痛風・高尿酸血症のお薬 – 副作用や種類・いつまで飲むのかを解説

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痛風発作(急性痛風関節炎)が起きたときは、まずは痛風発作の激しい痛みをとることを優先します。

痛風に効くお薬として、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、副腎皮質ステロイド、コルヒチンの3種類からいずれかが選択されるのが一般的です。

また、緊急用の応急処置として市販の痛み止めも使用できますが、市販薬の中には痛風発作を余計に悪化させる鎮痛薬があり、どれでも良いわけではありません。

痛風発作は体の中に尿酸がたくさんありすぎるのが原因ですから、発作の痛みが収まってから、「尿酸値を下げる」治療(高尿酸血症の治療)を行います。

「次の発作を防ぐ」「合併症を予防する」ためにも、痛風発作を一度起こしたら、放置せず、通院していただきお薬での治療が必要です。

この記事では、

  • 痛風発作のときに使うお薬
  • 市販薬は痛風に効くのか
  • お薬を飲まないでも痛風は治るのか
  • 尿酸値を下げるために使うお薬
  • お薬の副作用

について解説しました。

その他、薬物治療が必要となる尿酸値の数値や、お薬はいつまで飲み続けなければいけないのかなど、痛風の薬について総合的に執筆していますので、ぜひお役立てください。

総合内科専門医が執筆しています

この記事の執筆者

内科総合クリニック人形町 院長 藤田 英理(総合内科専門医)

藤田 英理 内科総合クリニック人形町 院長

東京大学医学部保健学科、横浜市立大学医学部を卒業。虎の門病院、稲城市立病院、JCHO東京高輪病院への勤務を経て内科総合クリニック人形町を開院。総合内科専門医。AGA治療や生活習慣病指導も行う。

所属:日本内科学会日本動脈硬化学会日本頭痛学会

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痛風発作が起きたときは、早期に治療を開始すればするほど痛みを早く治めることができます。再発や痛風の合併症を予防するためにも、なるべく早く医療機関を受診してください。
目次

痛風発作時に使うお薬の種類と副作用

痛風発作のイメージ
院長 藤田

痛風発作(急性痛風関節炎)が起きたときは、治療開始が早ければ早いほど痛みが続く期間を短くできます。

発作が起きたときはできるだけ早く病院を受診し、お薬での治療を開始するのが原則となります。

痛風に効く薬(痛風発作の痛みを抑える薬)は、下記の3種類です。どのお薬も、発作が治まったら服用を中止します。

  1. 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
  2. 副腎皮質ステロイド(グルココルチコイド)
  3. コルヒチン

①②のお薬は、炎症を抑え痛みをやわらげるために使用します。③コルヒチンは、発作の前兆を感じたときや尿酸値を下げるお薬(尿酸降下薬)を使い始めたときに、痛風発作を予防するためのお薬です。

どのお薬を使うかは、痛風発作が起きてからの経過、時間、重症度、これまでのお薬による副作用歴や有効性のほか、合併症があるか、服用しているお薬はあるかどうかを考慮し、3種類の中からいずれかを選択します。

まずは①の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が使用されることが多いですが、3つのお薬に優劣はありません。

①非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)には炎症や痛みを引き起こす原因であるプロスタグランジンの生成を抑えるはたらきがあり、痛風発作時の痛みや炎症を緩和させるために使用されます1)

日本で急性痛風関節炎に保険適応のあるNSAIDは以下の4つです。

  • インドメタシン
  • ナプロキセン
  • オキサプロジン
  • プラノプラフェン

どのお薬も、急性痛風関節炎の有効性に優劣はありません。その患者さんの病歴や発作の重症度、副作用への耐性によってもっとも適したNSAID薬が選択されます。

痛風発作が起きている場合、短期間に通常よりも多い量のNSAID薬を服用し、炎症をおさえ、痛みをやわらげます。※これを「NSAIDパルス療法」といいます。

アセチルサリチル酸(アスピリンなど)はNSAIDのひとつですが、大量(3g以上)に服用すると尿酸値を低下させるため、痛風発作が起きているときには使いません。

NSAIDsは痛風発作の痛みが軽快したら、速やかに服用を中止します。痛みがおさまらない場合は、通常の量に戻して服用を継続します。

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の副作用

  • 胃痛
  • 胸焼け
  • 潰瘍などの胃腸障害
  • 肝機能の低下
  • 腎機能の低下
  • 発疹
  • かゆみ
  • むくみ
  • めまい
  • 頭痛 など使用するNSAIDにより異なる

