
こんばんは。総合内科専門医の藤田です。
青汁の原料と言えばケール・大麦若葉・明日葉(あしたば)・桑葉(くわば)が一般的ですが、国内で販売されている青汁商品においてはケールと大麦若葉が多く使われています。
このケールと大麦若葉には、どのような違いがあるのでしょうか。
このページでわかること
- ケールと大麦若葉の特徴
- 明日葉・桑葉との違い
- 青汁商品を買う場合、どちらの原料を選ぶのがよいか
青汁は毎日飲むものですから、自分に合ったものを選びたいですよね。ぜひ商品選びの際の参考にしてみて下さい。
この記事の執筆者

藤田 英理 内科総合クリニック人形町 院長
東京大学医学部保健学科、横浜市立大学医学部を卒業。虎の門病院、稲城市立病院、JCHO東京高輪病院への勤務を経て内科総合クリニック人形町を開院。総合内科専門医。AGA治療や生活習慣病指導も行う。
ケールと大麦若葉の特徴

ケール・大麦若葉それぞれの原料としての特徴と、含まれる栄養成分を比較してみましょう。
ケールの特徴

ケールはブロッコリーやキャベツの原種といわれている野菜で、世界の国々ではサラダやスープなどに利用されています。
また、栄養価の高さから「野菜の王様」とも呼ばれるスーパーフード※です。
※スーパーフードとは
引用元:スーパーフードとは|Superfoods | 一般社団法人 日本スーパーフード協会
栄養バランスに優れ、一般的な食品より栄養価が高い食品であること。あるいは、ある一部の栄養・健康成分が突出して多く含まれる食品であること。一般的な食品とサプリメントの中間にくるような存在で、料理の食材としての用途と健康食品としての用途をあわせもつ。
とくに豊富な栄養素としてカリウム、マグネシウム、リン、葉酸、ビタミンA、ビタミンB6があります。
ケールに含まれる特有成分
- 睡眠ホルモンと呼ばれる「メラトニン」
- 強い抗酸化作用がある「ルテイン」
メラトニンは、睡眠・覚醒リズムなどを調整し、自然な眠りに誘う作用があり「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。抗酸化作用が明らかになっており、骨粗しょう症の進行抑制やアンチエイジングの効果も期待されている成分です。※1
ルテインは、緑黄色野菜に多く含まれるカロテノイドの一種です。強い抗酸化作用があり動脈硬化の予防、老化やがんの発生に対しての予防効果があると考えられています。※2
ケールの特徴を詳しく見る
大麦若葉の特徴

大麦若葉とは文字通り、大麦の実がつく前若い葉を指します。さまざまな栄養成分がバランスよく含まれ、最もポピュラーな青汁の原料として扱われています。
大麦はイネ科の植物(穀物)で、日本では麦茶の原料や麦ごはんとして親しまれ、食物繊維が豊富で鉄やビタミンC、ビタミンEが多く含まれています。
大麦若葉に含まれる特有成分
- 活性酵素の発生を抑制する「SOD酵素」
また、大麦若葉には「SOD酵素(スーパー・オキシド・ディスムターゼ酵素)」という特有成分が含まれ、余分な活性酸素の発生を抑制し、取り除く働きがあります。
SOD酵素はもともと体内に存在しますが、老化とともに活性が下がっていきます。これによりさまざまな細胞が活性酸素に攻撃されダメージを受けるので、意識して摂取するのが理想的です。
大麦若葉を詳しく見る
青汁商品としてのケールと大麦若葉の違いを比較

各青汁の原料は、商品化の過程で搾汁(さくじゅう)や添加物の添加が行われますので、原料にある特徴や含まれる栄養成分がそのまま活かされているわけではありません。
そこで以下の表では、ケールと大麦若葉が原料の青汁商品の栄養素やその他の違いについて比較してみました。なるべくわかりやすく表にしたので、当てはまらない商品もあります。
項目 | 大麦若葉 | ケール |
---|---|---|
飲みやすさ | ![]() | ![]() |
食物繊維 | ![]() | ![]() |
カリウム | ![]() | ![]() |
カルシウム | ![]() | ![]() |
鉄 | ![]() | ![]() |
β-カロテン | ![]() | ![]() |
ビタミンC | ![]() | ![]() |
飲みやすさの面ではケールは独特の青臭さと苦みがあり、好みが分かれます。
商品によっては苦みを抑えるための工夫がされ、ケールが原料の青汁商品でも飲みやすいものもありますが、多くの商品においては、その他の原料(明日葉・桑葉)と比べても一番飲みづらいのがケールです。
一方、大麦若葉はクセがなく苦みも少ないので、青汁のなかで最も飲みやすい原料です。飲み心地としては緑茶に近く、緑茶よりもやや薄い感じです。
含有成分についての特徴ですが、ケールはカルシウムとビタミンCが大麦若葉よりも多く含まれている傾向にあります。日本人のカルシウム平均摂取量は目標に足りていないという調査結果※1もあるので、積極的に摂りたい栄養素です。
対して大麦若葉は、カリウムの含有量が多い傾向にあり、鉄やβ‐カロテン、ビタミンKも豊富です。

カリウムはインゲン豆やひじき、あずきやほうれん草などにも多く含まれていますが、水洗いや煮ると流出しやすい栄養成分です。青汁を利用すると上手に摂取できます。
明日葉・桑葉との違いは?

