M字はげかどうかは基準を知ることから!M字に薄くなる原因と対策についても解説

この記事に書いてあること
  • 覚えておきたいM字はげの基準3種
  • 考えられるM字はげの原因は2つ。特にAGAが有力
  • 原因別M字はげ対策
  • M字はげの治療方法について覚えておきたいこと

こんにちは。

今回のテーマは「M字はげの基準と原因、そして対策」です。

鏡に映る額を見ながら、「これってM字はげかも…」と、不安になっている人も多いのではないでしょうか。

「M字はげ」は医学的用語ではありませんが、正面から見るとちょうどM字のように生え際が後退していることからそう呼ばれています。

生え際がM字に見えても、必ずはげというわけではなく、以下のような原因も考えられます。

  • 単なる気のせい
  • 生まれつき

そこで当記事では、M字はげの基準について分かりやすく説明します。

生え際が薄くなる原因や対策についてもご紹介しますので、今後の参考にしてください。

この記事の執筆者

内科総合クリニック人形町 院長 藤田 英理(総合内科専門医)

藤田 英理 内科総合クリニック人形町 院長

東京大学医学部保健学科、横浜市立大学医学部を卒業。虎の門病院、稲城市立病院、JCHO東京高輪病院への勤務を経て内科総合クリニック人形町を開院。総合内科専門医。AGA治療や生活習慣病指導も行う。

所属:日本内科学会日本動脈硬化学会日本頭痛学会

医師略歴・プロフィールはこちら

目次

覚えておきたいM字はげの基準3種

AGAでお悩みの方
M字はげかどうか知りたいです。基準みたいなのはあるのでしょうか?
院長 藤田
はい。あくまでも目安ですが、自分で簡単にチェックできるものもありますよ。

院長 藤田

解説いたします

M字はげかそうでないかの間に、はっきりとした境界線はありません。しかし、M字はげかどうかの基準として、以下のチェック方法がよく知られています。

  • ハミルトン・ノーウッド分類
  • 指を使ったチェック方法
  • 生え際の中央から左右の生え際をチェックする方法

それぞれの方法について見てみましょう。

「ハミルトン・ノーウッド分類」を使ったM字はげ判断方法

ハミルトン・ノーウッド分類とは、AGA(男性型脱毛症)を9つのパターンに分けた分類法のこと。

9つのパターンについての説明は割愛しますが、M字はげかどうかは以下の手順で判断されます。

  1. 耳の上部から頭頂部に向けて真っすぐ線を引く
  2. 生え際の最終ラインから頭頂部に向けて線を引く
  3. ①と②の距離を測定する
  4. ③の結果が2cm以内の場合は、AGAによるM字はげと判断される

自分ですると面倒な方法かもしれませんが、M字はげの判断にハミルトン・ノーウッド分類を用いているクリニックも多いので、覚えておくと便利ですよ。

額のシワと生え際の距離を測定する方法

自分の指を使ってチェックする方法です。鏡を用意し、次の手順で調べてみましょう。

  1. 目を見開く(額にシワができます)
  2. 一番上のシワに、人差し指と中指を添える
  3. 生え際までの距離が指2本分以上離れている場合は、M字はげの可能性がある

簡易的な方法ですが、「M字はげなのだろうか」という疑問をサクッと解消したい時に役立ちます。

M字型の剃りこみがあるかどうか確認する方法

以下の手順で、生え際の中央から左右の生え際をチェックする方法もあります。

  1. 髪の毛を上げて、おでこの写真を撮る
  2. 左右の生え際をチェックする
  3. 生え際の中央よりも②が後退していれば、M字はげの可能性がある

②の際、生え際の中央に定規など直線のものを当てると、左右の生え際が中央より後退しているかどうか一目で分かります。

生まれつき”M字” の人もいる

「左右の剃りこみが深い」と言っても、必ずM字はげとは限りません。生まれつきという人もいるからです。

では、生まれつきかそうでないかの見分け方ですが、以下のような場合は「生まれつきM字の可能性が高い」と考えてよいでしょう。

  1. 左右の生え際がツルツルではなく、産毛がある程度の量生えている
  2. 剃りこみの深さが以前とほとんど変わらない

考えられるM字はげの原因2つ!特にAGAが有力

AGAでお悩みの方
M字はげっぽいかなと思いますが、まだ20代なので違いますよね?
院長 藤田
M字はげの原因は、年齢とはあまり関係ありません。若いからはげではない、と結論づけるのは早計です。

