- 市販発毛剤は成分の優劣がないため単純に価格差で選んでOK
- 市販品でフサフサになるのは10人に1人というのが現実
- ジェネリックはコストコでのみ取り扱っているがいつも品切れ
- クリニックで入手できる「医療用」は成分が濃いのに価格は逆に安い
- フィナステリド入りのミノキシジル外用薬 New!
ミノキシジル外用薬は、厚生労働省から正式に「発毛剤と名乗ってよし」と認可を受けた第一類医薬品です。
1999年6月に大正製薬リアップが発売され、20年が経過して特許が切れた2018年にスカルプDメディカルミノキ5(アンファー)とリグロEX5(ロート製薬)が販売開始され、現在20商品近くが市場に出回っています。
しかし、あなたに実際に手にとってほしいのはこれら市販の発毛剤ではなく、医療用の発毛剤(ミノキジジル外用薬)です。なぜなら、医療用のほうが成分濃度が高く発毛効果が必然的に期待できる上に、価格も安いからです。
ここから先は、脱毛予防成分フィナステリドがW配合された「夢の医療用発毛剤」を含めて解説していきます。
この記事の執筆者
藤田 英理 内科総合クリニック人形町 院長
東京大学医学部保健学科、横浜市立大学医学部を卒業。虎の門病院、稲城市立病院、JCHO東京高輪病院への勤務を経て内科総合クリニック人形町を開院。総合内科専門医。AGA治療や生活習慣病指導も行う。
市販発毛剤は成分の優劣がないため単純に価格差で選んでOK
藤田先生、ミノキシジルを主成分とした育毛剤(以降、発毛剤)は3商品が市販されていますが、どれを買えば良いのでしょうか?
この3商品はほぼまったく同じ成分で構成されていますので、身近で手に入る中で一番安い商品を買えばいいと思います。
解説いたします
現在市販されている発毛剤(=ミノキシジル外用薬)のどれを選べばいいかという質問を受けることがありますが、決まって私は「一番安いものを選べば良いのでは?」と答えています。
理由は、これら3商品は全て「同容量・同成分・同濃度」、つまり「ほぼ同じ商品」だからです。ほぼ同じ商品ならわざわざ高いものを買う理由はありませんよね。
各商品の価格は下記の記事で詳細に解説していますので参考にして下さい。
価格差は3,000円ほどありますので、一番安い発毛剤を選んで何も問題ないと思います。国内で製造されたジェネリック医薬品ですので品質面での心配は一切ありませんので。
市販品でフサフサになるのは10人に1人というのが現実
「発毛剤」ということで売り出している商品を使って、本当に髪の毛は生えてくるのでしょうか?
「生える」の定義によりますね。「わずか」を含めるならほとんどの人が生えると思いますが、「フサフサ」となると10人に1人程度ですので、9割の人は使用感に不満を覚えるのが現状です。
解説いたします
ミノキシジル外用薬を使用して、いわゆる「フサフサ」に近いところまで発毛することを「著明改善」と言いますが、どれくらいの人が市販発毛剤で著明改善しているのか気になると思いますのでデータをお見せします。
下記のリンク先の記事は発毛剤リアップの臨床データです。
https://brand.taisho.co.jp/contents/riup/219/
リアップで著明改善した人(フサフサに復活した人)は10人に1人しかいないって、ちょっとショッキングなデータですよね。
ただし、このデータを見て「リアップ全然効果ないじゃん」とは思わないで欲しいです。リアップは濃度規制を課せられた市販品ですので、10人に1人という結果は仕方ないと思いますし、むしろ大健闘だと私は思っています。
病院で処方される花粉症の薬より、市販の花粉症の薬のほうが効き目が弱いのと同じです。市販品のほうが医療用医薬品より効果が高かったら誰も病院には行かなくなりますよね。
ジェネリックはコストコでのみ取り扱っているがいつも品切れ
ミノキシジル外用薬のジェネリック医薬品はあるのでしょうか?
