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脂質異常症と診断されても実感がない方へ 毎日の食事で気を付けたいこと

栄養バランス
院長 藤田

こんにちは。内科総合クリニック人形町 院長の藤田(総合内科専門医)です。

脂質異常症は、生活習慣が引き起こす病気であり、以前は高脂血症とも呼ばれていました。

健康診断などの採血検査で見つかることが多い病気ですが、自覚症状が現れにくいため、受診をせずに放置している人も多いのではないでしょうか。

脂質異常症は、継続的な治療を受けていると推測される患者数が約220万5000人であり、1996年と比較すると2倍以上に増加している非常に身近な病気の一つです1)。

脂質異常症の治療に関しては、食事療法が重要ですが、毎回の食事でどんなことに注意すれば良いのかお困りの方も多いと思います。

本記事は、普段の食生活での疑問を解消し、食事に対する正しい知識を身につけていただくことで、食事療法を行いながら、少しでも食事の時間を楽しんでいただきたいと考えて作成しました。ぜひ参考にしてください。

目次

脂質異常症とは

脂質異常症とは、血液中の脂肪分である悪玉コレステロール(LDLコレステロール)、善玉コレステロール(HDLコレステロール)、中性脂肪(トリグリセライド)の代謝に異常がある状態です。これらの値が基準値から外れた状態を脂質異常症と言います。

診断の基準となる数値は下記のようになりますが、この基準に当てはまる場合も、すぐに治療が必要というわけではありません

脂質異常症診断基準(空腹時採血)

  • LDLコレステロール(悪玉コレステロール) 140mg/dL以上
  • HDLコレステロール(善玉コレステロール) 40mg/dL未満
  • トリグリセライド(中性脂肪)       150mg/dL以上
  • Non-HDLコレステロール          170mg/dL以上
院長 藤田

脂質異常症の原因には、油物や糖質、甘いものの摂取過多などの食事習慣の乱れ、運動不足などがあげられます。その他の原因には、遺伝的要因、他の病気や薬の影響で起こる場合も。

脂質異常症自体は無症状ですが、脂質の代謝の異常が起こると、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が全身の動脈の内側の壁に沈着し、たまっていきます。

その後、活性酸素の影響で酸化され、血管の内側にコブ(プラーク)が。プラークができることで、血液の通り道である血管の内腔がどんどん狭くなったり、血管の壁が厚くなることで血管の弾力性が失われていきます。これが動脈硬化です。

また、柔らかいプラークが破綻して、血の塊(血栓)ができると、血栓の形成により血管が完全に詰まったり、破綻したプラークがその先の血管で詰まることで、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などになることが知られています。

コレステロール

一方で、HDLコレステロール(善玉コレステロール)には、増えすぎたコレステロールを回収し、さらに血管壁にたまったコレステロールを取り除いて、肝臓へもどす働きが。

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が動脈硬化を促進するのとは反対に、HDLコレステロールには動脈硬化を抑制する働きがあるということです。HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低下することで動脈硬化は促進。

脂質異常症は、長期間の蓄積により動脈硬化を進行させますが、早期に介入することで、これらの発症を予防することができます。

また、動脈硬化に関しては糖尿病、高血圧、喫煙なども危険因子として知られており、糖尿病や高血圧については脂質異常症と同様に食事に注意が必要です。

食事のポイント

それではどういった食事が具体的に良いのでしょうか。単純に食事の量を減らすなど、極端な制限をしても身体には良くありません。

食事療法では、摂取カロリーを適正なエネルギー量に制限し、栄養のバランスが取れた食事を行うことが大切です。

院長 藤田

以下に簡単な食事のポイントを紹介します。

標準体重を維持しましょう

皆さんは、標準体重をご存じでしょうか。肥満度を表すBMI(Body Mass Index)というものは聞いたことがあるかもしれません。男女とも標準とされるBMIは22で、これは統計上、肥満との関連が強い糖尿病、高血圧症、脂質異常症に最もかかりにくい数値とされています3)。

エネルギーの過剰摂取によって体重増加、及び、肥満が進行し、その結果として脂質異常症のリスクが上昇。体重増加を防ぐために、ご自身の標準体重と1日の必要エネルギー量を把握する必要があります。

以下の計算式から、ご自身の標準体重と必要エネルギー量を確認しましょう。

標準体重=身長(m)×身長(m)×22

必要エネルギー量(簡易式)=標準体重×25〜30kcal

標準体重と必要エネルギー量が確認できたら、摂取カロリーを必要エネルギー量に合わせて制限しましょう。

栄養配分は適正化しましょう

栄養バランス

炭水化物は必要エネルギー全体の50〜60%、脂質は20〜25%に調整しましょう。

炭水化物とタンパク質は1gあたりのエネルギー量が4kcal、脂質は1gあたり9kcalあります。脂質は少量でも高カロリーとなりやすいため、摂取量には注意しましょう。

