「なんだか足がビリビリする」
「もしかしたらこれって痛風?」
そんな不安を抱えている場合、ぜひこの記事を読んでください。
以前は「ぜいたく病」と言われていた痛風も現代では庶民の病気とされ、国内に110万人の痛風患者がおり、その予備軍は1000万人を超えるとされています。
「まさか私が痛風になるはずがない」と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、いつなってもおかしくない病気。また痛風は非常に前兆に気が付きにくい病気でもあります。
この記事では
- 痛風の前触れ・前兆
- 痛風になりやすい人の特徴
- 痛風が起こった際の対処方法
- 改善させるための生活習慣
を紹介いたします。
この記事の執筆者
痛風の前触れはどんな症状?その特徴とは
痛風の前兆は「ムズムズ」「チクチク」といった違和感や鈍痛。痛風が起こる、足の親指みの付け根、そのほかの足の指の付け根、足首、膝などで起こります。
その後、痛風発作を発症すれば息ができないほどの痛みが襲ってきて、患部は発熱し腫れが。
前触れが起きてから発症までの期間は?

痛風の前兆を感じると、その1日から数時間後に痛風発作が起こります。
ただし、必ず前兆があるわけでもありませんし、逆にこのような前兆を感じても必ず痛風発作が起こるわけでもありません。
痛風が起こる理由と痛みの前兆が少ない理由
息ができないほど痛みの強い病気にもかかわらず、痛風の前兆はムズムズ・チクチクといった刺激のみ。なぜ痛風は激痛にもかかわらず前兆は小さいのか、その理由は痛風という病気の特徴にあります。
痛風は血中の尿酸値が増えすぎることによって引き起こされる病気。
尿酸値は増えすぎると血中に尿酸塩という結晶が蓄積されます。

尿酸塩が何かのきっかけで関節液中に剥がれ落ちた際、剥がれ落ちた尿酸塩白血球が攻撃を開始。白血球が尿酸塩を攻撃する際に出る生理活性物質が痛みの原因となっています。
しかし尿酸塩は蓄積する工程では痛みも違和感もなく、尿酸塩が剥がれ落ちるまで痛みがないため、日々の生活の中で尿酸塩の蓄積に気がつくことはできません。
痛風の前触れ症状を感じた時の対処法・治療
前兆を感じた場合どのような対処をすれば良いのでしょうか。
まず何度か痛風発作を経験している方と痛風発作が起こったことのない方では「この違和感が本当に痛風の前兆なのか?」という前提から異なってくるはずです。
痛風発作を経験したことのない方
できればすぐに病院に行き違和感が痛風であるかを確認すべきです。
ですが、痛風が本当にくるかどうかわからないにもかかわらず、当日すぐに病院に行ける方は少ないでしょう。
「この違和感って痛風なのかな?」と痛風であるかどうかに自信が持てない方は以下の項目をご確認ください。
- 男性である
- 肥満である
- 大食いである
- 普段からお酒たくさん飲む
- 激しい運動が好き
- 親族に痛風患者がいる
これらは痛風になりやすい人の特徴ですので、3つ以上当てはまる方は痛風の可能性が高いと考えられます。緊急の用事がなければ病院に行った方が良いでしょう。
痛風の可能性があるがすぐに病院に行けない場合
痛みが出た場合はすぐにロキソニン。
痛風の痛みは激痛です。先ほどお伝えしたように息もできないほど痛みます。
痛みを起こさないためには尿酸値を大きく上下させないことが重要ですので、とりあえずしばらくの間は、食事の量を減らし、お酒と激しい運動を控えてください。
それでも突然痛みがおそってくるかもしれませんので、ロキソニンを持ち歩き、痛みが出た場合はすぐにロキソニンを飲んでください。
ロキソニンはドラックストアであれば手に入ります。コンビニにロキソニンはありませんので「痛みが起きたら買いに行こう」と「仕事に昼休みに近くのコンビニで買おう」と考えていると(肉体的にも)痛い目に遭いますのでご注意ください。
何度か痛風発作を経験している方
痛風の前兆を感じた時は「コルヒチン」を服用。
痛風を何度も経験している方はおそらく病院で処方される「コルヒチン」という薬を処方されていると思います。痛風の前兆を感じた場合にはそちらを服用してください。