アメリカ国内のコストコでカークランドブランドで販売しているジェネリック商品があり、個人輸入代行などで入手可能ですが、信頼度は、、、。
解説いたします
アメリカでは「コスコ」と発音しますが、アメリカ国内のコストコでミノキシジル外用薬のジェネリック医薬品が売っています。
6本セットで売っているのですが、税関規制で日本に持ち込めるのは2か月に2本までとなっていますのでそのままだと購入できません。
税関をクリアするために、個人輸入代行店ではコストコで購入したカークランドミノキシジルをバラして2本にして包装し直して販売していますが、2か月で2本づつして買うことができないので送料が高く付き個人輸入代行で買う意味がほとんどありません。
【コストコ製ジェネリック】
それと、アメリカ版のAmazonとかで調べると分かりますが、いつも売り切れていますので、2か月して新規発注しようとした一番大事なときに「入荷待ちです」となってしまうのがオチです。
あと、そもそもの問題として個人輸入代行では偽物が定期的に混じってきますので、損するだけならまだしも、偽物を使っている間にどんどんと毛が抜けていきますので、個人輸入代行で入手するのは辞めておいたほうが無難です。
その他のミノキジジル外用薬
他にもミノキシジルを主成分とした、出どころがはっきりしない外用薬を2つほど見つけましたので一応紹介しておきます。
一つ目はフォリックスFR。販売元はSapphire Healthcare LLCというところのようです。色々追ってみましたが、やはり色々出てくる会社さんですね。。。
【フォリックスFR】
もう一つ見つけました。リグロースラボという外用薬で、これもミノキシジルを主成分としているようですが、フォリックスFRと同じくSapphire Healthcare LLCという会社から販売されています。
【リグロースラボ】
これで終わりと思っていたらもう一つ見つけました。
【爆毛根ローション】
「爆毛根(ばくもうこん」ってすごい名前ですよね。
これら海外製の発毛剤については下記の記事で詳しく解説していますので参考にして下さい。
リアップの正規薬は「ロゲイン」。一部のAGA専門クリニックで入手可です
大正製薬のリアップは、元々はアメリカのロゲインという商品であることはわりと有名だと思いますが、ロゲインは日本で手に入るのでしょうか?
AGAクリニックで処方してくれるところがありますので入手自体は可能ですが、AGAクリニックに行くなら、医療用のミノキジジル外用薬を処方してもらったほうが良いと思います。
解説いたします
ロゲインという商品があります。本家本元のミノキジジル外用薬として知られていて、アメリカのジョンソンエンドジョンソンの子会社であるマクニール社が販売元です。
ジェルタイプはありませんが、フォーム(泡)タイプのものもラインナップされていて、通常タイプで液だれするのがイヤな方はフォームタイプを使用すると良いと思います。
リアップなどの市販品よりずいぶん安いロゲイン
ロゲインは一部のAGA専門クリニックで処方しています。
こんな↑感じのキーワードでGoogleなどで検索すると処方してくれるAGAクリニックがヒットすると思います。税込み6,000円くらいですので、リアップやメディカルミノキ5、リグロEX5などの市販発毛剤より1,000円ほど安いと思います。
ただし、クリニックに行かないと入手できませんので、大都市圏以外に住んでいる方は、リアップなどの市販発毛剤をAmazonなどで購入しても良いかも知れません。
ミノキシジル濃度も市販品と同じ5%ですので、ロゲインをわざわざ選ぶ理由はあまりなさそうです。
クリニックで入手できる「医療用」は成分が濃いのに価格は逆に安い
AGAクリニックでもミノキシジル外用薬は処方していると思いますが、成分は5%なのでしょうか?