院長 藤田

解説いたします

M字はげの主な原因は以下の2つ。

  • AGA
  • 牽引(けんいん)性脱毛症

それでは、上記の原因についてそれぞれ詳しく見てみましょう。

AGAが発症していた

AGAは脱毛症の一種で、生え際やつむじが薄くなるという特徴があります。ジヒドテストステロン(DHT)という男性ホルモンが影響していて、20代でも発症します。

DHTは、男性ホルモンの1つであるテストステロンと5αリダクターゼという酵素によって作られます。

生成されたDHTが毛乳頭細胞にある男性ホルモンレセプター(受容体)に取り込まれると、脱毛因子TGF-βが発生します。TGF-βは髪の毛の成長を阻害し、時に薄毛を引き起こします。

ではなぜ、AGAは部分的に毛が薄くなるのでしょうか。

それは、5αリダクターゼが生え際やつむじに多く存在しているからです。5αリダクターゼの分泌が活発になればなるほどDHTも多くなり、部分的に薄くなります。

DHTを取り込む受容体の感度が高ければ、その傾向はなおさら強まるでしょう。

牽引性脱毛症だった

髪を引っ張り続けると、毛が抜けて生え際が目立つようになることがあります。これを、「牽引脱毛症」と呼びます。

カチューシャで前髪を上げることが日課になっていたり、毎日のようにヘアゴムで髪をしばったりしていないでしょうか?

これらはM字はげの原因になることがありますので、注意が必要です。

遺伝もM字はげに関係していることも

遺伝をM字はげの原因としてカウントしなかったのは、AGAを引き起こすきっかけの1つと考えているからです。

5αリダクターゼの活性度が高い人は薄毛になりやすいですが、この活性度は親から受け継ぎます。また、男性ホルモンレセプターの感度の高さは、隔世遺伝の可能性があります。もし家族に薄毛の人がいる場合は、AGAを疑った方がよいでしょう。

原因別にM字はげの2つの対策方法をご紹介

AGAでお悩みの方
M字はげになった場合、どうしたらいいですか?
院長 藤田
とりあえず、自分でできることをやってみましょう。

院長 藤田

解説いたします

  1. 牽引脱毛症が原因の場合は、髪の扱い方に気をつける
  2. AGAが原因の場合は、生活の見直しと専門家に相談することがポイント

牽引性脱毛症によるM字はげの対策

牽引性脱毛症によるM字はげは、以下の方法で改善が期待できるでしょう。

  • 毎日同じ髪型にしない
  • 髪の毛をしばったり、ひっつめたりすることをしばらく避ける

AGAによるM字はげの対策

一方で、AGAの場合は、以下の3つの方法を実践することがおすすめです。

  • M字はげかもしれないと疑問を抱いた時点で専門医に相談する
  • 生活習慣の改善等、髪に良い生活を送る

AGAは進行性の脱毛症です。

たとえAGAが原因でなくても、また単なる気のせいだったとしても、気になった時点で専門医に相談し、早期に治療を開始するのがベストなのです。

それと同時に実施してほしいのが、髪に良い生活を送ることです。

  • タンパク質・ミネラル・ビタミンといった栄養素を意識した食事(髪の毛に必要な栄養素を摂取する)
  • 適度な睡眠時間(成長ホルモンの分泌を促す)
  • 目・まゆ毛の周りのツボ押しや、頭皮マッサージ(血行を良くして髪の毛に必要な栄養を届ける)

などが、挙げられるでしょう。

育毛剤は使うべき?の疑問にお答えします

育毛剤の使用をおすすめすることは難しい、というのが本音ですなぜなら、使用する商品や症状によって効果に差が出るからです。

日本皮膚学会によりますと、育毛剤を使った人の中で症状が改善したのは、全体のおよそ3割ということです。気になる商品がある場合は、期限を決めて使うとよいかもしれません。

