こんばんは。総合内科専門医の藤田です。
乳酸菌飲料でよく知られるヤクルトヘルスフーズ株式会社。青汁商品は約20種類も販売されています。
商品の種類が多くありすぎて、「どれが良いのかわからない」「どうちがうの?」という疑問を解決するため、この記事ではヤクルトヘルスフーズの青汁商品に含まれる栄養成分から効果を検証し、それぞれの商品のちがい、自分や家族に合った目的別の選び方を解説しました。
この記事の執筆者
藤田 英理 内科総合クリニック人形町 院長
東京大学医学部保健学科、横浜市立大学医学部を卒業。虎の門病院、稲城市立病院、JCHO東京高輪病院への勤務を経て内科総合クリニック人形町を開院。総合内科専門医。AGA治療や生活習慣病指導も行う。
この記事の監修者
川島 久 博士(学術)栄養学・栄養化学・医化学一般
国立大学の大学院博士課程を修了。都内私立大学家政学部の栄養学科・管理栄養士コースで、栄養学と生化学の講義を担当。現在は研究所勤務。
- 博士(学術)栄養学、栄養化学、医化学一般
- 第一種衛生管理者
- 厚生労働省指針『心と身体の健康増進(THP)』推進指導者
ヤクルトヘルスフーズの青汁商品の種類
ヤクルトヘルスフーズの青汁は、「保健機能食品」と「栄養補助食品」に分けられます。
保健機能食品
保健機能食品とは、その製品の有効性や安全性を個別に審査し許可を得た「特定保健用食品(トクホ)」、特定の栄養成分が補給できる「栄養機能食品」、事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性表示をする「機能性表示食品」の3種類があります。
ヤクルトヘルスフーズでは、この中の「特定保健用食品(トクホ)」の表示許可を得た商品があります。
商品名 | 原料 | 特徴 |
---|---|---|
カラダ計画「大麦若葉」 | 大麦若葉 | 特定保険用食品(トクホ)。難消化性デキストリン(食物繊維として)が1袋に2.5g含まれていて、「お腹の調子をととのえる」表示をする商品です。 |
栄養補助食品
栄養補助食品は、保健機能食品とちがい機能表示ができない一般食品です。
ちがいは栄養成分で比較するしかなく、目的に合わせ、成分表示を比較して商品を選びます。
商品名 | 原料 | 特徴 |
---|---|---|
青汁のめぐり | 大麦若葉 | 食物繊維+ヤクルトのオリゴ糖配合 栄養が体内をめぐることをサポート |
私の青汁 | 大麦若葉 | 農薬・化学肥料不使用の国産大麦若葉を使用 β-カロテン・鉄分の含有量が多い 低カロリー |
国産ケール青汁 | ケール | 農薬・化学肥料不使用の国産ケールを使用 カルシウム・マグネシウムの含有量が多い 低カロリー |
青汁のめぐりケール | ケール | 食物繊維+ヤクルトのオリゴ糖配合 栄養が体内をめぐることをサポート カリウム・カルシウム・マグネシウムの含有量が多い |
緑のまもり | 大麦若葉 ケール | ラクトフェリン、ヤクルトのオリゴ糖を含む 農薬・化学肥料不使用の国産ケール・大麦若葉を使用 鉄分の含有量が多い |
朝のフルーツ青汁 | 大麦若葉 | フルーツ配合で飲みやすい ビタミンCの含有量が多い |
商品が多くありちがいが分かりづらいので、実際の栄養成分の含有量表示から比較してみましょう!▼
ヤクルトヘルスフーズの青汁の健康効果を栄養成分から検証
食物繊維を摂りたい場合はトクホの「大麦若葉」、葉酸を摂りたい場合は「私の青汁」または「緑のまもり」・・といったように、成分を比較すると自分に合った商品がなんとなく見えてきますね。
目的がはっきりしないと選びづらいので、まずは何を目的に青汁を毎日の生活にとり入れるのか、を考えることが第一です!
