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なぜ年をとると血圧が高くなるの?高齢者の高血圧の特徴と注意点について解説します。

院長 藤田

おはようございます。内科総合クリニック人形町 院長の藤田(総合内科専門医)です。

みなさんの周りには、どのくらい高血圧の薬を服用しているかたがいるでしょうか?

「自分も含めて知り合いほとんど高血圧だ」、「症状がないから気にしていないけど、どうやら高血圧らしい」というかたも多いと思います。

高血圧は高齢のかたにとって、とても身近な生活習慣病です。

今回は、高齢のかたの高血圧の特徴についてご説明します。

目次

血圧の定義とは?

血管 イラスト

そもそも血圧は何の値でしょうか?

血圧とは、血液が血管壁に与える血管内圧のことです。以下のような式で算出されます。

血圧(BP)=心拍出量(CO)×末梢血管抵抗(PR)

心拍出量に影響を与える因子としては、

  • 循環血液量
  • 心拍数
  • 心収縮力

などがあります。

末梢血管抵抗に影響を与える因子としては、

  • 血管床の面積
  • 動脈壁の弾性
  • 血液の粘性

などがあります。

それぞれの影響を与える因子が変動し、上昇すると血圧が高くなってしまいます。

なぜ高齢になると血圧が高くなるのか?

高齢者 疑問

高齢者では、とくに収縮期血圧(最高血圧)が高くなりやすく、拡張期血圧(最低血圧)との差が大きくなる傾向がみられます。

収縮期血圧が高くなる理由には、以下のようなものが考えられます。

  • 加齢によって血管の弾力性が低下する
  • 自律神経の働きが低下し、血管の収縮や拡張がうまくできなくなる


若い頃は血圧が正常だったというかたも、年齢とともに徐々に高血圧になっていきます。高血圧になってから、脳血管障害など身体に重大な病気を引き起こすまでには、タイムラグがあります。

なるべく早く、高血圧を発見し、適切な生活習慣の改善と治療を行う必要があります。

高齢者の高血圧

国民健康・栄養調査(2015年)によると、65-74歳の63%75歳以上の74%が高血圧と診断されています。

高齢者は、一般的に多くの病気を持っていることが多く、個人差も大きいです。

基本的には、血圧が低いほど脳血管疾患を発症するリスクが低くなります。脳心血管病の発症や進展を予防するための血圧基準は非高齢者と同じです。

つまり、高齢者であっても通常通りの血圧コントロールが必要ということです。

高齢者の高血圧の特徴

高齢者の高血圧の特徴は、ひと言でいうと、「変わりやすく、みつけにくい」です。

以下のような特徴がみられます。

  • 血圧の変動が大きい
  • 白衣高血圧や仮面高血圧の頻度が高い
  • 起立に伴う血圧変化が大きい(起立性高血圧・起立性低血圧)
  • 食後低血圧も出現する

上記のように、環境によって変化しやすく、時間帯によっても変わってくるため、複数回の測定を記録し、やっと正しい病状が確認できるということです。

診断の特徴

血圧 手帳

高齢者の高血圧では、血圧の変動が大きく、測定条件によって変わりやすいということをお伝えしました。そこで、正しく病状を診断するには、複数回の測定、複数の場所での測定値を参考にする必要があります。

