- 30代の壮年性脱毛症について
- 30代がハゲる原因はAGAや生活習慣・ストレスなど
- 生活習慣がハゲる原因の場合、どう対処すればいいか
- 壮年性脱毛症が原因の場合の育毛剤・発毛剤の選び方
30代で髪質の変化を感じる方は少なくありません。
年上の薄毛の方を見て「自分も将来的にハゲるのだろうか」と、思い悩む方もいるでしょう。しかし、早めに対処をすることで、40代50代も現状を維持、または現状以上のヘアスタイルを楽しむことができます。
今回は、なぜ、30代で薄毛になってきているのか、その原因と対処法をクリニック院長藤田先生に解説していただきます。
この記事の執筆者
藤田 英理 内科総合クリニック人形町 院長
東京大学医学部保健学科、横浜市立大学医学部を卒業。虎の門病院、稲城市立病院、JCHO東京高輪病院への勤務を経て内科総合クリニック人形町を開院。総合内科専門医。AGA治療や生活習慣病指導も行う。
30代の壮年性脱毛症とは?
壮年性脱毛症とは
壮年性脱毛症とは、30代~50代で発症する進行型の脱毛症のことを言います。ヘアサイクルの乱れによって、太く長い髪が育ちにくくなることが特徴です。下記にあてはまる方は、壮年性脱毛症かもしれません。
- 髪のハリコシがなくなってきた
- 髪全体のボリュームがなくなってきた
- 髪の立ち上がりが悪くなってきた
- 抜け毛が増えてきた
壮年性脱毛症とAGAの一種
壮年性脱毛症はAGA(男性型脱毛症)の一種です。30代~50代で発症するAGAを「壮年性脱毛症」、20代以下のAGAを「若年性脱毛症」、60代以降のAGAを「老人性脱毛症」と呼びます
壮年性脱毛症は6パターン
壮年性脱毛症には進行パターンがあります。下記6つの内、いずれかに当てはまったら壮年性脱毛症の疑いがあり、対処しなければ今後さらに進行していく可能性があります。
- 全体が薄くなる
- 前頭部・頭頂部から後ろに向かって薄くなる
- 頭頂部からM字型に薄くなる
- M字型に加え、頭頂部からも薄毛が進行する
- 頭の真ん中から徐々に後退する
- 頭頂部から円を描くように薄くなる
これらの進行に対して何の対処もしないと、最終的には側頭部と後頭部の髪のみが残る姿になってしまいます。
壮年性脱毛症かどうか確認する方法
まずは、上記6パターンに当てはまるか考えてみましょう。薄毛の進行を確認する際には、普段は見ない頭頂部や後頭部など、鏡を使ってよく見てみるといいでしょう。
生え際が後退しているかよくわからないときは、昔の写真と今の写真を横に置き、比較してみるとわかりやすいです。
また、家族や友人など、よく見てくれている人に聞いてみることもいいでしょう。
壮年性脱毛症を含むAGAは、遺伝が大きな原因となります。家族や親族にハゲている人がいないか確認することもおすすめです。
- 鏡を使って頭頂部や後頭部を確認
- 昔の写真と比較する
- 家族や友人に髪の変化について聞く
- 父親や祖父など、親族にAGAの人がいないか確認
壮年性脱毛症以外で30代がハゲる原因とは?
食生活
仕事やプライベートに忙しい30代は特に、食生活がおろそかになりがちです。髪や頭皮を健康に導く栄養がしっかり摂れていないと、抜け毛や薄毛になってしまうことがあります。
特に、髪の主成分となるタンパク質は生命維持にも欠かせない栄養素のため、不足すると命にかかわる臓器などに優先して送られ、髪には届かなくなってしまうのです。
また、ジャンクフードや揚げ物ばかりを食べている場合も要注意。脂質や塩分を多く摂取すると、皮脂分泌が過剰になり頭皮環境が悪化してしまいます。
- 栄養の偏った食事を常にしている
- タンパク質をあまり摂取していない
- ジャンクフードや揚げ物ばかりを食べている
睡眠不足や運動不足などによる血行不良
全身の血行が良くないことも薄毛の原因に。頭皮に必要な栄養は血液を通して運ばれます。そのため、血行不良になると頭皮に必要な栄養が行き届かず、薄毛や抜け毛につながってしまうのです。
運動不足や睡眠不足などが続くと血行不良となってしまうことがあります。他にも、デスクワークで同じ姿勢を続けていたり、冷えやすい環境にいたりすると血行が悪くなるため、要注意です。
- 日常的に運動をしていない
- 睡眠不足が続いている
- 眠りが浅い
ストレス
30代は仕事の責任が増えたり人間関係の板挟みで悩みが増えたりする年代です。ストレスを抱えすぎると自律神経が乱れ血管が収縮し、血行不良になってしまうため、気をつけましょう。
また、ストレスによって円形脱毛症を発症することがあります。壮年性脱毛症とちがい、進行性の脱毛症ではありませんが、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返しながら脱毛部分が大きくなってしまうケースも稀ではありません。