商品名 | カロリー | 食物繊維 (g) | カリウム (mg) | カルシウム (mg) | 鉄 (mg) | β-カロテン (μg) | 葉酸 (μg) | ビタミンC (mg) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
青汁のめぐり | 48 | 3.2 | 218 | 12 | 0.6 | 797 | 35 | |
私の青汁 | 24 | 2.7 | 269 | 13 | 0.7 | 800 | 40 | |
大麦若葉(トクホ) | 15-32 | 5.5 | 6-17 | 0.2-1.3 | ||||
国産ケール青汁 | 25 | 1.5 | 273 | 84 | 0.2 | 463 | 28 | 14 |
青汁のめぐりケール | 46 | 3.4 | 365 | 97 | 0.3 | 392 | 24 | |
緑のまもり | 47 | 3.5 | 272 | 23 | 1.1 | 299 | 42 | 1.5 |
朝のフルーツ青汁 | 27 | 0.4 | 97 | 6 | 0.2 | 276 | 15 | 49 |
青汁商品一覧(ヤクルトヘルスフーズ)より作成
\ 商品選びに役立つ!各栄養素のはたらき /
・食物繊維:便通をととのえる整腸作用、腸内環境を整える。
・カリウム:正常な血圧を保つのに必要な栄養素。余分なナトリウム(食塩)を体外に排出する。
・カルシウム:骨や歯の形成に必要な栄養素
・鉄:赤血球を作るのに必要な栄養素
・β-カロテン:体内でビタミンAに変わる。ビタミンAは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素。
・葉酸:赤血球の形成を助け、胎児の正常な発育に寄与する栄養素
・ビタミンC:皮膚や粘膜の健康維持を助け、抗酸化作用(活性酵素からカラダを守る)を持つ栄養素
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・ポリフェノール:抗酸化作用(活性酵素からカラダを守る)をもつ。
・ルテイン:抗酸化物質として活性酵素を抑えたり、有害な光を吸収する機能をもち、目を守る。
・ガラクトオリゴ糖:おなかの中のビフィズス菌を増加させ、整腸作用を示す機能性のオリゴ糖。
・ラクトフェリン:ヒトの初乳に多く含まれる、感染防御機能をもったたんぱく質。
商品名 | ポリフェノール (mg) | ルテイン (mg) | ガラクトオリゴ糖 (g) | ラクトフェリン (mg) |
---|---|---|---|---|
青汁のめぐり | 54 | 1.4 | 2.5 | |
私の青汁 | 52 | 1.5 | ||
大麦若葉(トクホ) | ||||
国産ケール青汁 | 29 | 0.8 | ||
青汁のめぐりケール | 44 | 0.7 | 2.5 | |
緑のまもり | 53 | 0.9 | 2.5 | 23 |
朝のフルーツ青汁 | 22 | 0.4 |
青汁商品一覧(ヤクルトヘルスフーズ)より作成
- 抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を服用している方
- 腎機能障害の方、人工透析をしている方
- 肝機能障害の方
- C型肝炎の方
- 野菜の摂取制限を受けている方
基礎疾患のある方や治療薬を服用中の方、通院中の方(妊婦の方を含め)は、必ずかかりつけの医師や薬剤師・管理栄養士に相談してから使用しましょう。
β-カロテン・ルテインの摂取で注意したいこと
β-カロテンは、体内でビタミンAに変換されます。「青汁のめぐり」「私の青汁」は他の青汁商品よりβ-カロテンが多く含まれていますね。
ビタミンAの推定平均必要量は男性で300~650μgRAE/日、女性で250~700μgRAE/日です。β-カロテン摂取量は2mg/日を超過しないよう勧告されています※ので、商品記載の1日の摂取量を守るようにしましょう。
βカロテンは、ビタミンAに変換される物質ですが、ここでご注意いただきたいことがあります。
一日当たりのビタミンAの推定平均必要量は、年齢によって異なりますが、男性で300~650μgRAE/日、女性で250~700μgRAE/日です(厚生労働省発表の日本人の食事摂取基準(2020年版)より)。
※単位のRAEとは、「レチノール活性当量」と呼ばれるもので、動物性由来の成分レチノールの量と、主に植物性食品から摂取されるβ(ベータ)-カロテンなどカロテノイドが体内でビタミンA作用に換算される量との合計を指標にしたものです。
