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尿酸値がどのくらいだと痛風になる?数値ごとの発症率と予防について

痛風と尿酸値

この記事を見ているあなたは、健康診断などで尿酸値の数値が基準値を超えたために「痛風になる可能性があります」と医者か健康診断結果の備考欄などで指摘されたのではないでしょうか。

尿酸値は血液検査で調べることができます。

血中の尿酸値が7.0mg/dLを越えてしまうと「高尿酸血症」という病名がつき、7.0mg/dLを超える状態が一定期間以上続くと激しい痛みを伴う「痛風」になる危険性が。

「危険性がある」と少し日本語を濁してるとおり、血中の尿酸値が7.0mg/dLを超えたら必ず痛風になるわけではありませんし、逆に尿酸値が6.9mg/dL以下であっても痛風になる方もいらっしゃいます。

尿酸値の目安などの細かい数値はこの先の記事中で説明するとして、まずは尿酸値の概要と痛風との関係性について一緒に勉強してまいりましょう。

この記事の執筆者

内科総合クリニック人形町院長 藤田医師

藤田 英理 内科総合クリニック人形町 院長

東京大学医学部保健学科、横浜市立大学医学部を卒業。虎の門病院、稲城市立病院、JCHO東京高輪病院への勤務を経て内科総合クリニック人形町を開院。総合内科専門医。AGA治療や生活習慣病指導も行う。

所属:日本内科学会日本動脈硬化学会日本頭痛学会

目次

尿酸値と痛風の関係は密接です

まずさらっと尿酸について解説しておきます。

尿酸はプリン体と呼ばれる化合物の最終代謝物で、古い細胞が分解される過程で生成される老廃物です。

最終代謝物とは、たき火をした後に残る燃えカスみたいなのを想像していただければだいたい合っていると思います。

人間の身体は常に新しい細胞が産まれて古い細胞は燃えカスとなって尿や弁などとともに体外に排出されるわけですが、排出しきれない燃えカス(尿酸)が体内に残留。

その残った尿酸の一部が足の親指の付け根なのに付着し、その量が増えてくると尿酸の一部が血中に剥がれ落ちてきて、剥がれ落ちてきた尿酸を「外敵」と見なした白血球が尿酸を攻撃して排除しようとします。

これを医学的には免疫反応(あるいは免疫応答)と言い激しい痛みを伴います。つまり痛風は免疫反応の一種なのです。

では一体、尿酸の値がどれくらいになると痛風(免疫反応)が起きるのかを事項で詳しく説明していきます。

尿酸値の基準(正常値)は6.0 mg/dL以下

冒頭でも言及しましたが、血中の尿酸値の数値が7.0mg/dLを超えると高尿酸血症という病名が付きます。

痛風

 ※dL=100cc(小さい缶コーヒーの半分ちょっとくらいの量)

では6.9 mg/dLならOKなのかというとそういうわけはなく、「ほぼ高尿酸血症ですね」と医者に言われると思いますし、痛風治療を行っている当院でも検査値が6.5mg/dLを超えると患者さんには痛風にいつなってもおかしくないと伝えます。

ガイドラインでは6.0 mg/dL以下を推奨

ここで痛風の診療ガイドラインを見ていきましょう。

日本痛風・尿酸拡散学会が制定している高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版(2019年改訂では、以下のように基準を決めています。

痛風結節を有する患者に対して薬物治療により血清尿酸値を6.0 mg/dL 以下にすることは推奨できる。

米国の痛風ガイドラインでも管理推奨値は日本とほぼ同じ

余談ですが、2020年に改訂されたアメリカリウマチ学会「痛風管理ガイドライン2020年版」では6.0 mg/dL未満、つまり5.9mg/dL以下にすることを推奨しておりますが、ガイドラインでの日米の差異は0.1mgですので、アメリカの治療法などを研究する必要はないのかなと思います。

尿酸値がどのくらいだと痛風になるの?⇒7.0mg/dL以上です

血中の尿酸値が7.0mg/dLを超える状態が続くと、激しい痛みを伴う痛風発作が起きることが

この7.0という数値は痛風を経験したことがある患者さんや、健康診断などで尿酸値が6.5を超えた方ならご存じだと思いますが、実はこの「先」の数値がありますので紹介いたします。

8 mg/dLを超えると合併症リスクが向上する

痛風の主な原因を一言でいうと「肥満」です。

太っていなくても遺伝によって痛風になりやすい方がいらっしゃるのは事実ですが、おおむね痛風の患者さんはメタボ(メタボリックシンドローム=肥満)である場合がほとんどです。