②副腎皮質ステロイド(グルココルチコイド)

腎障害があったり、過去に胃潰瘍、十二指腸潰瘍を起こしたことがある場合はNSAIDsが使用できないため、プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイドが選択されます。

NSAIDsが効かない場合や痛風発作を起こしている関節が複数ある場合も、副腎皮質ステロイドを使用します。

口から飲む経口投与のほか、筋肉注射や関節内注入もできるため、患者さんに合わせて使っていきます。

副腎皮質ステロイドはNSAIDsよりも炎症を抑える力が強く、その分、副作用に注意が必要です。2)

副腎皮質ステロイドの副作用

  • 血糖値上昇・糖尿病の誘発
  • 血圧上昇
  • 感染症にかかりやすくなる
  • 体重増加
  • むくみ
  • 筋肉の衰え
  • 骨粗鬆症
  • 緑内障
  • 血栓症 など

③コルヒチン

コルヒチンは何世紀にもわたって使われてきた痛風発作専用のお薬 3) で、尿酸結晶を攻撃する白血球のはたらきを抑制します。

痛風発作の前兆期から初期(発症から12時間以内)によく効き、極期(痛みのピーク時)には使われません。

たくさん飲んだ時に下痢や吐き気・嘔吐などの副作用が高確率で起き、まれに重い副作用も引き起こすため、低用量コルヒチン投与が推奨されています。

また、コルヒチンは他のお薬との相互作用が多く、合併症と併用薬に注意が必要です。

副腎皮質ステロイドの副作用

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 吐き気
  • 肝障害
  • 白血球減少
  • 脱毛
  • 筋肉のけいれん
  • 無精子症 など

市販薬は痛風に効くのか

薬局・ドラッグストア

痛風発作が起きたら、できるだけ早く病院へ行き、すぐに治療を開始するのが一番です。

ただし、急な痛風発作が起き、病院へすぐに行くのが難しい場合は、応急処置として市販の痛み止めを使用してかまいません。

病院では痛風発作の痛みを抑えるために非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用しますが、NSAIDsは薬局やドラッグストアでも一般用医薬品(OTC)として販売されています。

ただし、市販の一般用医薬品は病院で処方される医療用医薬品とは異なります。また、重度の痛風発作の痛みを管理するには十分でない可能性があり、その効果には個人差があることを理解しておきましょう。

痛み止めと合わせ、「刺激しない」「安静にする」「歩かない」を心がけ、患部を心臓より高い位置に固定し、アイスノンなどで冷やすと痛みを和らげることができます。

痛風の痛みを和らげる市販の痛み止め薬(NSAIDs)

服用中のお薬がある場合は薬物相互作用が起こる可能性があるため、薬局を訪れた際には、薬剤師に服用中の薬剤を伝えることが重要です。

成分名商品名
ロキソプロフェンのみロキソニンS
ロキソプロフェン錠「クニヒロ」 など
ロキソプロフェン+その他の成分ロキソニンSプラス
ロキソニンSクイック
ロキソニンSプレミアム など
イブプロフェンのみイブA錠
イブA錠EX
ノーシンピュア など
イブプロフェン+エテンザミドナロンエースT など
イブプロフェン+アセトアミノフェンバファリンプレミアム
バファリンプレミアムDX
バファリンルナi など
アセトアミノフェン+NSAIDsセデス・ハイ
セデス・ハイG
ノーシン
ナロン錠
新セデス錠 など

薬局で買える市販薬の痛み止めには、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と、そうでないものがあります。

