高血圧の治療中によく患者さんから聞かれる問題について、Q&A形式でお答えします。

Q&A
院長 藤田

こんにちは。内科総合クリニック人形町 院長の藤田(総合内科専門医)です。

高血圧はありふれた病気ですが、その治療は実にさまざまであり、治療経過も長くなります。

日常生活の中で、降圧薬の内服が始まり、日々の治療の中でさまざまな治療に対する疑問や、不安に思うこと、複雑でよくわからないことなどが当然、生じると思います。毎日内服していただく薬について、その必要性や効能・効果、注意すべき点などについてご理解いただいたうえで治療を継続する事が、最も効果的であります。

ここでは、その一助となるよう、高血圧と診断され、降圧薬を内服される方からよく聞かれる質問について、分かりやすく説明していきます。添付文書に記載のある内容に加え、ちょっとした疑問や不安の解消にお役立て下さい。

目次

高血圧患者さんからよくある質問

Q. 血圧の薬を一度飲みはじめると、ずっと飲み続けなければいけないのでしょうか?

A. 基本的には、ずっと飲み続ける必要があります。

高血圧の原因は、遺伝的要因や日常生活の内容(食塩過多な食事メニュー、運動不足、ストレス、喫煙)など、さまざまあります1)

治療が始まることで、高血圧につながる原因を改善することができれば、血圧を正常範囲に近づけることは可能です。しかし、高血圧には症状がなく、指摘されたときには、すでに高血圧となってからかなりの時間が経過していることがほとんどです。高血圧による動脈硬化が知らない間に進行している状況となります。

本来、動脈は弾力性があり、血液が心臓から拍出される圧を動脈がクッションの様に拡張と収縮することで、その圧を和らげています。

しかし、動脈硬化の状態では、弾力性のある動脈が硬くなり、弾力性がなくなることで血圧の高さをクッション作用で下げる効果が弱くなります。それにより、拍出された時の圧がそのまま各血管に伝わり、高血圧の状態となります。

この高い圧が動脈に負担をかけて、さらに動脈硬化が進行します。一度、動脈硬化が進行した状況(弾力性を失った動脈)は、元には戻りません。このように元に戻らなくなった動脈硬化により血管の弾力性がなくなってしまうと、持続した高血圧となってしまいます。

以上の高血圧の病態と、その病態が進行するメカニズムにより、多くの症例では一度内服を始めたら、ずっと薬を飲み続けなければなりません。


一方で、健康診断で初めて高血圧を指摘された方や、若干正常血圧よりも高めの方は、動脈硬化が比較的進行していない可能性があります。そのような状態であれば、生活習慣の改善等で正常血圧に戻せる可能性があります。

高血圧を指摘された際は、放っておかずに早めの受診と、気を付けつけるべき生活習慣の改善点などを主治医の先生と相談することが、その後の高血圧発症予防として、とても大切になります。

Q. 血圧が低い日(100以下など)は薬を飲まなくてもいいのでしょうか?

A. 測定された血圧が比較的低い場合に、自己判断で内服を中止することは危険ですのでおやめください。

血圧は、1日のうちに大きく変動します。起床時や食後、運動や感情の起伏によっても変化します。特に高齢者は動脈硬化が若年者と比較して進行しているため、血管の弾力性がなくなり、血圧の変動が大きくなる傾向にあります。

起き上がり動作や、起立時、食後も血圧が低くなる傾向があります。したがって、いつ測定した血圧が「低い」状態であるかの把握と、血圧が「低い」状態になった原因について検討したうえで、内服薬の調整が必要になります。主治医の先生との詳細な相談が大切です2)


血圧が低い日は、まずは低血圧による症状(めまい、ふらつき、嘔気、失神など)がないかを確認し、症状がある場合は内服を控えて横になり、早めに主治医の先生にご相談下さい。症状がない際にも、自己判断で内服中止を決めるのではなく、今までの家庭血圧の経過や、その時の状況などを主治医の先生と相談されたうえで、必要に応じて用量の調整や内服内容の検討を行うことが安全です。

決して、自己判断で内服を中止することは、お控えください。

薬 錠剤

Q. どうして家庭でも血圧を測定する必要があるのでしょうか?

A. 血圧は、1日を通して常に変動しています。

日常生活のなかには、血圧に変動をきたす要因がいくつもあります。特に運動や緊張、食事や睡眠などによっても血圧は変動します。また、病院を受診した際に、緊張に伴い血圧が上昇する「白衣高血圧」という病名もあります。

