- 異常な抜け毛が発生するメカニズム
- 髪が抜けやすくなる3つの原因
- 髪が抜けやすい原因の背景にある5つの要因
- 異常な抜け毛とそうでない抜け毛の見分け方
- 抜け毛にさよならしたい!5つの予防策
こんにちは。
今回のテーマは、「髪が抜けやすい理由と異常な抜け毛の見分け方」についてです。
「髪が抜けやすい」と聞いて、「自分のことだ!」とドキッとする人も多いのではないでしょうか。
髪の毛は時期が来ると自然に抜けますが、「これはちょっとヤバいかも…」と感じるほど抜けているのは、恐怖以外の何者でもないかもしれません。
抜け毛が増えるのは、異常な抜け毛(異常脱毛)という場合がほとんどです。
そして、異常脱毛が発生する理由を知り対策をとることで、抜け毛を改善することは可能です。
当記事では、髪が抜ける原因や異常な抜け毛の見分け方、さらに抜けやすい状態を改善する方法についてご紹介します。
異常な抜け毛が発生するメカニズム
抜け毛には、大きく分けて以下の2種類あります。
- 自然に抜ける毛
- 不自然に抜ける毛
異常な抜け毛は、後者を指します。
私たちの髪の毛は、生えたら永久にそのままというわけではありません。
ヘアサイクル(毛周期)にそって、「生えて抜け落ちる」を繰り返しています。
ヘアサイクルは以下のように、3つのステージに分かれています。
- 成長期:毛が成長している時期(2~6年)
- 退行期:毛の成長が止まる時期(2~3週間)
- 休止期:新しい髪の毛の成長とともに、古い毛が抜け落ちる時期(5~6カ月)
つまり、髪の毛は2~6年かけて自然に抜けていくというわけです。
ところが抜け毛の中には、成長期が数カ月~1年と、正常なヘアサイクルを経ずに抜けてしまうものもあります。
それが、「異常な抜け毛」です。
異常な抜け毛は自然に抜け落ちる毛よりも抜けやすく、量が多くなります。
髪が抜けやすくなる3つの原因
ヘアサイクルが乱れる原因として、以下の3つが考えられます。
- ①AGA(男性型脱毛症)を発症している
- ②血行不良を起こしている
- ③頭皮環境が悪化している
それぞれ詳しく見てみましょう。
①AGA(男性型脱毛症)を発症している
AGAとは脱毛症の一種で、ジヒドロテストステロンという男性ホルモンが関係していると考えられています。
ジヒドロテストステロンは、テストステロンという男性ホルモンが5αリダクターゼという酵素によって変換されたものです。
異常な抜け毛が発生するのは、このジヒドロテストステロンが毛母細胞を攻撃しヘアサイクルを乱すためといわれています。
5αリダクターゼは頭頂部(つむじ)や額の生え際などに多く存在するため、AGAになると部分的に髪が薄くなっていきます。
②血行不良を起こしている
血液には、髪の成長に必要な酸素や栄養を送り届ける働きがあります。
血流が悪くなると毛乳頭細胞に酸素や栄養が十分に行き渡らず、髪の毛の成長に影響が出ます。
成長を妨げられた髪は途中で成長が止まり、抜け落ちてしまいます。
③頭皮環境が悪化している
健康な頭皮とは、適度な柔らかさと透明感があり、毛穴に余分な皮脂などがたまっていない状態のことです。
しかし、何らかのきっかけでダメージを受けると、頭皮は乾燥したり炎症を起こしたりします。
頭皮環境が悪化すると、髪の毛が育ちにくく成長途中で抜けるようになります。
髪が抜けやすい原因の背景にある5つの要因
髪が抜けやすい原因を見てきましたが、その背景には以下の要因があると考えられています。
- 遺伝
- 加齢
- ストレス
- 紫外線
- 生活習慣
それぞれ詳しく見てみましょう。
遺伝
家族に薄毛の人がいるからといって、必ずハゲてしまうというわけではありません。
しかし、5αリダクターゼの活性度は遺伝する可能性があるなど、遺伝は抜け毛発生の要因になりうるのです。
加齢
AGAは20代でも発症します。
しかし、年齢を重ねると以下の理由からヘアサイクルが乱れ、髪は抜けやすくなります。
- ジヒドロテストステロンが発生しやすい
- 頭皮が硬くなりやすい
ストレス
長らくストレスが抜け毛の直接的な原因と考えられていましたが、医学的にそうだというエビデンスはありません。
ただし、ストレスがたまると下記のような現象が起きやすく、それが血行不良や頭皮環境の悪化、さらにはAGAの発症につながると考えられています。
- 自律神経が乱れる
- ホルモンのバランスが崩れる
- 活性酸素が増える
- ジヒドロテストステロンの生成を加速させる
紫外線
皮膚は紫外線を浴びると活性酸素を作り出しますが、頭皮も同じです。
紫外線に長くあたり続け大量の活性酸素が発生した頭皮は、老化が進みます(光老化)。
そして、毛母細胞の働きが鈍くなり髪が抜けやすいなどの症状があらわれるようになります。
