多く含む食品 |
|---|---|---|
| タンパク質 | 髪の主成分(ケラチン)を作る | 肉、魚、卵、大豆製品 |
| ビタミン | 頭皮環境を整え、代謝を助ける | 緑黄色野菜、果物、ナッツ類 |
| ミネラル(特に亜鉛) | ケラチンの合成をサポートする | 牡蠣、レバー、赤身肉 |
ビタミンが頭皮環境を整える
ビタミン類はタンパク質が髪に変わるのを助けたり、頭皮の健康を維持したりするために必要な栄養素です。
なかでもビタミンB群は頭皮の皮脂バランスを整え、新陳代謝を促進します。
ビタミンAやビタミンEは血行を促進し、毛根に栄養を届けやすくします。ビタミンCは、髪の強度を保つコラーゲンの生成を助けます。
これらのビタミンは緑黄色野菜や果物、ナッツ類に豊富に含まれています。
ミネラルが髪の成長をサポート
ミネラルの中でも、特に「亜鉛」は髪の健康に深く関わっています。
亜鉛は、食事から摂取したタンパク質を髪の成分であるケラチンに再合成する際に、重要な役割を果たします。
亜鉛が不足するとこの合成がスムーズに行われず、抜け毛や髪質の低下につながるときがあります。
亜鉛は牡蠣やレバー、赤身肉などに多く含まれていますが、吸収されにくい栄養素でもあるため、意識して摂取する工夫が大切です。
ヘアケア習慣で見直すべきポイント
内側からのケアと同時に、外側からの日々のヘアケアもコルテックスの状態を大きく左右します。
間違ったケアはキューティクルを傷つけ、結果的にコルテックスにダメージを与えてしまいます。
良かれと思ってやっている習慣が、実は髪を傷めている可能性もあります。ここで一度、ご自身のヘアケア習慣を見直してみましょう。
正しいシャンプーとトリートメントの方法
シャンプーの目的は、髪そのものではなく「頭皮の汚れ」を落とすことです。
シャンプー剤を直接髪につけるのではなく、よく泡立ててから、指の腹で頭皮を優しくマッサージするように洗いましょう。髪の毛は泡で包み込むだけで十分汚れが落ちます。
トリートメントはダメージを受けやすい毛先を中心になじませ、すぐに洗い流さずに数分間置くと成分が浸透しやすくなります。
根元につけすぎると、毛穴詰まりの原因になるので注意が必要です。
シャンプー時の注意点
| 推奨される方法 | 避けるべき方法 |
|---|---|
| ぬるま湯で予洗いする | 熱すぎるお湯で洗う |
| 指の腹で頭皮をマッサージ | 爪を立ててゴシゴシ洗う |
| しっかりとすすぐ | すすぎ残しがある |
ドライヤーの熱ダメージを避ける工夫
濡れた髪はキューティクルが開いていて、非常にデリケートな状態です。自然乾燥はキューティクルが開いたままになり、摩擦や雑菌繁殖の原因となるため避けましょう。
シャンプー後は、まずタオルで優しく水分を拭き取ります。ゴシゴシこするのは厳禁です。
ドライヤーは髪から20cm以上離し、同じ場所に熱が集中しないように常に動かしながら乾かします。
8割ほど乾いたら冷風に切り替えるとキューティクルが引き締まり、ツヤが出やすくなります。
紫外線から髪を守る重要性
肌と同様に、髪も紫外線を浴びるとダメージを受けます。
紫外線はキューティクルを傷つけ、その内側のコルテックスにも到達してタンパク質を破壊します。そのため、髪の乾燥やごわつき、ヘアカラーの褪色につながります。
日差しの強い日には、帽子や日傘を利用するほか、髪用のUVカットスプレーを活用するのも効果的です。
日頃から髪の紫外線対策を意識すると、コルテックスを守ることにつながります。
紫外線対策の具体例
- UVカット効果のあるヘアケア製品の使用
- 外出時の帽子や日傘の活用
- 髪の分け目を定期的に変える
専門クリニックでできるコルテックスケア
