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Withコロナ初の2020秋冬シーズン、インフルエンザにどう備えるべきか?

院長 藤田のアイコン画像院長 藤田

おはようございます。内科総合クリニック人形町 院長の藤田(総合内科専門医)です。

7月に始まった新型コロナ第2波ですが、ピークを過ぎてそのまま落ち着くかと思いきや、グズグズと足踏みが続いています。

そうかと思えば、11月からはもうインフルエンザの流行が始まります。
今年のインフルエンザは、早めに備えをしておく必要があります。

というのも、今年のインフルエンザ流行期は、今までとはだいぶ違った様相を呈しそうなのです。

なぜでしょうか。

目次

その1:発熱患者さんを診療出来るクリニックが少ない

これは既に実感されている方も多いかと思いますが、この春以降、少なくない数のクリニックが「発熱患者さんお断り」となっています。理由はもちろん、新型コロナウイルス感染の蔓延を防ぐためです。

「医者の癖に、発熱で困っている患者を断るとはけしからん!」
「結局、自分が罹るのが怖いんだろう!?」

という声が聞こえてきそうです。

「感染予防を徹底しながら、発熱患者さんを診るのが医者本来の役目ではないか?」

その通りです。

しかし、多くのクリニックは建物・内部の構造上、発熱患者とその他の患者さんを完全に隔離することが難しいのです。高血圧や糖尿病のような慢性疾患で通院している患者さんをコロナ感染の危険にさらす訳には行かないのです。

そして、新型コロナとインフルエンザは、発症初期にはほとんど区別がつきません。ほとんど唯一の明白な違いと言えば、新型コロナウイルス感染症ではインフルエンザよりも長期(7日以上)にわたって症状が続くことくらいです。

味覚嗅覚異常とか、息苦しさとか、新型コロナで見られてインフルエンザでは少ない症状はありますが、それだけで明確な鑑別は正直難しいです。

そして、その違いは発症して7日間以上経たないと分からない訳です。

「突然の高熱と筋肉痛が出たが、臭いや味はわかる。どちらかというとインフルエンザのような症状だけれども、コロナかもしれないから7日間は様子を見ようかな。」

こんな風に悠長には待ってられませんね。
ですから、インフルエンザ流行期であっても、発熱症状で受診される患者さんは全員を新型コロナの可能性を考えて完全隔離しなければならないのです。

という訳で、この秋冬シーズン(もしかしたら来年も)、インフルエンザの診療が出来るのは事実上発熱患者さんの完全隔離が可能で、なおかつ新型コロナウイルスの検査が可能な医療機関のみとなります。

考えただけでも恐ろしいですね、、発熱患者さんを診ている数少ないクリニックに発熱患者さんが殺到する光景。

例えば、当院は患者さんを隔離できる部屋が4つありますが、新型コロナの流行が比較的落ち着いてきた現時点(9月上旬)においても、すべての部屋が予約で埋まってしまって、発熱患者さんの予約をお断りせざるを得ないことが珍しくありません。

インフルエンザの流行が始まったら一体どうなるのでしょう?

今シーズンは、もしかすると先シーズン(2019-2020)同様、みんながマスク・まめな手洗い・外出自粛をすることでそこまで大きな流行にならない可能性もありますが、新型コロナが2類感染症指定で完全隔離が必要とされる以上、容易に発熱外来のキャパを超えてしまう事が予測されています。

その2:運良く受診できても今までよりも多くの負担を強いられる

Withコロナの今シーズンは先シーズンまでと違って、医療機関を受診すると以下のような新たなコストがかかります。

余計にかかるコスト(1)

「院内トリアージ実施料」

今年の4月以降、発熱などの新型コロナが疑われる症状えで医療機関を受診されたことのある方はご存知かもしれませんが、新型コロナウイルス疑い患者さんを診療すると、「院内トリアージ実施料」が算定されます。

これは、新型コロナウイルス疑い患者さんを診療するに当たって必要な感染予防策(患者さんの隔離、マスク、フェイスシールド、部屋の消毒等)のコストや労力に対して支払われるものです。

実際私自身、発熱患者さんの診療には非常に神経を使いますし、1日何十回と手を洗うので手はシワシワ、フェイスシールドの着脱で髪の毛はグチャグチャ。スタッフも、入り口までのお迎え、隔離部屋の割り当て、お帰りになった後の部屋の消毒などなど、文字通り走り回っています。

ちなみに先日、当院に電話で「おたくは感染対策ちゃんとされてるのでしょうか?」という問い合わせがありました。お名前を名乗って下さらなかったのでどなたかはわかりませんが、

  • 発熱患者さんは別の入口からご案内して完全隔離していること
  • フェイスシールドを毎回消毒すること
  • 発熱患者さんがお帰りになった部屋は次亜塩素酸で消毒していること
  • 発熱患者さんから頂いた現金も次亜塩素酸やアルコールで消毒していること

を一通りお話したら、

「そうですか」

と感心されていました。こうした現場の医療従事者がごく当たり前に行っている事を一般の方は案外ご存じないのだなあ、とその時実感した次第です。

少し話がそれましたね。すいません。

気になる検査費ですが、「院内トリアージ実施料」の保険点数は300点(3000円)なので、本人負担は3割負担の方で900円となります。

900円を高いとみるか安いとみるかは人それぞれかも知れませんが、貧乏性の私は先シーズンまでかからなかった900円乗っかってくるのはちょっとお財布が痛いなあと思ったりします。

