- 40代でハゲが進行する理由
- 40代で薄毛進行のおさえ方と発毛を促す方法
- AGA治療薬、ミノキシジルとフェステナリドについて
- 育毛剤・発毛剤の入手方法
30代からなんとなく気づき始めていた髪質の変化に目をそらしていると、他の人から見てもわかるほど薄毛が進行してしまいます。「30代で対処しておけば……」と後悔するよりも、1日も早い対処をするといいでしょう。薄毛対策は、やって無駄なことはありません。
今回はハゲが気になる40代男性に向けて、AGAの仕組みと育毛剤や内服薬で効果が出る理由などをクリニック院長藤田先生に解説していただきます。
この記事の執筆者
藤田 英理 内科総合クリニック人形町 院長
東京大学医学部保健学科、横浜市立大学医学部を卒業。虎の門病院、稲城市立病院、JCHO東京高輪病院への勤務を経て内科総合クリニック人形町を開院。総合内科専門医。AGA治療や生活習慣病指導も行う。
40代のハゲが進行してしまう理由とは?
40代男性ハゲの主な原因である「AGA」とは?
AGAとは、Androgenetic Alopeciaの略で「男性型脱毛症」という意味です。男性ホルモンと遺伝が関連した脱毛症のことで、成人男性によくみられます。
AGAは進行性のため、何もせずに放っておくとどんどんハゲが進んでいきます。
AGAと壮年性脱毛症は同じと考えてOK
壮年性脱毛症とは、30代~50代で発症する進行型の脱毛症のことを言います。呼び方のちがいであり、AGAと同じと考えてOKです。
AGAの進行パターン
AGAの特徴は、ある程度進行パターンが決まっていることです。下記にあてはまる場合、AGAである可能性が高いでしょう。
- M型のパターン:前頭部の両サイドの生え際が後退していくことが特徴
- O型のパターン:頭頂部から後頭部にかけて、円を描いたようにまるく抜け毛が増えていくことが特徴
- U型のパターン:前頭部の生え際が徐々に後退してくことが特徴
- 複合パターン:上記3つの内、2つ以上があてはまるパターン
AGAは最終的に側頭部と後頭部の髪のみが残る
AGAに対して何の対処もしないと、最終的には側頭部と後頭部の髪のみが残る姿になってしまいます。できる限り早めに対処した方がいいでしょう。
AGAはヘアサイクルが乱れることが原因
AGAは、通常2~6年の期間がある「成長期」が通常よりも短いサイクルで「退行期」に移ってしまうことから、髪が細く短くなってしまうことが特徴です。
退行期のあとは「休止期」となり、髪が抜け落ちてしまいます。
AGAはDHTがカギ
AGAの脱毛部にはDHT(ジヒドロテストステロン)が高濃度にみられ、これがヘアサイクルの乱れを起こす原因物質と考えられています。
AGAで一度抜けた毛は元に戻るのか?
AGAで抜けても、また生えてくる
AGA(エージーエー)は、毛を産出する器官である毛包(もうほう)が十分成長しないことから、髪が太く長く成長できずに抜け落ちてしまいます。
しかし、AGAではうぶ毛は残るようなスタイルになることが一般的です。つまり、毛包がなくなっているわけではないため、対処次第で太く長い毛が育つ可能性は十分あります。
40代のハゲを対処する成分とは?
