
おはようございます。内科総合クリニック人形町 院長の藤田(総合内科専門医)です。
「テレビや広告で育毛シャンプーを見て購入したけれど、あまり育毛の効果を感じなかった。」、たまにこういう患者さんがいます。
確かに広告の中には『育毛シャンプーを使うだけで髪が生えてくる』ような表現のものもありますが、先に言っておきましょう。育毛シャンプーに育毛効果はありません。
でも、育毛シャンプーに効果がないわけではなく、適切な使い方をすれば育毛を高めることにつながります。そこで今回は、育毛シャンプーの本当の効果や、適切な選び方をご紹介していきましょう。
育毛シャンプーに育毛効果はありません
まず、育毛シャンプーとは何か?を知っておきましょう。
名前だけ聞くと「使うだけで育毛効果がある」と思いがちですが、残念ながら育毛シャンプーには育毛効果はありません。
育毛シャンプーは『育毛剤の効果を高める』こと
育毛シャンプーに育毛効果はありませんが、使うことで育毛剤の浸透率を高めることができます。
そもそも現在育毛の効果が認められているのは育毛剤だけで、「育毛シャンプーに認められている効果は?」と言うと以下の通りです。
- 頭皮、毛髪を清浄にする
- 頭皮、毛髪をすこやかに保つ
- 香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える
- 毛髪にはり、こしを与える
- フケ、かゆみを抑える
- 頭皮、毛髪のにうるおいを与える・保つ
この通り、育毛そのものに効果はありませんが、この中でも育毛シャンプーとして大事なのが「1頭皮、毛髪を清浄にする」「2頭皮、毛髪をすこやかに保つ」です。
なぜなら、髪や頭皮は日中のホコリや皮脂で汚れており、不衛生のままにすると毛穴がつまり、頭皮トラブルを引き起こしかねないからです。
さらに、育毛剤は頭皮が汚れているとうまく浸透しません。育毛剤には育毛や発毛促進する有効成分が配合されていますが、浸透するかどうかは頭皮環境の良し悪しで決まります。
つまり、頭皮がキレイだと奥深くまで浸透するため、育毛剤の効果が倍増するということです。
ちなみに、育毛シャンプーの中には毛髪の元となるケラチン配合や育毛を促進させるような成分が配合された商品がありますが、そもそもシャンプーは髪や頭皮につけてすぐに洗い流すため、そんな一瞬では髪や頭皮に吸収されません。
他のシャンプーとの違いは?
でも、頭皮や髪の毛の汚れを洗い流すだけなら一般的なシャンプーでもいいと思いますよね。しかし、育毛シャンプーと他のシャンプーとでは界面活性剤が大きく異なります。
界面活性剤とは、シャンプーに用いられる洗剤のことで、大きく分けて3つの種類に分かれます。
- 高級アルコール系
一般的なシャンプーに用いられることが多い界面活性剤。洗浄力が強く、泡立ちが良いのが特徴。値段が安い - アミノ酸系
育毛シャンプーに用いられることが多い界面活性剤。適度な洗浄力で髪や頭皮に優しいが、値段が高く泡立ちが悪い - 石鹸系
最も洗浄力が弱い界面活性剤。洗浄力が弱すぎるため、汚れを落としきれないことも
洗浄力が強すぎると皮脂を取りすぎてしまいます。皮脂がたまりすぎるのは薄毛によくありませんが、皮脂を取りすぎると余計に皮脂が生成するのです。
皮脂線の活動が活発になると、毛髪の生成に使われるべき栄養まで皮脂線に奪われてしまい、結果的に抜け毛を促進する可能性に繋がります。
一方、アミノ酸系の界面活性剤は適度な洗浄力で髪や頭皮を洗い、皮脂を不要な分だけ除去するため、頭皮環境がすこやかに。
ちなみに石鹸系のシャンプーは洗浄力が弱すぎるため、汚れを落としきれない可能性があります。
また、アミノ酸系と高級アルコール系のシャンプーをブレンドして『アミノ酸系の洗浄力と高級アルコール系の使い心地』を実現させたタイプも存在します。
アミノ酸系だけでは泡立ちが悪く、使用感に問題があるシャンプーが多いのも事実です。そこで、あえて2つをW配合することで両方の良さを活かす設計にしているのです。
つまり、皮脂を取りすぎないことで抜け毛を予防し、育毛剤が浸透する道を作る。これがその他のシャンプーと育毛シャンプーの違いと言えます。
シリコンとノンシリコンは関係ない
ちなみに、最近ではシリコンとノンシリコンのシャンプーがありますが、育毛の観点からするとどちらも関係ありません。
そもそもシリコンは悪といった風潮がありますが、シリコンは髪を洗うときに摩擦を軽減してくれるため、髪の長い女性はシリコン入りのシャンプーの方が適しているといえます。
また、シリコンかノンシリコンどちらのシャンプーを利用しても薄毛とは関係ないという医学論文も発表されているので、気にする必要はありません。
どんな育毛シャンプーを選んだ方が良い?
育毛シャンプーの効果がわかったところで、次は選び方です。育毛シャンプーは、あなたの肌質別で選ぶのが最も適切と言えるでしょう。
ただし、どの肌質にも当てはまるのを使用するのはやめた方が無難です。
普通肌の人
普通肌で皮脂分泌が適切な人は、アミノ酸系かアミノ酸と高級アルコール系がブレンドされた育毛シャンプーを使用するのが良いでしょう。
適度に皮脂の分泌がある場合、界面活性剤が高級アルコール系だけのシャンプーを使うと必要以上に皮脂を取りすぎてしまいます。
そこで、アミノ酸系の適度な洗浄力で洗い上げる、またはアミノ酸系と高級アルコール系をブレンドしたシャンプーで洗い上げるのが適切です。
乾燥肌の人
感想肌で皮脂分泌が少ない人は、アミノ酸系の育毛シャンプーを利用するのが良いでしょう。
皮脂分泌が少ない人は頭皮汚れも少ない傾向にあるため、アミノ酸系のシャンプーでも問題なく洗うことができます。
石鹸系のシャンプーだと洗浄力が弱すぎるため、あまりお勧めはしません。
脂性肌の人
脂性肌で皮脂分泌が多い人は、高級アルコール系とアミノ酸系をブレンドした育毛シャンプーを利用するのが良いでしょう。
適度な洗浄力としっかりした泡立ちを実現したこのタイプは、皮脂汚れをしっかり洗い上げるとともに洗い心地も抜群です。
脂性肌の場合、アミノ酸系の育毛シャンプーでは汚れを落としきることが難しく、高級アルコール系だけのシャンプーでは皮脂を取りすぎてしまいます。
皮脂や汚れを落としきれないとばい菌が繁殖したり、皮脂を取りすぎても過剰分泌を招き結果的に薄毛や抜け毛の原因に。
まとめ
育毛シャンプーに育毛効果はありませんが、育毛剤と併用することで効果を倍増することができます。
しかし、頭皮環境を健やかにすることで抜け毛を防ぐ役割を果たすため、今後の抜け毛・薄毛予防を考えている人はおすすめです。
育毛シャンプーを選ぶ際は、あなた自信の肌質にあった界面活性剤の商品を選ぶようにしてください。
この記事を書いた人

内科総合クリニック人形町 院長
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
東京大学医学部保健学科および横浜市立大学医学部を卒業
東京大学付属病院や虎の門病院等を経て2019年11月に当院を開業
最寄駅:東京地下鉄 人形町駅および水天宮前駅(各徒歩3分)