
こんばんは。総合内科専門医の藤田です。
食品に含まれる栄養素の中には、ある食品と合わせて摂ることで効率よく体に取り入れることができるものがありますが、健康食品の青汁にも効率の良い飲み合わせはあるのでしょうか?
そこでこのページでは、
- 青汁に含まれる栄養素に関する疑問
- 青汁と飲み合わせの良いもの・悪いもの
についてくわしく解説しています。
この記事の執筆者

藤田 英理 内科総合クリニック人形町 院長
東京大学医学部保健学科、横浜市立大学医学部を卒業。虎の門病院、稲城市立病院、JCHO東京高輪病院への勤務を経て内科総合クリニック人形町を開院。総合内科専門医。AGA治療や生活習慣病指導も行う。
この記事の監修者

岩美 真由美さん 管理栄養士・健康運動指導士
管理栄養士・健康運動指導士としてフリーランスで活動。特定保健指導では生活習慣病予防を、介護予防事業では高齢者のフレイル予防と、食事と運動の両面から健康づくりのお手伝いをしています。
青汁についてのQ&A
青汁との飲み合わせについて

青汁を摂取する前には、パッケージに記載してある「摂取上の注意」や栄養成分表示を必ず見ることが大切です。かかりつけ医に相談し、自分の体に合っているかを判断してもらうとよいでしょう。※2※3
青汁に含まれる栄養素と役割
食物繊維の作用・特徴

期待できる作用※4※5
- 糖質の吸収を穏やかにして血糖値の上昇を抑える
- スムーズな排便を促す
- 満腹感を得やすくして食べ過ぎを防ぐ
- 腸内環境を良くする

糖質の一種で「第6の栄養素」といわれており「ヒトの消化酵素で消化されない難消化性成分」の総称です。
ビタミンCの作用・特徴

期待できる作用
- コラーゲンの合成
- 免疫の強化
- 抗酸化作用
- 抗がん作用
- 解毒作用
- シミやそばかすを防ぐ
- 鉄の吸収をサポートする

ビタミンCは、摂取してから数時間で体外に排出されるため、食事ごとにとる必要があります。ストレスが多い方、喫煙習慣がある方は積極的に摂るようにしましょう。※4※5
ビタミンKの作用・特徴

腸内細菌からも作られるので、不足する心配はありませんが、長時間抗生物質を服用している、肝機能障害がある場合は注意が必要です。
期待できる作用
- 吸収されたカルシウムを骨に取り込むのを助ける
- 血液の凝固に働く

血栓症の方、ワーファリン服用の方は控えるように指示されます。※4※5
葉酸の作用・特徴

赤血球を作るために欠かせないビタミンで「造血のビタミン」ともいわれています。ビタミンB12ともに働いて、赤血球のもとになる赤芽球を作ります。
期待できる作用
- 貧血の予防
- 細胞の新生(遺伝情報をコピーすること)をサポート
- 動脈硬化の予防

健康的な食生活を送って入れば不足することはないです。※4※5
鉄の作用・特徴

鉄は赤血球の成分として全身に酸素を運ぶ働きをします。不足すると貧血、疲れやすくなる、免疫機能の低下、冷え性、肩こりの原因になります。
鉄は吸収率の低い栄養素の一つです。ビタミンCの多い食品と一緒に摂ると吸収を高めてくれます。

月経過多の女性、必要量が多い成長期には不足しやすいため、積極的に摂りましょう。※4※5
カルシウムの作用・特徴

骨をつくるもとになります。体に最も多く含まれるミネラルです。
期待できる作用
- 骨や歯をつくる
- 神経伝達を正常に保つ
- 筋肉が収縮するときに働く
- 血液の凝固を促す

