尿酸値が高いと指摘されたとき、「実際に検査では何を調べているのだろう?」と疑問を持つ方は少なくありません。血液検査で血清中の尿酸濃度を測定し、尿検査で体外への排泄量を確認する――この2つの検査を組み合わせることで、高尿酸血症の原因を正確に突き止められます。
本記事では、採血から24時間蓄尿までの手順や基準値の読み方、検査前に気をつけたい食事や服薬の注意点をわかりやすく整理しました。「検査を受けるべきか迷っている」「数値の見方がよくわからない」という方はぜひ参考にしてください。
尿酸値の検査が必要になるのはどんなとき?
足の親指に激しい痛みが出た方や、健康診断で尿酸値の異常を指摘された方は、できるだけ早く医療機関で精密検査を受けることが大切です。高尿酸血症は放置すると痛風発作や腎障害を引き起こすことがあるため、早期に原因を見極めて対策を立てる必要があります。
健康診断で尿酸値が高いと指摘されたら早めに受診を
会社の健康診断や人間ドックで「尿酸値が基準値より高い」と言われるケースは年々増えています。自覚症状がないまま数値だけが上がっている状態を「無症候性高尿酸血症」と呼びます。
自覚症状がないからといって放っておくと、関節に尿酸結晶が蓄積し、ある日突然痛風発作として激痛が現れるかもしれません。指摘を受けたら内科を受診し、血液検査や尿検査で詳しく調べてもらいましょう。
痛風の発作を経験した方は再発予防のためにも検査が大切
一度でも痛風発作を経験した方は、尿酸値のモニタリングが再発予防に直結します。発作時に血清尿酸値が正常範囲内のこともあり、発作が治まったあとに改めて採血するのが正確な数値を得るコツです。
尿酸値の推移を定期的に追うことで、薬の効果や食生活の改善度合いを客観的に評価できます。通院のたびに検査結果を確認し、主治医と治療方針を相談していくことが再発防止への近道でしょう。
尿酸値検査が推奨される代表的なケース
| 対象 | 検査が勧められる理由 |
|---|---|
| 健診で尿酸7.0mg/dL超 | 痛風・腎障害リスクの早期評価 |
| 痛風発作の既往がある方 | 再発予防のための定期的な経過観察 |
| 腎機能低下を指摘された方 | 尿酸排泄能の評価と腎保護 |
| メタボリックシンドローム | 生活習慣病との関連を総合的に判断 |
腎臓病や生活習慣病のリスクがある方も尿酸値を確認しておきたい
高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病を抱えている方は、尿酸値にも注意が必要です。尿酸は腎臓から排泄されるため、腎機能が低下すると血清尿酸値が上昇しやすくなります。
逆に、尿酸値が高い状態が続くと腎臓に負担がかかり、腎機能のさらなる悪化を招くおそれがあります。生活習慣病の治療と合わせて尿酸値を管理することが、合併症の予防につながるといえるでしょう。
血液検査で測る「血清尿酸値」は採血だけで完了する
血清尿酸値の測定は、腕の静脈から少量の血液を採るだけで済む、もっとも基本的な尿酸値検査です。検査そのものは数分で終わり、結果は通常1〜2日で判明します。日常の健康チェックとして手軽に受けられる検査でしょう。
採血で血清中の尿酸濃度を酵素法で測定する仕組み
採取した血液を遠心分離して血清を取り出し、そこに含まれる尿酸の量を測定します。現在、多くの医療機関で使われているのが「ウリカーゼ法」と呼ばれる酵素法です。
ウリカーゼという酵素が尿酸を分解する際に生じる化学反応を利用して、尿酸の濃度を数値化します。精度が高く再現性にも優れた方法なので、日本国内の検査施設で広く採用されています。
男女で異なる基準値と高尿酸血症の判定ライン
血清尿酸値の正常範囲は、一般的に男性で3.5〜7.0mg/dL、女性で2.5〜6.0mg/dLとされています。この違いは女性ホルモンのエストロゲンが尿酸の排泄を促す作用を持つためです。
高尿酸血症の診断基準は性別にかかわらず血清尿酸値7.0mg/dL超とするガイドラインが主流となっています。ただし、閉経後の女性はエストロゲンの分泌が減るため、尿酸値が男性と同程度まで上昇することも珍しくありません。
検査前の食事や服薬が数値に影響する場合もある
尿酸値は食事内容や服用中の薬によって変動するため、検査前の過ごし方にも注意が求められます。プリン体を多く含む食品やアルコールの大量摂取は一時的に尿酸値を押し上げます。
利尿薬や低用量アスピリンなど、尿酸値に影響を与える薬もあります。検査当日に正確な結果を得るために、普段の服薬状況を事前に医師へ伝えておきましょう。自己判断で薬を中止するのは危険なので避けてください。
