
こんばんは。内科総合クリニック人形町 院長の藤田です。
毛抜きでのムダ毛処理は手軽にできるため、多くの方が一度は経験がある脱毛方法でしょう。中には「手持ち無沙汰になると、ついつい毛を抜いてしまう」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
毛抜きでの脱毛は、仕上がりがきれいではあるのですが、実は多くの専門家が「おすすめできない自己処理方法」として挙げている、リスクが伴うムダ毛の処理方法です。
このページでは、毛抜きを用いた自己脱毛のメリットとデメリットをはじめ、正しい毛抜きの方法や毛抜きの種類、「毛抜きで毛根は死ぬ」「毛抜きを使うと毛が生えてこなくなる」などの毛抜き脱毛に関する都市伝説の真偽について解説しました。
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毛抜きは良くない?メリット・デメリット

毛抜きでのムダ毛処理はお金がかからず仕上がりがきれいな一方で、炎症や埋没毛を引き起こすリスクがあります。

毛抜きのメリット
仕上がりがきれい | 毛抜き脱毛は毛根から毛を抜いてしまう方法のため、一時的ではありますが、肌がつるつるとした仕上がりになります。 |
カミソリよりも脱毛効果が持続する | 一度毛抜き脱毛をしてしまえば、毛根から毛を抜き去っているため一時的に毛は生えてこなくなります。カミソリや電気シェーバーでの脱毛と比較しても、脱毛持続期間は長くなります。 |
お金がかからない | 毛抜きは数百円から購入でき、100円ショップ等でも購入可能です。 |
毛抜きのデメリット
時間がかかる | ピンセットを用いて毛抜きを行う場合、1本1本の毛を根気よく抜いていく必要があるため、毛が多く生えている部位は、途方もない時間がかかってしまいます。 |
炎症(毛嚢炎)を引き起こす可能性がある | 毛を抜くということは毛を毛穴の細胞(毛乳頭)から引きちぎることであり、肌に大きな負担を与えてしまうものです。 毛を無理に引き抜くことで毛穴に傷ができ、そこに細菌が入り込み炎症を起こしてしまうことがあります。 |
埋もれ毛(埋没毛)を引き起こす可能性がある | 繰り返し毛抜きをすると、肌にダメージが蓄積し肌のターンオーバーが適切に行われていない状態となり、埋没毛が起こりやすくなります。 |
毛嚢炎とは

毛嚢炎を詳しく見る

埋没毛とは

埋没毛を詳しく見る
正しい毛抜きのやり方・痛くない方法
ムダ毛の自己処理の中でも、毛抜きはお肌に深刻なダメージを与えるデメリット要素が特に大きいと言えます。そのため、多くの方が「毛抜き脱毛はしてはいけない」とおっしゃるのですね。
自宅で脱毛するときは、カミソリや電気シェーバーが本来はおすすめですが、どうしても毛抜き脱毛がしたいという場合には、次に解説する「正しい毛抜きのやり方」を用いて行うようにしてください。
正しい毛抜きのやり方
毛抜きによる脱毛は、一局部に大きな負担がかかってしまうことが難点です。
正しい毛抜きの手順
- 手指と毛抜きを綺麗に洗い、消毒をする。
- 脱毛部位にスチームタオルなどを当てておき、毛穴を開かせて毛を抜きやすい状態にしておく。(直前に入浴を済ませておくのも可)
- 毛は毛の生えている方向にまっすぐ優しく抜く。空いている方の手で毛穴の周りの肌を抑えておくと、肌が毛に引っ張られず抜きやすくなります。
- 毛抜き後は冷水で濡らしたタオルなどを利用して脱毛部位を冷やします。こうすることで毛穴の炎症をやわらげるとともに、広がった毛穴を引き締めて細菌の侵入を防ぐことができます。
- 冷やし終わったら保湿剤を塗り、肌を保護しましょう。
痛くならないコツ
毛抜き脱毛は、毛を毛穴の細胞(毛乳頭)から引きちぎることなので、どうしても多少の痛みを伴います。
毛抜きの痛みを抑えるコツ
- 事前にスチームタオルなどで肌を柔らかくし、毛穴を開いておく
- 毛の生えている向きに合わせて毛をひっぱる
- 抜く際は皮膚がひっぱらないように手を添える
上記の方法で、痛みはかなり軽減されます。

