バセドウ病による眼球突出や腫れの症状!眼科受診のタイミングと治療法

バセドウ病による眼球突出や腫れの症状!眼科受診のタイミングと治療法

バセドウ病の患者さんのうち、およそ25〜50%に目の症状が現れるといわれています。眼球が前に押し出される突出やまぶたの腫れは、甲状腺ホルモンの異常だけでなく、目の周囲の組織に対する免疫の攻撃によって引き起こされます。

軽い違和感の段階で眼科を受診すれば、点眼や内服で進行を抑えられる場合が多く、重症化する前に対処できる可能性が高まります。受診の目安としては、まぶたの腫れが2週間以上続くとき、物が二重に見えるとき、目の奥に圧迫感を感じるときなどが挙げられます。

治療はステロイドパルス療法や放射線療法などの薬物療法から、眼窩減圧術やまぶたの手術まで幅広い選択肢があり、症状の活動性と重症度に応じた段階的なアプローチが取られます。この記事では、原因から治療法まで順を追ってわかりやすく解説します。

目次

バセドウ病で目が突出したり腫れたりする原因は免疫の暴走にある

バセドウ病による眼症状の根本的な原因は、甲状腺を攻撃する自己抗体が目の周囲の組織にも反応してしまうことにあります。甲状腺と眼窩(がんか:目の奥のくぼみ)の組織は共通の抗原をもっており、免疫系がこの共通部分を標的にすることで目にも炎症が波及します。

TSH受容体への自己抗体が眼窩の組織を攻撃する

バセドウ病では、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の受容体に対する自己抗体(TRAb)が産生されます。この抗体は甲状腺だけでなく、眼窩の脂肪や筋肉にも存在するTSH受容体に結合して炎症を起こします。

炎症が起きた眼窩の線維芽細胞(せんいがさいぼう)はヒアルロン酸などのムコ多糖類を大量に産生し、水分を引き寄せて組織を膨張させます。その結果、眼球が前方に押し出される「眼球突出」や、まぶたの腫れが生じるわけです。

外眼筋と眼窩脂肪の体積が増えて眼球を圧迫する

免疫反応によって外眼筋(がいがんきん:目を動かす筋肉)が腫れて太くなり、同時に眼窩内の脂肪組織も増加します。眼窩は骨に囲まれた閉鎖空間なので、内容物が増えれば眼球は前方へ押し出されるしかありません。

外眼筋が腫れて硬くなると目の動きも制限され、物が二重に見える「複視」が起こりやすくなります。筋肉の腫脹が高度になると視神経を圧迫して視力低下につながる場合もあるため、早期の評価が大切です。

甲状腺機能と眼症状の発症時期にはずれがある場合も

多くの方は甲状腺機能亢進症と同時期に目の症状が出ますが、甲状腺の異常が見つかる前に眼症状が先行するケースや、甲状腺の治療後に遅れて目の症状が出るケースもあります。眼症状は甲状腺の診断の前後18か月以内に現れることが多いものの、まれに10年以上のずれが生じることも報告されています。

甲状腺のホルモン値が正常に戻っても眼症状が残る場合があるため、「甲状腺の数値が落ち着いたから目も大丈夫」とは限りません。目の症状は独立した経過をたどることがあり、甲状腺の治療とは別に眼科での経過観察が求められます。

眼窩の変化影響
外眼筋の腫脹・線維化眼球運動の制限と複視
眼窩脂肪の増加眼球突出の主因
ムコ多糖類の蓄積組織の浮腫とまぶたの腫れ

バセドウ病の眼球突出やまぶたの腫れはこんなサインから始まる

「目が乾きやすくなった」「まぶたが重い」といった軽い不調こそ、バセドウ病の目の症状の初期サインであることが少なくありません。重症化してから気づくよりも、こうした小さな変化を見逃さないことが早期治療への第一歩です。

まぶたの後退と目つきの変化に周囲が先に気づくことがある

バセドウ病で甲状腺ホルモンが過剰になると、上まぶたを引き上げるミュラー筋が過度に刺激されてまぶたが引き上がります。その結果、黒目の上に白目が見える「上方強膜露出」が起きて、いわゆる「びっくりした顔」のような目つきに変わることがあります。

この変化は本人よりも家族や友人が先に気づくケースが多いでしょう。見た目の印象が変わったと指摘されたら、念のため医療機関への相談を検討してください。

ドライアイなのに涙が止まらないのはなぜ?