不足すると高齢期では骨粗しょう症に、また高血圧や動脈硬化などの生活習慣病につながることがわかっています。※4※5
カリウムの作用・特徴

高血圧を防ぐ重要なミネラルです。カリウムは主に細胞内に含まれており、細胞外に含まれるナトリウムとともに、細胞の浸透圧を維持するはたらきをします。

夏場に大量の汗とともにカリウムが失われると、夏バテになりやすいともいわれています。。※4※5
青汁と飲み合わせが良いもの

青汁と栄養素の観点から飲み合わせが良いものをいくつかあげます。健康な方がバランスの良い食事を摂っているという前提で解説します。
■薬の処方などを受けている方
薬によっては、青汁と一緒に利用することで、薬本来の効果が強まったり、弱まることがあります。治療の妨げになることがあります。
■食事をコントロールしている方
カロリーや糖質、ミネラルなどを制限している場合には、青汁からの摂取にも注意が必要です。
■病気で身体の機能が落ちている方
健康なときと異なり、体に負担がかかることがあります。
■アレルギー反応がある方
体調や体質によっては、アレルギー反応による悪影響が起こることもあります。
青汁×ヨーグルト
ヨーグルトもカルシウムの多い食品のひとつです。
牛乳同様、ヨーグルトに含まれるカルシウムが、青汁に含まれるビタミンKにより吸収がよくなることが考えられます。
また、ヨーグルトの乳酸菌(ビフィズス菌)などの善玉菌の割合を増やしてくれるのが食物繊維です。※6
食物繊維を含む青汁と一緒に摂ることで、腸内環境が整うことが期待できます。
青汁はヨーグルトに混ぜたり、飲むヨーグルトで割るとよいでしょう。
青汁×豆乳・豆腐
豆乳・豆腐も青汁と飲み合わせのよい食品です。
豆乳・豆腐に含まれるカルシウムが、青汁に含まれるビタミンKにより吸収がよくなることが考えられます。
青汁そのもので飲むより、豆乳と割って飲むことで、青汁では補い切れないたんぱく質や、大豆イソフラボンなども摂ることができますよ。
青汁×牛乳
牛乳に含まれるカルシウムが、青汁に含まれるビタミンKにより吸収がよくなることが考えられます。
青汁そのもので飲むより、牛乳と割って飲むことで、青汁では補い切れないたんぱく質なども摂ることができますよ。また、牛乳と割ることで青汁の青臭さや苦味が和らいで飲みやすくなります。
青汁×小魚
小魚もカルシウムの多い食品のひとつです。小魚に含まれるカルシウムが、青汁に含まれるビタミンKにより吸収がよくなることが考えられます。
青汁×野菜・果物
青汁の中には鉄を含むものもあります。青汁からの鉄を、野菜・果物に含まれるビタミンCが吸収をサポートしてくれることも考えられます。
鉄を多く含む食品は、赤身の肉やかつお、あさり、レバーなどです。青汁にはこれらの食品ほど鉄が多く含まれていません。鉄を多く含む食品から積極的に摂りたいですね。
青汁と飲み合わせが悪いもの

青汁と一緒に飲むとよくないものはありますか?

実際のところ、青汁の効果に関する科学的根拠は十分でないのが現状です。便秘や軟便、肝障害など、健康被害の報告が複数あります。
飲み合わせが悪いものというよりも、青汁の使い方や利用者の体質も挙げられるため、利用する前にパッケージに記載してある内容を必ず見るようにしましょう。※7
青汁と飲み合わせが悪いものには医薬品があります。
青汁×ワルファリン

ワルファリン(血のかたまりができるのを防ぐ薬)を服用中にビタミンKを多量に摂取すると、薬の効き目が悪くなります。ワルファリンを服用中の方は青汁製品の利用を避けましょう。
青汁の原材料としてよく使われているケールや大麦若葉などの葉野菜はビタミンKを多く含みます。日本で市販されている青汁製品は、1日の摂取目安量に20~380 μgのビタミンKを含有し、青汁だけで日本人の目安量の2倍以上の摂取につながるおそれがあります。※7
まとめ
青汁に含まれる栄養素と、飲み合わせが良いもの、悪いものを解説しました。青汁などの健康食品はそれだけを摂取して健康になることはありえません。
しかし、上手に取り入れることで健康に結びつくことが期待できます。青汁を飲むことによって今までの食生活・生活習慣が改善するきっかけになるような使い方が理想的です。※8

たとえば「青汁を飲むからこれを機会に野菜料理を一品プラスしよう」「便秘気味だから運動も始めよう」など、青汁を「生活習慣の見直しの一歩」につなげる使い方をするとよいですね。
参考文献(References)
- 1 「一生役立つきちんとわかる栄養学」飯田薫子・寺本あい監修 西東社 98ページ
- 2 国立健康研究所「健康食品のウソ?ホント?」8ページ
- 3 読売新聞2021年9月7日夕刊「大人び」
- 4 「図解でわかる!からだにいい食事と栄養の教科書」本多京子監修 永岡書店
- 5 「栄養素の通になる第4版」上西一弘著 女子栄養大学出版部
- 6 厚生労働省 e-ヘルスネット「腸内細菌と健康」
- 7 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品の安全性・有効性情報」「青汁の健康効果って? (Ver.20201211)」
- 8 厚生労働省医薬食品局食品安全部「健康食品の正しい利用法」11ページ