セルフケアだけでは改善が難しい髪の悩みや、深刻な薄毛の問題を抱えている場合、専門クリニックに相談するのも一つの有効な選択肢です。
クリニックでは医学的な知見に基づいた診断と、一人ひとりの状態に合わせた専門的な治療を通じて、コルテックスの健康を取り戻すためのケアを行います。
専門家による頭皮・毛髪診断
クリニックでは、まずマイクロスコープなどを用いて頭皮の状態や毛穴、髪の太さや密度を詳細に観察します。これによって薄毛や髪質低下の根本的な原因を特定します。
自己判断では気づかなかった頭皮の炎症や血行不良、皮脂の過剰分泌などが明らかになる場合もあります。
正確な診断に基づいて、今後の治療方針を決定することが改善への近道です。
内側から栄養を届ける治療法
食生活の改善だけでは追いつかない栄養不足に対して、クリニックではより直接的な取り組みが可能です。
例えば、髪の成長に必要な栄養素を配合した内服薬の処方や、頭皮に直接成長因子や栄養カクテルを注入する治療などがあります。
これらの治療は毛根にダイレクトに栄養を届けて、これから生えてくる髪のコルテックスを強く、健康にするのを助けます。
クリニックの治療とセルフケアの比較
| 項目 | 専門クリニックでのアプローチ | セルフケア |
|---|---|---|
| 診断 | マイクロスコープ等による客観的診断 | 自己判断による主観的なチェック |
| 内側からのケア | 内服薬、頭皮への直接注入など | 食事、サプリメントによる栄養補給 |
| 外側からのケア | 医療用の育毛剤、専門機器による施術 | 市販のヘアケア製品の使用 |
外側から働きかける専門的なケア
内側からのケアと並行して、外側からのケアも行います。
医療機関でのみ処方可能な高濃度の育毛剤や、頭皮の血行を促進する専門的な機器を用いた施術など、様々な方法があります。
これらのケアは頭皮環境を根本から改善し、毛母細胞の働きを活性化させることを目的としています。
セルフケアと専門的な治療を組み合わせると、より効果的にコルテックスの健康をサポートし、髪質の改善を目指せます。
コルテックスに関するよくある質問
さいごに、コルテックスや髪質改善に関して、患者さんからよくいただく質問とその回答をまとめました。
- コルテックスは一度減ると元に戻らないのですか?
-
髪の毛としてすでに生えている部分のコルテックスがダメージによって失われた場合、その部分が自己修復することはありません。
トリートメントなどで疑似的に補修し、手触りを良くすることは可能です。
しかし、これから生えてくる髪のコルテックスは、頭皮環境や栄養状態を改善すると、より健康で密度の高い状態にできます。根本的な改善には、毛根への働きかけが重要です。
- 白髪とコルテックスには関係がありますか?
-
白髪とコルテックスは深く関係しています。髪の色を決めるメラニン色素は、コルテックス内に存在します。
白髪は、加齢やストレスなどによってメラニン色素を作る細胞の機能が低下し、コルテックスにメラニンが供給されなくなった状態の髪です。
コルテックス自体がなくなったわけではありませんが、メラニン色素という重要な構成要素が失われている状態と言えます。
- 市販のトリートメントでコルテックスを増やせますか?
-
市販のトリートメントで、物理的にコルテックスの「量」を増やすことはできません。
多くのトリートメントは、ダメージを受けた髪の表面(キューティクル)をコーティングしたり、内部の隙間に栄養分を一時的に補給したりして、手触りや見た目を改善する役割があります。
コルテックスそのものを増やしたり、密度を高めたりするには、体の内側からの栄養補給と健康な髪が育つ頭皮環境を整えることが必要です。
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