必要であれば本格的な治療を受けることがベターですが、その方法について次の章でご紹介します。

M字はげの治療方法について覚えておきたいこと

若ハゲ 診断基準

AGAでお悩みの方
M字はげの治療は、どこで受ければいいのでしょうか?
院長 藤田
皮膚科またはヘアクリニックです。

院長 藤田

解説いたします

  • AGAの治療は早めに始めるのがカギ
  • 治療先は皮膚科または専門クリニック
  • 症状などによって治療方法は異なる

M字はげかな?と思ったら、専門医による治療の検討を始めましょう。AGAを放っておくと抜け毛が進み、はげの範囲が広がります。

M字はげの治療は、皮膚科またはヘアクリニックで可能です。しかし、以下の点にご注意ください。

  • 皮膚科は多くあるので通いやすいが、AGAの専門医にあたるとは限らない
  • ヘアクリニックは専門的な治療を受けられるが、住んでいる場所によっては通院が困難

上記のように通院には、それぞれメリットとデメリットがあります。

皮膚科での診察やクリニックの無料相談などを利用してAGA診断してもらい、それから治療先を決めてもよいでしょう。

AGA治療について

AGAの治療は、大きく以下の4つに分けられます。

治療目的治療薬
①内服薬抜け毛の発生を予防する・フィナステリド
・デュタステリド
②外用薬発毛を促す・ミノキシジル
③注入薬頭皮に薬剤を注入して毛母細胞を増やす(メソセラピー)・ミノキシジル、成長因子、亜鉛などの栄養素を混ぜたもの
④自毛植毛健康な毛を薄毛部分に植え替える

多くの場合は、①から始めて様子を見ます。それで効果が見られなかったら②へ、というふうに徐々に難易度の高い治療方法に変えていきます。

進行すると治療が難しくなりますので、必然的に難易度の高い治療を受けることになるでしょう。

「①内服薬治療」と「③注入薬治療」に関してだけ、留意すべき点がありますので、以下で詳しく解説いたします。

留意点1.内服薬治療は積極的に推奨されていない

内服薬には、上記に紹介したものの他に飲むタイプのミノキシジル(ミノタブ)があります。

このミノタブは発毛効果が期待できますが、積極的に推奨されていないのが現状です。その理由として、以下の点が挙げられます。

  • 未認可薬であること
  • 正規薬が存在しない(世界的に医薬品として認可されていないため)
  • 心臓など循環器系に強い負担がかかる

留意点2.注入薬治療は場合によっては行わない方が良いとされることも

日本皮膚科学会のガイドラインでは、各治療方法について推奨度を設定しています。

治療方法についての推奨度
  • ①は「行うよう強くすすめる」
  • ②は「行うよう強くすすめる~行うようすすめる」
  • ③は「行わない方がよい」
  • ④は「行うようすすめる」


③は「行わない方がよい」ですが、これは注入薬による治療は、臨床試験において「有効なエビデンスがない」と判断されているからです。

ミノタブにしてもメソセラピーにしても、完全に否定するわけではありません。ここで言いたいのは、留意点を踏まえたうえで、治療に取り入れるかどうか専門医と相談しながら決める慎重さが必要ということです。

まとめ

M字はげの基準と、M字に薄くなってしまう原因と対策について解説しました。

最後に本記事のポイントをまとめておきます。

  • M字はげの基準は、左右の生え際がどの程度後退しているかで見極める
  • M字はげになる原因はAGAまたは牽引性脱毛症
  • AGAによるM字はげの場合は早めに治療を受けるのが最善策

AGAによるM字はげの場合、進行していく点に恐怖を覚えるかもしれません。

しかし、AGAは薬で症状の改善が期待できる脱毛症です。「生え際の後退は必ず防げる」と信じて、治療に取り組んでいきましょう。

参考文献

・日本皮膚科学会(男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版)
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf

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