その検査は必要ですか?その4~検査は適切に~

血液検査の検体
院長 藤田

こんばんは。内科総合クリニック人形町 院長の藤田(総合内科専門医)です。

前エントリー(その検査は必要ですか?その3)では、インフルエンザの検査を行う理由を①から③まで書きました。

その他にも、

④検査をとにかく沢山やってクリニックの売り上げを上げなければならない。
⑤期限が切れそうな検査キットがあって、今日中に使ってしまいたい。
⑥単に医師に臨床推論の知識が無く、検査をしなければインフルエンザの診断が出来ないと思っている。

 のような理由も考えられます。

⑥を読んで「えっ?」と思われたかも知れませんが、実のところこういう先生を見たことはあります。

頭が混乱する男性

医学部で臨床推論を教えるようになったのは割と最近のことなのです。

一つ言えるのは、検査をした方が納得する患者さんが多いため、小難しい理屈抜きにとにかく検査をするという診療スタイルでも困らない場合がほとんどなのです。(たまーに見逃しがあるだけです。たまーにね、、)

最後に付け加えますと、本当を言うとインフルエンザの検査をする前に、のどの視診と首の触診はやっておきたいです。なぜなら、主訴だけ見るとインフルエンザと紛らわしい溶連菌性咽頭炎はインフルエンザ流行期にも少なくなく、のどと首の所見でその区別がつくことがあるのです。もちろん両方疑わしければいっぺんに検査する場合もあります。 

本当は溶連菌性咽頭炎の患者さんがインフルエンザの時期に受診され、身体所見をすっ飛ばしてインフルエンザの検査を行い、結果が陰性だったので「インフルエンザでは無いですね」と言って溶連菌性咽頭炎を見落として解熱剤だけ処方する、というようなことは十分起こり得ます。

溶連菌性咽頭炎はペニシリン系抗生剤による治療で8割方治すことが出来ますので、これを見落とすのは非常に残念なことです。

医師は検査マシーンでは無いのですから、ちゃんと身体所見を取って病気を見逃さないようにと日々自分を戒めなければなりません。

咽頭炎を含むいわゆる「風邪」についても、いろいろと書きたいことが御座いますので、後日別エントリーで取り上げたいと思います(どんどん書きたいトピックが溜まって行きます、、(;^ω^))

ニコっと笑う女医

以上で「その検査は必要ですか?」シリーズは一旦完結です。ここまで読んでくださいましてありがとうございました。

次エントリーでは別の話題を取り上げますのでお楽しみに!

以上


この記事を書いた人

内科総合クリニック人形町 院長 藤田 英理(総合内科専門医)
Dr. 藤田 英理

内科総合クリニック人形町 院長
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
東京大学医学部保健学科および横浜市立大学医学部を卒業
東京大学付属病院や虎の門病院等を経て2019年11月に当院を開業
最寄駅:東京地下鉄 人形町および水天宮前(各徒歩3分)

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