まぶたが引き上がった状態では目の表面が広く露出し、涙が蒸発しやすくなってドライアイを引き起こします。一方で、角膜が乾燥すると反射的に涙が出る「反射性流涙」が起こり、乾いているのに涙が止まらないという一見矛盾した状態になることがあります。

こうした症状が続くと角膜に傷がつきやすくなるため、人工涙液(じんこうるいえき)の点眼で目の表面を保護することが重要です。

目の奥の圧迫感や頭痛は眼窩内の炎症のサイン

眼窩内で炎症が進むと、目の奥に鈍い圧迫感や痛みを感じるようになります。特に目を動かしたときに痛みが強まる場合は、外眼筋の炎症が活発なサインです。

この痛みは片頭痛や副鼻腔炎と間違われることもありますが、バセドウ病の治療中に目の奥の痛みが出た場合は眼窩の炎症を疑うべきでしょう。痛みの持続は疾患の活動性が高いことを示している可能性があり、早めの眼科受診が望ましいといえます。

症状特徴注意点
まぶたの後退上まぶたが引き上がり白目が見える周囲からの指摘がきっかけになりやすい
ドライアイ目の乾燥と反射的な涙目が併存角膜の傷につながるため点眼で保護
眼球突出眼球が前方に押し出される左右差がある場合もある
複視物が二重に見える外眼筋の腫脹による運動制限
眼窩の痛み目の奥の圧迫感・鈍痛目を動かすと悪化する場合は活動性が高い

バセドウ病の眼球突出を放置すると視力にどう影響する?

軽症のバセドウ病眼症は自然に軽快することもありますが、中等症〜重症のまま放置すると角膜障害や視神経の圧迫による視力低下を招くおそれがあります。症状の進行度を見極め、適切な時期に介入することが視力を守る鍵になります。

角膜の露出が続くと潰瘍に発展するリスク

眼球突出によってまぶたが完全に閉じられない「兎眼(とがん)」の状態が続くと、角膜が常に外気にさらされて乾燥と損傷を繰り返します。初期は点状の表面びらんにとどまりますが、放置すると角膜潰瘍へ進行し、感染を合併すれば失明にもつながりかねません。

就寝時にまぶたをテープで固定する、保湿用の眼軟膏を塗るなどの保護対策を早い段階から取り入れることが重要です。

視神経が圧迫される「甲状腺眼症性視神経症」とは?

腫れた外眼筋が眼窩の奥で視神経を締め付けると、「甲状腺眼症性視神経症(DON)」と呼ばれる緊急性の高い状態に陥ります。色の見え方がおかしくなる、視野が欠ける、視力が急に落ちるといった症状が特徴的です。

DONはバセドウ病の眼症状のなかでも3〜5%と頻度は低いものの、発症した場合は早急にステロイドの大量投与や眼窩減圧術を行わなければ永続的な視力障害を残す恐れがあります。

複視が固定すると日常生活に大きな支障が出る

外眼筋の炎症期には目の動きが制限されて複視が生じますが、炎症が治まっても筋肉が線維化して硬くなると複視が固定されてしまいます。運転や読書、パソコン作業など日常のあらゆる場面で不便が生じるため、生活の質が著しく低下する方も少なくありません。

炎症が落ち着いた後には斜視手術で眼位を矯正できる場合がありますが、手術のタイミングや方法は眼症状の安定度に左右されます。複視が続く場合は、プリズム眼鏡で一時的に補正しながら治療の時期を見定めることが多いでしょう。

眼科を受診すべきタイミングと検査の流れ

バセドウ病と診断されたら、目に違和感がなくても一度は眼科を受診しておくことが望ましいといえます。症状が出てからではなく、ベースラインの状態を把握しておくことが早期対応の土台になるためです。

甲状腺の診断時に眼科もセットで受けておく

バセドウ病の眼症状は初期には自覚しにくく、眼球突出計(ヘルテル眼球突出計)で客観的に測定して初めて軽度の突出がわかることもあります。甲状腺の診断を受けた段階で眼科を受診し、眼球突出度や眼圧、外眼筋の動きを記録しておけば、その後の変化を正確に追跡できます。

欧州のガイドラインでも、バセドウ病患者は早期に専門の眼科施設へ紹介するよう推奨されています。特にTRAb値が高い方、喫煙者、甲状腺機能が不安定な方はリスクが高いとされるため、眼科への早期紹介が一層重要です。

