メソセラピーやHARGの発毛効果が本当か嘘か見破る方法。AGA専門クリニックの儲けの構造から逆算して「裏側」を暴露

メソセラピー
この記事に書いてある事
  • HARGもメソセラピーも成分は育毛剤とほぼ同じ
  • 「接触頻度」が重要なため月1回の治療で発毛すると考える方が不自然
  • 「メソセラピー単体治療で効果は出ますか?」と直球質問してみよう
  • アメリカ国立衛生研究所のデータベースにメソセラピーのメの字も出てこない理由
  • クリニック側の儲けの構造を紐解く事でメソセラピーの正体が見えてくる

「HARG療法や育毛メソセラピーって効果あるのでしょうか?クリニックの公式サイトを見ると劇的な効果があると書いてあったりするので気になっています。」

最近こういうお問い合わせをいただくことが多くなりました。この問いに対する答えは、

「効果があるとは思えませんし医学的根拠もありません。厚生労働省も認可していませんし保険適用外治療となり高額な治療費がかかりますので避けたほうが賢明でしょう。」

このようになります。

美容業界にいると、メソセラピーのような高額オプションメニューの闇にすぐ気づくのですが、一般にはなかなか伝わりづらいと思いますので詳細を解説していきますね。

この記事の執筆者

内科総合クリニック人形町 院長 藤田 英理(総合内科専門医)

藤田 英理 内科総合クリニック人形町 院長

東京大学医学部保健学科、横浜市立大学医学部を卒業。虎の門病院、稲城市立病院、JCHO東京高輪病院への勤務を経て内科総合クリニック人形町を開院。総合内科専門医。AGA治療や生活習慣病指導も行う。

所属:日本内科学会日本動脈硬化学会日本頭痛学会

医師略歴・プロフィールはこちら

目次

HARGもメソセラピーも成分は育毛剤とほぼ同じ

AGA治療歴25年

藤田先生、まずメソセラピーやHARG療法とは何なのか簡単に説明してもらってもいいでしょうか?

院長 藤田

メソもHARGもやっていることはほぼ同じです。注射器を使って育毛剤と似たような成分を頭皮内に注入する治療法です。

院長 藤田

解説いたします

まずメソセラピー(mesotherapy)から説明しましょう。英語を紐解いていくと分かりやすいと思います。

mesotherapyはmesoとtherapyの2つの単語を組み合わせてものです。mesoは「中間」という意味でtherapyは「治療」ですので、mesotherapyを直訳すると「中間治療」という意味になります。

で、具体的に何が「中間」なのかというと、メソセラピーでは注射器の針を頭皮に少しだけ指して髪の毛が発毛しそうな有効成分(成長因子)を毛根の周辺に直接注入します。

頭皮の上からではなく、頭皮の中に注射器を使って「少しだけ」針を刺して有効成分をダイレクトに注入するので「中間」という単語が使われています。

ちなみに、「中間」を超える治療にはどんなものがあるかというと、経口薬(飲み薬)や、血管あるいは筋肉への注射、あるいは肛門への座薬投入などの、体内に直接薬を入れる治療になります。

この説明では分かりづらければメソセラピーは「中途半端な治療」と超訳してもいいかも知れません。

例外として皮膚科治療などで行われる肌に薬を塗って浸透させていくというものもありますが、医療というものは、基本的には体内に何かを施す(薬を飲むなど)のがベースとなっているので、メソセラピーは「中途半端な治療」と理解しても大きくは間違ってはいないと思います。

メソセラピーは頭皮に直接注入する育毛剤

メソセラピーをメインに経営しているAGAクリニックからのクレームを覚悟でもう少し踏みこんでシンプルに言うと、メソセラピーは「頭皮に注射針で直接育毛剤と同じ成分を注入する治療法」です。

各社から出されている育毛剤の公式サイトをいくつかご覧いただければ分かりますが、毛髪の成長因子だの発毛有効成分だのと言った言葉が出てくると思います。

育毛剤は頭皮の上から塗って頭皮下に毛髪の成長因子(と自称している成分)を

HARG療法とは?

