こんばんは。内科総合クリニック人形町 院長の藤田です。
医療脱毛は1回で毛が完全に生えてこなくなるわけではなく何度か通う必要がありますが、脱毛1回目ではどれくらいの効果が得られるのか、気になる方も多いですよね。
この記事では、医療脱毛1回目で得られる効果や1回目を受けたあとの経過、1回目に抜けが悪いと感じた時の対処法を解説しています。
医療脱毛1回の効果を最大限に出すコツもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください!
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医療脱毛1回で効果があるのは全体の20%
「医療脱毛1回で効果があるのは、全体の毛のうち20%程度」が目安です。
なぜ1回の脱毛で20%しか脱毛できないかを見ていきましょう。
目に見えている毛は全体の20%に過ぎない
こう聞くと驚かれる方も多いかと思いますが、肌から顔を出している毛、つまり目に見えて皮膚から生えている毛は、全体のたった20%ほど。
残りの80%はというと、肌の中に埋まっている、もしくは毛が全く生えずに眠った状態にあります。
毛には1本1本に「毛周期」というものがあり、毛が生える成長期、毛が抜け落ちる準備に入る退行期、毛が抜けて毛穴を休める休止期という一連のサイクルを持っています。
まつ毛や鼻毛、身体の毛が伸び続けないのを不思議に感じる方も多いのではないでしょうか。これは、毛が毛周期にしたがって生えたり抜けたりのサイクルを繰り返しているためです。
今目に見えている毛は成長期であり、このまま伸ばし続けると退行期、休止期を経て抜け落ちていきます。
と同時に、新たな毛が成長期になり生えてくるため、脱毛しない限り常にムダ毛が生えている状態が維持されるというわけです。
医療脱毛で脱毛できるのは成長期の毛のみ
医療脱毛は、毛に含まれているメラニン色素にレーザーを反応させ脱毛する仕組み。このメラニン色素を多く含んでいるのが成長期の毛です。
医療脱毛は成長期の毛をターゲットに脱毛を行います。
一方、退行期、休止期の毛は十分なメラニン色素が含まれておらず、レーザーが反応しないため脱毛できません。
つまり、1回で脱毛できるのは
照射時に目に見えている毛=成長期の毛=全体の20%の毛
です。
ただし、個人差がある点には注意
1回の脱毛でどれくらいの効果が得られるかは、下記のような要因により左右されます。
- どれだけ成長期の毛が存在するか
- 毛質(産毛や退行期の毛が多い場合は効果を実感しにくい)
1回の医療脱毛で効果があるのは全体の20%と紹介しましたが、この数字はあくまでも目安。毛の生え方は個人差があり、成長期の毛の割合は部位によって微妙に違います。
また、成長期の毛だからといって全ての毛に脱毛効果があるというわけではありません。
これは、成長期の毛であっても「産毛」のような細くてメラニン色素を多く含まない毛はレーザーが反応せずに上手く脱毛できない場合があるためです。
また、生えている毛の中には退行期のものも含まれている可能性がありますので、1回の照射で20%の毛全てを脱毛しきるのは容易ではありません。
部位によって1回目の効果は異なる
成長期の毛の割合や、生えている毛の質は部位によってそれぞれ異なります。つまり、部位によって1回で得られる脱毛効果には差があるのです。
脱毛1回で効果を感じやすい部位・感じにくい部位は次の通りです。
- ワキ
- ひじ下
- ひざ下
- 顔
- ひじ上
- ひざ上
- うなじ
- 背中
- VIO
うぶ毛が多いところや、毛が密集しているVIOは1回目の医療脱毛で効果を実感しにくい部位です。
部位ごとの成長期の(効果がある)毛の割合
目に見えている毛(成長期の毛)は20%の割合で存在すると説明してきましたが、部位によって微妙に差があります。
下記に、部位ごとの成長期の割合をまとめました。
