AGA(男性の薄毛)は、ジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンが原因で起きる男性型脱毛症です。
脱毛抑制成分であるフィナステリド(プロペシア)やデュタステリド(ザガーロ)で抜け毛を抑えつつ、ミノキシジル発毛剤(頭皮への塗り薬)やミノキシジルタブレット(飲み薬)によって発毛促進することで治療を行っていきます。
ただし、全盛時を取り戻したいがために焦ってしまって、成分の濃い薬から治療を始めると打つ手がなくなり後悔することに。
大切なことは、効果は限定的でも副作用が少ない濃度の薄い薬から治療を始めていき、徐々に強い成分の薬や濃い薬に変えていくことです。
AGA治療は誤情報が多く出回っておりますので、AGAの症状や原因などを欧米の最新論文を引用しながら丁寧に説明いたします。
できるだけ治療費を抑えるための方法も知っていただくために、価格の安いAGAクリニックの紹介も含めて後悔しないAGA治療の進め方を解説していきます。
藤田 英理 内科総合クリニック人形町 院長
東京大学医学部保健学科、横浜市立大学医学部を卒業。虎の門病院、稲城市立病院、JCHO東京高輪病院への勤務を経て内科総合クリニック人形町を開院。総合内科専門医。AGA治療や痛風などの生活習慣病指導も行う。
所属:日本内科学会
本文中の1)2)3)などの数字は論文の引用箇所で、文末に引用した論文を参考文献としてまとめて記載しています。
症状と脱毛パターンの比較
男性の初期症状は前頭部の生え際の後退から始まりいわゆる「M字ハゲ」に進行し、頭頂部は頂点領域から全体的に薄くなりO字などと呼ばれています。
さらに進行するとMとOがつながって完全に禿げてしまうことが少なくありません。
一方、女性の場合、通常は前頭部と頭頂部での薄毛を中心としたびまん性(全体的に薄くなる)の脱毛パターンが現れ、生え際の後退や完全な脱毛(つるつる)は起こりません。
もし仮に全体がつるつるになったなら、それは円形脱毛症などの他の脱毛症である可能性が濃厚なので、すぐに皮膚科に行って診てもらってください。
男性と女性の違いを知る
AGAの発症には、遺伝的素因、ホルモン変化、加齢などの複数の要因が関与しています。
AGAに関与する主要なホルモンはジヒドロテストステロン(DHT)で、毛包を小さくさせ、より細く短い色素の少ないものに。この毛包が小さくなるのはAGAの主要な特徴であり、頭皮生検の際に顕微鏡で確認できます。
AGAの他の症状としては、櫛(くし)や洗髪時に抜ける毛髪の本数が増えたり、毛髪密度が低下することです。
また、人によっては皮脂の分泌が増え、髪が脂っぽくなったりすることもあります。ただし、これらの症状は個人差があり、AGAの人すべてに同じ症状が出るわけではありません。
次の表は、男女のAGAの主な症状をまとめたものです。
症状 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
脱毛が始まる箇所 | 前頭部および頭頂部 | 全体的に薄くなる |
額の生え際 | こめかみ中心にM字に薄毛化 | 女性では稀 |
頭頂部 | 頭頂部中心にO字に薄毛化 | 全体的に薄くなる |
全体がつるつる | 可能性あり | なし |
AGAの原因|後悔しない為にストレスや食生活、パーマはかけないように
AGAの原因はさまざまですが、遺伝的要因とテストステロンやジヒドロテストステロンなどのホルモンの影響が大きいと考えられています
薄毛の治療で後悔しないためにも、AGAの原因についてしっかり頭に入れておきましょう。
アンドロゲンホルモンであるテストステロンは、毛包内の5αリダクターゼII型という酵素によってジヒドロテストステロン(DHT)に変換され、AGAの発症に関係。
強力なアンドロゲンであるDHTは、遺伝的に影響を受けやすい毛包のアンドロゲン受容体と結合し、毛幹の小型化とヘアサイクルのアナジェン(成長)期の短縮を起こします。