メタボの代表的な病気は

  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 糖尿病
  • 腎臓病
  • 動脈硬化

などがあげられますが、これらの病気は血中の尿酸値が8 mg/dLを超えるとかなりの確率で痛風と併発

例えば高血圧を例にすると、痛風になる→高血圧を併発する、ではなく、太っているから高血圧にもなりやすいし痛風にもなりやすい、というのが正確な言い方になると思います。

肥満

腎障害(腎臓病)には特に注意が必要

痛風(高尿酸血症)で特に気を付けたい合併症は腎障害です。

慢性腎臓病(CKD)の患者さんの尿酸値を測るとかなりの割合で尿酸値が高い(痛風予備軍)ことが分かっています。

尿酸は、おしっこを生成する臓器である腎臓を経由して尿として対外に排出されますが、慢性腎臓病になると尿酸が対外に排出されづらくなることで高尿酸血症(痛風予備軍)になり、また、尿路結石にもなりやすいです。

尿路結石、めちゃめちゃ痛いですよね。なったことがある人にしか分からないと思いますが、とんでもなく痛いです。

血液検査で高尿酸血症と診断されたら尿も併せ検査してみてください。腎障害を見落とす内科医はわりと散見されますので、ご自身の知識として「痛風と腎臓病は密接」と覚えておいてください。

【目安】数値ごとの痛風発症リスク

血中の尿酸値の数値毎にどのようなリスクがあるか表にしてまとめてみます。

尿酸値リスク
6.0 mg/dL以下安全域。一度痛風になった人は食生活改善や尿酸を下げる薬や機能性表示食品(サプリなど)の服用で6.0 mg/dL以下を保つよう努める
6.1~6.9 mg/dL厳密には高尿酸血症とは言わないが痛風になる人もそこそこの割合でいる
7.0~7.9 mg/dL痛風発作が起きることがしばしばある
8.0 mg/dL ~腎障害や高血圧、糖尿病や脂質異常症などの病気を併発する大変危険な状態
高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版(2019年改訂

健康診断で「尿酸値が高めで痛風になる危険性があります」と医師に言われるのは6.0 mg/dLに近い5.8~5.9mg/dLの数値が目安となりますが、ガイドラインで「この数値は痛風発症の危険水域」みたいなものは示されていないので、

「6に近い数字は危ない」、と覚えておいてください。

また、8.0 mg/dLを超えるようだと痛風だけでなく他の病気を併発している可能性が非常に高いので、例え痛風発作が出ていなくてもお近くの内科クリニックにいって糖尿病や腎臓病などの薬をもらうか、生活習慣を変えてダイエットをしてください。

どんな治療薬よりもダイエットこそが万能薬です。

あと、コーヒーは尿酸値を下げる効果があるエビデンス(医学的根拠)があります1)ので、糖分控えめのコーヒーを常飲するよう試してみてください。

コーヒー

尿酸値ごとの痛風発作の発症率|東洋人は痛風になりやすい

「僕の尿酸値は7.0 ~7.5mg/dLくらいなんだけど痛風が起きる率はどれくらいなのでしょうか?」

みたいな疑問が浮かんでおられる方がいらっしゃると思うので数値毎の発症率について明記しておきます。

アメリカでの調査

アメリカで、1987年にCampion氏が2,046人の健常男性を対象に約15年間の追跡調査2)を行い発症率は以下のようになっております。

尿酸値5年間累積発症率
6.0mg/dL未満0.5%
6.0〜6.9mg/dL0.6%
7.0〜7.9mg/dL2.0%
8.0〜8.9mg/dL4.1%
9.0〜9.9mg/dL19.8%
10.0mg/dL以上30.5%

台湾での調査

台湾では2000年にLin氏が223人の無症候性高尿酸血症男性を対象に5年間の追跡調査3)を行い発症率は以下のとおりです。

尿酸値5年間累積発症率
7.0〜7.9mg/dL10.8%
8.0〜8.9mg/dL27.7%
9.0mg/dL以上61.1%

アメリカより台湾の発症率が大幅に高い結果になっています。説明するまでもなく我々日本人は同じ東アジア人である台湾のデータを参考にすべきかと思います。

尿酸値が正常なのに痛風になるケースがあるので注意してください

高尿酸血症と言う病名がつき痛風が起きやすくなる血中尿酸値は7.0 mg/dLですが、実は尿酸値が正常値の範囲内から一度も外れなくても痛風になる事例がありますので紹介しておきます。

