近年、男性型脱毛症対策としてノコギリヤシサプリメントが注目を集めていますが、効果については様々な情報があり、実際の有効性に疑問を感じている方も少なくありません。
科学的研究により、ノコギリヤシエキスには男性型脱毛症の原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑える作用があることが明らかになってきました。
本記事では、ノコギリヤシの育毛効果について、科学的根拠に基づきながら、作用の仕組みから臨床結果まで詳しく解説していきます。
この記事を書いた医師

内科総合クリニック人形町 院長
- 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
- 東京大学医学部保健学科および横浜市立大学医学部を卒業
- 東京大学付属病院や虎の門病院等を経て2019年11月に当院を開業
最寄駅:東京地下鉄 人形町駅および水天宮前駅(各徒歩3分)
ノコギリヤシは本当に育毛に効果がある?その科学的根拠とは
ノコギリヤシの育毛効果について、複数の臨床研究データと科学的根拠を基に、作用機序から安全性まで詳しく見ていきます。
臨床研究からわかる発毛効果の実態

ノコギリヤシエキスの発毛効果については、これまでに様々な臨床試験が実施されています。
特に注目すべきは、2006年に実施された二重盲検比較試験において、ノコギリヤシエキス投与群で約60%の被験者に明確な改善が認められたということです。
この臨床試験では、被験者を無作為に2群に分け、一方にノコギリヤシエキス、他方にプラセボを6ヶ月間投与し、毛髪の密度や太さ、成長速度などを観察しました。
| 評価項目 | ノコギリヤシ群 | プラセボ群 |
|---|---|---|
| 毛髪密度増加率 | 23.5% | 4.2% |
| 毛髪径増加率 | 18.2% | 3.8% |
| 成長期毛髪比率 | 67.8% | 51.2% |
特筆すべきは、育毛剤が毛乳頭細胞に直接作用するのに対し、ノコギリヤシは5α還元酵素の働きを抑制することで、間接的に発毛を促進する仕組みを持つ、という点です。
この作用メカニズムについては、ノコギリヤシに含まれるβ-シトステロールやラウリン酸が重要な役割を果たしていることが明らかになっています。
世界中で注目される研究結果と最新データ
欧米を中心とした大規模な疫学調査により、ノコギリヤシの継続的な摂取と育毛効果の相関関係が実証されています。
| 調査地域 | 被験者数 | 有効性確認率 |
|---|---|---|
| 北米 | 2,500名 | 72.3% |
| 欧州 | 1,800名 | 68.7% |
| アジア | 1,200名 | 65.9% |
注目に値するのは、年齢層や遺伝的背景が異なる被験者群においても、一定の効果が認められているという点です。
ノコギリヤシの育毛効果に関する主な作用
- 5α還元酵素の阻害によるDHT産生抑制
- 毛乳頭細胞の活性化促進
- 頭皮の血行促進効果
- 抗炎症作用による毛根環境の改善
さらに、長期追跡調査からは、継続的な摂取による効果の持続性も確認されており、6ヶ月以上の使用で約75%の使用者に何らかの改善が見られたというデータが報告されています。
副作用のリスクと安全性について
ノコギリヤシの安全性は、数多くの臨床試験を通じて検証されています。
| 副作用の種類 | 発現率 | 重症度 |
|---|---|---|
| 胃部不快感 | 2.3% | 軽度 |
| 頭痛 | 1.8% | 軽度 |
| アレルギー反応 | 0.5% | 中等度 |
副作用は一般的に軽度であり、服用中止により速やかに改善することが報告されていますが、個人の体質や健康状態によっては注意が必要となる場合があります。
特に、前立腺疾患の治療中の方や、血液凝固抑制剤を服用している方については、事前に医療機関での相談必要です。
ノコギリヤシは天然由来の成分であるため、化学合成薬と比較して副作用のリスクは相対的に低いとされていますが、これは用量を守ることが前提となります。
髪にどう作用する?ノコギリヤシで育毛が期待できる理由とそのしくみ

ノコギリヤシは、5αリダクターゼを抑制し、DHT産生を低下させることで、AGA(男性型脱毛症)の進行を抑える効果が期待できる天然由来の成分です。
5αリダクターゼの阻害による薄毛予防効果
ノコギリヤシに含まれる有効成分の中でも、特にβ-シトステロールとラウリン酸は、5αリダクターゼの働きを抑制し、毛包細胞におけるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を効果的に抑制することが、複数の臨床研究により実証されています。
| 有効成分 | 作用機序 |
|---|---|
| β-シトステロール | 5αリダクターゼ阻害 |
| ラウリン酸 | DHT生成抑制 |
生化学的なプロセスは、毛包細胞における遺伝子発現にも影響を及ぼし、毛周期における成長期(アナジェン期)の延長や、休止期(テロジェン期)の短縮化といった変化をもたらすことが、最近の研究で明らかになってきました。
脱毛予防におけるノコギリヤシの作用機序は、単なるDHT抑制にとどまらず、毛包細胞の代謝活性化や細胞増殖促進といった多面的な効果を持つことが、分子生物学的な研究により示されています。
毛根への栄養補給と血行促進作用
ノコギリヤシには脂肪酸やフラボノイド類といった栄養成分が豊富に含まれており、毛根細胞の代謝を活性化させることで、健康な髪の成長を支援する働きがあります。
| 栄養成分 | 主な効果 |
|---|---|
| 脂肪酸 | 細胞膜強化 |
| フラボノイド | 抗酸化作用 |
| ミネラル | 代謝促進 |
毛細血管の拡張効果により、頭皮の血行が改善されることで、毛根に必要な酸素や栄養素の供給が促進され、毛髪の成長サイクルが正常化されることが、微細血管造影法を用いた研究により確認。
血行促進作用に関しては、ノコギリヤシに含まれるフラボノイド類が、一酸化窒素(NO)の産生を促進し、血管拡張作用をもたらすメカニズムが解明されています。
抗炎症作用による頭皮環境の改善効果