痛風の痛みを和らげる目的で市販薬を使う場合、イブプロフェン、ロキソプロフェンを主成分とするNSAIDsを選ぶようにしてください。

医療用医薬品の「カロナール」で知られる、アセトアミノフェン成分を使用した痛み止めは抗炎症作用はほとんどなく、痛風関節炎への効果はあまり期待できません。

アセトアミノフェンを含む市販の痛み止めには「タイレノールA」「ラックル」などがあり、これらは痛風発作には効かないと考えておきましょう。

院長 藤田

市販薬を長期間使用したり、たくさん飲んだりすると副作用のリスクが高くなります。痛みが続く、または悪化する場合は医療機関を早めに受診してください。

痛風発作には使用しない方が良い市販薬

アスピリン(アセチルサリチル酸)が含まれる鎮痛薬は、尿酸値を変動させます。痛風発作中に尿酸値が上がったり下がったりすると、症状が悪化したり、発作の持続期間が長引いたりしますので、使用しないようにしてください。

アスピリン(アセチルサリチル酸)が含まれる市販の痛み止め

  • バファリンA
  • バファリンライト
  • エキセドリンA
  • ケロリン
  • バイエルアスピリン など

痛風発作が市販薬でおさまったら、病院に行く必要はない?

痛風発作時には市販の薬で痛みが楽になることがありますが、痛みが治まったとしても、病院に行かないで済むわけではありません。

痛風は長期的な管理が必要な慢性疾患であり、次の発作をおさえたり、合併症を予防するためには適切な治療が不可欠です4)

痛風がおさまったあと、病院になぜ行くべきか?

・痛風は長期間の管理が必要な病気これからの痛風の発作や、起こり得る合併症を予防するため。
・適切な診断をしてもらう痛風と似た症状の病気を見つけるため。痛風の症状は、偽痛風、敗血症性関節炎、関節リウマチなど、他の疾患と類似していることがあります。
・病院で出る薬がある市販薬だけでは痛風の痛みやはれを治すのに足りないことがあります。病院ではより効果的な薬が処方されるだけでなく、長期的な尿酸値管理のため、尿酸値を下げるお薬も処方されます。
・生活習慣を改善する痛風発作の頻度や重症度を減らすために役立つ、食生活の改善、運動、減量の指導を受けられます。
・定期的にチェックを行う尿酸値の数値や、治療効果を確認するため。
院長 藤田

痛風発作が治まり、一般用医薬品で一時的に緩和された後でも、医療機関を受診することが重要です。

薬を飲まないでも痛風は治るのか

通常、痛風発作の痛みは自然に治ります。ただし、治療をしなかった場合は、痛風発作が起きてから最初の3日間は強い痛みが続き、7日後も大半で痛みは持続すると報告されています。5)

薬を飲まず自然に痛みが治まるまでには長い時間がかかり、生活の質(QOL)を低下させます。また、痛風が起きるほど尿酸値が高い状態を放置すると、腎障害や尿路結石、脳血管障害、虚血性心疾患など重篤な合併症につながります。

痛風発作がすでに起きてしまったときは、早期に治療を開始すればするほど痛みが持続する期間が短くなりますから、病院を受診するのが一番です。

院長 藤田

一度でも痛風発作を起こしたことがある人は、放置すれば数カ月後~1年後に次の発作がまた起きます。再発させない・合併症を予防するためにも、尿酸値を下げる治療を受けましょう。食生活の見直しや軽い運動など、生活習慣の改善も重要です。

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尿酸値が高い状態を放置すると、腎障害や尿路結石、虚血性心疾患など合併症を併発しやすくなります。医師の診察のもと、尿酸値を下げる治療を受けることが大切です。

薬物治療が必要な尿酸値はどのくらいか

高尿酸血症

血液中の尿酸値が7.0mgを超えると「高尿酸血症」という名前がつきます。

高尿酸血症の治療は「①生活指導」「②薬物治療」が基本とされ、患者さんの状態に応じて生活指導だけで良いか、薬物治療が必要かどうかが判断されます。

高尿酸血症・痛風の治療指針(ガイドライン)

高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン5)による治療指針は以下のとおりです。生活指導とは、アルコールの摂取制限を含めた食事指導を指します。

■痛風関節炎(痛風発作)または痛風結節がある生活指導・薬物治療
▼痛風関節炎(痛風発作)または痛風結節はなし
├ 血清尿酸値8.0mg/dL未満生活指導
└ 血清尿酸値8.0mg/dL以上合併症※あり生活指導・薬物治療
合併症なし血清尿酸値9.0mg/dL未満生活指導
血清尿酸値9.0mg/dL以上生活指導・薬物治療
※合併症:腎障害、尿路結石、高血圧、虚血性心疾患、糖尿病、メタボリックシンドロームなど