226例中27例(12%)で尿酸値が正常

Park YB氏の論文からの引用になります。

2003年の痛風患者226例を調査したところ、痛風発作が起きたにも関わらず血中尿酸値が正常の範囲内だった患者が27例ありました。実に12%です。

27例のうち17例は、後の追跡調査で高尿酸血症(血中尿酸値が7.0 mg/dL以上)になっているのでもともと境界線上だったことは否めませんが、4例は調査機関中一度も正常値の範囲内にもかかわらず痛風になっています。

この研究から証明されているとおり、たとえあなたの血中尿酸値が7.0を下回っていたとしても、痛風になる場合があることを留意し、食生活改善や尿酸値を下げるサプリメントの服用などで痛風リスクをできるだけ下げていただきたいと思っております。

尿酸値が高めの人が痛風予防のために気をつけたい食事・食べ物

痛風の原因である尿酸はプリン体と呼ばれる化合物の最終代謝物(燃えカス)なので、体内のプリン体の量を減らす努力が必要です。

やり方は2つあります。プリン体を多く含む食品を口にしないか、単純に痩せるか、の二択。痛風ガイドラインを見ていきましょう。

食品中のプリン体含有量(100gあたり)

食品中のプリン体含有量(100gあたり)食品名
極めて多い(300mg以上)鶏レバー、干物(マイワシ)、白子(イサキ、ふぐ、たら)、あんこう(肝酒蒸し)、太刀魚、健康食品(DNA/RNA、ビール酵母、クロレラ、スピルリナ、ローヤルゼリー)
多い(200~300mg)豚レバー、牛レバー、カツオ、マイワシ、大正エビ、オキアミ、干物(マアジ、サンマ)など
中程度(100~200mg)肉(豚・牛・鶏)類の多くの部位や魚類など、ほうれんそう(芽)、ブロッコリースプラウト
少ない(50~100mg)肉類の一部(豚・牛・羊)、魚類の一部、加工肉類など、ほうれんそう(葉)、カリフラワー
極めて少ない(50mg以下)野菜類全般、米などの穀類、卵(鶏・うずら)、乳製品、豆類、きのこ類、豆腐、加工食品など
高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版(2022年追補版)
痛風

さあ、これを参考にして食事改善を、っと言われても無理ですよね。。。痛風(高尿酸血症)を診察している医師の私がこの表を参考にして生活習慣を変えていくことは不可能に近いです。といいますか、不可能です。

ではどうすればいいでしょうか。

実は痛風ガイドラインでは、直接的な書き方ではないものの以下のように結論付けています。

  • ビールは控えめに
  • かたよった食べ方でない限りプリン体含有量の多い食べ物を避ける必要はない

つまり「やせましょう」ということです。

まとめ|コーヒーとサプリメントは尿酸値を下げてくれます

痛風は誰しもが人生で味わったことがないものすごい激痛を伴います。さらにいえば痛風に負けず劣らず、というより痛風より痛い尿路結石も併発スリスクがある大変怖い病気です。

健康診断などで尿酸の値が6.0 mg/dLを超えるような、まず食生活を見直して痩せることを目指してください。プリン体が多いビールはもちろん控えて欲しいですが、焼酎や日本酒、ワインなどのアルコールも避けて欲しいです。

「食事改善はほどほどにがんばるとして、他に手はないの?」

と思われている方は、本文中でもさらっと触れましたが、コーヒーとサプリメントを試してみてください。

コーヒーをまったく飲まない人に比べて、1日4~5杯コーヒーを飲むことで血清尿酸値(Sua)が0.23 mg/dL、6杯以上飲むと0.43 mg/dL下がるという研究結果1)があります。

また、ポリフェノールを多く含むサプリメントによる臨床試験で、血清尿酸値が0.2mg/dL有意に低下したという結果も出ています4)ので、食事改善だけで良い結果が得られない方は試してみるのも良いかも知れませんね。

サプリメント

以上

参考文献

1) Choi HK,et al.:Arthritis Rheum.2007;56:2049-2055. Choi HK,Curhan G: Arthritis Rheum 2007;57:816-821.

2)E W Campion, R J Glynn, L O DeLabry PMID: 3826098 DOI: 10.1016/0002-9343(87)90441-4

3)Lin KC/Lin HY/Chou P J Rheumatol. 2000 Jun;27(6):1501-5.

4) 藤森 新:高尿酸血症と痛風 2010:18:180-182. YU TS,et al.:Am J Med.1962;33.829-844.

高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版(2019年改訂

アメリカリウマチ学会「痛風管理ガイドライン2020年版」

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