血清尿酸値の基準値と判定区分
| 区分 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 正常範囲 | 3.5〜7.0mg/dL | 2.5〜6.0mg/dL |
| 高尿酸血症 | 7.0mg/dL超 | 7.0mg/dL超 |
| 治療目標値 | 6.0mg/dL未満 | 6.0mg/dL未満 |
尿検査では24時間蓄尿で排泄量を正確に測る
尿検査では、24時間にわたってすべての尿を集める「蓄尿」を行い、体外に排泄される尿酸の量を測定します。血液検査だけではわからない尿酸の排泄能力を把握できるため、高尿酸血症の原因解明に大きく貢献する検査です。
蓄尿は朝の排尿を捨てるところからスタートする
24時間蓄尿は、起床後の最初の排尿をトイレに流すところから始まります。その時刻を記録し、そこから24時間後の排尿までを専用の容器に集めていく流れです。
検査開始前に医療機関から蓄尿用の容器と保存方法の説明を受けます。容器にはあらかじめ防腐剤が入っている場合もあるため、指示に従って冷暗所で保管することが大切です。
24時間かけてすべての尿を専用容器に集める
蓄尿中はトイレのたびに尿を容器へ移します。外出先での採取を忘れがちになるため、小分け用の容器を持ち歩くと便利です。就寝中のトイレも忘れずに容器へ入れましょう。
24時間が経過したら、最後にもう一度排尿して容器に加え、蓄尿を完了させます。容器は速やかに医療機関へ届けてください。蓄尿が不完全だと検査の精度が下がってしまうため、抜けがないように注意が必要です。
蓄尿で測定される主な項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 尿中尿酸排泄量 | 24時間で排泄された尿酸の総量(mg/日) |
| 尿酸クリアランス | 腎臓が尿酸を排泄する能力の指標 |
| 尿量 | 1日の総尿量を確認し脱水の有無を評価 |
| 尿中クレアチニン | 蓄尿が正確に行われたかの確認用指標 |
蓄尿の結果でわかる「産生過剰型」と「排泄低下型」
蓄尿の結果から、高尿酸血症が「尿酸の産生が多すぎるタイプ」なのか「腎臓からの排泄が少ないタイプ」なのかを判別できます。通常の食事下で1日の尿中尿酸排泄量が800mgを超える場合は産生過剰型、逆に排泄量が低く尿酸クリアランスも低下していれば排泄低下型と分類されます。
どちらのタイプかによって選ぶ薬が異なるため、治療方針を決定するうえで蓄尿検査はとても有用です。両方の要素を併せ持つ「混合型」もあり、総合的な評価が欠かせません。
血液検査と尿検査を両方受けると高尿酸血症の原因が見えてくる
血清尿酸値だけでは「なぜ尿酸が高いのか」までは突き止められません。血液検査と24時間蓄尿を組み合わせることで、産生量と排泄量の両面から高尿酸血症のタイプを特定し、一人ひとりに合った治療計画を立てられます。
血清尿酸値だけでは原因の特定がむずかしい
血清尿酸値は体内の尿酸バランスの結果を反映するものの、その値が高くなった原因までは教えてくれません。尿酸をつくりすぎているのか、それとも腎臓からうまく排泄できていないのかは、血液検査の結果だけでは区別がつかないのです。
痛風発作の急性期には、血清尿酸値が一時的に低下する場合もあります。発作中の数値に惑わされないよう、発作が落ち着いてから再検査を受けることが正確な診断への第一歩といえます。
尿中尿酸排泄量とクリアランスで腎臓の働きを評価する
24時間蓄尿で得られる尿中尿酸排泄量と尿酸クリアランスは、腎臓の尿酸処理能力を直接反映します。尿酸クリアランスとは、腎臓が一定時間内に血液中からどれだけの尿酸を除去できるかを示す指標です。
この数値が低い場合、腎臓での尿酸再吸収が亢進しているか、分泌が低下している可能性を示唆します。反対に排泄量が過剰に多ければ、体内での尿酸産生そのものが増加していると考えられます。
病型分類に応じた治療薬の選択につながる
産生過剰型にはキサンチンオキシダーゼ阻害薬(アロプリノールやフェブキソスタットなど)が用いられ、尿酸の産生そのものを抑えます。排泄低下型には尿酸排泄促進薬(ベンズブロマロンなど)を使い、腎臓からの尿酸排泄を促す治療が一般的です。
検査結果を踏まえて病型を分類し、適した薬を選ぶことで治療効果を高められます。混合型の場合は薬を組み合わせることもあり、主治医との相談が欠かせません。
- 産生過剰型:尿酸産生を抑えるキサンチンオキシダーゼ阻害薬を選択
- 排泄低下型:腎臓からの排泄を促す尿酸排泄促進薬を使用
