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尿酸値が高いとどうなる?健康診断で指摘されたとき何科に行けば良いのか

尿酸値が高いとどうなる

「尿酸値が高いですね。気をつけてください」

この記事を読まれている方は、病院でこのような注意を受けたのではないでしょうか。

しかし尿酸値が高いとどうなるのか、ピンと来ていない方も多いはずです。

結論をいうと尿酸値が高いと痛風になりますが、この痛風のやっかいなところに激痛を起こすにもかかわらずその前兆はほとんどないという点にあります。

そこで今回は

  • 尿酸値が高いと言われた時に行くべき科
  • 痛風が引き起こす合併症
  • 尿酸値が高い理由として考えられるもの

を説明いたします。尿酸値が高いのが気になる方はぜひ参考にしてください。

この記事の執筆者

内科総合クリニック人形町 院長 藤田 英理(総合内科専門医)

藤田 英理 内科総合クリニック人形町 院長

東京大学医学部保健学科、横浜市立大学医学部を卒業。虎の門病院、稲城市立病院、JCHO東京高輪病院への勤務を経て内科総合クリニック人形町を開院。総合内科専門医。AGA治療や生活習慣病指導も行う。

所属:日本内科学会日本動脈硬化学会日本頭痛学会

目次

尿酸値が高いときは何科を受診すれば良いのか

痛みが既に出ているのかそうでないかによっても異なりますが、基本的には内科に通えば対応してもらえます

具体的に言えば膠原病・リウマチ内科、内分泌代謝内科、腎臓内科などであればより専門性の高い治療を受けることが可能でしょう。また近くに内科がない場合は整形外科でも診療を受けることが可能です。

できるだけ痛風の専門医がいる病院が望ましいですが、まずは病院に行き専門医の入る病院を紹介してもらっても良いでしょう。

症状の進行具合をチェックし、治療内容を確認

尿酸値が高いだけの状態であればまだ痛みは出ていないはずですが、もし痛みが出ているということは既に痛風発作(痛風による痛み)が起きているため、治療内容が異なります。

どのような治療を行なっていくかを決めるためにも、問診で現在の症状、痛みの場所、痛みのレベル、痛みが繰り返す頻度、食事・運動などの生活習慣を聞き、薬を使った治療を行うか生活習慣での改善を目指すかの大まかな方針を決定。

問診

尿酸値が高いとどうなる?

尿酸値が高いと痛風になります。

そんなことは知っているという方も多いでしょう。痛風になったことのない方は痛風の本当の怖さを全く理解していないのではないかと思います。

「尿酸値が高いと言われたけど、まだ症状も痛みも出ていないし平気だよ」と思っている方は考えが甘すぎです。

痛風で襲ってくる痛みは尋常ではなく「痛みでうまく呼吸ができない」という方がいるレベル。

院長 藤田

痛風がまだ出ていない尿酸値が高いだけで済んでいる状態でも、すぐに治療を行ってください

尿酸が突然痛みを引き起こす原因

痛風というのは確かに尿酸値が高いことで引き起こされる病気ですが、痛風の痛みが起こるまでほとんど前兆のない病気です。

なぜほとんど前兆がないのかを説明いたします。

基本的に尿酸は血中に溶け込んでおり、それだけであればなんの問題もありません。しかし血中の尿酸量が増え尿酸濃度が1デシリットルあたり7.0mgを超えると血液に溶け切ることができず徐々に結晶化して関節に溜まっていきます。

この結晶も関節についているだけであれば問題はありません。

問題は、この結晶が剥がれ落ちた際です。

剥がれ落ちた結晶を白血球が異物だとみなし攻撃を始め強い炎症を起こし、これが痛風の原因に。

つまり、痛風はこの尿酸結晶が剥がれ落ちるまではなんの違和感も前兆もなく進行していくのです。

「今は全然症状がないからきっと大丈夫だろう」はなんの確証もありませんので、ご自身で判断するのは絶対にやめてください。

痛風の合併症は?癌の元になるの?

ネットで調べると痛風が癌の元になるかのような記事を目にします。

このような記事を目にすると不安になる方も多いかもしれませんが、痛風が癌の元になることは稀です。

ただし痛風は多くの合併症を引き起こし、痛風が原因の合併症で亡くなる方も少なくありません。痛風の主な合併症には腎障害・尿路結石、脂質異常症、高血圧、メタボリックシンドロームなどがあります。

メタボ症候群

痛風は痛みが起こるサイクルは1年から半年スパンで7日間程度と、痛みが常に起こっている病気ではありません。ですが痛風は痛みのない状態でも症状が進んでいきますので、痛風または尿酸値が高い方はしっかりと治療を行うことが必要です。