例えば標準体重が60kgの人に対して、必要エネルギー量の60%を炭水化物、脂質を20%として、食事例をご紹介します。

  1. 一日の必要エネルギー量は1800Kcalとなり、1食あたりの炭水化物は1800kcal(1日必要エネルギー量)×0.6(60%)÷3(食事回数)で360Kcal。
  2. 炭水化物は1gあたりエネルギー量が4gなので360kcal÷4gで90g。
  3. 1食あたりの脂質は1800kcal(1日必要エネルギー量)×0.2(20%)÷3(食事回数)で120Kcal。
  4. 脂質は1gあたりエネルギー量が9gなので120kcal÷9gで13.3g。

動物性脂肪の摂取を制限しましょう

動物性脂肪には飽和脂肪酸やトランス脂肪酸が多く含まれています。飽和脂肪酸とトランス脂肪酸は、どちらもLDLコレステロールを上昇させ、トランス脂肪酸は、HDLコレステロールも低下させてしまいます。

食物繊維や抗酸化作用のある食品を摂取しましょう。

食物繊維は体内のコレステロールを体外に排出する働きがあり、血中のコレステロールを低下させます。食物繊維は1日あたりの目標量が18〜64歳の男性で21g以上、女性18g以上です。

また、LDLコレステロールが活性酸素により酸化されることで動脈硬化を引き起こすため、抗酸化作用の高い食品を摂取することで、LDLコレステロールが酸化されるのを防ぐ働きがあります。

塩分摂取の制限をしましょう

コレステロールを低下させる和食中心の食事でも、塩分摂取は多くなりがちです。例えば、味噌汁は味噌汁1杯(味噌大さじ1=18g)とすると、味噌の種類にもよりますが大体塩分2g程度が含有されていると言われています。

食塩 摂取量の目標値は、男性 1日8g未満、女性 7g未満とされていますので、食塩の摂取量にも注意しましょう。3)

高血圧を合併すると動脈硬化がさらに進行してしまいます。塩分の過剰摂取は血圧を上げてしまう可能性があるため、濃い味付けを避け、塩分の摂取量にも注意しましょう。

塩分の多い食べ物

アルコールの過剰摂取を控えましょう

アルコールの過剰摂取は、トリグリセライド(中性脂肪)の増加につながるため、1日摂取量は25g以下としましょう。例えば、ビール中瓶1本(500ml)だとアルコール含有量は20g、日本酒1合(180ml)だと22g程度です。 

控えたほうがよい食品

摂取する脂肪の質と量に注意しましょう。特に、コレステロールや飽和脂肪酸を多く含む肉の脂身やレバーやモツなどの内臓類、バターや牛乳などの乳製品、卵黄、洋菓子、スナック菓子などの摂取を控えましょう

積極的にとりたい食品

  • 野菜や海藻、豆類、きのこ類
  • 1日のうち1食の主食を玄米ごはん、麦ごはん、胚芽米ごはん、全粒小麦パンなどに置き換える
  • 緑黄色野菜や大豆製品、海老、鮭

食物繊維や抗酸化作用が高い食品が推奨されます。食物繊維を多く含む食品としては、野菜や海藻、豆類、きのこ類などがあげられます。毎食摂取するようにしましょう。

また、1日のうち1食の主食を玄米ごはん、麦ごはん、胚芽米ごはん、全粒小麦パンなどに置き換えると、効率的に食物繊維が摂取できます。

抗酸化作用がある食品には、緑黄色野菜や大豆製品、海老、鮭などが。食事に取り入れていきましょう。

栄養バランス

型別の食事療法

高LDLコレステロール血症

コレステロールと飽和脂肪酸を多く含む肉の脂身、内臓、皮、乳製品、卵黄およびトランス脂肪酸を含む菓子類、加工食品の摂取を抑え、食物繊維と植物コレステロールを含む未精製穀類、大豆製品、海藻、野菜類の摂取を増やしましょう

高トリグリセリド血症

糖質を多く含む菓子類、飲料、穀類の摂取を減らし、アルコールの摂取は控え、n-3系多価不飽和脂肪酸を多く含む魚類(サバやイワシなどの青魚)の摂取を増やしましょう

低HDLコレステロール血症

トランス脂肪酸の摂取を控えます。n-6系多価不飽和脂肪酸の摂取を減らすために植物油の過剰摂取を控えましょう

まとめ

脂質異常症の治療には食事療法が非常に重要です。まず、ご自身の1日の必要エネルギー量を知り、バランスが良い食事を心がけることが第一歩です。

動物性の脂肪や塩分、アルコールなどは摂取量に注意し、食物繊維や抗酸化作用がある食品を積極的に摂取するようにしましょう。

食品によっては摂取に制限がありますが、正しい食生活の知識をつけることで、食事の時間を楽しみながら、食事療法を続けていくことができます。今回ご紹介した内容が皆様の食生活を変える一助となれば幸いです。

参考文献

1) 厚生労働省 平成29年(2017)患者調査. 

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/17/dl/05.pdf

2) 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版. 2017年.

3) 厚生労働省. e-ヘルスネット. 肥満と健康 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-001.html

4) 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会 日本人の食事摂取基準(2020年版) 第一出版,2020.

5)  厚生労働省. e-ヘルスネット. 飲酒量の単位. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-02-001.html

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