- 混合型:両方の薬を併用するケースもある
- 腎機能低下がある場合は薬の種類や用量を慎重に調整する
尿酸値と一緒に確認しておきたい関連検査の項目
尿酸値だけを単独で見るよりも、腎機能や脂質、血糖値などの関連項目と合わせて総合的に判断するほうが、健康リスクを正確に把握できます。高尿酸血症は生活習慣病と密接に関連しているため、複数の検査をセットで受けることが望ましいでしょう。
腎機能を把握するクレアチニンとeGFR
クレアチニンは筋肉の代謝で生じる老廃物で、腎臓のろ過機能が低下すると血中濃度が上昇します。このクレアチニン値から算出されるeGFR(推算糸球体ろ過量)は、腎臓がどの程度はたらいているかを数値化した指標です。
尿酸の約3分の2は腎臓から排泄されるため、腎機能の低下は尿酸値の上昇に直結します。eGFRが低下傾向にあれば、尿酸値の管理とともに腎臓を守る治療も並行して進める必要があります。
脂質や血糖値も同時にチェックする理由
高尿酸血症は高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病と合併しやすいことが多くの疫学研究で示されています。血清尿酸値が高い人は中性脂肪も高い傾向にあり、メタボリックシンドロームの一部として捉えるべきだという見方もあります。
尿酸値と一緒に調べたい主な検査項目
| 検査項目 | 主な目的 |
|---|---|
| クレアチニン・eGFR | 腎機能の評価と経過観察 |
| 中性脂肪・LDLコレステロール | 脂質異常症の有無を確認 |
| 空腹時血糖・HbA1c | 糖尿病リスクの判定 |
| CRP(C反応性タンパク) | 体内の炎症の有無をチェック |
尿のpHや尿路結石リスクの評価も忘れずに
尿酸結石は尿が酸性に傾くほどできやすくなります。尿のpHが5.5を下回ると尿酸が結晶化しやすい環境になるため、蓄尿と合わせて尿pHの測定も行うのが理想的です。
尿路結石の既往がある方は、尿中のカルシウムやシュウ酸なども調べておくとよいでしょう。水分を十分にとって尿量を確保することが結石予防の基本であり、検査結果をもとに具体的な水分摂取目標を設定できます。
検査結果を生活改善に活かすための具体的な方法
検査で尿酸値が高いとわかったら、まず取り組むべきは日々の食事内容と運動習慣の見直しです。薬に頼る前に生活習慣を整えるだけで数値が改善するケースも多く、地道な取り組みが長期的な健康維持につながります。
食事と飲酒の見直しが尿酸値のコントロールに直結する
レバーやエビ、イワシなどプリン体を多く含む食品を毎日大量に摂っていると、体内での尿酸産生量が増えます。完全に避ける必要はありませんが、1日あたりのプリン体摂取量を400mg以下に抑えることが推奨されています。
アルコールのなかでもビールはプリン体が多く、さらにアルコール自体が尿酸の排泄を妨げます。飲酒量を減らすだけで尿酸値が下がる方も多いため、検査結果を受けて飲み方を見直すのは効果的な対策です。
適度な有酸素運動で尿酸の排泄を促す
ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は、尿酸の排泄を助けるとともに肥満の改善にも効果があります。内臓脂肪が減るとインスリン抵抗性が改善し、それに伴って尿酸値も下がりやすくなります。
ただし、激しい無酸素運動はかえって尿酸値を上げてしまう場合があるため、自分の体力に合った運動強度を選びましょう。週に3〜5回、1回30分程度の運動を継続するのが理想的です。
数値が改善しない場合は薬物療法を医師に相談する
食事や運動を改善しても血清尿酸値が6.0mg/dL未満に下がらない場合は、薬物療法の開始を検討する段階です。痛風発作を繰り返している方や、腎機能の低下が進んでいる方は早めの投薬が推奨されます。
尿酸降下薬は少量から開始し、定期的に血液検査で効果を確認しながら徐々に増量していく方法が一般的です。急激に尿酸値を下げると逆に痛風発作を誘発する恐れがあるため、焦らず段階的に調整することが大切でしょう。
- プリン体の多い食品(レバー、エビ、イワシ、ビールなど)の摂取を控えめにする
- 1日2リットル以上の水分をこまめに摂り、尿酸の排泄を助ける
- 週3〜5回のウォーキングや軽いジョギングで内臓脂肪を減らす
- 生活習慣の改善だけで効果が不十分なら早めに主治医に相談する
検査前に押さえておきたい準備と当日の注意事項
尿酸値の検査を正確に行うためには、検査前の食事制限や服薬管理が欠かせません。少しの準備不足が検査結果に影響を及ぼすことがあるため、事前に知っておくと安心です。