痛風発作を起こしたことがある場合は、尿酸値を下げるお薬を開始します。治療を始めるのは発作中からではなく、発作が落ち着いてからです。尿酸値を6.0mg/dL以下にコントロールすることで発作の再発が起こりにくくなるとされています。

発作がまだ起きていない方では、血清尿酸値の数値や、合併症の有無によりどのような治療を行っていくのかが変わります。

血清尿酸値が7.0mg/dLを超える高尿酸血症であっても、8.0mg/dL未満で痛風発作を起こしたことがなければ、お薬は飲まずに生活指導のみで様子を見るのが一般的です。

痛風発作がおさまった後、尿酸値を下げるためのお薬

お薬イメージ

痛風発作後は、血中の尿酸値を下げる治療を行います。痛風の発作が起きる原因は体の中に尿酸がありすぎることですので、尿酸を排出しやすくしたり、尿酸をつくる量を少なくしたりするためのお薬を使います。

高尿酸血症には3種類のタイプがある

血中の尿酸値が高い理由は患者さんによって違います。下記3つのタイプに分類され、タイプによって使うお薬の種類が変わります。

  1. 尿酸が排泄されにくいタイプ(尿酸排泄低下型)
  2. 腎臓に尿酸がたくさんたまるタイプ(腎負荷型)※
  3. 1.2.の両方(混合型)

※腎負荷型には、尿酸がつくられすぎる「尿酸産生過剰型」と、便から尿酸が排泄されにくい「腎外排泄低下型」がある

高尿酸血症の患者さんのうち、約60%が①尿酸が排泄されにくいタイプ(尿酸排泄低下型)で、③混合型が約30%、②腎臓に尿酸がたくさんたまるタイプ(腎負荷型)は約10%となっています。5)

つまり、約90%の患者さん(①+②)は、「尿酸が排泄されにくい」ことが尿酸値の上昇に関わっていることになります。

尿酸降下薬(尿酸排泄促進剤)

尿酸の排泄をうながすお薬で、尿酸が排泄されにくいタイプ(尿酸排泄低下型)の患者さんに処方されるものです。

尿路結石を予防するため、尿をアルカリ化するお薬を併用する場合もあります。

また、尿酸降下薬を飲み始めた初期には、尿酸値が急激に下がり痛風発作を起こすことがあるため、尿酸降下薬と一緒にコルヒチンを服用して発作を予防する「コルヒチン・カバー」を行う場合があります。

プロベネシド1950年代から使われる尿酸降下剤です。腎臓からの尿酸の排泄を増加させ、血液中の尿酸濃度を低下させることで効果を発揮します。6)

[禁忌]腎臓結石の既往歴がある、腎機能障害、アスピリンやその他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)など、特定の薬剤の併用 7)

[一般的な副作用]吐き気、嘔吐、腹痛などの消化器症状や発疹、頭痛など 8)
ブコローム当初、関節リウマチの治療薬として開発・使用されていました。その後、その尿毒症作用が認められ、痛風の治療に利用されるようになりました。9)

[禁忌]肝疾患の既往歴、腎機能障害、ワルファリンなどの抗凝固剤など、特定の薬剤の併用 10)

[一般的な副作用]吐き気、嘔吐、腹痛などの消化器症状や、発疹、頭痛、めまいなど 11)
ベンズブロマロン1970年代に初めて導入され、腎臓からの尿酸の排泄を促進することにより血清尿酸値を低下させます12)。強い尿酸排泄作用をもち、日本では一番使われています。

[禁忌]肝疾患の既往歴がある、腎機能障害、ワルファリンなどの抗凝固剤など、特定の薬剤の併用 13)

[一般的な副作用]吐き気、嘔吐、腹痛などの消化器症状、発疹、頭痛、めまいなど 14)
まれに劇症肝炎など重い副作用があるため、6カ月間定期的に肝機能検査をします。
ドチヌラド2020年に処方可能となった新薬です。ベンズブロマロンとの違いは、薬物相互作用や重篤な副作用の発生率が低いことです。15)

[禁忌]腎結石または腎臓結石症の既往歴、重篤な腎障害 16)

[一般的な副作用]吐き気、下痢、腹痛などの消化器症状、発疹、頭痛、めまい 17)