したがって、1日を通して血圧の変動がどうであるかを把握し、常に高い状態であるのか、特定の時間帯だけ高くなっているのか、または家庭にいる時の方が高くなっており、受診時は正常に近くなっているのか、など、さまざまな状態を把握することが大切です。このためにも、家庭での血圧測定が推奨されています。


また、家庭で測定される血圧値は診察室で測定する血圧の値よりも、高血圧により将来生じうる疾患(脳卒中、心疾患など)の予測因子としても大変重要なものになります3, 4)

ご自身の血圧を毎日測定し、高血圧気味になっていないか、または降圧薬を内服されている方は、血圧が過度に低下していないかなど、普段から血圧に対する意識を持つことも、健康管理の一つとしてとても大切な習慣となります。

血圧計

Q. 家庭血圧を測定する時間帯や回数は、どれくらいがいいですか?

A. 家庭血圧の測定は、一般的に朝と晩の2回に行うことが推奨されています。

家庭血圧は、さまざまな日常生活の要因で変動します5) 。よって、日々の暮らしのなかで、一定の条件となる朝と晩がガイドラインでも推奨されています。また、具体的な時間帯に関しては、朝は起床後1時間以内とされています。より厳密には、覚醒後10分以内とされ、起床後の活動前に測定していただくのが理想的とされています。

しかし、厳密な測定時間の設定が、測定する意欲の低下や測定し忘れにつながることは、本末転倒です。家庭血圧測定の最大の意義は、自己の血圧測定を継続することにあります。したがって、測定条件として、朝は起床後1時間以内、排尿後、朝の内服前、朝食前、椅子に座って数分間の安静後など、自分の生活スタイルに合った決まった条件での毎日の測定が推奨されます。

晩の測定は、夕食前、晩の内服前、入浴前、飲酒前、または就寝前に椅子に座り数分間安静にした状態で測定することが推奨されます。以上のような測定のタイミングをライフスタイルに合わせて自身で設定し、毎日継続して測定するようにしましょう。

また、測定は、安静にし、会話せず、測定前には喫煙や飲酒、カフェインの摂取は行わないようにしてください。
測定回数は、1回の測定で終了する際はその値を記録し、2回まで測定した場合はその平均値をとります。

最大は3回までとして、それ以上の測定は正確な記録のためには不要となります。家庭血圧は、毎日自分のライフスタイルに合わせたタイミングで、いつも同じ条件で測定し記録することが、最も有用です。

家庭血圧の測定方法
  • 朝、晩の2回。
  • 続けられる範囲で決まった条件で。
  • 安静、会話をしない、喫煙・飲酒・カフェイン接種前。

Q. 下の血圧(拡張期血圧)だけ高いのですがどうすればいいですか?

A. 細い血管に動脈硬化が生じている可能性があります。生活習慣を見直しましょう。

下の血圧(拡張期血圧)が高くなる原因からご説明します。血圧が高くなる原因の多くは、動脈硬化に起因します。動脈硬化が生じている血管、部位によって、上の血圧(収縮期血圧)が高くなるのか、下の血圧(拡張期血圧)が高くなるのか、ある程度傾向があります。

上の血圧(収縮期血圧)がより高くなる場合は、主に太い血管まで動脈硬化が進行した状態が考えられ、高齢者に多い高血圧のタイプとなります。

下の血圧(拡張期血圧)がより高くなる場合は、細い血管に動脈硬化が生じ、太い動脈にはまだ著しい動脈硬化が進行していない場合におきやすく、若年者、中年の方に多い高血圧のタイプとなります。

特に、拡張期血圧だけ高くなる病態の原因は、主に生活習慣(食事、運動、喫煙など)にあります。したがって、拡張期血圧だけが高い状態の患者さんは、まずは生活習慣を改めるため、減塩食、運動と共に肥満の改善、禁煙、節酒を心がけていただくことが大切になります。

