女性が円形脱毛症になる原因と改善方法を徹底解説

女性の円形脱毛症

脱毛症には色々な種類がありますが、その中の一つに円形脱毛症があります。

軽度のものであれば自然に治ってしまうこともありますが、治療が必要なレベルにまで進んでしまうと自然治癒はむずかしく、医療機関での治療を受ける場合でも脱毛症の中では治療が難しいとされているものです。

比較的女性に多くみられますが、男性女性どちらでも起こり得ます。ただし、髪が印象を左右するという意味では女性にとってはより難題です。

この記事を読んでいるあなたも、円形脱毛症に悩む一人かもしれません。そこで今回は、女性が円形脱毛症になってしまう原因や改善策、治療法などについて、みていきます。

この記事の執筆者

内科総合クリニック人形町 院長 藤田 英理(総合内科専門医)

藤田 英理 内科総合クリニック人形町 院長

東京大学医学部保健学科、横浜市立大学医学部を卒業。虎の門病院、稲城市立病院、JCHO東京高輪病院への勤務を経て内科総合クリニック人形町を開院。総合内科専門医。AGA治療や生活習慣病指導も行う。

所属:日本内科学会日本動脈硬化学会日本頭痛学会

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目次

円形脱毛症とは?

円形脱毛症と一口に言ってもその種類はさまざまであり、中にはイメージと全く違うものもあります。

1つずつ円形脱毛症の種類を確認していきましょう。

単発型

小さな円形状の脱毛が一か所に起きるもので、いわゆる「10円ハゲ」などと呼ばれるものです。

脱毛が起きている部位を「脱毛巣」といいますが、脱毛巣の大きさは必ずしも10円玉大とは限らず、10円玉から500円玉くらいのサイズまで人それぞれです。

単発型の小さなものであれば自然に消失してしまうこともあります。

多発型

単発型の円形脱毛症が複数発生したものを多発型といいます。

このタイプではいくつかの脱毛巣が重なり合うことで、広範囲の脱毛巣となることも。

多発型の円形脱毛症では自然治癒を期待するのは難しく、医療機関での治療が求められます。

蛇行型

蛇行型は名前の通り脱毛巣が蛇のような形になって進行するものです。

発症部位としては後頭部から側頭部にかけて起こることが多いですが、見た目が特徴的なため、周囲の目線を気にしてストレスを感じることが多くなります。

脱毛巣の形は円形ではなくなりますが、これも円形脱毛症の一種です。

全頭型

全頭型は頭髪全体が脱毛してしまうタイプです。

こちらも見た目には「円形」とは言えませんが、重度の円形脱毛症として扱われます。

汎発型

円形脱毛症の多くは頭髪に限定されるものですが、中には頭髪以外の体毛にまで脱毛が広がることが。

眉毛、まつ毛など顔周辺の毛や、さらにはわき毛などの体毛まで広がる態様を汎発型(はんぱつがた)と言います。

かなりの重症として扱われ、医療機関で治療を受けても思うような改善が見られないことも。

【原因不明?】女性の円形脱毛症はなぜ起こる?

女性の円形脱毛症はなぜ起こる

実は円形脱毛症について、はっきりした原因は今のところはまだ解明されていません。

それでも、いくつか可能性の高い原因は指摘されており、これらが単独あるいは組み合わさって発症するのではないかと言われています。

以下でそれらの原因について見てみましょう。

自己免疫異常

今のところ最も可能性の高い原因として考えられているのが自己免疫異常。

これは、本来であれば細菌やウイルスなどの外敵を攻撃して体を守ってくれるはずの免疫システムが、あやまって自分自身の細胞を攻撃するものです。

髪の毛を作り出す毛包組織を免疫が攻撃してしまうことで、脱毛が起きハゲができてしまいます。

ただ自己免疫を理由とする場合でも、なぜ自分の免疫が自分の細胞を攻撃するのかという部分は解明されておらず、治療についても対症療法的に手当するしかないのが現状です。

ストレス

円形脱毛症の原因について、一昔前までは最も有力とされていたのがストレスを原因とするもの。

医学的な根拠としてはまだ明らかな説明がなされていませんが、重度のストレスは自律神経に異常を来したり、ホルモンのバランスを崩したりと、心身に悪い影響を与えるのは事実です。