生活習慣
睡眠不足や暴飲暴食、運動不足など乱れた生活習慣を送っていると、ヘアサイクルも乱れていきます。
そして、ヘアサイクルが乱れると髪の毛が正常に育ちにくくなり、抜け毛が増えます。
異常な抜け毛とそうでない抜け毛の見分け方
異常脱毛かどうか見分ける際は、以下のポイントをチェックしましょう。
- 1日に抜ける本数
- 毛根の状態
- 毛の状態
1日に抜ける抜け毛の本数
自然な抜け毛は1日50~100本抜けるといわれています。
異常な抜け毛はそれよりも抜ける量が多くなる傾向にあり、1日200本以上抜けることも。
- 以前より髪が抜けやすい
- 排水口が詰まりそうなほど抜け毛が増えた
- 床に落ちている毛の量が多くなった気がする
上記のような点など、気になる点が出てきたら、異常脱毛を疑った方がよいかもしれません。
毛根の状態
成長しきって抜け落ちた髪の毛の毛根は白く、マッチ棒のようにふっくらとしています。
一方異常な抜け毛の毛根は成長途中で抜け落ちてしまうため以下のような点に注意してください。
- 毛根が黒い
- 毛根が尖っている
- 毛根がない
このように、上記の場合は正常な毛根とは異なります。
毛の状態
健康な髪の毛は黒くてコシがあります。
一方、成長途中で抜け落ちた毛には以下のような特徴が見られます。
- 細い
- コシがない
- 短い
抜け毛にさよならしたい!5つの予防策
髪が抜けやすい状態が続き、「すべて抜け落ちてしまったら」と考えただけで憂うつになります。
早めに対策をとれば症状が改善されることもありますので、希望を持ちましょう。
異常な抜け毛の原因とその背景にある要因を取り除くためには、以下の対策が挙げられます。
- 生活習慣を見直す
- 紫外線対策をする
- 頭皮や髪のケアをする
- 薄毛専門クリニックでの治療を検討する
生活習慣を見直す
生活習慣を見直すことは、抜け毛を防ぐだけでなく、ストレスを和らげたり体の健康にもつながったりします。
これを機会に、生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。
生活習慣を見直す際のポイントをご紹介します。
- バランスの取れた食事を心がけ、特にタンパク質・亜鉛・ビタミン類が不足しないように気をつける
- 1日6時間程度の睡眠時間を確保する
- ウォーキングなど血行促進が期待できる運動を取り入れる
上記の3つです。
紫外線対策をする
紫外線対策として、以下のことを習慣づけましょう。
- 紫外線がガンガン降り注ぐ日中の外出を避ける
- 外出する場合は帽子を被る
- 必要に応じてヘアオイルや日焼け止めスプレーを使う
紫外線は、晴れの日だけでなく曇り空や雨の日でも地上に降り注いでいます。
また、紫外線の量は4月頃から上昇し夏にかけて多くなりますが、冬場はゼロというわけではありません。
紫外線対策は、1年を通してするのが理想です。
頭皮や髪のケアをする
頭皮マッサージは、血行不良を予防・改善するうえで効果的です。
頭皮マッサージのやり方は1つではありませんが、迷ったら以下の方法を1日3分程度実施してみましょう(シャンプー後がおすすめ)。
- ①両手で頭を軽く押さえ、らせんを描くように指を動かしながら、生え際からつむじにかけて頭皮をもみほぐす。
- ②①と同様に、えり足からつむじにかけてもみほぐす。
- ③頭皮をつまんではじくように指の腹を動かし、頭全体を軽くタッピングする。
薄毛専門クリニックでの治療を検討する
自分で薄毛対策を続けても改善が見られない場合は、薄毛の専門家に相談することをおすすめします。
AGAは、進行性の脱毛症です。
放っておくと進行するだけで、自然治癒は期待できません。
AGAと診断されると、内服薬や外用薬による薬物治療が行われます。
費用は治療方法や治療先の料金設定などによってばらつきがあります。
クリニックの無料相談サービスを利用したり、複数のクリニックを比較したりして、およその料金を把握しておきましょう(AGA治療は保険適用外に注意)。
まとめ
髪が抜けやすい原因や異常な抜け毛の見分け方、そして抜け毛を防ぐ方法についてご紹介しました。
ここで当記事のポイントを簡単にまとめてみます。
- 髪が抜けやすいのは、AGAや血行不良、頭皮環境の悪化が原因
- 異常な抜け毛は、毛根と髪の毛の状態をチェックする
- 生活習慣を見直し、必要であれば薄毛専門クリニックを受診することが抜け毛対策につながる
異常な抜け毛の原因を知り適切に行動すれば、たとえAGAでも症状の改善が期待できます。
早めに薄毛対策に取組み、抜け毛を食い止めていきましょう。
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