AGAの遺伝的原因は複雑で、複数の遺伝子が関与しており、特に、X染色体上に位置するアンドロゲン受容体(AR)遺伝子は、AGAと関連があります。
AR遺伝子は、StuI制限断片長多型(RFLP)として知られており、米国、英国、オーストラリアなどの男性のAGAリスク増加と関係あるとされています。
AGAに関与するもう一つの遺伝子は、毛包の発達と循環に重要な役割を果たすヘアレス(HR)遺伝子です。
このような遺伝的な要因は仕方ないにしても、避けられることもあります。
ストレスや喫煙などの環境要因も、AGAの発症に関係するのです。慢性的な心理的ストレスは、炎症性サイトカインの放出を招き、毛髪の成長に悪影響を及ぼす可能性が。
喫煙も、毛包の微小血管系に悪影響を及ぼすため、AGAのリスク上昇と関連することが判明しています。
また、パーマなどの化学物質の使用も、毛根にストレスと損傷を与えるため、AGAを悪化させる可能性が。
AGAの原因まとめ
原因 | 説明 |
---|---|
遺伝 | 複数の遺伝子が関与し、特にAR遺伝子とHR遺伝子がAGAと関連している。 |
ホルモン | テストステロンがDHTに変換され、毛包のアンドロゲン受容体と結合し、毛が細くなり成長期の短縮を引き起こす。 |
ストレス | 慢性的なストレスは炎症性サイトカインの放出を招き、毛髪の成長に悪影響を与える。 |
喫煙 | 喫煙は毛包の微小血管系に悪影響を及ぼすことで、AGAのリスクを高める。 |
ヘアスタイル | パーマなどの価格物質の使用は、毛根へのストレスや損傷が原因でAGAを悪化させることがある。 |
早期発見で後悔しないためのチェック方法と医療機関での検査法
男性型脱毛症(AGA)の検査とチェックは、細かいアプローチが求められます。まず、詳細な病歴の聴き取りを行い、脱毛の家族歴や薄毛の発症と進行、頭皮のかゆみや灼熱感などの症状について質問。
その後、毛髪の分布や毛髪密度、毛髪の微細化の有無に焦点を当てた検査を実施いたします。ハミルトン・ノーウッド分類は、男性型脱毛症の重症度やパターンを評価するために広く用いられているシステムです。
AGAの診断を補助する検査キットも使用されることがあります。検査キットには、毛髪サンプルを採取するための装置や、サンプルを適切に採取し分析のために研究所へ送付する方法に関する説明書が添付。
また、毛髪密度やその他の関連パラメータを測定するものが含まれている検査キットも。
ダーモスコピーは、画像を通しての診断で、脱毛の診断やAGAと他の脱毛原因の区別に用いられます。毛包の大きさ、形状、分布、およびAGAの特徴である小型化した毛髪の存在を見つけることが可能です。
また、トリコスコピーという画像診断技術もあり、毛髪と頭皮に関する追加情報を得ることができます。拡大装置を用いて毛幹と毛包を可視化し、空の毛包、折れた毛、炎症の兆候の存在を診断。
これらの検査で不確かな場合は、頭皮生検を行います。これは、頭皮の組織を少量採取し、顕微鏡で観察することで、毛包の小型化や休止期の毛の割合の増加など、AGAの特徴を調べるものです。
AGAの遺伝的要因が疑われる場合、遺伝子検査が検討されることがあります。これには、X染色体やアンドロゲン受容体遺伝子など、AGAに関連する特定の遺伝子変異を検査することが含まれます。
ただし、AGAの遺伝子検査は日常的には行われておらず、保険が適用されない場合も。
検査費用を考える際には、各検査の利点と経済的負担を比較検討することが重要です。
ダーモスコピーやトリコスコピーのような検査は、他の検査よりも手頃な価格で受けられる可能性がありますが、遺伝子検査や頭皮生検のような検査は費用が高く、すべてのケースで必要とは限らない場合があります。
AGAの診断が確定したら、さらなる評価や治療法の検討のため、病院や専門医をご紹介することも。
Test Method | Description |
---|---|
病歴 | 家族歴、脱毛の発症、進行、関連症状を評価する。 |
身体検査 | ハミルトン・ノーウッド分類を用いて、毛髪分布、毛髪密度、小型化を評価する。 |