強いストレスはそれ自体が脱毛を引き起こす要因ともなり、ストレスが要因となって自己免疫システムが異常をきたし、円形脱毛症の間接的な原因となることも考えられます。

遺伝

直接の原因と言えるかは微妙ですが、中国やアメリカなど海外の調査では家族に円形脱毛症の患者がいる場合、自身も円形脱毛症を発症する率が高くなるとされています。

上記のような要因が単独または組み合わさることで円形脱毛症が発症。

なお、アトピー体質の人は円形脱毛症が重症化しやすいという報告があります。

女性の円形脱毛症の改善、治療方法は?

女性の円形脱毛症の改善方法

円形脱毛症の治療方法は複数あります。

実際の症状を見て医師が治療方針を考えますが、一つの方法に固執せず、ある方法を試してみて効果が薄いようであれば別の方法を試したり、いくつかの方法を合わせてみるといった工夫も可能です。

現状でどのような治療法の選択肢があるのか見てみましょう。

ステロイド外用剤の塗布

免疫機能を抑制し炎症を抑えるステロイドを外用薬として塗布します。

ステロイドは副作用の強い薬剤ですが、外用剤であれば局所的な作用となるので大きな副作用の心配もいりません。

ミノキシジルの塗布

頭皮の毛細血管の拡張作用によって血流を改善し、発毛力を高める作用のあるミノキシジルを外用塗布します。

女性に使用する場合は男性よりも濃度を下げて投与。

塩化カルプロニウムの塗布

同じく血管の拡張作用がある塩化カルプロニウムを外用剤として塗布。

発毛作用としてはミノキシジルよりも弱くなりますが、円形脱毛症の治療では昔から使われていた成分です。

抗アレルギー薬の内服

アトピー体質で円形脱毛症を呈している場合、抗アレルギー剤の内服で一定の効果が見られることもあります。

ステロイド注射

局所的にステロイドを注入するもので、外用塗布よりも高い効果が期待できます。

ステロイド剤の内服

症状の重い円形脱毛症ではステロイド剤の内服が検討されることもあります。

反面、感染症にかかりやすくなったり、肥満や脂質異常などの副作用のリスクが高いことから重症の円形脱毛症のみを対象にするのが基本です。

冷却療法

脱毛巣に冷却刺激を与えて、暴走を起こしている免疫システムに一種のショックを与えて機能を正常化しようとするのが冷却療法です。

ドライアイスや液体窒素などによって患部に冷却刺激を与えることで実施します。

紫外線療法

アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患に効果がある紫外線を患部に照射するものです。

有効性が十分に実証されているとは言えませんが、逆に大きな有害事象もないので安全性とのバランスを取って検討されることもあります。

治療中の自己対策法

医療機関で円形脱毛症の治療を始めても、多くの場合短期間での劇的な改善はなかなか見込めないのが実情です。

重症になるほど改善には期間を要し、一定の改善が見られるまでに数年かかることも珍しくありません。

その間の自己対策としてはかつらやウィッグ(部分かつら)の利用が考えられます。

今日では医療用ウィッグの流通も進んでいるので、検討しても良いでしょう。

まとめ

今回は女性の円形脱毛症について、その原因や治療法などについてみてきました。

現状では明確な原因が解明されているわけではありませんが、いくつかの主だった原因を仮定した治療法が医療現場で試され、一定の効果を上げています。

ただ、原因がまだはっきりしていないため特効薬のようなものはなく、症状の改善には長期間かかることが多いのも事実です。

円形脱毛症は見た目に特徴があるため気づきやすいので、この回で挙げた症状を参考にしながら、できるだけ早く専門の医師がいる医療機関を受診するようにしてください。

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