コルヒチンとは痛風の痛みを止める薬で、古代ギリシャ時代から使用されていた記録が残っているほど古くから使用されていた薬です。
コルヒチンは先ほど紹介したロキソニンとは異なり、赤血球の働きを抑えて痛みを抑えるため痛風発作の痛み止めとして非常に効果があります。
ただしコルヒチンには強い副作用があり、激しい下痢、嘔吐、脱毛などの副作用を起こすことがありますので服用には注意が必要です。
痛風が起きたらすべき対処
痛みは24時間をピークに7〜10日で治っても、その後半年から1年のスパンで痛風発作を繰り返す。
痛風が起きてしまった場合、患部は炎症して発熱もしていますので、動かさず患部を冷やしてください。ただし冷やしすぎるのもよくないため患部の熱をとる程度に。
そして何より大切なのがすぐに医師の診察を受けることです。
痛みは24時間をピークに7〜10日で治っていきますが、痛風が治ったわけではなく半年から1年のスパンで痛風発作を繰り返します。痛みが起こったら放置せずに必ず病院に行きましょう。

診察を受ける科は、リウマチ内科、内分泌代謝内科、整形外科、腎臓内科などです。
痛風症状が起こる尿酸値レベルはどのくらいか
痛風がおこる尿酸塩が蓄積され始めるのは、血中の尿酸濃度が7.0mg/dLを超えた時です。この状態のことを「高尿酸血症」と呼びます。

尿酸とは体の細胞の新陳代謝やエネルギーを消費する際に作られる老廃物で、通常は尿や便によって体外に排泄されるのですが、水や体液に溶けにくい特徴もあり、
- 尿酸の生産量が増加
- 尿酸の排泄機能が低下
- またはその両方
によって体内に蓄積されていきます。
尿酸塩は体のどこにでも蓄積しますが、特に溜まりやすいのは、血液が滞りやすい関節部分と体温が低下しやすい下半身。そのため大抵が足の指の付け根に尿酸塩が溜まり、その部分に痛みが発生するというわけです。
尿酸値の測定方法
病院で行う尿酸値の検査方法には「血液検査」と「尿検査」の2種類があります。
ただし尿酸値は常に一定の数値であるわけではなく、その日の体調や食事、飲酒、運動量、ストレスなどにより変動。そのため尿酸値の測定は1度だけではなく、別日に複数回検査をします。

その複数回の結果を平均し1dLに7.0mg以上の尿酸があれば高尿酸血症と判定されます。
自分でpHを把握することも大切
尿酸は、尿がアルカリ性になるに従って溶けやすく排泄をスムーズに行うことができ、逆に尿が酸性になると尿酸が溶けにくく尿酸の結晶ができやすくなるという特徴が。
この特徴を使って自分が痛風になりやすい状態、もしくは痛風を発症している状態であるかの確認できます。
痛風や高尿酸血症になっている方は、尿酸が溶けにくい酸性(pH値5.5以下)の尿になっている可能性が高いので、ご自身のpH値を確認しましょう。
pHチェックキットは薬局やインターネットで手に入ります。
尿のpH値は尿酸と同じく食事や運動で影響を受けるため一度で正確に把握することはできませんが、定期的にチェックすることによって自分の尿の酸性値を把握できます。
ただしこの方法ではあくまで尿の酸性値のチェックができるだけですので、現在痛風かどうかを正確に把握できるものではありません。気になる点がある方は病院でしっかりした検査を受けましょう。
初期の痛風であれば生活習慣で改善可能
痛風を改善するためには尿酸値を下げることが大事ですが、痛風がまだ出ていない前兆段階であれば生活習慣を見直すことでも改善が見込めます.
具体的に改めて欲しい生活習慣は以下の5点。
- 肥満を改善する
- お酒を控える(できれば飲まない)
- 水分をたくさん取る
- 軽い有酸素運動をする
- ストレスを溜めない
肥満解消

痛風を引き起こす尿酸は、1〜2割が食事で摂取したプリン体から作られます。
そのため「高プリン体の食品をたくさん食べすぎているから痛風になった」と勘違いされていますが、これはあまり正しくありません。
確かにプリン体は体内で尿酸になりますが、食事で摂取したプリン体のほとんどは排泄されるためです。
ですので、高プリン体の食事を控えるよりも、食べる量を制限する方が重要です。実際痛風患者の60%が肥満体型で、肥満度が高いほど尿酸値が高くなっています。
特に内臓脂肪と尿酸値には密接な関係がありますので「プリン体が少ないから食べても平気」と考えず、まず食べる量を調節し肥満を改善することに意識を向けてください。