特にご注意いただきたいのは、βカロテンをビタミンA換算する場合、1/12倍します。つまり、βカロテン12μgでビタミンAの1μg分にあたります。
また、ヤクルトヘルスフーズの青汁商品には、カロテノイドの一種であり、ほうれん草やブロッコリーといった緑黄色野菜に含まれるルテインも比較的多く含まれています。
このルテイン(lutein)は、フラボノイドのルチン(rutin)と名前は似ていますが、全然別の成分です。ルテインはレチノール活性当量に換算するときは1/24倍、つまりビタミンA作用に換算すると、ルテインの摂取量の24分の1になります。
他の青汁製品よりも、βカロテン、ルテインが多く含まれていますので、正しい知識をもとに、上手に利用しましょう。
目的別に選ぶヤクルトヘルスフーズの青汁商品
ヤクルトヘルスフーズの商品を精査し、目的別に、選ぶべきおすすめの青汁商品をまとめました。
お腹の調子を整えたい方・食物繊維を摂りたい方
農薬・化学肥料を使用せず栽培した大分県産大麦若葉に、食物繊維を配合したトクホの青汁です。
機能性関与成分として、2袋10gあたり難消化性デキストリンが5.0g含まれているので、「お腹の調子を整える」という機能表示が許可されています。
年齢性別にもよりますが、1日必要量の半量~4分の1量の食物繊維をこの青汁で補うことができますね。
1日量(2袋10g)あたりの栄養素
エネルギー 15~32kcal
たんぱく質 0.3~1.1g、脂質0~0.3g、食物繊維5.5g、糖質1.7~4.0g
ナトリウム 15~36mg、カルシウム6~17mg、鉄0.2~1.3mg、マグネシウム2~10mg
機能性関与成分:難消化性デキストリン(食物繊維として)5.0g
お腹の調子を整えたい場合、基本は規則正しい食事、主食・主菜・副菜をバランスよく摂ることです。その上で、補助的な使用が望ましいです。
ビタミンCを摂りたい!という方
ビタミンCはアスコルビン酸の別名。抗酸化物質であるだけでなく、コラーゲンの生成に必須の非常に多機能な物質で、体内で作れず、食事から摂取する必要があります。
りんご粉末果汁やバナナパウダーを添加して、飲みやすさを追求した健康補助食品です。
ヤクルトの青汁ではビタミンCの含有量が最も多く、そのほか果糖、ブドウ糖、マンゴーパウダー、シトラスファイバー、アセロラパウダーが含まれています。
美味しくビタミンCを摂りたい方に向いている一方で、食物繊維・鉄分の含有量はヤクルトの青汁では最も少なくなっています。
1日量(1袋7g)あたりの栄養素
エネルギー 27kcal
たんぱく質 0.4g、脂質0.1g、食物繊維0.4g、糖質5.8g、食塩相当量0.03g、ビタミンC 49mg、ビタミンK 28μg、葉酸15μg、鉄0.2mg、カルシウム6mg、カリウム97mg、マグネシウム4mg、β-カロテン276μg、ポリフェノール22mg、ルテイン0.4mg
農薬・化学肥料を使わずに栽培された国産ケールを原料とする健康補助食品です。
ビタミンCを1日(2袋8gあたり)14mg摂ることができます。
原料のケールは野菜の王様とも言われるスーパーフード。カルシウム・マグネシウムの含有量が多いのも、この商品の特徴です。
1日量(2袋8g)あたりの栄養素
エネルギー 25kcal
たんぱく質 0.5g、脂質0.1g、食物繊維1.5g、糖質4.8g、食塩相当量0.09g、ビタミンC 14mg、ビタミンK 48μg、葉酸28μg、鉄0.2mg、カルシウム84mg、カリウム273mg、マグネシウム20mg、β-カロテン463μg、ポリフェノール29mg、ルテイン0.8mg
カルシウムを摂りたい!という方
カルシウムが1日(2袋15gあたり)97mg含まれた健康補助食品です。
カルシウムの食事摂取基準は年齢性別により異なりますが、「青汁のめぐりケール」では1日必要量の約4分の1~約8分の1量を摂取できます。
カリウム・マグネシウムの含有量が多いのも特徴の商品です。カリウムは1日必要量の約3分の1~約7分の1量になります。
おなかの中のビフィズス菌を増加させ、整腸作用を示す機能性のガラクトオリゴ糖、さらに食物繊維量も2袋あたり3.4gと多く含まれる、国産ケール青汁です。
1日量(2袋15g)あたりの栄養素
エネルギー 46kcal
たんぱく質 0.8g、脂質0.1g、食物繊維3.4g、糖質9.2g、食塩相当量0.1g、ビタミンK 59μg、葉酸24μg、鉄0.3mg、カルシウム97mg、カリウム365mg、マグネシウム22mg、β-カロテン392μg、ポリフェノール44mg、ルテイン0.7mg、ガラクトオリゴ糖2.5g