余計にかかるコストその(2)検査費用(ただし、国費が負担します)

勘のいい方はもうお分かりかと思いますが、この冬インフルエンザ様症状の患者さんが外来に来たとして、インフルエンザの診断がついたからといってそれでは終わりません。なぜなら、新型コロナウイルス感染症が否定出来ないからです。

インフルエンザと新型コロナの同時感染は世界中ですでに10例以上報告があり、日本人の同時感染例も確認されています。であれば、インフルエンザと新型コロナの両方の検査を同時に出来たら患者さんの負担は少なくて済みますよね。

実は日本感染症学会も同時検査を提言しています。

今冬のインフルエンザと COVID-19 に備えて(一般社団法人日本感染症学会提言)

日本感染症学会の提言を受けて、この7月にインフルエンザ・新型コロナウイルスを同時に検査できる検査(FilmArray呼吸器パネル2.1)が保険認可されました。

この検査の保険点数が1800点(18000円)。3割負担の方で5400円。インフルエンザ迅速検査よりもだいぶ高いです。と、ここまで書いたところで、「国費負担」の4文字が私の目に飛び込んで来ました。

なるほど、という事はこの検査も患者負担ゼロになる訳です(あくまでも、医師が必要と判断した場合に)。という訳でこの検査が普及すれば、余計な負担は院内トリアージ実施料900円のみ、ということになりそうです。

参考までに、先ほどの感染症学会の提言中の「インフルエンザとCOVID-19の相違」の表を貼っておきますのでご覧ください。

インフルエンザCOVID-19
症状の有無ワクチン接種の有無などにより程度の差がある ものの、しばしば⾼熱を呈する発熱に加えて、味覚障害・嗅覚障害を伴うことがある
潜伏期間1-2 ⽇1〜14 ⽇(平均 5.6 ⽇)
無症状感染10%
無症状患者では、ウイルス量は少ない
数%〜60%
無症状患者でも、ウイルス量は多く、感染⼒が強い
ウイルス排出期間5-10 ⽇(多くは 5-6 ⽇)遺伝⼦は⻑期間検出するものの、 感染⼒があるウイルス排出期間は 10 ⽇以内
ウイルス排出のピーク発病後 2,3 ⽇後発病 1 ⽇前
重症度多くは軽症~中等症重症になりうる
致死率0.1%以下3-4%
ワクチン使⽤可能だが季節毎に有効性は異なる開発中であるものの、現時点では有効なワクチンは存在しない
治療オセルタミビル、ザナミビル、ペラミビル、ラニ ナミビル、バロキサビル マルボキシル軽症例については、確⽴された治療薬はなく、 多くの薬剤が臨床治験中
ARDS の合併少ないしばしばみられる
引用元:⼀般社団法⼈⽇本感染症学会提⾔ 今冬のインフルエンザと COVID-19 に備えて


ARDSとは急性呼吸促迫症候群のことで、肺炎や敗血症などにより肺が急速にダメージを受けて水浸しになる状態です。

ARDSになるといくら酸素を肺に送ったところでガス交換が行えず、体への酸素供給が絶たれます。新型コロナウイルス感染症で人工呼吸器やECMOが必要なのはこのARDSに陥ったケースです。

その3:インフルエンザワクチンを打つなら10月中が勝負

インフルエンザワクチンは、接種してから2週間ほどで十分な抗体がついてきて、3か月くらいから徐々に抗体が落ち始め、5か月後に約半分になります。

一方、インフルエンザの流行は11月頃から始まり3月頃に終息します。ということは、抗体がつくタイミング的には10月中頃に打っておくのがベストです。

加えて、今年は今までインフルエンザワクチンを打っていなかった層(ワクチンめんどくさい派から、ワクチン嫌いだった派まで)も接種しに来る可能性が高いです。なぜなら、今シーズン発熱すると大変ややこしいことになりそうだということをみんな実感しているからです。

インフルエンザ様の症状が出ても、発熱外来は予約でいっぱいでなかなか受診出来ないという可能性を考えなければならないのです。

こう考えると、早いうちからワクチンが品薄になる可能性を考えておかなければなりません。決して煽っている訳ではありませんが、早めに手を打っておくに越した事はありません。特に今年はインフルエンザワクチンは10月中に、遅くとも11月初めまでには打っておいて、万全でシーズンを迎えるのが良いでしょう。

当院でも、10月上旬からインフルエンザワクチン接種を開始する予定です。9月中旬からHPにて告知し、予約を開始する予定ですので、チェックして頂けましたら幸いです。

次エントリーは「発熱で内科総合クリニック人形町を受診したらこうなった(ドキュメンタリー)」の予定です。

以上


この記事を書いた人

内科総合クリニック人形町院長 藤田医師
藤田 英理

内科総合クリニック人形町 院長
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
東京大学医学部保健学科および横浜市立大学医学部を卒業
東京大学付属病院や虎の門病院等を経て2019年11月に当院を開業
最寄駅:東京地下鉄 人形町および水天宮前(各徒歩3分)

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