Q. 家庭血圧計はどんなものがいいですか?

A. 上腕で測定するタイプのものをおすすめします。

家庭用の血圧計は、昨今さまざまなタイプが市販されています。それぞれに特徴があるので、説明いたします。

主に、指先で測定するもの(日本国内での販売はありません)、手首で測定するもの、上腕(肘の上あたり、病院で測定される位置)で測定するものがあります。

国内での販売はありませんが、指先で測定する機種は、正確性に劣ります。手首で測定する血圧計は操作自体が手軽で、小型であるため測定は比較的容易になります。しかし、手首の解剖学的な特性から、血圧を測定するための動脈の圧迫が困難になる場合があり、その点では不正確な値となることがあります6)

現状では、家庭血圧の測定は、上腕で測定するタイプが主流となっており、精度自体も、日本の製造会社の装置であれば大きな問題はありません。血圧測定計の精度検定成績については、日本高血圧学会のウェブサイトに記載されています7) 。ただし、体格・体形から、上腕での測定が難しい場合は、手首での血圧測定をご検討下さい。

血圧測定 女性

Q. 薬を飲み忘れたときはどうすればいいですか?

A. 毎日内服する降圧薬を飲み忘れた場合、基本的に、その分をすぐに内服し、その後に続く内服分の時間帯をずらすことになります。

以下の内服方法を参考にしてください。ご自身の飲み方がどれに当てはまるかわからない場合や、不安に思われる場合は、主治医の先生にご相談いただいたうえで、内服のタイミングを決めていただくことが最も安全です。

処方された降圧薬が1日1回、朝食後に内服するタイプ

飲み忘れた場合は、気づいた時点で内服してください。

処方された降圧薬が1日2回、朝食後と夕食後に内服するタイプ

朝食後の分を飲み忘れた場合は、昼から夕までの間に内服してください。その場合、夕食後の分は就寝前に内服してください。夕食後の分を飲み忘れた場合は、就寝される前までに気づいた時点で内服してください。

処方された降圧薬が1日3回、朝食後と昼食後と夕食後に内服するタイプ

朝食後の分を飲み忘れた場合は、昼までに気づいた時点で内服してください。その日の昼食後の分は夕食後に、夕食後の分は就寝前に内服してください。

昼食後の分を飲み忘れた場合は、夕食までに気づいた時点で内服し、夕食後の分を就寝前に内服してください。

夕食後の分を飲み忘れた場合は、就寝されるまでに気づいた時点で内服してください。

飲み忘れた分を、次の内服分と一緒に内服することは大変危険です。あせらず上記の内服方法を検討し、不安な際は主治医の先生にご相談されてから内服を継続してください。

Q. 高血圧は遺伝しますか?

A. 高血圧の主な原因には、遺伝によるもの(遺伝因子)と、生活習慣によるもの(環境因子)があり、これらが複数関与して生じるため、多因子疾患(さまざまな原因が関与して生じる疾患)と言われています。

高血圧の原因の多くは、生活習慣にあると言われていますが、遺伝因子も影響することがあります。家族や、血のつながった方に高血圧患者さんがいる場合、ご自身も高血圧となる可能性は、遺伝因子の無い高血圧患者さんと比較して、3.5倍程度高くなると言われています8)

さらに、原因となる遺伝子のなかには、食塩感受性関連遺伝子といい、日常生活で摂取する食塩がきっかけとなり、高血圧を生じさせる遺伝子も報告されています。特に、日本人には、この遺伝子が関与する割合が高いとも報告されており9) 、日々の生活のなかで減塩が大切である、ということにつながります。

日本の食生活は諸外国と比較して塩分が多い傾向にあります。家族内は皆さんで同じ食事を摂ることが多いので、自然と家族内で食塩過多による高血圧が引き起こされやすくなることも考えられます。

Q. 正常高値血圧の場合はどうしたらよいのでしょうか?

A. 生活習慣の改善を心がけましょう。

血圧の分類には、120/80mmHg未満の正常血圧より高値である、正常高値血圧と呼ばれる病態があります。高血圧と診断される程の血圧高値ではありませんが、この病態が後に高血圧の発症へ進展することがありますので、血圧の是正が必要になります。

具体的な正常高値血圧への対策は、生活習慣の改善になります。主に、減塩を中心とした食事療法、運動、アルコール制限、肥満の改善などになります。

減塩は、1日の塩分摂取量を8g未満にする事が推奨されています。高齢者の場合は、減塩目標を6g未満とすることが推奨されています。

Q. 白衣高血圧とは何でしょうか?

A. 白衣高血圧は、家庭などで測定する血圧は高血圧の基準を満たさない値(収縮期血圧が135mmHg未満、かつ拡張期血圧が85mmHg未満)であるにも関わらず、診察室で測定すると高血圧の基準(収縮期血圧140mmHg以上かつ、または拡張期血圧90mmHg以上)を満たす状態のことを言います。