検査キット | 毛髪密度や関連パラメータの分析のために毛髪サンプルを採取する。 |
ダーモスコピー | 毛包の大きさ、形、分布を評価する画像技術。 |
トリコスコピー | 毛軸、毛包を可視化し、異常を確認するための拡大装置。 |
頭皮の生検 | AGAを確認するために、頭皮の組織を少量採取して顕微鏡検査する。 |
遺伝子検査 | X染色体やアンドロゲン受容体遺伝子など、AGAに関連する遺伝子変異を検査する。 |
治療薬は脱毛抑制と発毛促進に大別
男性型脱毛症(AGA)の症状を改善するために多くの治療法があります。
フィナステリド(プロペシア)やデュタステリド(ザガーロ)などの内服薬は抜け毛の原因となる5α還元酵素の阻害剤です。
テストステロンから毛包の小型化やAGAの脱毛を引き起こすホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)への変換を抑えることで脱毛抑制に作用します。
ミノキシジル外用薬もAGAの治療薬として広く使われているものです。毛包への血流を増加させることによって、発毛を促進し脱毛を遅らせることが確認されています。
飲み薬であるミノキシジルタブレットもありますが、循環器(心臓や血管)に副作用のリスクがあるため、ミノキシジル外用薬(頭皮への塗り薬)で効果が出ない患者さんにのみ使用。
当院(内科総合クリニック人形町)では、患者さんがミノキシジルタブレットでのAGA治療で副作用が出て後悔しないよう、血液検査と心電図検査など実施しております。
赤色LEDなどの低レベルレーザー治療(LLLT)は、近年人気を博しているAGAのもう一つの治療法です。毛包の細胞代謝とエネルギー産生を高めることで、毛髪の成長を促すと考えられています。
これらの主要な治療法に加えて、さまざまな療法が研究されており、毛髪密度と全体的な髪質を改善することが示されているのが血小板豊富血漿(PRP)注射です。
5α還元酵素を阻害することによりフィナステリドやデュタステリドと同様の作用を持つと考えられるノコギリパルメット(ノコギリヤシ)などの天然サプリメントの使用などもあります。
AGA治療の効果は個人によって大きく異なるので、十分注意してください。
さらに、治療効果が顕著に現れるまでに数ヶ月かかることがあり、効果を維持するためには継続的な治療が必要です。
この表は、主なAGA治療薬や医薬品について、その作用や関連文献をまとめたものです。
治療薬 | 作用機序(効果) | 副作用 |
---|---|---|
フィナステリド (プロペシア) | 抜け毛を減らし、髪の成長を促進する | 性機能障害、性欲減退、女性化乳房、うつ病との関連性の可能性 |
デュタステリド(ザガーロ) | 抜け毛を減らし髪を増やす。フィナステリドより効果がある | 性機能障害、性欲減退、女性化乳房、うつ病との関連性の可能性、出生異常のリスク |
ミノキシジル外用薬 | 髪の成長を促進し、抜け毛を遅らせる | 局所的な刺激、かゆみ、赤み、かさつき、他の部位にムダ毛が生える可能性がある。 |
ミノキシジルタブレット | 毛根の血流を増加させ、機能を向上させる | 体液貯留、動悸、他の部位の毛髪の増加などの全身的な副作用 |
赤色LED照射(LLLT) | 毛髪の成長を促し、毛髪密度を向上させる | まれに軽度の皮膚刺激、発赤、痒みが生じることがある。 |
血小板リッチプラズマ(RPR) | 髪の密度、髪質全般の改善、他の治療との併用がより効果的です。 | 注射部位の感染、瘢痕、痛み、注射液に対するアレルギー反応の可能性 |
ノコギリヤシ | 一部の個人において、フィナステリドと同様の効果を示す | 軽度の胃腸障害、アレルギー反応の可能性、薬物相互作用の可能性 |
後悔しないためには効果の薄い薬から治療を
最近の研究では、男性型または女性型脱毛症の治療において、後悔を最小限に抑えるためには、まず効果の低い薬剤から治療を始めることが有益だと示されています。