成長期の毛の割合(%) | 休止期の毛の割合(%) | |
---|---|---|
脇 | 20~25 | 75~80 |
腕 | 15~30 | 85~70 |
VIO | 20~30 | 70~80 |
脚 | 20~30 | 70~80 |
顔 | 65~70 | 20~35 |
・Kirby et al.J Am Acad Dermatol.1999,40(2):143-155
上の表の成長期の割合が、脱毛レーザーが狙える毛の割合です。
各部位で微妙に差があるとはいえ、平均すれば20%前後なので、やはり20%をひとつの目安にするのは有効であると分かります。
部位ごとの毛質によっても1回目の効果は異なる
顔に関しては成長期の割合が65~70%のため、脱毛1回で得られる効果が高いはずなのに、効果を感じにくいの?と疑問に思われた方もいらっしゃるかと思います。
顔の毛は成長期の割合が多いものの、産毛が多い部位でもあります。そのため、レーザーが反応しづらく脱毛効果を得にくい部分なのです。
顔だけに限らず、うなじや背中、ひじ上、ひざ上も他の部位に比べてメラニン色素が少なく細い毛が生えやすい部位です。こういった部位も、脱毛効果を感じにくい傾向にあります。
逆に、ワキやひじ下、ひざ下部分はメラニン色素を多く含む濃い毛が生えやすい部分のため、レーザーがしっかりと反応し脱毛効果を感じやすいとされています。
VIOラインは特に効果実感までに時間がかかりやすい
VIOは他の部位と成長期の割合が変わらず、毛も濃いですが、1回の効果を感じにくいとされています。
これは、VIOは「他の部位に比べて毛穴の数がとても多い」(=毛量が多い)「毛周期が長い」点が要因として挙げられます。
脱毛したての時期は脱毛効果を感じやすいですが、すぐに毛が生えてきてしまうため脱毛完了までに時間がかかってしまうのです。
医療脱毛1回目を受けたあとの経過
医療脱毛を受けたあと、すぐに毛が抜けるわけではありませんので、脱毛1回目直後は「効果があったのかな」と少し不安に思われる方もいらっしゃいますよね。
ここでは、医療脱毛1回目を受けたあとの経過について解説いたします。
脱毛後1~4週間で毛が抜け落ちる
熱破壊式脱毛器でレーザー照射を行った場合、脱毛後1~2週間ほどで毛がポロポロと抜け落ちていきます。早い方では脱毛直後から毛が抜け落ちていく方もいらっしゃいます。
これはレーザーにより毛根や毛乳頭が破壊され、毛をつなぎとめている部分が切り離されるためです。
すぐに抜け落ちる毛もありますが、ほとんどの毛はだんだんと皮膚の表面に押し出され、1~2週間ほど時間をかけて抜け落ちるようになっています。
蓄熱式脱毛方式の機械を使用した場合は、毛が抜け落ちるまでに3~4週間ほどかかります。
熱破壊式脱毛と蓄熱式脱毛方式の抜け方の違い
熱破壊式脱毛方式 | 蓄熱式脱毛方式 | |
---|---|---|
毛が抜けるまでの期間 | 1~2週間 | 3~4週間 |
特徴 | 強いパワーの熱を1ショットで照射 | 弱い熱を複数回照射 |
痛み | 感じやすい | 感じにくい |
毛が抜けた後は、ふたたび毛が生え揃う
毛が抜け落ちていくのと平行して、新しい毛がだんだんと生え揃ってきます。
これは、脱毛した毛穴から再び生えてきているわけではなく、今まで休止期として眠っていた毛穴が成長期のサイクルに入り、毛が成長しはじめているためです。
2回目の照射は、毛がしっかり生え揃ったタイミングがベスト
2回目の照射は、休止期だった毛(毛穴)が成長期に入り、生え揃う頃が最も効率よく脱毛できるタイミングとなります。
つまり、次の毛の20%が成長期を迎える頃。具体的な期間については、成長期と休止期の期間を目安にしましょう。
成長期と休止期の期間の目安
成長期の期間 | 休止期の期間 | |
---|---|---|
脇 | 4ヵ月 | 3ヵ月 |
腕 | 3~4ヵ月 | 4~5ヵ月 |
VIO | 1~2年 | 1~1年半 |