すぐに受診すべき緊急サインを見逃さない

以下のような症状が現れた場合は、数日以内ではなくできるだけ早く眼科を受診してください。

  • 急に視力が落ちた、色の区別がつきにくくなった
  • 目を閉じても眼球が完全に覆われない
  • 強い目の痛みが持続し、目を動かすと悪化する

これらは視神経の圧迫や角膜の重度損傷を示唆する所見であり、緊急治療が必要な場面です。自己判断で様子を見ることは避けましょう。

眼科で行われるおもな検査とCAS評価

眼科では、まず視力検査と眼圧測定が行われます。次に眼球突出計で突出の程度を数値化し、細隙灯(さいげきとう)顕微鏡で角膜の状態を評価します。外眼筋の動きは九方向眼位検査で確認し、必要に応じてCTやMRIで眼窩内部の筋肉や脂肪の状態を画像で把握します。

「CAS(Clinical Activity Score)」という7項目の評価スコアを用いて、眼症状が今まさに活動期にあるのか、それとも安定期に入っているのかを判定します。CASが3点以上なら活動性ありとみなされ、ステロイド治療などの免疫抑制療法の適応が検討されます。治療方針を決める上で中心的な指標となるため、担当医にCASの結果を確認してみるとよいでしょう。

検査項目調べる内容
ヘルテル眼球突出計眼球の突出度(mm単位で左右を計測)
細隙灯顕微鏡検査角膜の傷やまぶたの炎症
九方向眼位検査外眼筋の動きの制限と複視の有無
CT/MRI外眼筋の肥大や眼窩内の脂肪増加
CAS評価炎症の活動性を7項目で点数化

バセドウ病の目の症状に対する治療法と選択の考え方

治療は「活動性があるか」「重症度はどの程度か」の2軸で方針が決まります。軽症で活動性が低い場合は経過観察と対症療法が中心になり、中等症〜重症で活動性が高い場合は免疫抑制療法が適用されます。

軽症の眼症状には点眼とセレンの補充で経過を見る

軽症のバセドウ病眼症では、人工涙液による目の乾燥対策、外出時のサングラス着用、就寝時の眼軟膏塗布といった局所的なケアが基本になります。

加えて、セレンというミネラルの補充が軽症の眼症に有効であることがランダム化比較試験で示されています。1日200μgのセレン酸ナトリウムを6か月間服用した群では、プラセボ群に比べて眼症状の悪化が抑えられ、生活の質も改善したという結果が報告されました。セレン欠乏地域では特に効果が期待できるとされています。

中等症〜重症にはステロイドパルス療法が第一選択

活動性のある中等症〜重症の眼症に対しては、メチルプレドニゾロンの点滴(ステロイドパルス療法)が第一選択として推奨されています。経口ステロイドに比べて効果が高く、副作用も少ないことが複数の研究で確認されています。

通常は週1回の点滴を12週間にわたって行い、累積投与量が4.5〜8gの範囲に収まるよう調整します。ただし高用量のステロイドは肝障害を起こす可能性があるため、肝機能の定期的なモニタリングが欠かせません。ステロイドに反応しない場合や副作用が問題になる場合は、ミコフェノール酸モフェチルなどの免疫抑制薬の併用が検討されます。

テプロツムマブというIGF-1R阻害薬の新たな選択肢

近年、インスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)を阻害するモノクローナル抗体「テプロツムマブ」が甲状腺眼症の治療薬として注目されています。2つの大規模ランダム化比較試験で、眼球突出の改善(2mm以上の減少)が83%の患者に認められ、複視やCASの改善にも優れた成績が示されました。

従来のステロイド療法では十分な改善が得られなかった眼球突出に対して、テプロツムマブは直接的に脂肪組織や筋肉の膨張を抑制する作用を発揮します。3週間ごとに計8回の点滴で投与され、治療終了後も多くの患者で効果が持続することが報告されています。副作用としては、高血糖(特に糖尿病のある方)や聴覚障害が報告されているため、治療中は血糖値と聴力の定期的な確認が必要です。

炎症が落ち着いた後の手術による外見と機能の回復

炎症が収まって安定期に入っても、眼球突出や複視、まぶたの変形が残っている場合は手術(リハビリテーション手術)が選択肢になります。手術は一定の順序で段階的に行うのが原則です。