もう一つのHARG療法について説明します。

HARGはHair Re-generative theraphyの頭文字を取ったもので、英語に訳すと「毛髪再生医療」になります。毛髪再生医療という言葉を見ると、何だかすごそうですが、やっていることは注射針を使って頭皮下に有効成分とされるものを注入するという点において、メソセラピーとほとんど変わりありません。

メソセラピーとHARG療法の違いは成分のみ

両者の違いはしいてあげるとするなら、HARG療法の開発者曰く、

HARGは毛髪再生医療のため、治療を続けないと発毛し続けないメソセラピーと違い、HARG療法は治療を辞めた後でも発毛が続く点にあります。

だそうです。

「だそうです」と冷たい言い方をしたのは、もしこれが本当であればノーベル賞受賞できるのでは?という点に尽きます。

この記事を読んでいるあなたによくよく覚えておいて欲しいのですが「再生医療」という単語は、多くの場合「グレー」だと思って間違いありません。

国の研究機関などが発表する場合においてさえ、再生医療という言葉は研究開発費を集めるために最も都合が良いから使っているにすぎないとさえ私は思っています。

再生医療というものは、実験に次ぐ実験を繰り返し、その99.9%は失敗に終わります。それゆえに莫大な労力と設備投資が必要になりますので、私企業であるイチAGAクリニックが再生医療などを独自に進められるわけがないんです。

そんなことがもしできるのであれば、世界の医療はもっと速いスピードで飛躍的に進歩するはずです。

毛髪再生医療という単語を公式サイト上で見かけたら即閉じてください

これはHARGに限った話ではありませんが、「毛髪再生医療」という単語を公式サイト上で目立つように使っているクリニックは、まともなクリニックだとは思わないほうが賢明です。

いつ成功するか分からない研究を、何人もの専任スタッフを抱えて経営できるほど儲かっているAGAクリニックは存在しません。国の機関や大手メーカーでさえ苦戦を重ねていて何十億何百憶とお金を溶かしてしまう。それが再生医療研究の現場なのです。

「奇跡」とさえ言っていい毛髪再生医療という単語を軽々しく口にするようなクリニックを、少なくとも私は信用しませんし、信用するにあたる根拠もありませんので、当ブログとしては「HARGやメソセラピーは非推奨」という立場を明確にさせていただきます。

「接触頻度」が重要なため月1回の治療で発毛すると考える方が不自然

AGA治療歴25年

メソセラピーやHARG療法は多くて月2回、通常だと月に1回の治療になると思いますが、これで本当に発毛するのでしょうか?

院長 藤田

治療頻度は全然足りないので発毛すると考えるほうが無理があると思います。1か月に1回飲めば効果が出る経口薬なんて聞いたことないですよね?それと同じです。

院長 藤田

解説いたします


メソセラピーやHARGは、注射針を使って頭皮下に成長因子を注入するとはいえ、医学的には「外用薬」に該当します。外用薬で分かりにくければ「塗り薬の延長」と理解いただいても構いません。

下記は大正製薬の発毛剤リアップ公式サイトに記載されている質疑応答(Q&A)からの抜粋の説明書ですが、1日2回の使用を推奨しています。

Q.どの位の量を使うのですか?
A.1日2回、1回1mLです。

これ、なぜ1日2回なのかというと、薬というものは「効果の持続期限」があるからです。たとえば風邪薬や花粉症の薬、糖尿病の薬などで、月に1回だけ飲めば効果が持続するなどといった都合の良い薬は存在しません。

3日に1回飲めば効果が出る薬って聞いたことありませんよね?2日に1回塗ればいい塗り薬も聞いたことないですよね?

これらの例で分かるとおり、薬というものは、「接触頻度」が大事なんです。にも関わらずメソセラピーやHARGは多くても月に2回で、通常は月に1回の治療のみです。

この頻度の治療で発毛すると考えるほうが不自然ですよね。

「メソセラピー単体治療で効果は出ますか?」と直球質問してみよう

AGA治療歴25年

この記事をメソセラピーやHARGがやっているクリニックが見てクレームを入れてきたらどうしますか?