このアプローチが推奨される理由は、AGAの治療結果は非常に個人差があり、予測が難しいこと。
まず効果の低い薬から始めることで、重篤な副作用を伴う薬を使うリスクを避けながら、医師と一緒に体が治療にどのように反応するかを判断することが可能です。
このアプローチは、より安全かつ個人に合わせた治療計画を提供できるので、治療法に対する満足度が高まるでしょう。
この研究では、男性型・女性型脱毛症の治療方法について詳しく解説し、効果と副作用を考慮した段階的なアプローチが望ましいことを提起しており、推奨する治療法は以下の通りです:
- 局所治療:市販の薬剤、例えばミノキシジルから始めてみましょう。ミノキシジルは脱毛の進行を遅らせ、一部のケースでは発毛を促すことがわかっています。
- 内服薬:局所治療が効果不足であれば、フィナステリドのような処方薬を検討してください。フィナステリドは、テストステロンを脱毛原因のジヒドロテストステロン(DHT)に変換する酵素を抑制します。ただし、性機能障害などの副作用があるため注意が必要です。
- 併用療法:単剤治療では効果が不十分な場合、ミノキシジルとフィナステリドを併用することで結果が改善されることが。両方の治療を組み合わせることで相乗効果が得られ、髪の成長が促されることが示されています。
- 高度な治療法:従来の治療法で効果が得られない場合は、多血小板血漿(PRP)療法、低レベルレーザー療法、植毛手術などの高度な治療が選択肢に。ただし、これらの治療法は費用が高く、合併症のリスクも増えます。
AGAクリニックでおすすめする薄毛治療の手順
ここでは、すでに市販の育毛剤や発毛剤(ミノキシジル外用薬)は試していて、発毛効果が感じられなかったものとして説明します。
AGAクリニックで処方されるミノタブ(ミノキシジルタブレット)を飲み始めたら、頭皮に塗るミノキシジル外用薬は使用停止して構いません。
なぜなら両者の成分および作用は同じであるうえに、発毛促進効果はミノタブのほうが遥かに高いからです。お金をドブに捨てるようなものです。
後悔しないためのAGA治療の順番
- フィナステリド0.5mg+ミノタブ2.5mg
- フィナステリド1mg+ミノタブ2.5mg
- デュタステリド0.1mg+ミノタブ2.5mg
- デュタステリド0.5mg+ミノタブ2.5mg
- デュタステリド0.5mg+ミノタブ5mg
- ノコギリヤシや頭皮への赤色LED照射を治療に追加
- 自毛植毛
- 血小板リッチプラズマ療法(PRP)
- ウィッグ(かつら)
濃度が薄い薬から治療を開始し、フィナステリドよりも強い脱毛抑制効果があるデュタステリドに途中で変えるのが、後悔しないためのAGA治療です。
フィナステリドの正規薬はプロペシアという商品で、デュタステリドの正規薬はザガーロですが、高額なうえに効果は全く同じなのでジェネリック医薬品で全く問題ありません。
⑥⑦⑧は、お金が有り余っているなら行ってもよいですが、⑤の時点で発毛効果が認められないなら⑨のウィッグに進んだほうがQOL(生活の質)は上がると思います。
当院(内科総合クリニック人形町)での治療費
当院は、AGA治療の副作用等で患者さんに後悔してほしくないため血液検査を必ず行い、ミノキシジルタブレットのような副作用の強い薬を処方する場合は心電図検査も定期的に行います。
そのため、オンライン専門クリニックよりは治療費は多少高くなってしまうことを、ご了承ください。
当院の治療費
当院のAGA治療費(税込)は下記になります。
治療薬 | 価格 |
---|---|
初回相談料(処方なしの場合) | 5,500円 |
初診料 | 3,000円 |
初診時採血 | 8,800円 |
フィナステリド(0.2mg) 1箱28錠入り | 7,770円 |
フィナステリド(1mg)1箱28錠入り | 7,770円 |
デュタステリド(0.5mg)1箱30錠入り | 9,480円 |
ミノキシジルタブレット(2.5mg)1箱100錠入り | 6,770円 |
