インフルエンザの感染経路、潜伏期、周囲へうつす可能性のある期間

インフルエンザウイルス
院長 藤田

こんばんは。内科総合クリニック人形町 院長の藤田(総合内科専門医)です。

前エントリーではインフルエンザワクチンのあれこれについて書きました。

このエントリーでは、

  • インフルエンザの感染経路
  • 潜伏期
  • 周囲へうつす可能性のある期間

についてまとめます。これらは、ワクチンを打ったうえでさらに感染予防をするために欠かせない知識です。

目次

インフルエンザの感染経路

インフルエンザ感染者の鼻汁や咳やくしゃみで出る飛沫(しぶき)にはインフルエンザウイルスが含まれており、直接の接触や、飛んできた鼻汁・唾液のしぶきが目・鼻・のどの粘膜から入り込むことで他の人に感染します。

インフルエンザの感染経路は基本的にこの接触感染、飛沫感染の2つですが、条件によっては空気感染する場合もあります。

飛沫感染と空気感染の違いは少し分かりにくいですね。飛沫感染とは、飛んできた感染者の鼻汁・唾液のしぶきが直接付着して感染することです。咳やくしゃみでは最大3-5m先までしぶきが飛ぶとされています。

また、ただ会話しているだけでも1m程度先までしぶきが飛ぶことがあります。

これに対して空気感染とは、しぶきの水分が蒸発した小さな粒子(飛沫核といいます)をこれを吸いこんで感染することです。

しぶきは水分を含んでいる為それなりの重さがあり、体内から放出された後数メートル飛んで地面に落ちてしまいますが、飛沫核は水分が 無いぶん軽いため、長い時間たっても空気中に浮遊し、しかも遠くまで飛んでいくことができます。

従って、患者から十分な距離をとっていても感染してしまうのです。空気感染のことを飛沫核感染とも言います。空気感染する感染症は麻疹・水痘(水ぼうそう)・結核が知られています。

かつてはインフルエンザの感染経路は接触感染・飛沫感染だけで、空気感染は無いとされてきましたが、近年、換気が悪い環境では空気中の飛沫や飛沫核が濃縮して、インフルエンザウイルスが空気感染することが分かってきました。

従って、オフィスや学校の教室などでは換気を十分にしなければなりません。

インフルエンザの潜伏期間

潜伏期間とは、病原体に接触してから発症するまでの期間です。インフルエンザウイルスの潜伏期間は、わずか1~4日と非常に短いのが特徴です。

ですので、インフルエンザ感染者と接触後、4日間程度は慎重に様子を見て、丸4日間経ってもだるさ・強い悪寒・発熱といった症状が出なければ、一応は安心と思って大丈夫です。

インフルエンザを周囲へ移す可能性のある期間

インフルエンザウイルスは、発症する1日前から感染力をもっているといわれています。上に書いた通り、インフルエンザウイルスの潜伏期間は1~2日です。

つまり、感染した当日から感染力をもっているということになります。

症状をはっきりと感じることのない、発症前から既に感染力をもっているのが、インフルエンザの感染拡大を止めることが容易ではない理由の一つです。

感染力は、発症後一週間程度まで持続し、特に発症してから3日ほどは感染力がピークに達するとされています。

予防接種を受けた方がインフルエンザに感染すると、そこまでの高熱が出ないことがあります(私が今まで遭遇した例では37.1℃でインフルエンザ陽性の方がいました)

このため、典型的症状ではなくてもインフルエンザに感染している可能性があります。

特に、ご家族に子供やお年寄り、妊婦さんや基礎疾患(心不全・腎不全・肝不全・免疫不全など)をお持ちの方がおられる方などは、普通の風邪の可能性が高いように思っても大事をとって医療機関を受診し、必要に応じてインフルエンザの検査を受けると良いでしょう。

以上、インフルエンザの感染予防に必要な知識についてまとめました。次エントリーでは、インフルエンザの診断と治療についてまとめる予定です!

以上


この記事を書いた人

内科総合クリニック人形町 院長 藤田 英理(総合内科専門医)
Dr. 藤田 英理

内科総合クリニック人形町 院長
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
東京大学医学部保健学科および横浜市立大学医学部を卒業
東京大学付属病院や虎の門病院等を経て2019年11月に当院を開業
最寄駅:東京地下鉄 人形町および水天宮前(各徒歩3分)

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