- 頭皮が乾燥する理由はバリア機能が弱まるため
- バリア機能が低下する原因は生活習慣の場合が多い
- バリア機能を保つ生活習慣を送るための3つのポイント
- 頭皮の乾燥防ぐ保湿アイテムを取り入れよう
こんにちは。
今回のテーマは、「頭皮が乾燥する理由と原因、水分のうるおいを保つための対策」についてです。
頭がかゆいなど、不快な症状に悩まされていませんか?
それは、頭皮の乾燥が原因と考えられます。
つらい症状から解放されるには、根本的な原因を知ったうえで乾燥予防や保湿対策を実施することがポイントです。
そこで当記事では、
- なぜ頭皮は乾燥するのか
- うるおいを保つためにどのような対策があるか
について説明します。
この記事の執筆者

藤田 英理 内科総合クリニック人形町 院長
東京大学医学部保健学科、横浜市立大学医学部を卒業。虎の門病院、稲城市立病院、JCHO東京高輪病院への勤務を経て内科総合クリニック人形町を開院。総合内科専門医。AGA治療や生活習慣病指導も行う。
頭皮が乾燥する理由はバリア機能が弱まるため



そうでなければ、頭皮のバリア機能が低下している可能性が高いです。

解説いたします
私達の頭皮は、表皮に覆われています。
表皮の最上部にあるのが角層細胞の列が幾重にも重なった角層で、皮脂膜や細胞間脂質など水分と皮脂からできた「うるおい成分」で満たされています。
この「うるおい成分」が、皮膚をまもるバリア機能です。
バリア機能には、
- 水分を適度に保ち皮膚の乾燥を防ぐ
- 外部からの異物の侵入を防ぐ
働きがあります。
角層細胞は一定のサイクルで生まれ変わっていますが、これがターンオーバーです。健康な頭皮ではおよそ28日ごとにターンオーバーが起こります。
ところが、何らかの理由によってターンオーバーの調子が乱れると、皮脂量が減るなど水分と皮脂のバランスが崩れます。
そうすると、角層のうるおい成分が減少し頭皮は乾燥します。
頭皮が乾燥するということは、頭皮は
- 炎症が起きやすい
- 古い角層細胞とともに未熟な角層細胞も剥がれ落ちる
- 血行不良になりやすい
という状態であるといえます。
つまり
- 頭がかゆい
- フケが増えた
- 髪が抜けるようになった
といった症状が現れるようになります。
バリア機能が低下する原因は生活習慣の場合が多い


これも頭皮のバリア機能が弱っているということですか?

ふきだし set=”AGAでお悩みの方”]なぜ弱ってしまったのでしょうか?[/ふきだし]


解説いたします
バリア機能を弱める生活習慣には、以下の要因が挙げられます。
- 洗浄力の強いシャンプー剤と間違った洗髪方法
- 髪の乾かし方(ドライヤー・自然乾燥)
- 冷暖房の長時間使用
- ストレス
- 偏った食生活
各要因について、詳しく見てみましょう。
①洗浄力の強いシャンプー剤と間違った洗髪方法
洗浄力の強いシャンプー剤は、汚れとともにバリア機能に必要な皮脂まで洗い流してしまいます。バリア機能が低下すると頭皮は紫外線など外からの刺激を直接受け、乾燥しやすくなります。
また、間違った洗髪方法も頭皮の乾燥を招きます。頭皮をゴシゴシとこするように洗うと、頭皮が傷つき炎症を引き起こすことがあります。
そうすると、炎症が起きる→頭皮がかゆくなる→頭皮をかく→頭皮が傷つきさらに炎症する→またかく、といった悪循環に陥りますので注意が必要です。
②髪の乾かし方(ドライヤー・自然乾燥)
ドライヤーを長時間使い続けると、頭皮の水分が奪われ乾燥するリスクが高まります。
反対にドライヤーを使わず髪を自然乾燥すると、頭皮が濡れた状態が続くことによって雑菌が繁殖しやすくなります(繁殖した雑菌はターンオーバーを乱し、頭皮の乾燥を招きます)。
つまり、ドライヤーを正しく使うことが乾燥を防ぐ髪の乾かし方といえるでしょう。
③冷暖房の長時間使用
冷暖房を長時間使用し続けると、室内の湿度が低下し空気が乾燥します。そこに長時間過ごす場合、頭皮も水分を奪われて乾燥しやすくなります。
特に冬は室内外どちらの空気もカラカラしているので、頭皮の乾燥が進みがちです。
④ストレス
ストレスがたまると、自律神経のバランスが乱れます。これは、ストレスによって交感神経が過剰に働いてしまうためです。
休息を促す副交感神経の活動が弱まることによって頭皮は血行不良になりやすく、その結果ターンオーバーが乱れます。
⑤偏った食生活
油や塩分の多い偏った食事も、頭皮のターンオーバーを乱す要因となります。
- ファーストフード
- 外食(コンビニ弁当を含む)
- スナック菓子
- インスタント食品
- 揚げ物
など、口にする機会が多い人は注意しましょう。
バリア機能を保つ生活習慣を送るための3つのポイント


どうしたら改善できるのでしょうか?