ミノキシジル外用薬5%(男性用) 60ml/本 | 7,750円 |
ミノキシジル外用薬1%(女性用)60ml/本 | 7,200円 |
↓当院AGA治療予約はこちら↓
050-3146-4285
大手クリニック7選の治療費一覧
続いて大手AGAクリニックの治療費一覧です。
ミノタブ=ミノキシジルタブレット(飲み薬)で、塗りミノ=ミノキシジル外用薬(塗り薬)。ミノタブを飲むなら塗りミノは不要ですが、参考価格として載せておきます。
フィナステリド + ミノタブ | デュタステリド + ミノタブ | 塗りミノ | |
---|---|---|---|
AGAスキンクリニック | 22,000円 | 24,200円 | 11,000円 |
銀クリ | 18,150円 | 不明 | - |
湘南美容クリニック | 13,030円 | 16,530円 | 4,980円 |
イースト駅前クリニック | 12,500円 | 18,800円 | 5,550円 |
クリニックフォア | 10,780円 | なし | 10,285円 |
ゴリラクリニック | 9,900円 | 10,780円 | 3,900円 |
Oops HAIR | 7,480円 | 10,230円 | 7,150円 |
AGAスキンクリニックから徐々に価格が安くなるよう順番に並べていて、7院中では「Oops HAIR」が最安値になります。
①Oops HAIR
院名 | Oops HAIR |
店舗 | 東京都新宿区 |
形態 | オンライン診療のみ |
料金目安 | 7,480円(税込)/月 |
特徴 | 初診から処方までLINEで完結 |
当院が調査した中では一番安かった、おっと!を意味するウープス(Oops)という珍しい名前で、「おっとっと?もう生えたの?」みたいなことをイメージできるAGAクリニックを最初に紹介します。
たくさん時間をかけて調べればここより安いクリニックはあるかもしれませんが、これ以下の値段だと個人輸入代行店などになってしまうと思います。
安いだけではなく、診察からAGA治療薬の発送までLINEで全てが完結する点においても非常に便利です。
初月無料だと薬の「副反応」を試せる
新型感染症のワクチンで「副反応」という言葉を誰もが知るようになりましたが、AGA治療薬にも副反応はあります。
特にミノキシジルタブレット(飲み薬)は、心臓や血管に副反応が出やすい薬剤なので、体質に合わない場合は後悔しないためにも治療を中止する必要が。
Oops HAIRは初月の治療薬代が無料なので1か月治療を続けてみて、ご自身の身体がどう反応するか確かめることができる点で、他院より優位性がありそうです。
脱毛抑制剤デュタステリドが安い
いきなり濃い薬から飲み始めると後で飲む薬がなくなってしまうことから、”後悔しないためにフィナステリドから治療を始めてください”、と説明してきました。
しかしAGAは進行性の脱毛症なので、フィナステリドよりも脱毛抑制効果の高いデュタステリド35)に治療薬を変えなければならない日が高い確率でやってきます。
となると、デュタステリドの価格が気になりますよね。Oops HAIRはデュタステリドも格安で、今回当院が調べたAGAクリニックの中で最安値でした。
Oops HAIRの店舗情報
Oops HAIRはオンライン診療メインのAGAクリニックですが、実店舗ももちろんあります。場所は新宿駅から徒歩7分くらいの甲州街道から一本横に入った、新宿にしては閑静な場所にあります。
2階の窓に「東京メモリアルクリニック」と書いてありますが、ここがOops HAIRの店舗になります。
いわゆるメディカルモールになっていて、他の階も全て医療機関が入っています。
LINEで完結するのは本当に便利
遠隔診療のAGAクリニックでありそうでないのがLINE予約です。予約から自宅に薬が届くまでの手順は以下になります。
治療費は格安を売りにしている湘南美容クリニックより安く、かつ初月無料と条件の良いAGAクリニックは探してもなかなか見つかりませんし、LINEで気軽に治療を始められることから、Oops HAIRをおすすめしない理由が逆に見つからないくらい。