脚 | 4ヵ月 | 6ヵ月 |
顔 | 4ヵ月 | 1.5ヵ月 |
上の表を見てみると、休止期から成長期の毛になるまでワキ3ヵ月、腕4~5ヵ月、脚6ヵ月、VIO1~1年半、顔1.5ヵ月が目安となっています。
理屈から言えば、休止期が終わって、成長期に差しかるタイミングで2回目の脱毛を行えば効率よく脱毛ができます。
ただし、これはあくまでも目安であり、各周期の期間には体質や体調、環境による個人差があります。
また、全身脱毛などの施術では1度の施術で全身を行うため、部位ごとに日をずらして照射していては気が遠くなるほどの時間と労力がかかってしまいます。
そこで医療脱毛業界では2回目以降の脱毛は3~4ヵ月期間を空けるのが推奨されています(中には2ヵ月からOKなところもあります)。
例えばワキは休止期3ヵ月を経て成長期を迎えますが、成長期は4ヵ月も期間があるため、3ヵ月を過ぎてて4ヵ月目の照射となってしまったとしても、十分に成長期のタイミングに合わせられるというわけです。
VIOも他の部位と同じく3~4ヵ月頻度での脱毛が望ましい
毛周期と脱毛のタイミングから言えば、VIOは1年~1年半後に2回目の照射をするのがいいのかと思ってしまいますが、VIOも他の部位と同じく3~4ヵ月頻度での脱毛が望ましいとされています。
毛は同じように生えているように見えますが、毛周期は1本1本異なるもの。1回目の照射後に1年~1年半隔を空けてしまうと、その間に成長期になっていた毛が休止期に入ってしまう可能性があります。
一度休止期に入ってしまえばまた1年~1年半毛が生えてこないので、VIOは照射のタイミングを逃してしまうと次の毛が生えてくるまでにとても時間がかかってしまうのです。
そのため、3~4ヵ月周期で照射を続け、徐々に毛を減らしていくほうが結果として効率が良いとされています。
自己処理はしてもOK!ただし毛抜きやワックス脱毛は厳禁
脱毛照射後であっても適切な方法であれば自己処理は可能です。適切な自己処理の方法としては電気シェーバーやカミソリなど毛を抜かない脱毛方法が基本となります。
毛抜きやワックス脱毛により毛を抜くと、毛周期を狂わせてしまい、適切な脱毛ができなくなってしまうため厳禁です。
除毛クリームは毛を抜かない脱毛方法ではありますが、肌や毛穴にダメージを与えやすく、毛周期が狂う要因にもなりかねないため、おすすめできません。
肌を痛めてしまったり、肌トラブルによる色素沈着が起こったりすると、レーザー照射によるやけどを引き起こす原因にもなります。
同じように、カミソリも使い方によっては肌や毛穴にダメージを与えますので、脱毛期間中は電気シェーバーの使用がおすすめです。
医療脱毛1回目後は毛の抜け方で照射漏れをチェック
医療脱毛では、ごく稀に、脱毛部位に適切にレーザーが照射されていない「照射漏れ」が起こります。
照射漏れは脱毛後の毛の抜け方により見分けられますので、1回ごとに毛の抜け方をチェックし、照射漏れが起きていないか確認しましょう。
一列やまとまって残っている部位は照射漏れを疑う
照射漏れとは本来照射すべきだった毛(毛穴)にレーザーが当たらなかったために、毛穴が適切に破壊されずに残ってしまう状態をいいます。
照射時に打つべき箇所を飛ばしてしまった場合や、凹凸が多くレーザーが当たりづらい部位を照射する場合に起こりやすいです。
脱毛をしてからしばらくするとレーザーを照射した毛が抜けていきますが、一列だけ抜けない、一部分だけまとまった毛が抜けない場合は照射漏れの可能性があります。
照射漏れだと感じたときはすぐクリニックに連絡する
照射漏れだと感じた部分がある時には、すぐにクリニックに連絡しましょう。
時間が経ちすぎてしまうと、新しい毛が生えてきてしまい、照射漏れとの判別がつきにくくなってしまうため、なるべく早い連絡をおすすめします。
照射漏れの対応は、無料で再照射が受けられるクリニックがほとんど。ただし、照射漏れの判定は医師診察により判断されます。