一見、白衣高血圧は、診察室で測定する血圧が高くなり、いわゆる緊張で血圧が高くなるだけ、と思われがちですが、そういうわけではありません。

降圧薬を処方されていない方のなかで、白衣高血圧の状態を示す患者さんは、健常者よりも脳血管疾患を患うリスクが高くなると言われています。また、白衣高血圧の患者さんは、その後に白衣を着た医師の前以外でも血圧が高くなり、持続的な高血圧の病態となるリスクが高いとの報告もあります。家庭血圧の計測を日々行っていただき、高血圧となっていないかを注意深く観察して頂くことが必要になります10, 11, 12-14)

Q. 血圧は季節で変化するでしょうか?

A. 季節により、血圧は変動します。

血圧は、血管内を流れる血液が、スムーズに通る場合は低く、過度に細くなっている場合や、太さが一定でない場合は高めになります。ちょうど、蛇口につながったホースを流れる水の様に、ホースを強く握り、水の流れをせき止めようとすると水圧が高くなる原理と同じです。

特に冬場は、外気温が寒くなり、手足の末端が寒くかじかむ感覚があると思います。寒い場合には、人間の手足末端の血管は、体温保持しようとして収縮します。それと共に、血管の内腔も細くなることで、血液が流れにくくなり血圧が高くなります。

夏季の血圧に比較して、冬季の血圧が収縮期血圧 6.9 mmHg、拡張期血圧 2.9 mmHg高くなったという研究結果があります15) 。特に、動脈硬化が進行した高血圧患者さんの場合、血圧の変動が大きくなる傾向がありますので、日々の家庭血圧測定により、その変動を知っておくことで、血圧の季節変動に対応した降圧薬の用量を検討する場合もあります16)

また、冬場は血圧が比較的高くなる季節となる為、脳卒中や心血管疾患(心筋梗塞、狭心症、大動脈解離など)が生じやすい季節でもあります。1年を通したご自身の血圧の変動を把握するためにも、家庭血圧測定が推奨されています17, 18)

寒い 冬

Q. 高血圧の薬とグレープフルーツジュースは、一緒に飲んではいけないのですか?

A. カルシウム拮抗薬の場合は飲むのをお控えください。

高血圧の薬(降圧薬)にはさまざまな種類があります。これらの薬は全て体内で分解され、最終的には体外に排泄されます。特に、高血圧の方に処方される主な薬にカルシウム拮抗薬と呼ばれる降圧薬があります。

これは、血管の細胞にあるカルシウムイオンチャネルという部位に対して作用し、細胞内へのカルシウムイオンが流入することを抑制し、血管収縮が抑制され、結果的に血管が拡張して血圧が低下します。

このカルシウム拮抗薬は、体内で分解される際に、グレープフルーツジュースを一緒に摂取していると分解が遅れて、降圧効果が強くなることがあります。カルシウム拮抗薬と一緒にグレープフルーツジュースを飲むのは、思わぬ低血圧を起こさないためにもお控えください。

ジュース コップ

Q. 症状がなければ血圧の治療をしないくても良いでしょうか?

A. 症状がなくても、血圧が高い、高血圧であると診断された際には、積極的に治療を行わなければなりません。

高血圧は脳卒中(脳梗塞や脳出血など)、心疾患(心筋梗塞や狭心症など)の最大の発症危険因子です。また、高血圧は症状がほとんどありません。しかし、血圧が高くなることで、血管への負担が増加し、それが動脈硬化の進行につながります。

動脈硬化に発展してしまうと、その動脈は元の健康な弾力のある動脈には二度と戻りません。この結果、血管の弾力性が失われ、血液を各臓器へ運ぶ血管の内部(内腔)が狭くなり、十分な血液が各臓器へ届かなくなり、脳卒中や心疾患などさまざまな疾患が生じ、この時点で初めて高血圧に関連する症状が生じます。血圧が高くなればなるほど、合併症を発症するリスクが高くなります19-23)