オンライン専門クリニックなので、全国どこに住んでいても治療を継続できる点も良いです。
②クリニックフォア(CLINIC FOR)
院名 | クリニックフォア |
店舗 | 10店舗(副作用ケアのみ) |
形態 | オンライン診療のみ |
料金目安 | 10,780円(税込)/月 12カ月まとめて定期:32,162円税込(2,681円/月) ※初回6か月分無料クーポン使用 |
特徴 | 全額返金保証制度あり※適用には条件があります |
東京都心部中心に10店舗を展開する大手クリニックグループが運営している、オンラインメインのAGAクリニックです。
クリニックフォア(CLINIC FOR)の店舗情報
クリニックフォアは東京都内に10店舗構えています。下記の写真は飯田橋(東京都千代田区)にある店舗で、飯田橋駅の目の前にあります。
左側のオフィス棟と右側の大きな住宅棟の間の1階にクリニックフォア飯田橋院があります。
現地に行ったのは日曜日の午後でしたが休診せず、患者さんも来院していました。土日でも診療しているのは重宝できますし、ここでAGA治療薬も処方してもらえます。
副作用ケアができる珍しいAGAクリニック
クリニックフォアは、おそらく日本で最初にPCR検査を行ったクリニック(診療所)です。
AGA(男性型脱毛症)の治療を始めたのはここ数年だと思いますが、もともとは当院(内科総合クリニック人形町)と同じ内科系の医療機関。
発毛促進剤であるミノキシジルタブレットの副作用で心臓や血管に違和感を覚えた時に対処してくれるところが、大きな長所です。
メニューが豊富なため後悔しない薄毛治療法を選べる
クリニックフォアは診療メニューが豊富にそろっていて、フィナステリドだけとかデュタステリドだけとか、などの単品での治療を選択できます。
例えばどうしても高濃度のミノキシジル外用薬(頭皮への塗り薬)を試してみたいと思っても、他院だと単品処方をしていない場合がほとんどですが、クリニックフォアは単品購入も可能です。
価格も十分安い
当記事内の価格ランキング1位のOops HAIRが安すぎるので2位になっていますが、クリニックフォアも十分すぎるほど安いです。
最近ユーチューバーとして活動し始めたAGAスキンクリニックの半額以下の価格設定ですし、1位のOops HAIRとの価格差もわずか。
12ヶ月まとめて定期プラン(フィナス+ミノキ2.5mgの発毛ライトプラン)では、初回6ヶ月無料クーポンの使用で32,162円税込(2,681円/月)となり、1年分まとめて購入であればOops HAIRよりも安いです。
薬の副作用ケアを重要視しながら治療するなら、クリニックフォアは有力な選択肢だと思います。
③イースト駅前クリニック
院名 | イースト駅前クリニック |
店舗 | 全国33院 |
形態 | 店舗およびオンライン診療 |
料金目安 | 12,700円(税込)/月 |
特徴 | 主要駅の駅前に立地 |
3番目に紹介するのは、店舗型のAGAクリニックであるイースト駅前クリニックです。
駅前に立地しているので通うのが便利
全国に33院展開していて、そのすべてが全国主要駅の「駅前」です。イースト駅前クリニックと名乗っているだけはありますね。
診察は決して丁寧とは言えないですが、「今日どうしても薬が欲しい」という時にはとても重宝すると思います。例えば出張先で手持ちのAGA治療薬が切れてしまった時など、利用価値は絶大でしょう。
④湘南美容クリニック
院名 | 湘南美容クリニック |
店舗 | 全国112院 |
形態 | 店舗およびオンライン診療 |
料金目安 | 13,030円(税込)/月 |
特徴 | 初診から処方までLINEで完結 |
日本最大の美容クリニックである湘南美容クリニックは、価格的には5位相当になります。
全国に112院もあるので便利といえば便利ですが、今の時代よほどのことがなければ薬は郵送の方が便利なので、美容メニューなどで通っている「ついで」にAGA治療を受けるのが賢い利用方法かも知れませんね。