- ストレスがたまっている
- ストレスを発散できていない
- 忙しくて息抜きができる時間がない
間違ったヘアケア
シャンプーやドライヤーなどの仕方を間違えていると、髪が抜けてしまったり頭皮環境が悪くなってしまったりします。かゆみやフケがある場合、ヘアケア方法を見直した方がいいかもしれません。
- 正しいシャンプー・ドライヤーの方法を知らない
- かゆみやフケがある
喫煙
タバコを吸うことでニコチンを摂取すると、頭皮の血行が悪くなる可能性があります。また、喫煙はビタミンCを消費します。毛細血管はビタミンCの存在が欠かせないため、ビタミンCが不足することによる血行不良も考えられるでしょう。
- 煙草を吸う
生活習慣が原因の場合の対処法
食生活を良くする方法
タンパク質・亜鉛・ビタミンの3つの栄養素が、髪や頭皮にとって特に重要です。
タンパク質は肉類や魚類・卵に多く含まれています。亜鉛は、チーズや豚レバーに。ビタミンは緑黄色野菜に多く含まれています。バランスの良い食事を意識するといいでしょう。
どうしても食事で補えない場合はサプリメントを活用することもひとつの方法です。
運動不足・睡眠不足を解消する方法
運動をまったくしていない方は、少しの時間でもいいので身体を動かすことを意識しましょう。まずは軽いウォーキングやストレッチなどがおすすめです。
睡眠の質が悪い方は、睡眠環境を整えるといいでしょう。音や明かりがない寝室にし、寝る直前のスマホやパソコン・食事・深酒は控えましょう。
ストレス改善方法
ストレスの原因を解決できそうであればそれが一番ですが、難しい場合もあるでしょう。趣味など息抜きできることを探し、上手にストレスを発散しましょう。
正しいヘアケア方法
シャンプーはよく泡立ててから指の平で優しくマッサージするように洗います。爪をたててゴシゴシと洗髪することはNG。
ドライヤーをせずに自然乾燥をすると雑菌が繁殖しやすくなるため、必ずドライヤーで乾かしましょう。このとき、頭皮に近づけすぎたり長時間熱を与えたりすると頭皮が乾燥してしまいます。
タオルドライでしっかり水分をとってから、ドライヤーを頭皮から離し、強風モードにして一気に乾かしましょう。
禁煙をする方法
強いストレスを感じない範囲で禁煙に取り組むことをおすすめします。禁煙の意思はあるものの自分自身で取り組めない場合は、禁煙外来のある医療機関に相談することもいいでしょう。
壮年性脱毛症が原因の場合の対処法
市販の育毛剤を使用する
育毛剤はドラッグストアなどで入手できるため、手軽に行える対処法と言えるでしょう。
育毛剤とは、頭皮の栄養を補給して頭皮環境を改善し、健康的な毛髪を促すものです。
「それほど薄毛が気になるわけではないが、予防として使いたい」「抜け毛は多くないが、髪がボリュームダウンしてきたことが気になる」という場合は育毛剤がいいでしょう。
- 成分表示欄に「医薬部外品」と書かれている
- 髪のハリコシが欲しい場合
- 今後の抜け毛を予防したい場合
市販の発毛剤を使用する
育毛剤は今生えている髪の毛を元気に育てることに対して、発毛剤は髪の毛が生えることを促します。すでに抜け毛が進行している場合は、発毛剤の方がおすすめです。
発毛剤には、厚生労働省が発毛効果を認めている「ミノキシジル」という有効成分が含まれています。ミノキシジルが頭皮の中にある細胞を活性化させ、ヘアサイクルの乱れを正常に戻す働きをするのです。
- 成分表示欄に「第一類医薬品」と書かれている
- 発毛を促したい場合
- 抜け毛が気になる場合
クリニックや病院で処方された育毛剤・発毛剤を使用する
クリニックや病院へ行けば、その人に合った育毛剤や発毛剤を処方してもらえます。
市販にはあらゆる制約があるため、認められていない成分もありますが、クリニックや病院では医師の判断のもと、濃度の高い育毛剤を処方してもらえることもあります。
アレルギーや副作用のことなども相談できるため、自己判断での育毛剤や発毛剤の使用が不安な方は、クリニックへ相談に行くといいでしょう。
- 市販の育毛剤・発毛剤で効果がなかった
- 市販の育毛剤・発毛剤は、どれを選べばいいかわからない
- 医師に処方してもらった育毛剤・発毛剤を使用したい
まとめ
30代で抜け毛や薄毛が気になりだす人は少なくありません。生活習慣やタバコ・ストレスが原因の場合は、見直すといいでしょう。壮年性脱毛症が原因の場合、早い対処をおすすめします。
AGAは放っておいても改善しないどころか進行してしまいますが、対処をすればおさえることが可能です。髪質の変化は感じているもののAGAかどうかわからない場合は、クリニックへ相談に行ってみるといいでしょう。