使わない機能は衰える(使える機能は使いましょう)

人体図
院長 藤田

こんにちは。内科総合クリニック人形町 院長の藤田(総合内科専門医)です。

朝の通勤時間の過ごし方って大事ですよね。 皆さんは何か通勤時のルーチンはありますか?

スキップするOL

私はNHKラジオ「実践ビジネス英語」を聞きながらシャドウイングするのをルーチンにしてます(電車内なので声を出さず、口だけ動かします(^_-)15分で終わるので、残りの時間はツイッターやYoutubeで情報収集です)。英語を忘れないためです。

幼少時アメリカに住んでいたので多少話せますが、普段から練習しないと咄嗟の時に超基本的な単語が出て来なくて愕然とする事があるのです。 

英語のシャドーイング

でも、日本語は練習しなくても特に困ることはありません。当たり前ですが、日本語は毎日使っているからです。

同じようなことが体の他の機能にも言えます。例えば、歩行は毎日当たり前にやっていますが、どんなに体力ある方でも、足の骨折などで入院して1週間もベッド上安静で過ごしていると筋力が衰えて歩けなくなります。

筋肉って血流が多くエネルギーを食うので、使わないなら減らすのが合理的な訳です。

でも安心してください。リハビリを行えばまたちゃんと歩けるようになります。

理学療法士とリハビリをする男性

消化吸収もそうです。いろんな理由で絶食状態の患者さんには点滴で栄養を補いますが、1週間以上絶食していた患者さんに食事を再開する時、いきなり普通の食事を出すと下痢をしてしまいます。

点滴しながら寝ている男性

しばらく使っていなかった消化管の粘膜が萎縮し、消化吸収能力が落ちているのです。そのため最初はお白湯から始め、徐々に流動食、お粥と戻していって消化管を馴らします。

いわば、消化管のリハビリです。(暴飲暴食しても消化管を鍛える事にはなりません、念のため(>_<))

このように言語能力も歩行能力も消化吸収能力も、私たちは日々の生活の中で必要だから使っているわけですが、使うことによって機能が維持されてるとも言えます。

ではそれ以外の機能はどうでしょうか?

例えば、呼吸は常にしているので、「しばらく呼吸してなくて出来なくなった」なんてことは普通ありませんね(病気で人工呼吸器がついてた方以外)

深呼吸する男性

でも、運動習慣が無く仕事中も座りっぱなしという患者さんでは、聴診の時に深呼吸をお願いしても浅い呼吸しか出来ない事がよくあります。

呼吸時には横隔膜・僧帽筋・肋間筋・脊柱起立筋など数多くの筋肉が協同して動きますが、浅い呼吸だけしてるとこれらの筋肉の動きが悪くなるのです。

運動選手が肺活量が多いのは、日頃から運動時に深い呼吸をしているからです。  

私は趣味でボーカルを習っていますが、先生から「普段から横隔膜を意識して呼吸して下さい」と言われた時は目から鱗でした。

また公共トイレなどで久々に和式トイレを使うと、立ち上がる時に「よっこいしょ」となった経験は無いでしょうか?

私たちは現代の生活でしゃがむ機会がほとんど無くなってしまったので、しゃがむのに必要な大腿四頭筋・大臀筋・腸腰筋などが衰えてしまいがちなのです。

スクワットする女性
笑顔で階段を上る男性

これを補うには毎日スクワットしたり、積極的に階段の昇り降りすることです。駅の階段なんかはちょうどよくて、私は体調が悪くなければ階段を使うようにしています。

筋力だけでは無く、関節可動域もです。肩関節、股関節、椎間関節(首から腰にかけての背骨の間の関節)などは、普段歩行以外の運動をしないでいると動きが限られます。

そうすると段々歩幅が狭くなり、咄嗟に障害物を避けられなかったりつまづいて転びやすくなったりします。

また、五十肩の原因の多くは肩関節の動かさなさ過ぎと言われています(たまに肩関節の使い過ぎが原因の方も居ます。ほどほどに使うのがいいようです)

歩行以外の様々な動きをするスポーツ、もしくはストレッチやヨガを積極的に行って、身体の柔軟性を維持したいものです。

現代の生活はとても便利で楽です。そのお陰で寿命はどんどん伸びました。でも皮肉な事に、歩けない・食べられない高齢者が増えています。

今は特に不自由なく歩けるし、特段鍛える必要性を感じないかもしれません。しかし80を過ぎると、若い頃から体を鍛えていなかった人は軽い病気をきっかけとして寝たきりになりやすいです。

人生100年時代なのにこれは由々しき事です。

それだけでなく、認知機能は歩行能力と関連しています。

お年寄りが大腿骨骨折などで入院するとあっという間に認知症が進むのは、よく見られる現象です。

今は入院直後からリハビリを開始するのが常識ですが、足の骨折の場合は歩行リハビリが出来ないので、高齢かつ元々筋力が少ない方だと、どんなに頑張っても寝たきりやむなしとなってしまうケースが多いです。

今年のお正月休みは長いです。長い方で9日間もあります。その間、ほとんど歩かず移動は車という生活をしていると歩行に必要な筋肉はかなり衰え、頭までなまってしまいます。

お正月休みこそ積極的に体を動かして、冴えた頭で新年を迎えたいですね。

私は早速今日からインターバルトレーニングを始めました。開業後ずっとサボってたので(゚∀゚)

ランニングする女性

それでは皆さま、よいお年を〜!

以上


この記事を書いた人

内科総合クリニック人形町 院長 藤田 英理(総合内科専門医)
Dr. 藤田 英理

内科総合クリニック人形町 院長
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
東京大学医学部保健学科および横浜市立大学医学部を卒業
東京大学付属病院や虎の門病院等を経て2019年11月に当院を開業
最寄駅:東京地下鉄 人形町および水天宮前(各徒歩3分)

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