湘南AGAクリニックの店舗情報
湘南美容クリニックグループのAGA部門は「湘南AGAクリニック」という名称になっており、本院(正式には”新宿本院”)は新宿西新宿のアイランドタワーの奥にあるアイランドウィングの7階になります。
新宿駅からは少し歩きますが、丸ノ内線の西新宿駅からだとほぼ直結しています。
脱毛抑制剤入りの発毛剤
他院にはない特徴として、下記がラインナップされていることでしょうか。
- フィナステリド入りのミノキシジル外用薬
- デュタステリド入りのミノキシジル外用薬
論文をいろいろ調べてみたのですが、フィナステリドとデュタステリドは経口薬としては意味があっても外用薬(塗り薬)として効果があるというものを見つけることができず、したがって「おすすめします」とは言えないです。
ただし、効果がないとも言えないので、気になる方は購入してみてください。
副作用とデメリット
AGA治療薬であるフィナステリド、デュタステリドは脱毛抑制効果があり、ミノキシジル外用薬やミノキシジルタブレット(飲み薬)は発毛効果認められていますが、後悔してしまうような副作用やデメリットも存在します。
フィナステリドとデュタステリドの服用によって起きる副作用として、勃起不全、性欲減退、射精障害などの性機能障害が挙げられます40)。
フィナステリドの研究では、男性の3.8%が性的な副作用を報告し、プラセボ群では男性の2.1%が同様の問題を経験しました41)。さらに、これらの性的副作用は、場合によっては服用を中止しても持続することがあり、これは「ポストフィナステリド症候群」として知られています42)。
ミノキシジル外用薬の副反応は、頭皮の炎症、かゆみ、赤みなどがあります43)。口から服用するミノキシジル(ミノタブ)は、体液貯留、息切れ、急激な体重増加などの副作用を引き起こすことがあり、うっ血性心不全に至る可能性も指摘されています44)。
AGA治療のデメリットは、治療を中止すると脱毛が再開する可能性があるため、効果を維持するために継続的に服用を続ける必要があることです。
さらに、患者さんによっては、これらの薬を長期間使用しても、髪の成長に大きな改善が見られない場合もあります。
AGA治療の副作用を以下の表にまとめました。
治療薬 | 副作用 |
---|---|
フィナステリド(プロペシア) | 性機能障害、ポストフィナステリド後遺症、精液量の減少、乳房の圧痛、肥大化 |
デュタステリド(ザガーロ) | 性機能障害、ポストデュタステリド後遺症、精液量の減少、乳房の圧痛、肥大化 |
ミノキシジル外用薬 | 頭皮の炎症、かゆみ、赤み、髪の色や質感の変化、女性の顔の不要な毛の成長 |
ミノキシジルタブレット | 体液貯留、息切れ、急激な体重増加、うっ血性心不全 |
重症化した場合の対処法
男性型脱毛症(AGA)が重症化した場合の対処法は、薬理学的治療、外科的介入(自毛植毛)、および生活習慣の改善を組み合わせることです。
米国皮膚科学会(AAD)によれば、AGAの治療法はまず、ミノキシジルやフィナステリド(プロペシア)、デュタステリド(ザガーロ)などのFDA認可医薬品の使用です。
脱毛が進行している場合には、皮膚科医は追加の治療を勧めることがあります。一つの選択肢は血小板豊富な血漿(PRP)療法で、患者自身の血小板を頭皮に注入し、細胞の再生を促進し、髪の成長を促す方法です。
もう一つの治療法は、低レベルレーザー治療(LLLT)。赤色光を用いて、毛包の細胞活性を高めることで発毛を促進します。Avramらの研究によれば、LLLTはAGA患者の髪の密度と太さを改善することが示されました。
これらの治療法に反応しない患者や、より早急な解決を望む患者には、植毛手術が検討されることが。植毛手術には、毛包単位移植(FUT)と毛包単位抽出(FUE)の2つの方法があります。