すぐにクリニックに行けない場合は、カメラで気になった部位を撮影しておくと、医師が照射漏れかどうかの判断をしやすくなるでしょう。
抜けが悪かった部位は2回目の照射の際に申告する
照射漏れではないけれど、毛の抜けが悪いと感じた部位に関しては、照射出力が低すぎる場合や上手くレーザーが当たっていない可能性があります。
場合によっては、上手く毛根が破壊されていない可能性もありますので、2回目の照射の際に申告するようにしましょう。
1回の効果を最大限に出すための準備
1回の脱毛効果を最大限にするための条件は、下記の2点です。
- 成長期に合わせて脱毛を行う
- 適切な出力でのレーザー照射を行う(安全な範囲で、最大限の出力を目指す)
どちらの条件もクリニック側が行う処置のように一見思えますが、実は自分の日頃のケアや準備次第でも、この条件をクリアできます。
1回の脱毛効果を最大限に出すために、行いたい準備を下記にまとめました。
自己処理は電気シェーバーで行う
繰り返しになりますが、電気シェーバーでの自己処理は毛を抜かずに脱毛ができ、毛周期を乱す恐れがないため成長期の毛を狙った脱毛がしやすくなります。
毛抜きで毛を抜いてしまう自己処理は、毛周期が乱れる要因になるため厳禁です。
カミソリや除毛クリームなどは毛を抜く脱毛ではないものの、肌や毛穴に負担がかかりやすい脱毛方法のため、毛周期が乱れる恐れがあります。
また、肌に負担をかける脱毛は乾燥や色素沈着を引き起こし、レーザーの出力が上げられなくなってしまう可能性があります。
日頃から保湿を心がける
肌が乾燥している状態は角質層が剥がれ落ちやすくなっているため、バリア機能が低下しやすい状態でもあります。
そのような肌状態で脱毛レーザーを当ててしまうと、痛みややけどを起こす可能性があるため、レーザーの出力を下げざるを得ません。
適切な値でレーザーを照射するために、保湿をしっかりと行い、乾燥を予防しましょう。
紫外線対策をする
日焼けした肌はメラニン色素を多く含み、レーザーが毛だけでなく肌にも反応してしまう恐れがあるため、出力を下げて照射する必要があります。
適切な出力で照射するためには、日焼けも厳禁です。肌は約28日で生まれ変わるとされていますので、最低でも照射日の1ヵ月前からは特に日焼けに気を付けるようにしましょう。
1回の脱毛では劇的な効果は実感できませんが、2回目・3回目と続けると徐々に毛量が減り、ムダ毛が目立たなくなっていきます。焦らず正しいタイミングで通院を重ねていきましょう!
参考文献
- 被毛と毛周期に関する基礎知識 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan/15/2/15_104/_pdf
- Fuchs M. Thermokinetic selectivity-a new highly effective method for permanent hair removal:experience with the LPIR alexandrite laser. Derm Prakt Dermato1.1997;5:1-7.
- Kirby et al.J Am Acad Dermatol.1999,40(2):143-155
- 脱毛 [hair loss、 alopecia、 depilation]化粧品用語集 | ライブラリー | 日本化粧品技術者会 SCCJ https://www.sccj-ifscc.com/library/glossary_detail/1018
- 皮膚病治療情報・皮膚科教科書 あたらしい皮膚科学 第3版 https://shimizuderm.com/textbook03/pdf/1-08.pdf
- 第118回日本皮膚科総会⑨教育講演資料 http://medical.radionikkei.jp/maruho_hifuka/maruho_hifuka_pdf/maruho_hifuka-200113.pdf