5%のものもありますが、それだと市販品と差別化できないので、多くのAGAクリニックで6%以上の高濃度発毛剤を患者さんに処方しています。
解説いたします
「医薬品」は、ザックリ以下の3つにカテゴリー分けできます。
- 医薬部外品
- 第1~3類医薬品
- 医療用医薬品
医薬部外品と第1~3類医薬品は市販品です。市販品の中で最も効果効能が高いのが第1類医薬品で、リアップ、リグロEX5、メディカルミノキ5などは第1類医薬品です。
ただし、効果効能が高ければ良いのかというと、それは少し違います。効果効能が強いということは副作用も強いことを意味しますので安易には判断しないでください。
平たい言葉にして説明します。
- 医薬部外品は効果効能は低いけど副作用はほとんどない
- 医薬部外品は副作用はほとんどないけど効果効能は低い
- 医療用医薬品は効果効能は高いけど副作用は強い
- 医療用医薬品は副作用は強いけど効果効能も高い
「①と②」、および「③と④」は日本語をひっくり返しただけで、全く同じ意味です。
ここから先、医療用発毛剤の説明をいたしますが、「医療用」とか「医薬品」という言葉の性格な意味を知っておいたほうが判断を誤らないと思いあえて解説いたしました。
画像引用元:日本ジェネリック製薬協会
副作用が強いといってもせいぜい「かぶれ」程度
市販発毛剤(一般用医薬品)である大正製薬リアップやリグロEX5などは、ミノキシジル濃度が5%以下というルールが国から課せられています。
「5%までなら副作用はほとんど出ないから市販薬として流通させても問題は起きないだろう」
というのが国の判断というわけです。
で、ミノキシジル濃度が5%を超えるとどうなるかというと、当然薬効は強くなりますので発毛期待度は上がっていきます。
副作用リスクは?
AGA専門クリニックには濃度15%の超高濃度発毛剤を処方するところもあります。
15%というと市販薬の3倍の濃度ですので、「さすがに危なくない?」と思われるかも知れませんが、実態としては「かぶれを気にする程度でほぼほぼ大丈夫」ということをAGA専門医は経験値をして知っています。
副作用リスクは上がっても、その副作用自体が「かぶれ」なのであれば、辞めればかぶれは治りますので、勝負を避けるほどリスクが高いとは言えないので、AGAクリニックでは15%の発毛剤を処方したりしているのです。
【濃度15%の医療用発毛剤】
医療用発毛剤のほうが市販発毛剤よりだいぶ安い
もう一つ見逃せない点が、医療用のほうが価格がだいぶ安いです。市販発毛剤はどれも7千円以上しますが、医療用だと高濃度(10%以上)のものでも5千円ちょっとくらいで入手できます。
今は国の規制緩和で遠隔診療も進んでいて、半年に1回の通院だけでOKになっているので、交通費を入れても医療用発毛剤のほうが割安ですので、市販発毛剤を使おうと思っているなら最初から医療用発毛剤を検討してみて下さい。
おすすめはフィナステリド入りのミノキシジル外用薬
最後に一つ紹介しておきますね。フィナステリド入りのミノキジジル外用薬です。
フィナステリドは脱毛予防薬であるプロペシアの主成分で、AGA治療で絶対必要な治療薬ですが、経口薬として服用するフィナステリドをミノキシジル外用薬に調剤した特別仕様の発毛剤がCLINIC FOR(クリニックフォア)という大手AGAクリニックで処方されています。
フィナステリドは肝臓に副作用が出やすい薬ですから、お酒を多飲する生活を送っている人や肥満気味の人にとって服用が禁止になることもあるのですが、外用薬であれば肝臓に作用は及びません。
したがって、服用をやめて外用薬(塗り薬)としてCLINIC FOR(クリニックフォア)で処方しているフィナステリド入り育毛剤を薄毛治療に使うのは一つの選択肢だと思います。
※治療費は国内最安クラスです
また、フィナステリド入り発毛剤を含め、AGAクリニックの正しい選び方について詳しく解説した記事がありますので、これを機に色々勉強してみてください。
特に、薄毛治療初心者が最初に検討する育毛剤が、実は上級者向けであるという裏情報を含めて下記の記事内で詳しく解説してありますので、発毛医療で失敗しないためにも一読することをおすすめします。
以上