ケールと大麦若葉は、明日葉や桑葉とどのような違いがあるのかも見ていきましょう。
100%粉末100g中に含まれる主な栄養素で比較
栄養素 | 大麦若葉 100%粉末 | ケール 100%粉末 | 明日葉 100%粉末 | 桑葉 100%粉末 |
---|---|---|---|---|
たんぱく質 | 32.6g | 21.8g | 19.7g | 18.2mg |
脂質 | 7.1g | 4.3g | 6.9g | 17.7mg |
– 食物繊維 | 41.1g | 39.9g | 44.3g | 42.5g |
– 糖質 | 7.3g | 20.2g | – | 17.7g |
ナトリウム | 310mg | 77mg | 179mg | 11mg |
カリウム | 3000mg | 1500mg | 2490mg | 1600mg |
カルシウム | 290mg | 1700mg | 1610mg | 2700mg |
マグネシウム | 160mg | 300mg | 115mg | 510mg |
鉄 | 41.6mg | 5.5mg | 15.4mg | 66.5mg |
β-カロチン | 35380㎍ | 5040㎍ | 23600㎍ | 6600㎍ |
ビタミンC | 70mg | 100mg | 46mg | 11mg |
明日葉は、滋養強壮に良いとされ「今日摘んでも明日には芽が出る」といわれるほど、生命力の強い植物です。青汁としての飲みやすさは大麦若葉には勝てませんが、やや飲みやすい原料です。
食物繊維量は4つの原料の中で最も多く含んでいるので、美容目的としての青汁商品が多い傾向にあります。
桑葉は、日本各地で栽培されてきた植物で、古くからお茶などにして親しまれています。飲みやすさはケールほどではありませんが、やや飲みづらい原料です。
カルシウムが豊富で、特有成分の作用から血糖値対策やダイエット目的としての商品が多い傾向にあります。明日葉・桑葉は「さまざまな栄養を補いたい」という目的よりも、美容や血糖値対策などの目的で使用される商品が多い傾向にあります。
どちらを選ぶ?目的別の青汁商品の紹介
実際に商品を選ぶときには、栄養成分表示に記載されている栄養素や含有量をよく見て、目的に合わせた選択が大切です。
ただ、青汁商品は本当にたくさんあるので、自身で調べて選ぶのは大変です。
そこで、以下にご自身に合った青汁選びができるよう、それぞれの青汁に向いている人をまとめてみました。ぜひ参考にしてみて下さい。
大麦若葉を原料とした青汁が向いている方
- 続けやすさ・飲みやすさを重視したい方
- 血圧や血糖値上昇が気になる方
- 落ち込んだ気分を前向きにしたい方
- 食物繊維をとりたい方
- 鉄分やさまざまな栄養をバランスよく補いたい方
大麦若葉は飲みやすく栄養バランスが良いので、青汁を初めて飲む方やケール青汁が続かなかった方などに向いています。
ケールを原料とした青汁が向いている方
- 肌の乾燥が気になる方
- 血圧が気になる方
- 脂肪・糖の吸収を減らしたい方
- お腹の脂肪が気になる方
- カルシウムを中心としたさまざまな栄養を補いたい方
ケールを原料とした青汁は、青臭さや苦みが苦にならない方に適しているでしょう。
両方の原料が使用されている青汁3選

最後に、大麦若葉とケールの両方が使用されている青汁を紹介します。
飲みやすさや栄養面を総合的に比べると、大麦若葉の青汁のほうが優れていますが、カルシウムやビタミンCは、ケール青汁のほうがたくさん含まれている商品が多い傾向にあります。
それぞれに特有成分や栄養面でのメリットがあるので『両方の良さをとり入れた青汁を選びたい。』という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで以下に、両方の原料が含まれている青汁商品からおすすめを3つ紹介します。
ドクターベジフル青汁九州産21種類の野菜を使用&添加物不使用

定期購入で1日約136円
ドクターベジフル青汁の特徴
- 大麦若葉・ケール・桑の葉を使用
- 九州産の野菜21種類を使用
- きなこ・黒糖配合で飲みやすい

甘さがあり飲みやすいので、続けやすい青汁です。良質なタンパク質である大豆も配合されていて、栄養バランスが考えられているのも良いポイントです。
血圧が高めの方の日本の青汁高めの血圧値を正常な値へと近づけるためにおすすめの青汁

機能性表示食品
血圧が高めの方の日本の青汁の特徴
- 国産の大麦若葉・ケールを使用
- 10gあたり機能性関与成分GABAを20mg配合
- ISO9001、有機JAS、健康食品GMPの認定

難消化性デキストリンを配合した国産の原料を使用した青汁です。大麦若葉・ケールのほかにも、ゴーヤとクロレラの粉末を配合しています。
おいしい充実青汁ゴクゴク飲める抹茶風味のおいしい青汁

「定期お届け便」に新しく申込みすると初回半額
血圧が高めの方の日本の青汁の特徴
- 国産大麦若葉・ケール・緑茶を使用した栄養機能食品の青汁
- 抹茶風味
- 着色料、香料、保存料すべて無添加

ゴクゴク飲める抹茶風味のおいしい青汁です。大麦若葉・ケール以外にもモロヘイヤを配合しています。
大前提として、健康的な体のためには毎日の食生活が最も重要です。さまざまな栄養成分を補える青汁ですが、摂取することにより病気が治癒または健康が増進するものではありません。
1日の摂取目安量を守り、栄養摂取の補助目的で上手に活用することがおすすめです。また、血圧や血糖に心配のある方や体調に不安がある方は、かかりつけの医師や薬剤師に相談しましょう。
参考文献(References)