通常、痛風発作中は尿酸値を変動させないほうが良いとされていますが、尿酸降下薬を服用中に痛風関節炎(痛風発作)が起きた場合は、尿酸降下薬は中止せずに痛風関節炎に対する治療を行います。

すでに尿酸降下薬を飲んでいる場合で痛風発作が起きたとき、尿酸降下薬の服用を中止しないよう注意が必要です。

尿酸生成抑制薬

尿酸がつくられすぎる尿酸生成過剰型の患者さんには、尿酸をつくる量を少なくする尿酸生成抑制薬が処方されます。

腎障害がある場合やすでに尿路結石がある場合は、尿酸降下薬ではなくこちらの尿酸生成抑制薬を使うのが一般的です。

アロプリノール1960年代より導入されているもので、尿酸の産生を抑え、血清尿酸値を低下させます。18)

[禁忌]スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症などの重篤な副作用の既往歴がある人 19)

[一般的な副作用]吐き気、嘔吐、下痢などの消化器障害20)、皮膚の発疹21)、肝障害22)、白血球減少、血小板減少、再生不良性貧血などの血液学的副作用23)
フェブキソスタット日本で発明され2011年5月~承認されたお薬で、尿酸の生成を抑え、血清尿酸値を下げ、関節やその他の組織での尿酸結晶の形成を防ぎます。24)
心血管疾患の既往歴がある場合、リスクが高まる可能性があるため、注意が必要です。25)

[禁忌]相互併用禁忌薬:メルカプトプリン水和物、アザチオプリン 5)

[一般的な副作用]肝酵素上昇26)、吐き気、下痢、腹痛27)
トピロキソスタットフェブキソスタットに続いて日本で発明された尿酸生成抑制薬。 

[禁忌]相互併用禁忌薬:メルカプトプリン水和物、アザチオプリン 5)
重度の肝障害28)

[一般的な副作用]肝機能異常、消化器症状(吐き気、下痢、腹痛など)、皮疹など29)

お薬はいつまで飲む?一生飲み続けなければいけないの?

痛風発作の痛みを和らげるためのお薬は、発作がおさまれば速やかに服用を中止します。

その後、尿酸値を下げるための薬物治療を開始するとき、「いつまでこの薬を飲み続けるのか」と不安に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

高尿酸血症の方であっても、痛風発作を起こしている以外のときは痛みは全くないため、お薬を途中でやめたり、病院に来なくなる方も多いのが実際です。

ところが、お薬を自己判断で飲むのをやめてしまうと、再発の可能性が高まり、尿酸値のコントロールが難しくなります。

痛風・高尿酸血症の治療の目的は、「尿酸値を下げ、発作の再発や合併症を防ぐ」です。尿酸値が高いままでいると、痛風だけでなく腎障害、尿路結石、高血圧症、脂質異常症の原因にもなります。

また、虚血性心疾患や脳血管生涯など、重篤な合併症もあります。

院長 藤田

お薬の服用は医師の指示に従い、長い間発作が起きていないからと、勝手に飲むのをやめてしまうことのないようにしてください。

治療を継続すべき方とは

尿酸値が高いけれども、お薬はなるべく飲みたくなく、生活習慣改善でなんとかしたいと考えられる方もたくさんいらっしゃいます。

患者さんによっては、食事や運動などの生活習慣の改善により目標尿酸値を達成・維持できる場合があり、生涯にわたるお薬の服用を必要としない方もいます。24)

実際、目標尿酸値を達成し、少なくとも5年間維持した一部の患者さんは、痛風発作の再発を経験することなくお薬を中止することができた報告があります。30)

ただし、生活習慣の改善だけでは不十分な場合は、長期または生涯にわたりお薬とのお付き合いが必要です。

米国リウマチ学会(ACR)の痛風管理ガイドラインでは、以下のいずれかに該当する患者さんは治療の継続が必要だとされています。

  • 1年に2回以上の痛風発作がある
  • 痛風による関節損傷がみられる
  • 痛風結節がある
  • ステージ2以上の慢性腎臓病
  • 尿路結石の既往歴

また、同ガイドラインでは、血清尿酸値の目標値を達成し、少なくとも1年間それを維持し、過去1年以内に痛風発作を経験しておらず、痛風結節がない場合は中止を考慮してもよいとされています。