どうしても痛みが苦手な方は、電気シェーバーやカミソリなど他の脱毛方法に転換することを検討してみてください。

毛抜きの種類
毛抜きと一口に言っても、その種類は実にさまざま。種類によって得意分野や向き不向きがあるため、毛抜き脱毛をされる方は自分に合ったタイプの毛抜きを選ぶようにしましょう。
毛抜きは大きく「手抜きタイプ」と「電動・機械タイプ」に分けられ、その中でも更にいくつかの種類に分けることができます。
「手抜きタイプ」の毛抜きの種類
「電動・機械タイプ」の毛抜きの種類
手抜きタイプが1本1本手で抜いていくのに対して、電動・機械タイプは文字通り、電力を利用して毛を抜いていくもの。「電動毛抜き」とも呼ばれます。
主な商品としては、パナソニックの「ソイエ」やブラウンの「シルク・エピル」などが挙げられます。
電動毛抜きは基本的に幅広or幅狭の2種類に分けられますが、付属されている機能の組み合わせにより、使い心地や得意分野が異なります。
幅広タイプ | 幅狭タイプ | |
---|---|---|
特徴 | ・ヘッド部分が大きい ・毛抜き部分が広い | ・ヘッドが小さい ・毛抜き部分が狭い |
メリット | ・広範囲の脱毛が一度に可能 ・時短 | ・細かい部分の脱毛がしやすい ・デザイン脱毛に最適 |
デメリット | ・ヘッドが大きいため部位に上手く当てられないことがある ・抜きたくない毛まで抜いてしまうことがある | ・ヘッドが小さいため脱毛に時間がかかる |
その他の仕様 ※仕様の組み合わせにより使い勝手が異なります | 防水or非防水 | |
毛抜き以外の機能ありor毛抜き機能のみ 【毛抜き以外の機能例】 ・シェーバー ・角質ケア ・毛穴ケア ⇒いずれも付属アタッチメントによるもの | ||
手軽にお手入れできるorお手入れしにくい 【お手入れ機能例】 ・ブラシ付き ・分解しやすい ・水洗い可能 | ||
痛みを軽減する機能ありor特になし | ||
得意部位 | 腕、脚、ワキ | ワキ、デリケートゾーン |
ピンセットで代用しても良い?

毛抜きはピンセットの一種に分類されるもので、ピンセットは毛抜きの他にも工業用・医療用・実験用・化粧用など実に多くの種類があります。
ムダ毛処理をおこなうとき、毛抜きの代わりに実験や工作などで使用するピンセットでの代用はできなくはありませんが、できれば毛抜きに専用に作られているものを選びましょう。
毛抜き専用以外のピンセットは「はさむ」「つかむ」ことに特化してつくられたものですので、毛を「抜く」ことには向いていません。無理な力が加わり肌や毛穴を痛めてしまう可能性があります。
毛抜き専用のピンセットは100円ショップでも購入することが可能なので、専用のものを用意してから脱毛を行うようにしてください。
毛抜き時、毛根についている白い・透明なものは何?
毛抜きで毛を抜いた際、毛根部分に白や透明のゼリーのようなものが付着していることがあります。また、稀に血や黒いものが付着することもあります。これは一体何なのでしょう?
白や透明の場合

毛を皮膚に繋ぎ止めるための組織(毛根鞘-もうこんしょう-)や皮脂の可能性が高いです。
毛根鞘の場合、問題はありませんが、皮脂がくっついてくる場合は毛穴の皮脂が過剰に分泌されている可能性があります。
血や黒い場合
血がついている場合は毛根に炎症が起こっている可能性があるため毛抜きを一旦中断しましょう。毛根が黒い場合は血行不良を起こしている可能性があるため、この場合も一旦毛抜きを中断します。
いずれもあまり良い状態ではないため、様子を観察し、必要に応じて皮膚科を受診してください。
毛抜きに関するQ&A

