t-フラバノンの効果と副作用について

育毛剤成分の一つである、t-フラバノン。t-フラバノンは、比較的お財布に優しい育毛剤などの使用されています。

しかし、「やっぱり高いものを使った方がしっかりと効果もあるのか？」など、安い育毛剤成分は効果がないのではないかと、不安になってしまう方は多くいらっしゃると思います。

そこで今回は、t-フラバノンへの期待や働き方について解説します。

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t-フラバノンの働き方

t-フラバノンの開発は花王が時間や費用をかけて行った

t-フラバノンは洗剤等で有名な花王が開発した成分です。

花王は2000以上の生薬を所持しており、その中から西洋オトギリソウという生薬が毛髪の元となる毛母細胞を増殖促進する高い作用を持っていることを発見しました。

その西洋オトギリソウの中で、効果を示していたのが、アスチルビンという成分でした。

このアスチルビンをより安全性が高く、効果があるものに合成や検証をしてくられたのが、t-フラバノンです。このようにt-フラバノンは花王の努力の結晶なのです。

t-フラバノンの作用メカニズム

毛髪は、成長→休止→脱毛→発生を繰り返しており、正常な人では、成長期の髪が全体の85-90%とされています。脱毛した後にも新しい毛が生えてきますので、常に一定の髪の毛が維持されます。

AGAが進んでしまう理由の一つとして、TGF-βというタンパク質が毛母細胞に作用して、分裂や増殖を抑制し、髪の成長を押さえてしまいます。

t-フラバノンは、TGF-βの活性を抑制することで、ヘアサイクルが成長期を維持できるように働くと考えられています。

毛髪の成長期を保つために、進行期への移行を抑える

細胞を使用した実験で、t-フラバノンの効果が確認されています。

毛乳頭細胞と毛根の細胞と同様の性質を持つとされる表皮細胞を一緒に培養し、そこにt-フラバノンを加えて、放出された活性型のTGF-β量を解析するという実験です。

その結果、t-フラバノンを加えることにより、TGF-βの産生が抑制されたという結果でした。

毛母細胞を活性化し、毛母細胞の分裂や増殖を促す

毛母細胞を用意して、t-フラバノンを加えた場合と加えなかった場合では、t-フラバノンを加えた場合の方が、毛母細胞が増えたことが報告されています。

また、毛根に対してt-フラバノンを加えた場合と加えなかった場合を比較すると、加えた場合の方が毛の成長がより早いことがわかりました。

髪を抜けにくくするために、接着分子を増やす

ヒトで行われた試験では、男性型脱毛の方に1日2回 30週間 t-フラバノンを使用した場合に、髪の毛を抜くのに必要な力が変化するかを検討した試験です。

t-フラバノンを使った人では、使っていない人よりも髪の毛を抜くためより大きな力が必要であったという結果でした。
つまり、t-フラバノンを使用すると髪の毛が抜けにくくなると考えられています。

以上、t-フラバノンの働き方をまとめますと、髪の成長期を保つ、毛母細胞を増やす、抜け毛を増やす　とされています。

t-フラバノンの正体は？

t-フラバノンは花王が開発した物質

t-フラバノンは、日本のメーカーである花王が開発しました。

正式名称は、トランス－3,4’－ジメチル－3－ヒドロキシフラバノンです。西洋オトギリソウという生薬の中にあるアスチルビンという成分をより安全に変化させたものです。

花王が開発し、花王の製品のみでしか使われていません。そのため、多くの情報はありませんが、飲まずに使う場合には安全に使用可能と考えられています。

t-フラバノンの効果

t-フラバノンの効果は臨床試験で確認されている

t-フラバノンの男性型脱毛症への有用性に関して、3つの臨床試験が行われています。

臨床試験その1

t-フラバノン配合育毛剤を用いた、14名の男性被験者を対象とした比較の試験です。

この試験では毛髪の太さが太くなったことが報告されています。特に新しい毛の太さが平均で試験開始時と比較して約20%増大していたという結果でした。

また、外用 4カ月後と 6カ月後に抜け毛の数が20%以下に減少し、プラセボでは変化がなかったという結果でした。

以上の試験からは、髪の毛が太くなり、抜け毛が減ったという結果でした。

臨床試験その2

t-フラバノン配合の育毛剤と市販育毛剤(成分は不明)、プラセボ（偽薬）を用いた試験で、197 名の男性が参加した比較試験です。

軽度改善以上の改善率は、t-フラバノン配合育毛剤群は 53.1%であり、市販育毛剤群は34.8%で、プラセボ群は17.9%であったと報告されています。

t-フラバノン配合の育毛剤と市販育毛剤はプラセボよりも脱毛改善効果を示したとされています。

また、毛の髪の太さは40 μm以上の硬い毛の数は、t-フラバノン配合育毛剤や市販育毛剤群では増加しましたが、プラセボでは減少したという結果でした。

以上の試験からは、t-フラバノン配合育毛剤群は何もしないよりも脱毛改善効果があり、硬い毛の数も増加したという報告でした。

臨床試験その3

77名の脱毛症に困っている男性を対象に行われた臨床試験です。

0.1%および0.3% t-フラバノン配合育毛剤、プラセボ（偽薬）を用いた比較試験において、軽度改善以上の改善率は、プラセボでは約40%、0.1% t-フラバノン配合育毛剤群は約75%、0.3% t-フラバノン配合育毛剤は約70%であったという結果でした。

以上の結果から、t-フラバノン配合育毛剤はプラセボよりも改善効果が見られるという結果でありました。

男性型脱毛症にはt-フラバノンの外用剤がガイドラインで推奨されている

今までご紹介した臨床試験の結果から、男性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版では、「男性型脱毛症には、t-フラバノンの外用を行っても良い」とされています。

以上、t-フラバノンの外用は様々な試験で効果が確認されています。効果の期待ができる成分の1つだと言えます。

医薬部外品とは？

薬というものは医薬品とされています。これは病気を治療するために使用されるものです。t-フラバノンは医薬部外品というものに該当します。

この医薬部外品は、厚生労働省が許可した効果・効能に有効な成分が、一定の濃度で配合されているということを意味しています。

すなわち、化粧品に近いイメージですが、効果を示す有効成分が入っているということになり、その効果を厚生労働省が認めていることとなります。

一方、育毛剤や発毛剤の中には、医薬部外品でもないものもたくさんあります。この区分の違いは、しっかりと理解しておきたいですね。

t-フラバノンの副作用

効果の部分で紹介した臨床試験で、安全性についても調べられています。

t-フラバノン配合育毛剤が原因と考えられる副作用は特になかったとされています。もちろん塗り薬を塗るので、体に合わなくて発疹が出たりすることは0ではないです。

しかし、これは保湿剤を新しく塗るときも注意が必要です。つまり、t-フラバノン配合育毛剤の副作用はアレルギーが中心で、それも心配がいらない程度だと考えられます。

t-フラバノンにかかる費用

t-フラバノン配合育毛剤は1日あたりの価格が100円もせずに、コストパフォーマンスが高いと考えられています。

特に若い方ですと、効果な発毛・育毛剤は使用しづらいと思います。t-フラバノン配合育毛剤は若い方のお財布には優しいと考えられます。

まとめ

今回は、t-フラバノンの効果や副作用についてご紹介しました。

t-フラバノンは臨床試験で発毛や育毛が期待され、発毛や育毛の専門家がみるガイドラインでも使用を考慮して良いとされています。

臨床試験で報告された副作用はアレルギー程度であり、安全に使うことができるのではないかと思います。