※カリウムを多く含む食品は、腎障害や抗血栓剤(ワーファリンなど)と拮抗するなど、不具合が懸念されます。持病のある方や通院中の方、抗血栓薬を服用中の方は、必ず主治医の先生とご相談の上、情報を共有しながら摂取します。
ヤクルトのガラクトオリゴ糖が入った青汁が良い!という方
ガラクトオリゴ糖は、おなかの中のビフィズス菌を増加させ、整腸作用を示す機能性のオリゴ糖です。
参考:ガラクトオリゴ糖(ヤクルト中央研究所)
ガラクトオリゴ糖の摂取で注意したいこと
一般的に「ガラクトオリゴ糖」の名はよく目にするようになりましたね。
実際は4′-ガラクトシルラクトースを主成分とするオリゴ糖のことを、こう呼びます。4′-ガラクトシルラクトースは、母乳に多く含まれる成分です。
ガラクトオリゴ糖は難消化性のオリゴ糖で、腸内の有用細菌(ビフィズス菌、乳酸菌)に対して優れた増殖能力を有しています。
また、耐酸性と熱安定性にも優れており、加熱調理しても、摂食後胃酸に対しても、安定に構造を維持することができる頼もしいオリゴ糖です。
ちなみにオリゴ糖というのは、1分子1分子の糖(これをモノマーという状態とよびます)が幾つかつながった状態(これをオリゴマーといいます)の構造をもつ糖のことです。
母乳に多く含まれる成分ですが、母乳から抽出しているわけではありません。多くの場合、牛乳の乳糖を原料に、ガラクトシダーゼという酵素を使って酵素化学的に製造されています。
このガラクトオリゴ糖(4′-ガラクトシルラクトース)が、腸内有用細菌・ビフィズス菌・乳酸菌などの増殖を亢進させることで整腸作用を示し、規格基準型特定保健用食品として認証されています。
ただし、取り過ぎたり、あるいは体質・体調によりおなかがゆるくなることがあります。また、多量に摂取することで疾病が治癒したり、健康が増進するものではない、ということにも気を付けて利用しましょう。
※他の食品からの摂取量も考えながら、適量を摂取してください。
葉酸・鉄が多く含まれる青汁が良い!という方
葉酸は水溶性ビタミンでビタミンB群に属し、プテロイルモノグルタミン酸やその派生物の総称ですね。
文字通り、植物の葉に多く含まれています。黄色結晶で光や熱に不安定な物質のため、加工の過程で失われやすい成分のひとつでもあります。
1日量(2袋15gあたり)に葉酸が42μg、鉄が1.1mg含まれた健康補助食品です。
ヒトの初乳に多く含まれるラクトフェリン、整腸作用を示す機能性のガラクトオリゴ糖も含んでいます。
食物繊維量も2袋あたり3.5gと多く、高付加価値タイプの青汁として販売されている商品です。
鉄は生体にとって必須金属で、特に「鉄欠乏性貧血」は女性にとって身近な鉄欠乏の症状となっていますので、積極的に摂取したい栄養素です。
葉酸はビタミンB12とともに赤血球を作る造血作用があり、胎児や乳幼児の成長に非常に重要な生理活性物質の一つです。
年齢によりますが、男性で80~200μg/日、女性で90~200μg/日必要と推定されています。
特に妊婦の方は、+200μg/日必要~+240μg/日推奨、授乳期も+80μg/日必要~+100μg/日が推奨されています。
<活用にあたっての留意事項>
妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性および妊娠初期の妊婦は、胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減のために、通常の食品以外の食品に含まれる葉酸(狭義の葉酸)を400μg/日摂取することが望まれる。
1日量(2袋15g)あたりの栄養素
エネルギー 47kcal
たんぱく質 0.9g、脂質0.2g、食物繊維3.5g、糖質9.3g、食塩相当量0.1g、ビタミンC 1.5mg、ビタミンK 70μg、葉酸42μg、鉄1.1mg、カルシウム23mg、カリウム272mg、マグネシウム8mg、β-カロテン299μg、ポリフェノール53mg、ルテイン0.9mg、ラクトフェリン23mg、ガラクトオリゴ糖2.5g
商品に含まれる栄養成分に注目すると、どれが自分に合っているかわかり、選びやすくなりますね。
広告ばかりではなく、実際にパッケージの栄養素含有量を見ることがたいせつです。体質(アレルギーの有無)や体調に合わせて、最初は少量から様子をみながら摂取するとより良いと思います。
参考文献(References)
※ビタミンAの過剰摂取による影響(内閣府食品安全委員会) https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheet-vitamin-a.pdf