手術の種類目的実施の順序
眼窩減圧術眼球突出の軽減・視神経の圧迫解除最初に行う
斜視手術複視の改善と眼位の矯正減圧術の後
まぶたの手術まぶたの後退や腫れの改善最後に行う

この順序が推奨されるのは、減圧術によって眼位が変化する可能性があるためです。斜視手術をまぶたの手術よりも先に行うのは、眼位の変化がまぶたの位置にも影響するためでしょう。手術の実施にあたっては、眼症状の活動性が6か月以上安定していることが前提条件となります。

喫煙と甲状腺機能の乱れがバセドウ病の眼症状を悪化させる

眼症状のリスクを高める要因として、喫煙と甲状腺機能の不安定さが特に大きな影響力をもちます。これらは患者さん自身がコントロールできる要因でもあるため、理解と実践が治療効果を左右します。

喫煙は眼症状の発症率と重症度を引き上げる

喫煙者はバセドウ病の眼症状を発症するリスクが非喫煙者の約8倍に上ることが疫学研究で示されています。喫煙は眼窩の酸化ストレスを増大させ、免疫反応を増幅させるため、症状の重症度が高くなりやすい傾向があります。

さらに、喫煙者はステロイド療法や放射線療法への反応が悪く、治療効果が得られにくいことも明らかになっています。禁煙は眼症状の予防と治療効果の改善の両面で、医学的エビデンスに裏づけされた対策です。

甲状腺ホルモンの不安定さが目の炎症を再燃させる

甲状腺機能亢進症と低下症のいずれも眼症状を悪化させることが知られています。治療によって甲状腺ホルモン値が安定した「甲状腺機能正常(ユーサイロイド)」の状態を維持することが、目の炎症を抑える上で重要な土台になります。

特にアイソトープ治療(放射性ヨウ素内用療法)の後は、一時的に眼症状が悪化する可能性が指摘されています。高リスクの方にはアイソトープ治療と並行して低用量のステロイドを予防的に投与することで、眼症状の悪化を防げるとするエビデンスがあります。

コレステロール高値やTRAb高値も見落とせないリスク因子

近年の研究では、血清コレステロール値が高い方やTRAb(TSH受容体抗体)値が高い方は眼症状が重症化しやすいことが報告されています。コレステロールの管理や定期的なTRAb値の測定も、眼症状のリスク評価に役立ちます。

  • 禁煙:眼症状の発症予防と治療効果の改善に直結
  • 甲状腺機能の安定維持:定期的な血液検査と服薬の継続
  • コレステロール管理:食事療法や必要に応じた薬物療法
  • TRAb値のモニタリング:値の推移が眼症状の予測に有用

バセドウ病の目の症状と付き合いながら日常生活でできるケア

治療と並行して、毎日の生活のなかで実践できるセルフケアが症状の緩和と再燃防止に大きく貢献します。医療機関での治療だけに頼るのではなく、自宅でのケアを組み合わせることで、目の状態を良好に保ちやすくなるでしょう。

就寝時に目を保護する工夫が角膜トラブルを防ぐ

眼球突出やまぶたの後退がある方は、睡眠中にまぶたが完全に閉じない「兎眼」になりやすく、角膜が乾燥して傷つくリスクが高まります。保湿用の眼軟膏を就寝前に塗布する、サージカルテープでまぶたを軽く固定するなどの対策が有効です。

加湿器で寝室の湿度を50〜60%に保つことも、目の乾燥を軽減する簡単な方法として取り入れやすいでしょう。エアコンの風が直接目に当たらない位置にベッドを配置するなど、環境面の調整もあわせて行ってみてください。

紫外線と風から目を守るサングラスの選び方

眼球突出があると目の表面が外部刺激にさらされやすいため、外出時にはUVカットのサングラスを常用することをおすすめします。風やほこりからも目を保護できるラップアラウンド型(側面も覆うタイプ)が特に適しています。

レンズの色は暗すぎると室内との明暗差で目が疲れやすくなるため、グレーやブラウン系の中程度の濃さが扱いやすいでしょう。まぶたの腫れが目立つことを気にされる方も多く、サングラスには心理的な安心感を得られるという側面もあります。

塩分制限とまぶたの冷却がむくみの軽減を助ける

まぶたや目の周囲のむくみは、体内の水分貯留と関係することがあります。塩分の多い食事を控え、就寝時に頭をやや高くして寝ることで、朝のまぶたのむくみを軽減できる場合があります。