毛抜きに関するよくあるご質問に回答しました!
毛抜きを続けると毛根が死ぬ・毛が生えてこなくなるって本当?
毛抜きをしていると毛根が死ぬ、毛根から毛を抜けばいつかは生えてこなくなる…このような都市伝説が出回っていますが、実際にはそんなことはありません。
毛は毛根を取り去っても毛を作り出す細胞が残っている限りまた再生することができます。つまり、毛抜きによる脱毛では、一時的に毛は生えませんが、しばらくすればまた生え始めます。
「眉毛を抜いていたら生えなくなった」というお話がありますが、その理由には
- 毛を抜いて毛周期が乱れてしまったために一時的に生えてこなくなっている
- 毛を抜いた際に毛乳頭が傷ついてしまい毛に十分な栄養が行き届かなくなっているため
この2点が考えられます。
脱毛前に毛抜きをすると効果がなくなる?
レーザーを用いた医療機関での永久脱毛前や、エステサロンでの光脱毛前による減毛・制毛前には、たとえ何日前であっても毛抜きによる脱毛は厳禁です。
というのも、脱毛時はレーザーや光を毛のメラニンに反応させ熱を出し脱毛していく仕組みなので、肝心のメラニン(毛)がすっぽり抜けてそこにない場合は脱毛できません。

やけどを避けるため、脱毛日前にはムダ毛の自己処理をしてから医療機関やエステサロンへ行く必要がありますが、その際は必ず電気シェーバーやカミソリで処理します。

また、レーザー脱毛や光脱毛は「成長期」の毛に対して効果が現れやすいため、毛周期を考慮して施術を進めていくことがほとんどです。
毛抜きによって毛を途中で抜いてしまうと毛周期が乱れ、適切な施術が行えなくなる点も脱毛前に毛抜きをしてはいけない理由として挙げられます。
脱毛後の毛抜きはダメ?
脱毛前はダメだけれど、照射後なら毛抜きをしてもいいの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、毛抜き脱毛は照射後であってもNGです。
照射後であっても毛を人為的に抜くことで毛周期が乱れてしまい、適切な脱毛効果を得られない可能性があるためです。
万が一、脱毛期間中に毛抜きによる脱毛をしてしまったという場合は脱毛のタイミングを見直す必要がありますので、ご自身が脱毛に通っているクリニックやエステサロンへ確認するようにしてください。

永久脱毛期間中の脱毛には電気シェーバーを用いた脱毛が推奨されています。
ヒゲの処理も毛抜きでして良い?
たしかにヒゲの処理を毛抜きで行っている方もいらっしゃいますが、かかる時間や手間、痛みや毛穴や肌にかかるダメージを考えると、できれば毛抜き以外の方法をおすすめしたいところです。
特に顔の肌は柔らかくデリケートな部位ですので、毛抜きを行うことで皮膚がひっぱられ、肌に負担がかかることでシワやたるみの原因になる可能性もあります。
毛抜き脱毛を顔にするということは「老け顔になりやすい」と言われていることもあり、長期的にみて肌に負担をかけにくいヒゲ脱毛には、電気シェーバーや医療レーザー脱毛が向いています。

毛抜きでできたブツブツや炎症を治すには
毛抜きでブツブツや炎症ができてしまった場合には、これ以上悪化させないために、一時的に毛抜きでの脱毛を中止するようにします。
炎症が軽度であれば、皮膚を清潔に保ちつつ1週間ほど様子をみましょう。抗菌成分が配合された市販薬を塗るのもいいでしょう。
炎症や痛みが大きい場合、状態が悪化していく、1週間経っても良くならない場合には早めに皮膚科を受診するようにし、適切な処置を受けてください。
参考文献
- 毛包炎(毛嚢炎) │ 皮膚症状一覧 │ ひふ研 「ひふ症状、ひふ薬の使い方の疑問に答える情報サイト」 │ 第一三共ヘルスケア https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_hifuken/symptom/mounouen/
- 毛抜き – Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%9B%E6%8A%9C%E3%81%8D
- ピンセット – Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%83%E3%83%88