検査前日の食事制限や水分摂取の目安
血清尿酸値の検査では、検査前4時間以上の絶食を指示されることがあります。前日の夕食はプリン体の多い食品を避け、アルコールも控えるのが望ましいでしょう。
水分については、脱水を防ぐためにも水やお茶などの糖分を含まない飲料は適度にとって構いません。脱水状態になると尿酸値が見かけ上高くなり、正確な評価が困難になります。
検査前後の注意事項まとめ
| タイミング | 注意事項 |
|---|---|
| 検査前日 | プリン体の多い食事と飲酒を控える |
| 検査当日朝 | 4時間以上の絶食(水・お茶はOK) |
| 蓄尿期間中 | 排尿のたびに容器に集め冷所保管 |
| 検査後 | 結果は主治医と一緒に確認する |
服用中の薬が結果に影響することがある
利尿薬は腎臓での尿酸排泄を減少させ、血清尿酸値を上昇させる作用があります。また、低用量アスピリンも尿酸値をやや上げることが知られています。
検査を受ける際には、現在服用している薬の名前をすべて医師に伝えてください。医師はそれらの影響を考慮したうえで結果を判断します。くれぐれも自己判断で服薬を中止しないよう注意が必要です。
検査当日の体調とストレスにも気を配る
激しい運動の直後や強いストレスを感じている状態では、一時的に尿酸値が上昇することがあります。検査前日は過度な運動を避け、十分に睡眠をとるようにしましょう。
発熱や下痢で脱水気味のときも数値が変動しやすいため、体調が優れない場合は検査日を変更するほうが賢明です。正確な検査結果を得るために、心身ともに落ち着いた状態で検査に臨みましょう。
よくある質問
- 尿酸値の血液検査は空腹の状態で受ける必要がありますか?
-
尿酸値の血液検査では、4時間以上の絶食を求められることが一般的です。食事に含まれるプリン体が一時的に尿酸値を上昇させる場合があるため、空腹時に採血するほうが正確な数値を得やすくなります。
ただし、水やお茶などの糖分を含まない水分は検査前でも摂取できます。脱水は血中の尿酸濃度を見かけ上高くするため、適度な水分補給はむしろ推奨されています。具体的な絶食時間は医療機関によって異なるため、予約時に確認しておくと安心でしょう。
- 尿酸値の24時間蓄尿検査はどのくらいの頻度で受けるべきですか?
-
24時間蓄尿検査は、高尿酸血症の原因を初めて特定する際に1回実施するのが基本です。産生過剰型か排泄低下型かを判別することで、適した治療薬を選択する根拠となります。
その後は治療効果の評価や病型の変化を確認するために、半年から1年に1回程度の頻度で再検査を行うケースがあります。血液検査のみで経過を追える場合もあるため、蓄尿が必要かどうかは主治医と相談して判断してください。
- 尿酸値の検査結果で7.0mg/dLを超えたらすぐに薬を飲み始めますか?
-
血清尿酸値が7.0mg/dLを超えたからといって、直ちに薬物療法を開始するとは限りません。痛風発作や尿路結石の既往がなく、腎機能にも問題がない場合は、まず食事と運動の改善から取り組むのが一般的な流れです。
一方で、痛風発作を年に複数回繰り返している方や、腎機能の低下が見られる方は、早い段階で薬物療法を開始することが勧められます。治療開始のタイミングは個人の状態によって異なるため、検査結果をもとに主治医と相談のうえ決定してください。
- 尿酸値が高いのに痛風の症状が出ないことはありますか?
-
高尿酸血症の方の約85〜90%は、痛風発作などの自覚症状がないまま経過するとされています。このように症状がない状態を「無症候性高尿酸血症」と呼びます。
症状がなくても、関節や腎臓に尿酸結晶が蓄積している可能性は否定できません。長期にわたる高尿酸血症は動脈硬化や腎機能低下とも関連することが研究で報告されており、数値が高い場合は定期的に検査を受けて経過を観察することをおすすめします。
- 尿酸値の検査で尿検査と血液検査の両方が必要になるのはどんな方ですか?
-
血液検査で血清尿酸値が高く、その原因を詳しく調べる必要がある方には、尿検査(24時間蓄尿)も併せて行います。とくに痛風発作を繰り返している方や、薬物療法を始める前に病型を確認したい場合に両方の検査が求められます。
尿路結石を繰り返す方や、腎機能が低下している方も、尿中の尿酸排泄量を把握することで治療方針を立てやすくなります。どの検査が必要かは主治医が総合的に判断しますので、まずは血液検査の結果を持って相談してみてください。
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