マンジャロ(チルゼパチド)は肥満症や2型糖尿病に対して高い効果が期待される注射薬ですが、すべての方が安全に使えるわけではありません。添付文書には「禁忌」と「慎重投与」が明記されており、該当する方は投与を受けられなかったり、医師の厳重な管理が求められたりします。
この記事では、マンジャロの禁忌・慎重投与に該当する具体的な条件や持病、併用薬との注意点まで幅広くまとめました。「自分は使えるのだろうか」と不安を感じている方が、受診前にセルフチェックできる内容を目指しています。
必ず主治医と相談したうえで治療方針を決めていただきたいのですが、まずはご自身の状態と照らし合わせながら読み進めてみてください。
マンジャロの禁忌とは|絶対に使えない人はこんなケース

マンジャロには添付文書で定められた「禁忌」があり、該当する方には投与そのものが認められていません。禁忌に当てはまる場合、どれだけ肥満に悩んでいても別の治療法を検討する必要があります。
チルゼパチドの成分にアレルギーがある方は使用できない
マンジャロの有効成分であるチルゼパチド、あるいは添加物に対して過敏症の既往がある方は禁忌です。過去に同成分の薬剤でアナフィラキシーや血管性浮腫が出た経験があれば、再投与によって重篤なアレルギー反応が起こる危険性があります。
ほかのGLP-1受容体作動薬で重いアレルギーを経験したことがある方も、マンジャロの使用には慎重な判断が求められるでしょう。初回投与の際にはアレルギー歴を正確に医師へ伝えてください。
1型糖尿病・糖尿病性ケトアシドーシスの方はインスリン治療が優先
1型糖尿病の方、糖尿病性ケトアシドーシスや糖尿病性昏睡・前昏睡の状態にある方も禁忌に該当します。こうした病態ではインスリン製剤による速やかな血糖コントロールが必要なため、マンジャロの出番はありません。
マンジャロはあくまで血糖が高いときに作用するインクレチン関連薬であり、インスリンの代わりにはならないという点を押さえておきましょう。
マンジャロの主な禁忌一覧
| 禁忌の対象 | 理由 | 代替方針 |
|---|---|---|
| 成分に対する過敏症の既往 | 重篤なアレルギー再発の危険 | 他の肥満治療薬を検討 |
| 1型糖尿病 | インスリン依存状態のため | インスリン製剤を使用 |
| 糖尿病性ケトアシドーシス | 緊急のインスリン治療が必要 | 入院管理でインスリン投与 |
| 重症感染症・手術直後 | 血糖管理はインスリンが適切 | 状態安定後に再検討 |
重症感染症や手術前後など緊急時もマンジャロは適さない
重症感染症にかかっている方や、大きな手術を控えている・手術直後の方にも禁忌が設定されています。緊急時にはインスリンによるきめ細かな血糖コントロールが求められるため、週1回投与のマンジャロでは対応しきれません。
手術予定がある方は、担当医と事前に投与スケジュールについて相談し、必要に応じて一時的に休薬するかどうかを決めておくと安心です。
マンジャロで慎重投与が必要な人|禁忌ではないが油断できない

禁忌には該当しなくても、持病や体質によっては通常より慎重なモニタリングのもとで投与を進める必要があります。慎重投与とは「使用自体は可能だが、副作用リスクが高いため医師が注意深く経過を観察しなければならない」という意味です。
膵炎の既往がある方は再発リスクに要注意
過去に急性膵炎を起こしたことがある方は、マンジャロ投与中に膵炎が再発する可能性が否定できません。GLP-1受容体作動薬全般で急性膵炎の報告があり、添付文書にも警告として記載されています。
投与中に激しい腹痛(特に背中に放散する痛み)や嘔吐が続く場合は、すぐに医療機関を受診してください。定期的な血液検査で膵酵素の数値を確認することも大切です。
重度の胃腸障害がある方は症状が悪化しやすい
胃不全麻痺(いふぜんまひ)など重度の胃腸障害を抱えている方も慎重投与の対象になります。マンジャロには胃の内容物の排出を遅らせる作用があるため、もともと胃腸の動きが弱い方では吐き気や嘔吐、腹部膨満感がさらに強まるおそれがあります。
軽度の胃腸トラブル程度であれば医師の判断で投与可能なケースもありますが、重症例では別の治療手段を選択するほうが安全でしょう。
糖尿病網膜症を抱えている方は眼科との連携が大切
増殖糖尿病網膜症や糖尿病黄斑浮腫の診断を受けている方、あるいは既往のある方では、血糖値が急速に改善することで一時的に網膜症が悪化する場合があります。マンジャロは強力な血糖降下作用をもつため、眼科医との連携のもとで経過を見守る必要があるでしょう。
治療開始前に眼底検査を受けておくこと、そして投与中も定期的に眼科を受診することが望ましいとされています。
| 慎重投与の対象 | 注意すべき理由 | 推奨される対策 |
|---|---|---|
| 膵炎の既往 | 再発リスクの報告あり | 定期的な膵酵素チェック |
| 重度の胃腸障害 | 消化管症状が悪化するおそれ | 低用量から慎重に開始 |
| 糖尿病網膜症 | 急激な血糖改善で悪化の可能性 | 眼底検査を定期的に実施 |
| 胆石症・胆嚢炎の既往 | 体重減少で胆石リスクが上昇 | 腹痛時は速やかに受診 |
妊娠中・授乳中の女性はマンジャロを使えない|妊活中も要確認