院長 藤田

「フィナステリドやミノキジジルを一切処方せずにメソセラピーやHARGの単体治療で発毛させられるのであれば謝ります」と返答しますね。

院長 藤田

解説いたします


メソセラピーやHARG療法は、それ単体で薄毛治療を行うことはありません。経口薬であるフィナステリドやミノキジジルタブレットと必ずセットでの治療をすすめてきます。

その際、「フィナステリド+ミノキジジル+メソセラピーのセット治療が最も強力に発毛しますね」みたいなことを常套句として言ってきます。

この3つの治療を合計100点満点で点数配分するとどうなるかというと

  • フィナステリド(脱毛予防) 30点
  • ミノキジジル(発毛) 69点
  • メソセラピーあるいはHARG(育毛) 1点

このようになります。ミノキジジルタブレットが発毛に関しては圧倒的に強力で、厚生労働省が発毛効果を公(おおやけ)に認めている認可成分です。
※フィナステリド(あるいはデュタステリド)は薄毛の進行を抑える薬です

メソセラピーやHARG療法で使用する「成長因子」なる成分は、市販の育毛剤にも含有されているもので構成されていて、厚労省が認可した発毛成分や脱毛予防成分は一切入っていません。

このようなことを書くと「セットで使うことで相乗効果が出るんだ!」とメソセラピーやHARG療法を行っているクリニック側から反論がくるのですが、相乗効果とは具体的に何を指すのかさっぱり分かりません。

本当に相乗効果効果があるのなら、厚労省に認可申請を出せばいいと思います。でも出しませんよね。

もしあなたがAGA専門クリニックにいってメソセラピーやHARG療法を薦められたなら、「フィナステリドやミノキジジル無しでメソセラピーやHARGだけで発毛しますか?」

と聞いてみてください。恐らくこう答えます。

  • フィナステリドやミノキジジル無しでも効果はありますが、併用したほうが相乗効果でより良い結果が出ますので飲むことをおすすめしています
  • HARG(あるいはメソセラピー)単体の治療でも大丈夫ですが、あなたが期待されている効果は得られないかも知れませんので自己責任でご判断ください。

メソセラピーやHARGと取り扱っているクリニックでは、想定問答集でセールス訓練をするので、何を質問しても上記のように上手にはぐらかしてきます。

ただもし、

「はい。発毛しますよ。フィナステリドやミノキジジルは不要です。」

とクリニック側が明確に答えるのなら、自己責任ではありますがメソセラピーやHARG療法を契約してもいいかも知れません。
※ただし必ず証拠を残すために確認書などに「単体でも効果あり」と記載してもらうようにして下さい

アメリカ国立衛生研究所のデータベースにメソセラピーのメの字も出てこない理由

根拠ある記事を書くために、私は海外の文献や論文などを検索することが良くありますが、医療情報を書くためにまず確認するのがアメリカ合衆国国立衛生研究所の公式サイト(英語)です。

右上の検索窓がありますので、HARG療法について調べたいのであればhair regenerative therapy、メソセラピーについて調べたいのであればmesotherapyと検索窓に入れて実行してみてください。

アメリカ国立衛生研究所

医療に関する世界中の文献がヒットします。

アメリカ合衆国国立衛生研究所がどんな機関か知りたい方はこちらをどうぞ

どうでしたでしょうか。HARGやメソセラピーで効果が実証されたという論文や記事などはヒットしましたでしょうか。ヒットしませんよね?何もヒットしないということは、そういうこと(発毛の根拠なし)なんです。

稀(まれ)に、独自に論文を書いて発表して、その英語の論文を自分のクリニックの公式サイト上に披露している先生もいらっしゃいますが、論文を発表するだけなら誰にも出来ます。

その論文が認められてネイチャーなどの権威ある学術誌に掲載されたのであれば話は別ですが、ただ発表するだけでは医学的に何か意味があったとは言えませんのでご注意ください。

クリニック側の儲けの構造を紐解く事でメソセラピーの正体が見えてくる

AGA治療歴25年

どうして根拠のないメソセラピーやHARGなどをクリニック側は患者に勧めるのでしょうか?