さらに、高血圧の他に、喫煙や糖尿病、脂質代謝異常症などが合併していると、リスクはもっと高くなることが報告されています。上述したように、高血圧は症状に気づきにくいために、病気が少しずつ進行していくことになります。一度発症してしまうと、日常生活に不自由が生じてしまい、生活の質(Quality Of Life: QOL)が著しく低下することにつながります。

実際に、高血圧の患者さんが、治療によって収縮期血圧を10mmHgまたは拡張期血圧を5mmHg低下することに成功すると、脳卒中は30-40%、心筋梗塞や狭心症の発生は約20%減少することが明らかになっています。以上のように、症状がない場合でも、高血圧の状態を治療することは、脳卒中や心疾患の発症や進展、再発による死亡やQOLの低下を予防する目的として大変重要になります。

Q. 降圧薬の錠剤数が増えてきたので、錠剤数を減らしたいのですが。

A. 現在内服されている処方内容を合剤へ変更ができる場合があるので、主治医の先生に相談してみてください。

血圧を治療中の方は、1剤だけで治療されている方から、何剤もの降圧薬を内服されて日々の血圧コントロールをされている方までいらっしゃいます。また、高血圧は生活習慣病の一つであり、脂質代謝異常症(高脂血症)や糖尿病を合併している患者さんも少なくありません。

他の疾患に対する内服薬も加わることで、1日に内服する錠剤数が増加します。錠剤数が増えることで、患者さんの内服に対する負担が増えて、毎日きちんと内服できないことや、飲み忘れが生じる確率が増加し、治療がうまく進まないことにつながります。

患者さんの内服に対する負担や十分な治療効果のためにも、錠剤数は可能な限り少ない方が良いとされています24) 。降圧薬の合剤に関しては、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、カルシウム(Ca)拮抗薬、利尿薬が、それぞれ配合された合剤があります。

具体的には、ARB+Ca拮抗薬(ザクラス、アイミクス、エックスフォージ、ユニシア、ミカムロ、レザルタス、アテディオなど)、ARB+利尿薬(コディオ、プロミネント、エカード、ミコンビ、イルトラなど)、ARB+Ca拮抗薬+利尿薬(ミカトリオ)があります。現在内服されている処方内容と一致する場合は合剤への変更ができる場合があるので、主治医の先生にご相談してみてください。

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Q. 家族も高血圧の薬を飲んでいるので、分けてもらい飲んでもいいでしょうか?

A. 絶対にやめていただきたいです。

高血圧は、患者さん個々人により、高血圧のタイプや程度が異なります。それに合わせた作用機序や薬効を選択して処方がされているので、ご家族間であっても、薬を分けてもらい内服することは大変危険です。自身の内服されている降圧薬が、どのような作用機序でどのような効き目、副作用があるかも知っておくと良いでしょう。

Q. 降圧薬を飲んでいるのに、朝に測る血圧が高いのは、なぜでしょうか。

A. 朝の血圧は薬の効果が薄れていることが多いため、高めにでることがあります。

降圧薬は、内服してからしばらくして効果が表れてきます。多くの降圧薬の内服方法は、朝食後を含め、1日1回から3回までとなっています。

効果が表れてから体内で分解・代謝されるまでの時間により、1日の内服回数が定められています。したがって、1日1回内服するタイプの降圧薬は、飲み始めてから効果があらわれ、日中の血圧を下げて正常血圧に近づけます。そして、徐々に体内で分解・代謝されていき、翌日の内服前には、ほぼ効果が消失する程度に代謝・排泄されていきます。

よって、朝の血圧は、もともとのご自身の高血圧の状態の値に近くなり、測定値が高めになることがあります。


この記事を書いた人

内科総合クリニック人形町 院長 藤田 英理(総合内科専門医)
Dr. 藤田 英理

内科総合クリニック人形町 院長
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
東京大学医学部保健学科および横浜市立大学医学部を卒業
東京大学付属病院や虎の門病院等を経て2019年11月に当院を開業
最寄駅:東京地下鉄 人形町および水天宮前(各徒歩3分)

参考文献

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  2. 日本老年医学会. 高齢者高血圧診療ガイドライン2017. 日老医誌 54:236-237, 2017. doi: 10.3143/geriatrics.54.G2
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  6. Kikuya M, et al.: Accuracy and reliability of wrist-cuff devices for self-measurement of blood pressure. J Hypertens. 20:629-638, 2002. doi: 10.1097/00004872-200204000-00019.
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