FUTは、後頭部から髪のある皮膚を帯状に切除し、FUEは毛包を個別に採取する方法です。どちらの方法も、頭皮の禿げた部分に毛包を移植します。良い結果を得るためには、熟練した経験豊富な植毛医を選ぶことが不可欠です。
医学的な治療に加えて、生活習慣の改善もAGAの管理に役立ちます。鉄、亜鉛、ビオチンなどの栄養素が豊富な健康的な食事は、髪の健康のために不可欠です。
さらに、瞑想やヨガなどでストレスレベルを下げると、ストレスによるホルモンバランスの乱れが原因で起こる脱毛を緩和することができます。また、定期的な運動は、頭皮の血行を良くし、髪の成長を促進する可能性が。
これらの対処法を試してもAGAの進行が止まらない場合は、アートネイチャーやアデランスなどでウィッグ(かつら)を作ることをおすすめします。
体験談
男性型脱毛症(AGA)治療に関する患者の体験やレビューは、治療法や期間、個人の反応によって異なり、英語圏では、患者の視点からのものを提供する論文や研究が多数あります。
FDA認可のミノキシジル外用薬は、髪の成長や太さの改善が報告されており、3~6ヶ月継続使用で良好な結果が得られることもあります。ただし、副作用としてかゆみや赤み、頭皮の炎症などが報告されることも。
もう一つのFDA認可薬であるフィナステリドは、ホルモンの原因を対象とした内服薬で、6~12ヶ月間服用すると著しい発毛が報告されることもあります。ただし、性欲減退や勃起不全、気分の変化といった副作用を経験する患者も。
発毛効果が期待できる低レベルレーザー治療(LLLT)も人気があります。一部の患者には肯定的な効果がある一方、他の患者には効果が低いと感じられることもあります。
自毛植毛手術のFUTやFUEは、満足度が高く自然な髪の生え際や自尊心の向上が報告されることが多いですが、傷跡や術後の痛み、移植した髪の密度への不満を経験する患者もいます。
多血小板血漿(PRP)注射は、発毛を促す成長因子を頭皮に導入する代替療法ですが、顕著な発毛を報告する患者と効果を感じない患者がいます。また、注射部位の痛みや腫れを経験することも。
ビオチンや亜鉛、ノコギリヤシなどの栄養補助食品は、自然なアプローチを求める患者さんに人気がありますが、効果には個人差があります。
さらに、オンラインサポートグループやフォーラムは、患者さんがAGA治療に関する経験やレビューを共有するためにプラットフォームを提供しています。
これらのプラットフォームではさまざまな情報や個人の体験談を交換することができ、患者さんが治療法を選ぶ際に役立つでしょう。
AGA治療にはいろいろな方法があり、結果に満足する患者さんもいれば、解決策を見つけるために試行錯誤を続ける患者さんもいるので、情報収集は不可欠です。
まとめ
いきなり濃度の濃い薬からAGA治療を始めてしまうと、「もう効く薬がない」と後悔することになります。
AGAは進行性の脱毛症のため鉄則は、「薄い薬から徐々に濃くしていくこと」です。この順番を間違ってはいけません。
当記事では査読済みの論文(エビデンス)を中心に情報を集めて書き上げました。
参考にした英語の論文は下記にまとめてあります。文末のQ&A集も参照してください。
参考文献
RAZUM, Josip; VUKASOVIĆ HLUPIĆ, Tena. Quality of life in young men with androgenetic alopecia: A mixed methods study. Journal of Cosmetic Dermatology, 2022, 21.2: 794-801.
CAMACHO, F. M.; GARCÍA‐HERNÁNDEZ, M. J. Psychological features of androgenetic alopecia 1. Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology, 2002, 16.5: 476-480.
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