尿酸値が増える3つのタイプ

院長 藤田

尿酸値が増えていく過程は以下の3タイプに分類されます。

  1. 尿酸が体内で大量に生産されてしまう、腎負荷型
  2. 尿酸の排出がうまくできない、尿酸排泄低下型
  3. 1と2の複合である混合型

それぞれ詳しく説明いたします。

腎負荷型

腎負荷型は尿酸の排出機能は正常であるにもかかわらず、体内で尿酸が過剰に作られてしまうことタイプ。日本の痛風患者の約10%はこの腎負荷型に当てはまります。

尿酸が過剰に作られる原因としては

  • 強いストレス
  • 食べ過ぎ
  • プリン体の大量摂取
  • 遺伝

などが挙げられます。

よく「贅沢な食事を食べすぎているから痛風になるんだ」という発言をネットで目にします。

確かにそれも要因の一つかもしれませんが、贅沢な食事が原因なのは10%の患者さんにすぎないため痛風になる原因としては信頼性が乏しく「プリン体の取りすぎ」と結論を出さず、他に原因がないかを確認すべきでしょう。

尿酸排泄低下型

尿酸排泄低下型は、尿酸の排泄がうまくいかずに体内に尿酸が溜まり尿酸が増えていくタイプ。

先ほどの腎負荷型がプラスの要因でなるものに対して、尿酸排泄低下型はマイナスができないために起こるもの。同じ痛風でも真逆のタイプといえます。

実は日本の痛風患者で多いのはこの尿酸排泄低下型で約6割の患者に当てはまります。

痛風

尿酸の排泄ができない理由には

  • 肝臓の疾患
  • 過度な飲酒
  • 肥満

などが当てはまります。

混合型

混合型は尿酸の生産量が多く、排泄量が少ないというダブルの要因で尿酸値が上がっていくタイプです。

痛風患者の約3割がこのタイプと言われています。

尿酸値が高い理由として考えられるもの

この章では、どのような原因で尿酸の生産量が増え、排泄量が低下するかを説明いたします。

  • 遺伝
  • ストレス 
  • 飲酒
  • 肥満
  • 激しい運動

遺伝

残念ながら痛風は遺伝による要素が非常に高く、4割もの人が親族に痛風の方がいると言われています。

遺伝で痛風もしくは高尿酸血症になってしまった場合は、生活習慣で改善することは難しいため薬による治療を行う必要があるのです。

ストレス

強いストレスは交感神経が高まるため、新陳代謝が活発になります。

激しくイライラした際に動悸を感じたことがある方もいるのでないでしょうか。あのドキドキは代謝を高めている合図です。

新陳代謝により体内のエネルギーが使われ尿酸が生み出されるため、強いストレスに晒され続けるということは、体内の尿酸量をじわじわと増やし続け尿酸値の高い状態へと導きます。

飲酒

お酒には尿酸の生産を促すと同時に尿酸の排泄が低下させる働きがあります。

よくプリン体ゼロのお酒を目にしますが、実はお酒に含まれるプリン体の量はあまり関係ありません。プリン体が入っていようが入ってなかろうがお酒は尿酸値を上昇させます。

というのも食品に含まれるプリン体は消化ののち、吸収というプロセスを経て、体内に取り込まれますが、アルコールの場合は体内に入るとすぐに吸収されるので尿酸値を上昇させやすいのです。

さらに本来尿酸を分解・排泄してくれていた腎臓の活動がアルコールの分解するために総動員されるため、尿酸の排泄が制限。結果的に体内の尿酸量が増加します。

驚くことに痛風になった人の95%はアルコールを週に5日以上飲んでいるというデータ結果もあるほど、痛風とアルコールは密接な関係にあります。

禁酒

どんなお酒を飲んだとしても尿酸の量は増えますので、尿酸値が気になる方は適度な飲酒量、できるなら禁酒をしてください。

肥満

院長 藤田

痛風の患者の約6割が肥満患者だとされおり、肥満度が高ければ高いほど痛風になる可能性が高くなると言われています。

なぜ肥満が痛風になりやすいのかというと、

  • 肥満の方は1日の代謝量が多い
  • たくさん食べているのでプリン体の摂取量が多い

この2つが理由だとされています。

「肥満の方は1日の代謝量が多い」というのは、物体が動く時に使われるエネルギーはその質量に比例するため。

単純に言えば同じ距離を移動した場合体重が80キロの方は、体重が40キロの方の倍のエネルギーを消費することになります。エネルギーの消費は体内のプリン体を尿酸にしますので、多くの尿酸を生み出し尿酸値を上げるという理屈です。

続いて「たくさん食べているのでプリン体の摂取量が多い」に関しては、その通りなのですが100g中100mgプリン体が含まれる食事を100g食べた場合のプリン体は100mg、200g食べた場合のプリン体は200mgとなります。

結果、食べる量はプリン体が少なかったとしても、多くのプリン体を摂取してしまうことに繋がりますので、食事量も注意が必要です。

激しい運動

「肥満がダメなら運動して痩せよう!」と考える方も多いかもしれませんが、実は激しい運動は痛風を引き起こす原因となります。

息の上がるような、高強度の運動はエネルギー源のATPを消費するために、過剰にプリン体作られ尿酸値が上昇し、汗をかくことによって腎臓の血流量が低下するので尿酸値が高くなってしまうのです。

