こんにちは。内科総合クリニック人形町 院長の藤田(総合内科専門医)です。
しばらく開業準備でブログ更新が滞っておりましたが、お陰様で過日(11月5日)無事開業を迎えましたので、ブログ再開いたします。
10月までは台風続きでついこの間まで夏の気分でしたが、11月に入り流石に冷え込んできて、もう冬を予感させる寒さですね。
この時期、気になるのはインフルエンザ。このエントリーではインフルエンザワクチンのあれこれを取り上げます。
インフルエンザワクチンはいつ打つのがベスト?
結論から言うと、11月中に打つのがベストです。下のグラフを見ると分かるように、例年12月〜3月がインフルエンザ流行のピークです。
(東京都HP http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/09/26/21.htmlより)
インフルエンザワクチンによって体内で作られる抗体は、注射を打ってから
- 2週間後から立ち上がり、
- 1ヶ月後にピークとなり、
- 3-5か月後から下がって来ます。
11月中に打っておけば、流行が立ち上がってくる12月中旬は間に合い、かつ流行が終息する4月初めまでの間効果が持続します。
忙しくて11月中に予防接種に来れなかったという方でも12月中旬までに打てば、ピーク時には抗体出来るので、打つ意味はあります。
以前、某「医療ジャーナリスト」を名乗る方(敢えて名前は出しません)が
「インフルエンザの人と接触したので急いでワクチンを打ったがインフルエンザにかかった。ワクチンなんて意味ない」
という内容をツイートして炎上していましたが、上記の知識があればこのようなツイートはしないはずですね、、。
妊娠中や授乳中は、インフルエンザワクチンを打ってもいいの?
はい、妊娠中でも授乳中でも、インフルエンザワクチンを打つことが出来ます。
インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり、妊婦さんにも胎児にも、授乳にも何ら悪影響ありません。むしろ、妊婦さんはインフルエンザにかかると肺炎や脳炎といった深刻な合併症が起こるリスクが高く、インフルエンザワクチンを打つことが推奨されています。
これに対し、MR(麻疹風疹混合)ワクチン、水痘(水ぼうそう)ワクチン、ムンプス(おたふくかぜ)ワクチン、ロタワクチンといった生ワクチンは妊婦さんに打ってはいけないので要注意です。生ワクチンは生体内で増殖する可能性があるからです。
授乳中の方は生ワクチンを打っても大丈夫です
※不活化ワクチンと生ワクチンの違いについては下記サイトをご覧ください。
インフルエンザワクチンを打ったのにインフルエンザになりました。意味無いのでは?
インフルエンザの人に接触後、慌ててワクチンを打って効果を期待するのはイトシュンさんぐらいだと思うので(あ!言っちゃいました)
この質問者さんは、きちんと流行前に打ったという前提にします。
はい、そういうこともあり得ます。
インフルエンザワクチンによって期待できる効果は
- インフルエンザに罹る可能性が下がる
- インフルエンザの重たい合併症が減る
というものなので、当然ワクチンを打っても罹ってしまう人は居ます。インフルエンザワクチンを打ったのにインフルエンザに罹ってしまったら
「ワクチンを打たなかったらもっと重症だったかも知れない」
と思って頂くのが良いかなと思います。特に糖尿病、気管支喘息、COPD、心不全、腎不全といった基礎疾患がおありの方や妊婦さんはインフルエンザ肺炎や脳炎という重篤な合併症にかかるリスクがそうでない方よりも高いので、是非ワクチンを打って重症化を防ぎましょう。
インフルエンザワクチンを打ったらお風呂に入っちゃダメ?
インフルエンザワクチンを打った日でもお風呂は入れます。ですが、ワクチンを打つと体内で免疫応答が起こってだるくなるので、長風呂は避けましょう。
私が小学生の頃は短時間でも入浴はダメと言われていた気がします。恐らくあの頃はよくわかってなかったんだと思いますが、
ワクチンの注射針は27Gという外径0.4mmの針を使っており(もっと細いものを使ってるところもあります)、刺し口は直後に塞がってそこから病原体などが入り込むことはありません。
以上、このエントリーではインフルエンザワクチンあれこれについてまとめました。
ワクチン以外のインフルエンザについての疑問につきましては、下記の厚労省サイトをご覧頂けましたらと思います。
それではまた!
以上
この記事を書いた人
内科総合クリニック人形町 院長
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
東京大学医学部保健学科および横浜市立大学医学部を卒業
東京大学付属病院や虎の門病院等を経て2019年11月に当院を開業
最寄駅:東京地下鉄 人形町駅および水天宮前駅(各徒歩3分)