糖尿病の3大合併症の1つ「腎症」を見逃していた怖いケースに遭遇

院長 藤田のアイコン画像院長 藤田

こんにちは。内科総合クリニック人形町 院長の藤田(総合内科専門医)です。

「金儲け主義の医者は合併症を見逃してしまいがち」

というお話しをさせていただきます。

当院へは他のクリニックから移っていらっしゃる患者さんが少なくありません。

大半が糖尿病・高血圧などの生活習慣病の方で、患者さんのお話をよく聞いてみると、どうも前のクリニックの先生が生活習慣病の診療を見くびっているとしか思えないことがままあります。

生活習慣病は症状が殆ど無いので、血圧や血糖の値を確認して問題ないようなら「ではお大事に」とさっさと診療を切り上げてしまう医師が少なくありません。

患者の目も見ずに「お大事に」という男性医師

なぜなら、短時間で多くの患者さんを診察したほうが儲かるからです。

目次

薬を出したら「はいおしまい」は治療とは言いません

おどろくほど多くの医師が「薬出しておけば血圧も血糖も下がる。それで問題ない」と思っているのかも知れませんが、それは大間違いです。

実のところ、上記のような診察をされてもやもやとした気分を抱えてクリニックを後にされる患者さんも多いですし、無症状だからこそ生活習慣病の診察ではじっくりと患者さんと話す必要があると思うのです。

特に治療開始したばかりの頃はそうです。生活習慣病はその名の通り、生活習慣と密接な相関関係があります。生活習慣を実際に変えることが出来るのは患者さんだけなのです。

患者さんの理解が深まって状態が安定すれば少し診察の時間は縮まりますが、それでもその時の状態によっては時間をかけます

最も大きな問題は、症状が無いからこそ何のために治療をしているのかがわからないということです。

医師からの説明が無ければ、一部の患者さんは治療に受け身になってしまいます。目的がわからないから、少し仕事が忙しくなると通院をやめてしまい、残りの患者さんは、治療の目的がわからないので不安になります。

尿たんぱくは腎症の重要すぎるサイン

例えば、先日当院へ移っていらしたある糖尿病患者さんは、前の先生で毎回尿検査をされていました。時々尿タンパクが陽性になるので、その患者さんは医師に原因を聞いたら、

「体調が悪い時や激しい運動をした後は尿タンパクが出ることがあります」

と説明されたそうです。その話を聞いて私は「違う!そうじゃない!」という言葉をなんとか飲み込んで、その患者さんのお話しを最後まで聞いた上でこう説明しました。

院長 藤田のアイコン画像院長 藤田

尿タンパクは、糖尿病の3代合併症の一つである腎症の最初の兆候なので、もう少し丁寧に検査したほうが良いと思います。

尿たんぱくの中でも、「アルブミン」と呼ばれるたんぱく質の一種は、最も初期から尿中に微量に出てくるので、腎症をいち早く発見して大事にいたらせないためには、尿中のアルブミンを測定するのが鉄則です。

その患者さんの過去の検査結果を見るに、尿中アルブミンは一度も測定されていないようなので、「今から調べましょう」と伝えました。

腎症と聞いてもなかなかピンと来ないかも知れませんが、腎症(腎臓病とも言います)を放置しておくと人工透析(血の入れ替え)という大変面倒な治療を週に3回(1回あたり3~4時間)行わないと死に至ってしまうこともある大変面倒な病気です。

このようなことは私が腎臓内科医だったから知っているのではありません。国家試験に出るレベルの「基本のキ」のレベルの話であり、腎臓の専門医でなくても、少なくとも内科医であれば誰もが知っておいて当たり前の基礎知識です。

一人の患者さんを長く診察して利益面で得をすることはほとんどありませんので、説明はそこそこにして早く次の患者さんを見たいという気持ちは分からなくはないです。

でも、ほんの少しの手間じゃないですか。ほんの少しの手間で患者さんを大事に至らせないですむのであれば、やるべきことをやるのがかかりつけ医の使命だと思うのです。

医師は患者さんに育ててもらっている

私たち医師は、患者さんに治療をして感謝されることは少なくないですが、それと同時に患者さんに育ててもらっているという側面があります。研修医になってからずっとそうでしたし、専門医を取って開業してからもずっと同じです。

患者さんとの会話から「こんな疑問を持つ方がいらっしゃる」「こんなことに困っておられる方が居る」といったことを学び、それについての最新の知見を調べる。この繰り返しでしか内科医としての成長は望めないのです。

私は大学病院や地域の基幹病院の腎臓内科で、若いころに高血圧や糖尿病の治療をやめてしまって手を付けられないレベルまで腎臓や心臓がやられてしまった患者さんを大勢見てきました。

そうした患者さん達の命を無駄にしないためにも、自分には患者さんが主体的に治療に取り組めるようしっかりと説明をする義務があると思っています。

クリニックのうたい文句に「あなたの主治医として云々」「地域のかかりつけ医として親しまれるクリニック」というのはよくあります。そんなことは開業医なら誰だって考えていることです。

でも、実際にそれが出来ている医師は決して多くないと思います。

本当に自分が目の前の患者さんのかかりつけ医として役に立てているのか。何か言いたいことや相談したいことが別にあるのではないか、患者さんが訴えたいことを見逃していやしないか、患者さんが気づけていない病気の兆候を見逃していないか、などなど、自問自答し続ける毎日です。

以上


この記事を書いた人

内科総合クリニック人形町院長 藤田医師
藤田 英理

内科総合クリニック人形町 院長
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
東京大学医学部保健学科および横浜市立大学医学部を卒業
東京大学付属病院や虎の門病院等を経て2019年11月に当院を開業
最寄駅:東京地下鉄 人形町および水天宮前(各徒歩3分)

目次
閉じる