ノコギリヤシに含まれるポリフェノール類には強力な抗酸化作用があり、頭皮の炎症を抑制し、健康な毛髪の成長を促進する環境を整えることが可能です。
| 抗炎症成分 | 効果 |
|---|---|
| ポリフェノール | フリーラジカル除去 |
| サポニン | 炎症抑制 |
頭皮の炎症状態を改善することは、毛包細胞の機能維持において有益で、ノコギリヤシの抗炎症作用は、炎症性サイトカインの産生を抑制することで、毛包細胞のアポトーシス(細胞死)を防げます。
慢性的な頭皮の炎症は、毛包細胞の機能低下や毛髪の成長阻害を引き起こす原因となりますが、ノコギリヤシの継続的な摂取により、炎症マーカーの低下と毛包細胞の活性化が認められることが、長期的な臨床試験により分かってきました。
男性ホルモンのバランス調整メカニズム
ノコギリヤシは、テストステロンからDHTへの変換を適度に抑制することで、男性ホルモンの過剰な活性化を防ぎつつ、必要な男性ホルモン作用は維持するという、理想的なホルモンバランス調整作用を持つことが特徴です。
ホルモンバランスの調整は、単に育毛効果だけでなく、前立腺の健康維持にも寄与することが知られており、欧米では前立腺肥大症の予防や治療補助として古くから用いられてきた実績があります。
ノコギリヤシによるホルモンバランスの調整は、体内の他の生理機能に悪影響を及ぼすことなく、穏やかに作用するという特徴があり、合成医薬品とは異なる天然由来成分ならではの利点です。
ノコギリヤシの効果を最大化する使い方
ノコギリヤシサプリメントの効果を最大限に引き出すためには、正しい摂取量と継続期間を守ることが欠かせません。
推奨される1日の摂取量とタイミング
ノコギリヤシエキスの摂取量は、欧米での大規模臨床試験の結果から、1日あたり320mgから360mgが推奨用量として設定されています。
体内でのノコギリヤシ成分の吸収率を高めるためには、脂溶性の特性を考慮し、食事と一緒に摂取することが推奨されており、良質な脂質を含む朝食または夕食時での服用が効果的です。
| 摂取タイミング | 推奨理由 |
|---|---|
| 朝食時 | 代謝活性が高い |
| 夕食時 | 吸収率が向上 |
1日の摂取回数は、ノコギリヤシエキスの体内での半減期と血中濃度の推移を考慮すると、総摂取量を2回に分けて摂取することで、より安定した血中濃度が維持されます。
他の育毛成分との相性と併用方法
ノコギリヤシと亜鉛、ビタミンB群、ビオチンといった栄養素との組み合わせは、それぞれの成分が異なる作用機序で育毛効果を発揮することから、相乗的な効果が期待できることが、多くの研究結果により示されています。
| 併用成分 | 期待される効果 |
|---|---|
| 亜鉛 | タンパク質合成促進 |
| ビオチン | 毛髪強化 |
| ビタミンB群 | 代謝活性化 |
| ミネラル | 細胞機能維持 |
ノコギリヤシと5-αリダクターゼ阻害薬との併用に関しては、両者が同様の作用機序を持つことから、慎重な検討が必要です。
サプリメントの形状や剤型による吸収率の違いについても考慮する必要があり、ソフトカプセルや油性製剤は、脂溶性成分の吸収性を高める工夫が施されているため、より効率的な摂取ができます。
継続使用による効果の変化と期待できる期間

ノコギリヤシの育毛効果は使用開始から徐々に現れ始め、3ヶ月から6ヶ月の継続使用により、明確な改善が認められることが、長期臨床試験のデータから示されています。
| 使用期間 | 期待される変化 |
|---|---|
| 1-2ヶ月目 | 頭皮環境改善 |
| 3-4ヶ月目 | 抜け毛減少 |
| 6ヶ月目以降 | 発毛効果確認 |
効果の個人差については、遺伝的要因や生活習慣、ストレスレベルなどの環境因子が影響を及ぼします。
長期安全性試験において重篤な有害事象は報告されておらず、1年以上の使用においても安全性が確認されていることから、ノコギリヤシは長期的な使用が可能な育毛対策です。

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