冷たいタオルや冷却ジェルパッドをまぶたに数分間あてることも、一時的なむくみの緩和に役立つでしょう。ただし長時間の冷却は血流を妨げることがあるため、10分程度を目安にしてください。

定期受診の継続が再燃の早期発見につながる

バセドウ病の眼症状は、一度改善しても数か月〜数年後に再燃することがあります。治療が終了した後も、甲状腺の内科と眼科の定期受診を続けることが、変化を早期に察知するための基本です。

受診の頻度は眼症状の重症度や活動性によって異なりますが、安定期であっても3〜6か月に1回は眼科を受診して、眼球突出度やCASの推移を確認しておくと安心です。日々の自己観察として、鏡で目の左右差やまぶたの状態をチェックする習慣をつけておくのもよいでしょう。

セルフケア目的ポイント
眼軟膏・テープ固定就寝時の角膜保護兎眼がある方は毎晩実施
サングラスの着用紫外線・風・ほこりの遮断ラップアラウンド型が理想的
塩分制限・頭位挙上まぶたのむくみ軽減枕を少し高くして就寝
定期受診の継続再燃の早期発見安定期も3〜6か月ごとに眼科へ

よくある質問

バセドウ病の眼球突出は自然に治ることがありますか?

軽度の眼球突出であれば、甲状腺機能が安定してから数か月〜数年かけて自然に目立たなくなるケースはあります。ただし、一度増加した眼窩内の脂肪や線維化した筋肉は完全には元に戻らないことが多く、突出がゼロになるとは限りません。

中等度以上の突出が残っている場合は、炎症が落ち着いた段階で眼窩減圧術による外科的な改善を検討します。自然経過に任せるか治療に踏み切るかは、突出の程度と生活への影響を総合的に判断して担当医と相談することが大切です。

バセドウ病の目の腫れにステロイド点眼は効果がありますか?

ステロイド点眼薬は目の表面の炎症やアレルギー症状には有効ですが、バセドウ病の眼症状の主な病変は眼窩の奥にある筋肉や脂肪組織なので、点眼だけでは薬が十分に届きません。中等症以上の場合はステロイドの全身投与(点滴や内服)が選択されます。

ただし、目の表面の充血や結膜のむくみが強いときには、ステロイド点眼が補助的に症状を和らげることがあります。いずれにしても自己判断でステロイド点眼を使い続けると眼圧上昇や白内障のリスクがあるため、必ず眼科医の指示のもとで使用してください。

バセドウ病の眼症状は片目だけに出ることもありますか?

バセドウ病の眼症状は両目に出ることが多いですが、左右の重症度に差が生じることは珍しくなく、片目だけに明らかな症状が見られるケースも報告されています。片側性の眼球突出の場合、眼窩内の腫瘍など他の原因を除外するためにCTやMRIによる画像検査が行われることがあります。

画像検査で外眼筋の腫大が確認されれば、たとえ片目だけの症状であってもバセドウ病による眼症と診断されます。左右差が大きい場合は、より突出の強い側から視神経圧迫のリスクが高くなるため、注意深い経過観察が求められるでしょう。

バセドウ病の治療で放射性ヨウ素を使うと眼症状は悪化しますか?

放射性ヨウ素内用療法(アイソトープ治療)の後に、一部の患者さんで眼症状が新たに出現したり悪化したりすることが報告されています。特に喫煙者や、もともと軽度の眼症状がある方、TRAb値が高い方ではリスクが上がるとされています。

このリスクを抑えるために、高リスクの方にはアイソトープ治療と同時に少量のステロイド(プレドニゾロンなど)を数週間服用してもらう予防策が推奨されています。抗甲状腺薬による内科的治療を選択した場合には、こうした眼症状の悪化リスクは低いと考えられています。

バセドウ病の眼球突出や腫れの症状で眼科と内科のどちらを先に受診すべきですか?

まだバセドウ病の診断を受けていない段階で目の異変に気づいた場合は、まず内科(内分泌内科)で甲状腺機能の検査を受けることが優先されます。甲状腺ホルモンやTRAbの値を把握することが治療方針全体の出発点になるためです。

すでにバセドウ病と診断されていて目の症状が出てきた場合は、内科の担当医と連携している眼科(甲状腺眼症に対応できる施設)を紹介してもらうとスムーズでしょう。治療の柱は内科と眼科の連携にあり、どちらか一方だけでは十分な対応が難しい疾患です。

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