解説いたします
バリア機能を正常に保つ生活習慣として、以下3つの方法が挙げられます。
- 髪にやさしいシャンプーを使って正しく洗う
- ビタミン摂取を意識した食事を心がける
- 自律神経のバランスを整える
①髪にやさしいシャンプーを使って正しく洗う
頭皮の乾燥がおさまらないのなら、シャンプー剤を変えてみましょう。特に男性用のシャンプー剤は、整髪料を落とす前提の商品が多く洗浄力が強い傾向にあります。
頭皮にやさしいシャンプーは
- アミノ酸系シャンプー
- スカルプシャンプー
- せっけん系シャンプー
などです。
髪の洗い方も頭皮の乾燥に影響を与えますので、これを機会に見直しましょう。
- シャワーの温度はぬるま湯がベスト
- シャンプー剤は手に適量とってから、頭全体に広げる
- 頭皮をゴシゴシこすらない。指の腹を使って頭全体を揉むように動かす
- シャンプー剤が残ると頭皮が乾燥する可能性が高まる。シャンプー後はよくすすぐ
洗った髪は、ドライヤーで乾かします。その際
- ドライヤーを頭から10cmほど離す
- 同じ箇所に長時間あてない
点に気をつけましょう。
②ビタミン摂取を意識した食事を心がける
頭皮の乾燥を防ぐには、偏食をやめて健康な頭皮づくりに必要な栄養をとることです。
まずは、偏食の原因となる食べ物の摂取を減らしましょう。
例えば揚げ物を毎日食べていたら、週4回、次は週3回、というふうに少しずつ減らしていきます。その代わりに、ヘルシーな食事を取り入れましょう。
頭皮の乾燥を防ぐために特に摂取したいのが、ビタミン類です。
ターンオーバーの促進や血行不良改善によいとされるビタミンについて、一覧にまとめました。
ビタミン分類 | 不足によって起きること | 多く含む食品 |
---|---|---|
ビタミンA | 皮膚のターンオーバーが乱れる | にんじん、かぼちゃ、小松菜、 うなぎ、卵、牛乳など |
ビタミンB群 | 代謝が落ちる | 豆製品、卵、レバー、にんにく、鶏肉など |
ビタミンC | コラーゲンが不足する | ブロッコリー、パセリ、いちご、じゃがいも、れんこんなど |
ビタミンE | 血行不良になりやすい | アーモンド、ヘーゼルナッツ、うなぎ、ほうれん草など |
③自律神経のバランスを整える
自律神経のバランスを整えるために必要なのは
- 質の高い睡眠
- 適度な運動
です。
睡眠と運動によって交感神経の活動を抑え、ストレスをやわらげることが期待できます。
睡眠時間は1日最低でも6時間は確保しましょう。そのうえで
- 寝る前にスマホなどの画面は見ない
- 夕食は寝る3時間前に済ませる
- 寝る前に軽いストレッチを取り入れる
など、眠りやすい環境を整えます。
適度な運動とは、「体を動かすと楽しい」と思えるような運動と考えてよいでしょう。
体を動かすと朗らかな気持ちになることがありますが、これはセロトニンが分泌されるためです。セロトニンは、いわゆる「幸せホルモン」のことで、自律神経のバランスを整える働きがあります。
楽しいと感じられる運動は、人それぞれです。何も思い浮かばないという場合は、1日20分程度歩くことから始めるとよいでしょう。
頭皮の乾燥防ぐ保湿アイテムを取り入れよう




解説いたします
市販されている保湿アイテムには、大きく分けて
- ヘアローション
- ヘアオイル
- 育毛剤
があります。
各アイテムについて、詳しく見てみましょう。
ヘアローション
保湿成分の働きで、頭皮のうるおいを保ちます。乾燥予防目的で使用する場合は、頭皮への刺激を考えてアルコールフリーまたは殺菌成分なしのものを選びましょう。
ヘアローションを使うタイミングは、お風呂上がりもしくはドライヤーを使用する前。適量を手にとって頭皮全体に伸ばします。
この時頭皮マッサージをしながら行うと、成分が浸透しやすくなるだけでなく、頭皮の血行を促す効果も期待できますよ。
ヘアオイル
ヘアオイルは、頭皮の保湿のほかに
- 頭皮マッサージに使える
- ドライヤーの熱から髪をまもる
- 髪のボリュームを抑える
といった役割も果たす、万能アイテムです。
おすすめは、椿油やホホバオイルなど天然の素材を生かした植物性オイル。オレイン酸など皮脂に近い成分を多く含むといわれています。ただし、つけ過ぎると皮脂過剰になる可能性がありますので、注意が必要です。
ベタつきが気になる場合は、さらっとした質感のものを選びましょう。
育毛剤
育毛剤の中には、頭皮の乾燥を防ぐ効果が期待できるものもあります。頭皮の乾燥に加えて抜け毛予防もしたいというのなら、育毛剤の使用を検討するとよいでしょう。
その際、セラミドやヒアルロン酸など、保湿成分が配合されているものを選ぶことがポイントです。
まとめ
頭皮が乾燥する原因から乾燥予防方法まで解説しました。
ここで、当記事の要点を簡単にまとめます。
- 頭皮が乾燥するのは、ターンオーバーが乱れるため
- ターンオーバーが乱れる原因は、生活習慣にあり
- ターンオーバーを整えるには、頭皮に良い生活習慣を送る
- 頭皮の乾燥予防には、頭皮向けの保湿アイテムを使うのもよし
もともと乾燥肌の人もいますが、頭皮の乾燥は多くの場合生活習慣が大きく影響しています。
ビタミンの多い食事・十分な睡眠・適度な運動を取り入れることが、ターンオーバーを整えて乾燥を防ぐことにつながります。
頭皮の乾燥が改善されれば、かゆみやフケといった症状もやわらぐはずです。頭皮の乾燥からくる不快な症状から解放されて、快適な毎日を過ごしましょう。