妊娠中もしくは妊娠の可能性がある女性、そして授乳中の女性にはマンジャロの使用が認められていません。動物実験で胎児への影響が示唆されており、ヒトでの安全性が確立されていないためです。
妊娠の可能性がある女性は確実な避妊が求められる
マンジャロを使用している期間中は、確実な避妊を行う必要があります。万が一妊娠が判明した場合は、ただちに投与を中止しなければなりません。
妊娠を希望する方は、投与を中止してから少なくとも1か月間、一般的には2か月以上の期間を空けてから妊活を始めることが推奨されています。将来的にお子さんを望んでいる方は、治療計画の段階でこの点を医師と話し合っておきましょう。
授乳中のマンジャロ投与は安全性が確認されていない
マンジャロの成分が母乳に移行するかどうかは、現時点で十分なデータがありません。授乳中の方がマンジャロを使いたい場合は、授乳を中断するか、投与を見送るかの判断を主治医と一緒に検討する形になります。
赤ちゃんへの影響をゼロにすることが難しい以上、授乳期のマンジャロ使用は原則として避けるのが賢明です。
- 妊娠中の投与は禁忌に準じた扱い
- 投与中および中止後1か月間は避妊が必要
- 妊活を始めるなら中止後2か月以上が目安
- 授乳中の安全性データは不十分
妊活前に確認すべきマンジャロの休薬スケジュール
マンジャロは持続性の薬剤であり、中止してもしばらくは体内に薬の成分が残ります。そのため、妊娠を計画する際は余裕をもって休薬期間を設ける必要があるのです。
具体的なスケジュールは体格や投与量によっても変わるため、個人の判断ではなく医師と二人三脚で進めていくことが大切です。焦らず計画的に取り組んでください。
高齢者や腎機能・肝機能が低下している方へのマンジャロ投与リスク

年齢や臓器機能の状態によっても、マンジャロの安全性は変わります。高齢者や腎臓・肝臓の機能が落ちている方は副作用が出やすく、投与量の調整や頻回な検査が求められるケースが少なくありません。
高齢者は脱水と体重減少に注意して投与する
65歳以上の高齢者では、マンジャロによる吐き気や下痢で脱水を起こしやすく、それが急性腎障害につながるリスクがあります。加齢に伴い生理機能が低下しているため、若い方よりも副作用が出やすい傾向です。
また、もともと体重が少ない高齢者では過度な体重減少にも気を配る必要があります。BMIが23未満の方での有効性・安全性は検討されていないため、投与の可否自体を慎重に判断しなければなりません。
腎機能が低下している方は慎重な経過観察が必要
臨床試験において、重度の腎機能障害をもつ患者さんでの使用実績は限られています。腎機能が著しく低下した方や透析を受けている方に対しては、原則として投与を避けるか、厳密なモニタリング下で慎重に使用するという方針がとられます。
腎臓の数値であるeGFRが低い方は、投与中にこまめな血液検査を受け、腎機能の悪化がないかチェックすることが重要です。
肝機能障害のある方も投与前に検査を受けておく
肝機能が低下している方についても、マンジャロの体内での代謝に影響が出る可能性があります。軽度から中等度の肝機能障害であれば用量調整なしで投与できるケースが多いとされていますが、重度の場合はリスクとベネフィットを天秤にかけた判断が求められるでしょう。
事前に肝機能の血液検査を受け、現在の肝臓の状態を把握したうえで治療を開始してください。
| 対象 | 主なリスク | 推奨される管理 |
|---|---|---|
| 65歳以上の高齢者 | 脱水・急性腎障害・過度な体重減少 | 水分補給の徹底と体重の定期測定 |
| 重度の腎機能障害 | 薬剤の排泄遅延・副作用増強 | eGFRのモニタリングと用量調整 |
| 重度の肝機能障害 | 代謝能低下による蓄積リスク | 肝機能検査のうえ主治医が判断 |
マンジャロと併用注意の薬|飲み合わせで起こる低血糖・副作用リスク