ただし、合併症を予防するためにも定期的な血清尿酸値のモニタリングが必要です。また、痛風症状が再発した場合には再治療の可能性があります。

まとめ

痛風発作が起きたときのお薬と、その後の尿酸値を管理するためのお薬について解説しました。

急な痛風発作が起こった場合は、病院を受診し早急に治療を開始することで、痛みが継続する期間は短くなります。

応急処置として市販薬の痛み止めを使用することもできますが、アスピリン(アセチルサリチル酸)が含まれる鎮痛薬は、尿酸値を変動させるため使わないように注意してください。

一度痛風発作が起こってしまうと長い期間お薬と付き合わなければなりませんので、「尿酸値が高め」と指摘された方でまだ発作が起きていない場合は、本格的な発作が起きる前に生活習慣の改善を行いましょう。

また、合併症を予防するためにも、尿酸値が高い(7.0mg/dLを超える)高尿酸血症を放置せず、医師の診断のもとで適切な治療を受けるようにしてください。

参考文献

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3) Nuki G, Simkin PA. A concise history of gout and hyperuricemia and their treatment. Arthritis Res Ther. 2006;8 Suppl 1(Suppl 1):S1.

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5) 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版

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8) Terkeltaub, R. A. (2009). Update on gout: new therapeutic strategies and options. Nature Reviews Rheumatology, 6(1), 30-38.

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29) Hosoya, T., et al. (2016). Effects of topiroxostat on the serum urate levels and urinary albumin excretion in hyperuricemic stage 3 chronic kidney disease patients with or without gout. Clinical and Experimental Nephrology, 20(5), 772-782.

30) FitzGerald, J. D., et al. (2020). 2020 American College of Rheumatology Guideline for the Management of Gout. Arthritis Care & Research, 72(6), 744-760.

Q&A

痛風発作時に服用する薬と、尿酸値を下げる薬は別ですか?
院長 藤田

痛風発作時に服用する薬と尿酸値を下げる薬は別です。

痛風発作時に服用する薬は、発作時の痛みや炎症を緩和するための薬で、主に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、コルヒチン、または副腎皮質ステロイドが処方されます。

これらの薬は、痛風発作の症状を和らげる効果がありますが、尿酸値そのものを下げる効果はありません。

尿酸値を下げる薬は長期的な痛風治療のために処方され、尿酸生成抑制薬(アロプリノール、フェブキソスタットなど)や尿酸排泄促進薬(ベンズブロマロン、プロベネシドなど)があります。

これらの薬は、尿酸値を適切な範囲に保ち、痛風発作の再発を防ぐことを目的としています。

痛風の薬にはどのような副作用がありますか?
院長 藤田

痛風の薬には、種類によって異なる副作用があります。主な痛風治療薬の副作用は以下のとおりです。

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)胃腸障害(胃痛、胃潰瘍)、腎機能障害、頭痛、めまい、皮膚発疹など
コルヒチン下痢、吐き気、嘔吐、腹痛などの消化器症状、過剰摂取により筋肉痛や筋力低下、骨髄抑制
ステロイド長期間の使用による副作用として、体重増加、高血圧、高血糖、骨粗鬆症、皮膚の薄くなる現象、免疫力低下があります。
尿酸生成抑制薬皮膚発疹、肝機能障害、腎機能障害、消化器症状(吐き気、下痢)など
アロプリノールの場合、まれに重篤な皮膚症状(スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症)が起こることがあります。
尿酸排泄促進薬腎機能障害、皮膚発疹、肝機能障害、消化器症状(吐き気、下痢)など
痛風の薬は、どの程度の期間服用する必要がありますか?

痛風発作時の薬(非ステロイド性抗炎症薬、コルヒチン、ステロイド)は、症状が改善されるまで数日から1週間程度服用することが一般的です。

尿酸値をコントロールする薬の場合は、尿酸値を正常範囲に維持することが目的で、長期的な服用が一般的です。

痛風発作や合併症を予防するためには、医師の指示に従って継続的に服用することが重要です。

院長 藤田

尿酸値が正常範囲になった場合でも、医師の指示なしに自己判断で服用を中止しないよう注意してください。

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