息の上がらないレベルの運動をゆっくりと続け、汗をかいたら糖分の入っていない飲み物を飲むようにしましょう。

食事療法で済む人、薬物療法が必要な人の尿酸値目安

院長 藤田

残念ながら、この記事であなたが食事療法で済むか薬物療法必要かの判断はできません。

なぜなら尿酸値を把握することは病院以外では不可能だからです。

強いていえば、尿酸値が7.0mg/dlの場合に痛風を発症し、それ以下であれば痛風にはなりません。ですので、6.9mg/dl以下の方は今すぐに痛風になる可能性は低いため食事療法・生活習慣の改善で問題ないでしょう。

しかし、結局のところ自分で尿酸値を調べることはできない以上、一度人間ドックや病院で診察を受ける必要が。

それを踏まえたうえで、食事療法と薬物治療でどんなことをするのかをご紹介いたします。

自分でできる食事療法

基本的に尿酸値の高い人が食べていけない食事というのはほとんどありません。どちらかと言えば食べ方のほうが重要です。

その食べ方をご紹介します。

バランスのよい食事を3食しっかり食べる

尿酸値を下げるためにはまず、炭水化物・タンパク質・脂質・ミネラル・ビタミン・食物繊維がバランスよく取れる食事が重要です。

ひじき

朝を抜く方も多いですが、その分が昼や夜に回って1食の量が増えるのは好ましくありません。朝食を抜かず1日3食をバランスよく食べてください。

食事量・カロリーを少し減らす。

先ほど紹介したように痛風患者さんには肥満の方が多いです。肥満は痛風だけでなく合併症も引き起こしますので、食事の量・カロリーを少し減らして肥満を解消しましょう。

男性であれば1日1800カロリー以内にすればゆっくり痩せていけるはずですので、さほどむずかしい食事制限の必要はありません。

間食のおやつや飲みの物でのカロリーにも気をつけましょう。

プリン体が多すぎる食材を食べ過ぎない

痛風の原因の一部がプリン体である以上、当然プリン体の食べ過ぎは良くありません。

しかしながら、プリン体の食べ過ぎによる痛風の発症は痛風患者全体の10%程度ですのであまり気にする必要はないでしょう。

高プリン体である魚(特に干物)や内臓類は食べても良いので、たくさんたべることをさけ少量で楽しみましょう。

野菜をたくさん食べる

体内から尿酸をたくさん排泄するためには、尿に含まれる尿酸の量を多くする必要が。

尿を酸性にすることによって尿酸を多く含ませることができるので、体内を酸性にする野菜・芋類・海藻などをたくさん食べると尿が酸性になります。

アルコールを控える

アルコールが尿酸の量を高めることはすでにお伝えした通りです。飲み会などで避けられない時は2杯を目安に量を控えてください。

「私痛風でして、、、」と言えば、大体の方は気を遣ってくれるはずですので場の空気よりも自分の健康を優先しましょう。

血清尿酸値5.5mg/dL超~7.0mg/dL未満の方は、市販のサプリメントによる予防も有効です。尿酸値を下げるサプリメントについて詳しくはこちら

薬物療法

院長 藤田

痛風を発症した場合には薬による治療が必要になります。

治療自体は、痛みを抑える治療と尿酸を下げる治療です。

痛みをとる非ステロイド抗炎症薬

尿酸値が高くなっている場合、痛風を発症し激痛に襲われることがあります。その場合は、尿酸値を下げる前にまず非ステロイド抗炎症薬で痛みをとる必要が。

しかしながらこの薬は痛風で起きた炎症を抑えるだけですので、根本的な治療は次の薬にて行います。

尿酸値を下げる尿酸降下薬

痛風による痛みが落ち着いてきたら、尿酸降下薬を使って根本的な治療を行います。

痛風は生活習慣で改善できない場合も多いため、痛風の痛みが減ってきたとしても継続的に服用を続ける必要があります。

まとめ

尿酸値は高くなってもすぐに痛風を発症するわけではありません。

しかし放置すれば痛風だけでなく、多くの合併症を引き起こします。

病院て「尿酸値が高いですね」と言われた方は、痛風を発症する前に気がつけて良かったとポジティブに捉えて、まずはお近くの内科にご相談ください。

参考文献

日本痛風・核酸代謝学会 高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインhttps://minds.jcqhc.or.jp/docs/gl_pdf/G0001086/4/Clinical_Practice_Guidelines_of_Hyperuricemia_and_Gout.pdf

高尿酸血症について
https://kounyousan.jp/kounyousan/

日本内科学会雑誌 痛風・高尿酸血症の病態と治療
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/107/3/107_458/_pdf

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