マンジャロ単体ではなく、ほかの薬との組み合わせによってリスクが高まるケースがあります。特にインスリン製剤や血糖降下薬との併用では低血糖のリスクが上昇するため、医師の指示のもとで投与量を調整しなければなりません。
インスリンやSU薬との併用で低血糖が起こりやすくなる
マンジャロは血糖が高いときにインスリン分泌を促す薬ですが、インスリン製剤やスルホニル尿素薬(SU薬)と一緒に使うと作用が重なり、血糖値が下がりすぎてしまうことがあります。低血糖の症状としては、発汗、動悸、手のふるえ、ふらつきなどが挙げられ、重症化すると意識障害やけいれんに至るケースもあるため油断できません。
併用中は普段からブドウ糖や砂糖を含む食品を携帯し、低血糖の兆候を感じたらすぐに補食できるよう備えてください。
DPP-4阻害薬との併用は臨床データがない
DPP-4阻害薬もGLP-1受容体やGIP受容体を介して作用するため、マンジャロと作用が重複します。両者を併用した際の有効性と安全性は臨床試験で検証されておらず、添付文書でも注意が促されています。
現在DPP-4阻害薬を服用中の方がマンジャロへ切り替えを希望する場合は、必ず主治医に相談し、安全な切り替えスケジュールを組みましょう。
| 併用に注意が必要な薬 | 起こりうるリスク | 対応 |
|---|---|---|
| インスリン製剤 | 低血糖(意識障害・けいれん) | インスリン減量を医師と検討 |
| SU薬・グリニド薬 | 低血糖 | 併用薬の減量を検討 |
| DPP-4阻害薬 | 作用重複(安全性データなし) | 原則併用は推奨されない |
| 経口避妊薬 | 吸収遅延による効果減弱 | バリア法など別の避妊法を併用 |
経口避妊薬の効果がマンジャロで弱まる可能性がある
マンジャロの胃排出遅延作用によって、経口避妊薬(ピル)の吸収が遅れ、避妊効果が低下するおそれが報告されています。マンジャロを使いながらピルも服用している方は、コンドームなどバリア法を併用するなど追加の避妊対策を医師と相談してください。
特にマンジャロの投与開始直後や増量時は胃腸への影響が強く出やすいため、この時期は注意を払うべきでしょう。
マンジャロ投与前のセルフチェック|受診前に準備したい確認事項

初めてマンジャロの処方を希望して受診する際、あらかじめ確認しておくと診察がスムーズに進みます。医師が禁忌や慎重投与の判断を下すために必要な情報を整理しておきましょう。
自分の病歴・アレルギー歴を正確に伝える
過去にかかった病気の一覧(特に膵炎、胆石症、甲状腺疾患)、アレルギーの有無、そしてこれまでに使って合わなかった薬があれば、すべて医師に伝えてください。口頭だけでなくメモにまとめておくと伝え漏れを防げます。
家族歴も見落としがちなポイントです。甲状腺髄様がんや多発性内分泌腫瘍症2型の家族歴がある方は、チルゼパチドの使用に対して特別な注意が必要とされています。
現在服用中の薬やサプリメントのリストを作る
併用注意の薬は先述のとおり複数あります。処方薬だけでなく、市販薬やサプリメントも含めたリストを作成しておくと、薬の飲み合わせを確認するうえで役立ちます。
お薬手帳をお持ちの方は、受診時に必ず提示してください。電子お薬手帳を利用している場合はスマートフォンの画面を見せるだけで大丈夫です。
甲状腺疾患の家族歴がある方は必ず申告する
マンジャロを含むGLP-1受容体作動薬は、動物実験で甲状腺C細胞腫瘍との関連が指摘されています。人間でのリスクは確定していませんが、甲状腺髄様がんの既往や家族歴がある方には使用が推奨されていません。
受診前に親族の甲状腺疾患について確認しておくと、医師がより正確な判断を下しやすくなります。「分からない」場合でもそのまま伝えれば問題ありません。
| 確認項目 | 具体的にまとめておく内容 |
|---|---|
| 病歴 | 膵炎・胆石症・甲状腺疾患・糖尿病網膜症など |
| アレルギー歴 | 薬剤アレルギー・食物アレルギー・過敏症の経験 |
| 服用中の薬 | 処方薬・市販薬・サプリメントの名称と用量 |
| 家族歴 | 甲状腺髄様がん・多発性内分泌腫瘍症2型など |
| 妊娠の可能性 | 現在の妊娠有無・今後の妊娠希望 |
マンジャロの禁忌に該当しなかった方が安全に治療を始めるために