肥満解消の目安としてはBMI25以下を目安にしましょう。
お酒を控える
痛風にとって、飲酒は食事以上に注意が必要です。
飲酒によりアルコールを摂取すると
- 尿酸の生成
- 尿酸排泄の阻害
- 利尿作用による尿酸値の上昇
- 肥満の原因
と、痛風を起こす原因のクアドラプルコンボに。
実際に痛風になった人の95%が週に5日以上お酒を飲んでいたというデータもありますので、気になる方はお酒を控えるか、できればしばらくお酒を飲まないようにしてください。
水分をたくさん取る
尿酸は尿や便で排泄されます。水分をたくさん取れば、尿の量・回数が増え、排泄される尿酸の量が増えます。単純ではありますが一番簡単に行える生活改善です。
水分はなんでも良いわけではなく水やお茶といったカロリーが少ない飲み物を飲んでください。
しかしコーラやフルーツジュースのような糖分の多いものを摂取すると、尿の酸性値をあげる原因となり、尿の量が増えてもその尿に尿酸が溶けにくくなってしまいます。
水分の摂取量は1日2L以上の尿量が好ましいので、2.5Lほど水分を摂取しましょう。まずは毎回食事の度にいつもより1杯多く水を飲むなどして、無理なく始めるのがおすすめです。
軽い有酸素運動を行う
運動は健康を保つために重要なことですが、痛風に関しては1点注意点があります。それは激しい運動はかえって尿酸値を上昇させてしまうということ。
ですので、まずはウォーキングや水泳など低強度の少し息が上がるような運動を継続し、時間は30分程度が好ましいです。

有酸素運動には肥満解消・ストレス解消といった効果もありますので、無理なく始められて継続できるウォーキングは非常におすすめ。
ストレスを溜めない
ストレスは尿酸の生産量を増やし、尿酸の排泄量を下げると言われています。
痛風になりやすい人にはせっかちな人我慢強い人が多いと言われていますが、これは日常的にストレスにさらされているため。
痛風を発症する時は「強いストレスを感じた時」というのも多くの医師が提唱しています。痛風でなかったとしてもストレスは人生の幸福度を下げてしまいます。自分なりのストレス解消方法を見つけましょう。
痛風は女性もなるの?
痛風患者の95%は男性であり、女性の痛風患者はたったの5%です。
これは女性が体内に保つエストロゲンには尿酸の排泄を促進する効果があり、尿酸が溜まりにくいため。とはいえ女性も痛風にはなりますし、痛風になれば男女の症状に違いはありません。

女性の場合は痛風よりも、似た症状である「関節リウマチ」である可能性を疑ってみてください。
関節リウマチも同じく関節が痛み腫れる病気ですが、痛風とは以下のような点が異なります。
- 貧血や倦怠感、微熱、食欲不信など体調に影響を与える
- 痛みが上半身に現れることが多い
- 症状(痛み)はゆっくりと進行する
- 患者の80%が女性
リウマチの症状が進み関節が破壊されてしまうとその関節を元に戻すことはできません。もし自分がリウマチかもしれない、と思った場合は病院にて詳しい診察と治療を行ってください。
まとめ
痛風発作は激しい痛みにもかかわらず、その前兆は大きくありません。
前兆を感じた際には、
- 痛みに備えてロキソニン(もしくは処方されている薬)を持ち歩き、
- 痛風発作を起こす確率を減らすために、食事をすこし減らし、お酒を飲まず、できるだけ安静に過ごすこと
が重要です。
そして、できるだけ早いタイミングで病院に行きましょう。
診察を受ける科は、リウマチ内科、内分泌代謝内科、整形外科、腎臓内科であれば良いですが、必ずしも痛風であることが確定しているわけではないので、とりあえず内科であれば良いでしょう。
痛風は放置すると繰り返し発作を起こし、徐々に痛みが慢性化、さらには多くの合併症を引き起こします。
必ず病院での診察を受けて、治療を行ってください。
参考文献
日本痛風・核酸代謝学会 高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインhttps://minds.jcqhc.or.jp/docs/gl_pdf/G0001086/4/Clinical_Practice_Guidelines_of_Hyperuricemia_and_Gout.pdf
日本内科学会雑誌 痛風・高尿酸血症の病態と治療
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/107/3/107_458/_pdf
e-ヘルスネット|高尿酸血症の食事
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-003.html