  • 複数回測定された診断室血圧
  • 家庭血圧
  • 24時間自由行動下血圧
  • デイサービスなどで測定した血圧

など、可能な限りの測定結果を見せていただき、より正確な診断を目指します。

起立性低血圧や食後血圧低下の頻度も多く、確認させていただいています。

降圧目標や、降圧薬の決定には様々な情報が必要です。主に以下の表のような内容に注意して診断します。

スクロールできます
診断目的把握すべき病態スクリーニング法
降圧目標や降圧スピードの設定において
個別判断を必要とする病態の把握
両側頸動脈75%以上狭窄
有意な冠動脈狭窄
起立性低血圧・起立性高血圧
食後血圧低下
フレイル
認知症
身体能力低下、要介護
頸動脈雑音の聴診
問診・負荷心電図
問診・起立時血圧測定
食後ふらつきの問診
問診・理学所見
認知機能検査
問診など
特定の降圧薬が積極的適応となる病態の把握心筋梗塞の既往
心不全
狭心症
蛋白尿を伴う慢性腎臓病
糖尿病
心電図
問診・理学所見
問診、負荷心電図
尿検査、eGFR
空腹時血糖
特定の降圧薬の禁忌と関連する病態の把握ナトリウム・カリウム欠乏
急性腎不全
高度徐脈・高度伝導障害
気管支ぜんそく
血清ナトリウム・カリウム
eGFR
心電図
問診・理学所見
高齢者の高血圧で把握すべき病態とスクリーニング法

生活習慣の見直し

高齢者 料理

くすりを使わない高血圧の改善方法として、生活習慣の改善は有効です。積極的に取り組む必要があります。ただし、高齢者のかたは、生活習慣の見直しにおいても、注意点がたくさんあります。なるべく主治医の先生と相談しながらすすめる必要があります。

減塩

食塩制限は、6g/日を目標にします。

過度の減塩は、暑い時期や汗をかいたときに脱水の原因となることがあるので注意します。また、味気ない食事で食事摂取量が落ち、低栄養となる場合もあります。

減塩 1 g ごとに、収縮期血圧が 1 mmHg 減少するという研究結果もあり、6g/日の目標を達成できなくとも減塩の程度に応じた降圧が期待できます。

院長 藤田

何事もやり過ぎには注意して、自分のペースで取り組みましょう!

運動

運動療法は、降圧薬を飲んでいる高齢高血圧のかたにも有効です。

運動の種類としては、有酸素運動を推奨しますが、転倒するリスク、関節障害のリスク、心負荷などを考慮してかけ足や速歩ではなく、通常の早さの歩行が推奨されています。

冠動脈疾患、心不全、腎不全、骨関節疾患などの基礎疾患を合併している場合は、事前に主治医に確認し、運動療法の適否を判断してから行います。

減量

肥満のかたは、適正体重を目指すべきです。しかし、急激な減量は、体調に悪影響がある場合もあるため、長期的に無理のない範囲で減量を行います。

節酒

多量の飲酒は、高血圧を引き起こすという研究報告があります。

日常的に多くのアルコールを摂取する方は、節酒を心がけましょう。

禁煙

喫煙は、心血管疾患の強力な危険因子であることが証明されています。

喫煙本数や高血圧の有無に関わらず、全ての年齢層において禁煙はするべきです。

喫煙者のかたは、禁煙が望ましいです。

血圧の目標値

高齢者 目標

75歳以上の高齢者の血圧の目標値は、140/90mmHg未満です。

65-74歳の高齢者の血圧の目標値は、130/80mmHg未満です。

個別の状況によって、さらに低い血圧を目指すこともあります。

また、要介護状態のかたや、加齢による衰えが顕著で、エンドオブライフにあり、予後改善を目的とした降圧薬の適応がない場合は、目標値を下げたり、薬を中止することも検討します。

まとめ

高齢者の高血圧の特徴についてお伝えしました。

「変わりやすく、見つけにくい」高齢者の高血圧は、機会があれば何度も血圧測定をおこない、早期発見に努めるべきです。

また、薬を使わず生活習慣の改善としてご自分でできることも多いため、正しい知識を身につけることが重要です。

血圧について不安なことがある場合は、お近くの内科クリニックなどでご相談ください。

以上


この記事を書いた人

内科総合クリニック人形町院長 藤田医師
藤田 英理

内科総合クリニック人形町 院長
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
東京大学医学部保健学科および横浜市立大学医学部を卒業
東京大学付属病院や虎の門病院等を経て2019年11月に当院を開業
最寄駅:東京地下鉄 人形町および水天宮前(各徒歩3分)

参考文献

  1. 高齢者高血圧診療ガイドライン2017. 日本老年医学会雑誌第54巻第3号. 日本老年医学会. https://jpn-geriat-soc.or.jp/tool/pdf/guideline2017_01.pdf
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