院長 藤田

AGA治療薬だけだと儲からないからです

院長 藤田

解説いたします

「治療期間中にフィナステリドやデュタステリド、ミノキシジル(以下AGA治療薬)などを一切飲まなくても効果は出ますか?」

これ↑だけ質問すれば治療効果の有無がほぼ完璧に分かってしまいます。

この質問をして「もちろん効果はあります」と即答されたらそのクリニックでHARG療法やメソセラピーを受けていいと思います。
私も是非そのクリニックで治療受けてみたいのでクリニック名を私にもコッソリ教えてください。

話戻します。

カウンセリング時に上記のことを質問すると以下の回答がくると思います。
どう解釈するかはあなたの自由です。

グレーな回答

HARG(あるいはメソセラピー)単体でも効果はあると思いますが当院ではAGA治療薬とセットでのご案内「のみ」となっております

完全ブラック

  • なぜか逆ギレされる
  • yahoo知恵袋上で質問者にこの方法を回答したらなぜか質問ごと即効で削除された。

AGA治療薬は打ち出の小槌(まとめ)

まとめます。

AGA治療薬は男性型脱毛症(略称AGA)を患っている薄毛で悩む人たちにとって「打ち出の小槌」みたいなものです。

  • フィナステリドやミノキシジルタブレットはAGAには効果があります
  • 「個人の感想」ではなく、厚労省も認めた事実です
  • ただし、著しい効果が出るのは最初の2~3年程度ですが

薄毛の原因がAGAなら、「効かない」「効果がなかった」と言う人を探すのが難しいくらいです

儲けのからくり

HARG療法や育毛メソセラピーにはカラクリがあって、つまり、来院した患者がAGAなのであれば「しめしめ。カモがネギしょってやって来たぞ。うっしっし。」なわけです。

だって、AGAだったら言葉巧みに誘導してAGA薬をなんとか服用させてしまえば、後は何もしなくたって髪の毛は勝手に生えてくるわけですから、HARGやメソセラピーなんて関係ないんです。

極端な話、AGA薬を服用させてしまえば患者の頭に向かってハンドパワーでも送ったり、あるいはお経を唱えたって髪の毛は生えてくるわけです。

ですので、AGA系クリニックでのカウンセリング時にクリニック側が最も重視しているのは「この患者さんはカモネギAGAなのかどうか」を見分けることなんです。

AGAは目視で分かる場合もありますが、来院した患者が本当にカモネギなのかどうかを確定させるために血液検査を行います。

血液検査によって、来院した患者さんがAGA(=カモネギ)であることが確定すれば、あとはそのクリニックで一番高い治療法、つまりHARG療法や育毛メソセラピーへ誘導していきつつ、言葉巧みに「治療の効果が倍増しますよ」などと言ってAGA薬を飲ませてしまえば、ハイ一丁上がり!ってわけです。

AGA治療薬さえ飲めば髪の毛はだいたいの人は生えてきますのでクレームにならないどころか、涙を流して感謝されることすらあるわけですから。

クリニック関係者のみなさんへ

私は「HARG療法や育毛メソセラピーが効果がない」とは言ってません。 もしかしたら相関関係はあるかも知れませんが因果関係はないでしょ?と言っているだけです。

逆に御院のクリニックの誇大広告および比較広告(ビフォーアフター写真や回復曲線を表すようなグラフは掲載できませんよ)を証拠として医療法違反の疑いで該当する都道府県の行政窓口(担当課)に通報しますので覚悟の上私に闘いを挑んでくださいね。

大手、中小問わず、名の通ったクリニックの公式サイト上で行われている誇大広告や比較広告の数々は全てキャプチャーおよびweb魚拓で証拠を押さえていますのでいつでもどうぞ。
参考:美容医療広告について

もう一つの見破り方(おまけ)

あともう一つ見破り方があります。

たまにAGA系クリニックなどがHARGやメソセラピーのモニターを募集していることがあります。その募集広告を良く見てほしいのですが、必ず注釈で「過去にAGA治療を受けたことがない方限定の募集となります」って小さく書いてあります。

あるいは、募集しているクリニックに「モニターで治療を受けたい」と問い合わせをすると必ずAGAの治療歴を聞かれ、すでにAGA治療薬を試している人は審査に100%落ちます。

なぜ審査に落ちるかここでは書きません。この記事を読めばなぜかはお分かりいただけると思いますので。

というか、、
これ以上書くとAGA専門クリニックのヒットマンに殺されてしまいますのでこのへんでペンを置かせて下さい”(-“”-)”

以上

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