ハゲ対処成分①発毛を促す「ミノキシジル」
厚生労働省が発毛効果を認めている「ミノキシジル」という有効成分があります。
ミノキシジルが頭皮の中にある細胞を活性化させ、ヘアサイクルの乱れを正常に戻すことで、薄毛や抜け毛を防ぎ、新しい髪の発毛を導きます。
ミノキシジルの副作用
ミノキシジルは、もともと高血圧を治療する薬として開発されていました。高血圧患者に投与したところ、体毛が濃くなることが確認されたため、AGA治療薬として注目されるようになったのです。
ミノキシジルは血圧降下剤としてつくられたため、血管拡張作用があることから、高血圧患者や狭心症をはじめとする循環器系の疾患を抱えている方は注意が必要です。
安心して使いたい場合は、医師の診断を受けてから使用するといいでしょう。
ハゲ対処成分②DHT産出をおさえる「フェナステリド」
フェナステリドとは、ヘアサイクルの乱れの原因となる物質「DHT」の産出をおさえ、ヘアサイクルを正常化させる成分です。
アメリカの医薬品管理局であるFDAでも認可されているAGA治療用の薬剤で、ジェネリック医薬品として「フィナステリド錠」と呼ばれるAGA治療薬が処方されることもあります。
フェナステリドの副作用
フィナステリドの副作用には、性欲減退や勃起機能障害(ED)などの男性機能低下、肝機能障害などが挙げられます。
臨床試験において危険性は低いと言われていますが、副作用が現れる可能性はゼロではないため、異変を感じた場合は医師に相談しましょう。
AGAパターンによって有効成分・対処方法が異なる
M字パターンにはミノキシジルとフェナステリド
抜け毛の進行パターンが「M字」の場合、ミノキシジルとフェナステリドの併用が良いと言われています。このパターンは、前頭部の血流を良くすることも効果的です。
治療と共に、眼精疲労の緩和や頭皮マッサージなどをすることもいいでしょう。
O字パターンにはミノキシジル
抜け毛の進行パターンが「O字」の場合、髪に栄養が届かず髪が徐々に細くなってしまうため、ミノキシジルで血行促進をする治療が良いと言われています。
全身の血行促進や頭皮を清潔に保つことも同時に意識しましょう。
U字パターンにはミノキシジルとフェナステリド
抜け毛の進行パターンが「U字」の場合、ミノキシジルとフェナステリドの併用が良いと言われています。睡眠不足や生活習慣の乱れなどがある場合、治療と同時にこれらも改善するようにしましょう。
40代ハゲを対処する育毛剤を入手する方法とは?
育毛剤と発毛剤はちがうため、注意
育毛剤は「医薬部外品」に分類され、AGAの方には適していません。「それほど薄毛が気になるわけではないが、予防として使いたい」「抜け毛は多くないが、髪がボリュームダウンしてきたことが気になる」という方は、育毛剤の使用でいいでしょう。
- 成分表示欄に「医薬部外品」と書かれていれば育毛剤
- 髪のハリコシが欲しい場合は育毛剤を使用
発毛剤にはミノキシジルが含まれている
発毛剤は育毛剤とちがい、ミノキシジルが含まれています。ヘアサイクルの乱れを正常に戻す働きをするため、AGAによってハゲにお悩みの方は、育毛剤ではなく発毛剤を使用した方がいいでしょう。
- 成分表示欄に「第一類医薬品」と書かれていれば発毛剤
- AGAによってハゲが進行している場合は発毛剤を使用
発毛剤はドラッグストアで購入できる
ミノキシジルは含有量5%までであれば医師の診断が必要なく、ドラッグストアなどでも手軽に購入できます。
リスクの高い輸入品には注意
海外の治療薬の中には、ミノキシジルの含有量が5%以上のものがあったり、偽造薬が流通していたりします。健康被害リスクがあるため、自己判断でこれらを使用することはやめましょう。
どうしても効果が高い発毛剤を手にしたい場合、クリニックでの相談をおすすめします。
クリニックへ相談に行く
AGAの治療をしたいのであれば、クリニックへ相談に行くこともいいでしょう。
そもそもAGAかどうかわからない場合もあると思います。クリニックでは、カウンセリングや頭皮・毛髪の確認などを通してAGA診断を行います。
また、治療内容や薬なども、一人ひとりにあったものを処方してもらえるため、安心感は高いでしょう。
「ハゲ治療に病院に行く」と思うとハードルが高く感じるかもしれませんが、AGAの場合は対処しないとどんどん薄毛が進行してしまうため、早めの治療がおすすめです。
- 自分がAGAかどうかわからない
- 市販の発毛剤を使うことに不安感がある
- 医師に処方してもらった薬を使用したい
まとめ
40代で薄毛や抜け毛に悩む人は少なくありませんが、「周りもハゲているし、こんなものだろう」とあきらめる必要はありません。AGAは治療によって進行をおさえることができ、発毛を促すこともできます。
自分にあった発毛剤や治療方法を知り、対処していくといいでしょう。