禁忌にも慎重投与にも当てはまらなかった方であっても、マンジャロの治療を安全に進めるにはいくつかのポイントを守る必要があります。副作用を減らし、効果を引き出すための基本を押さえておきましょう。
低用量からゆっくり始めることが副作用軽減のカギ
マンジャロは通常、2.5mgという低用量から投与をスタートし、4週間以上の間隔で段階的に増量していきます。いきなり高用量で始めると吐き気や下痢が強く出やすいため、焦らずゆっくり体を慣らしていくことが大切です。
- 初回投与量は2.5mg(4週間継続)
- 維持用量は5mgが基本
- 効果が不十分な場合は4週間以上の間隔で2.5mgずつ増量
- 上限は15mg(週1回投与)
投与中に体調の変化を感じたら自己判断で中止しない
マンジャロの投与中に気になる症状が出たとき、自己判断で薬をやめてしまう方がいます。しかし、持続性製剤であるマンジャロは中止後もしばらく効果が残るため、急な中断は血糖値の乱れにつながりかねません。
体調に異変を感じたら、まず主治医に連絡して指示を仰いでください。副作用の種類によっては投与量の調整だけで改善できる場合もあります。
定期的な検査で副作用の兆候を早期に発見する
マンジャロ投与中は、血糖値や体重だけでなく、膵酵素(アミラーゼ・リパーゼ)、腎機能(eGFR・クレアチニン)、肝機能(AST・ALT)などの数値を定期的にチェックすることが勧められています。
異常を早い段階でキャッチできれば、重篤な副作用に発展する前に対処が可能です。血液検査のスケジュールは主治医と相談して決めておきましょう。
よくある質問
- マンジャロは甲状腺の病気がある人でも使える?
-
甲状腺の病気の種類によって判断が分かれます。橋本病やバセドウ病など一般的な甲状腺疾患であれば、医師の管理のもとで投与が可能なケースもあります。
一方で、甲状腺髄様がんの既往がある方や、多発性内分泌腫瘍症2型の家族歴がある方は投与を避けるべきとされています。動物実験で甲状腺C細胞腫瘍のリスクが示唆されているためです。受診時に甲状腺の病歴を必ず医師へ伝えてください。
- マンジャロの投与中にアルコールを飲んでも大丈夫?
-
マンジャロの添付文書にアルコールとの明確な禁忌記載はありませんが、飲酒には注意が必要です。アルコールは血糖値を変動させる原因になりますし、空腹時の飲酒は低血糖リスクを高めるおそれがあります。
また、マンジャロの副作用である吐き気や消化器症状をアルコールが増幅させる可能性も否定できません。飲酒の量や頻度については、治療効果を妨げないよう主治医と相談して決めることをおすすめします。
- マンジャロとゼップバウンドは同時に使用できる?
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マンジャロとゼップバウンドは、どちらも有効成分がチルゼパチドです。同一成分の薬剤を重ねて使うと過量投与になり、重篤な副作用を引き起こす危険性があるため、併用は認められていません。
添付文書にも「他のチルゼパチド含有製剤と併用しないこと」と明記されています。もし別の医療機関で処方が重複しそうな場合は、必ず申告して二重投与を防いでください。
- マンジャロは胆石の既往がある人にも処方される?
-
胆石症や胆嚢炎の既往がある方にマンジャロを処方する場合は、通常よりも慎重な経過観察が行われます。急激な体重減少は胆石の形成を促進する要因となり、GLP-1受容体作動薬の臨床試験でも胆嚢関連の有害事象が報告されているためです。
禁忌には該当しないため処方自体は可能ですが、治療中に右上腹部の痛みや黄疸などの症状が出た場合は速やかに医師へ連絡する必要があります。定期的な腹部エコー検査も有効な予防策のひとつです。
- マンジャロの禁忌に該当した場合、他に使える肥満治療薬はある?
-
マンジャロが禁忌に該当した方でも、肥満治療の選択肢がなくなるわけではありません。GLP-1受容体作動薬の中にはセマグルチド(ウゴービなど)といった別の成分をもつ薬剤もあり、禁忌の内容が異なるため使用できる可能性があります。
薬物療法以外にも、食事療法や運動療法、認知行動療法などを組み合わせた包括的なアプローチが肥満症治療の基本です。主治医や管理栄養士と相談しながら、ご自身に合った治療法を見つけていきましょう。
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