マンジャロ(チルゼパチド)は肥満治療薬として注目されていますが、尿酸値や腎機能にどのような影響を及ぼすのか気になっている方は多いでしょう。
肥満と高尿酸血症は密接に関わり合っており、体重が増えるほど腎臓からの尿酸排泄が低下しやすくなります。臨床試験のデータによると、マンジャロは体重減少を通じて血清尿酸値を有意に低下させ、腎臓への負担軽減も期待できる薬剤です。
この記事では、マンジャロが尿酸や腎臓に与える影響を医学的根拠にもとづいてわかりやすく解説します。
マンジャロは尿酸値を下げてくれる?肥満と高尿酸血症が結びつく理由
マンジャロの投与により、72週時点で血清尿酸値は用量に応じて0.69〜0.95mg/dL低下し、その約73%は体重減少を介した効果であることが報告されています。肥満と高尿酸血症は切っても切れない関係にあり、体重管理が尿酸コントロールの鍵を握ります。
肥満の人はなぜ尿酸値が上がりやすいのか
体重が増えると体内のプリン体代謝が活発になり、尿酸の産生量が増加します。さらに内臓脂肪が蓄積すると、脂肪組織から遊離脂肪酸が肝臓に流れ込み、中性脂肪の合成に伴って尿酸産生も促進されます。
加えて、肥満に伴うインスリン抵抗性は腎臓の尿細管でのナトリウム再吸収を増やし、結果として尿酸の排泄を妨げてしまいます。BMIが5kg/m²上昇するごとに痛風リスクが約55%高まるという報告もあり、体重管理は尿酸対策に直結するといえるでしょう。
インスリン抵抗性が尿酸の排泄を妨げる
インスリン抵抗性が高まると、腎臓の近位尿細管でのナトリウム再吸収が亢進します。ナトリウムの再吸収と尿酸の再吸収は連動しているため、血液中にインスリンが過剰にある状態は尿酸を体内にため込みやすくしてしまうのです。
肥満のある方が血液検査で尿酸値の高値を指摘されるケースが多いのは、こうしたインスリン抵抗性が背景にあります。マンジャロはインスリン感受性を改善する作用も持つため、この悪循環を断ち切る力が期待されています。
肥満度(BMI)と高尿酸血症の関連
| BMI区分 | 高尿酸血症の発症リスク | 主な背景因子 |
|---|---|---|
| 普通体重 | 基準 | 通常の代謝 |
| 過体重 | 約3倍 | 軽度のインスリン抵抗性 |
| 肥満 | 約6倍 | 内臓脂肪蓄積・インスリン抵抗性 |
マンジャロの減量効果が尿酸に与えるプラスの影響
SURMOUNT-1試験の事後解析では、マンジャロ15mg群で72週後に体重が約20.9%減少し、血清尿酸値は0.95mg/dL低下しました。媒介分析によると、この尿酸低下の約72.7%は体重減少によって説明できるとされています。
つまり、マンジャロが大きな減量効果を発揮することが、そのまま尿酸値の改善につながっているわけです。ベースラインのBMIや尿酸値の高さにかかわらず効果が認められた点も心強い結果でしょう。
マンジャロが尿酸値を低下させる仕組みは体重減少だけではない
マンジャロの尿酸低下作用の約7割は体重減少で説明できますが、残りの約3割はそれ以外の経路が関与していると考えられています。GLP-1受容体を介した腎臓への直接的な作用が注目されています。
GLP-1受容体を介した腎臓での尿酸排泄促進
GLP-1受容体作動薬は、腎臓の近位尿細管にあるNa⁺/H⁺交換輸送体3型(NHE3)を抑制する働きを持ちます。NHE3の活動が抑えられると、尿中のpHが上昇し、尿酸が尿中に溶けやすくなります。
実際に、エキセナチドの点滴投与では尿酸の尿中排泄量が急速に増加したという臨床試験の結果があります。マンジャロはGLP-1受容体に加えてGIP受容体にも作用するため、さらなる効果が期待されるところです。
尿中pH上昇による尿酸の溶解度アップ
尿が酸性に傾くと尿酸は結晶化しやすくなり、尿路結石のリスクが高まります。GLP-1受容体作動薬によるNHE3阻害は尿中のpHを上昇させるため、尿酸が溶けた状態のまま排泄されやすくなるのです。
健康な過体重男性を対象とした研究では、尿中pH上昇と尿酸排泄量の増加に強い相関(r=0.86)が認められました。尿を適度にアルカリ性に保つことは、尿酸排泄を助ける大切なポイントといえます。
ナトリウム排泄と尿酸クリアランスの連動
GLP-1受容体作動薬はナトリウム利尿作用を持ち、腎臓からのナトリウム排泄を増加させます。ナトリウム排泄と尿酸排泄は近位尿細管で密接に関連しており、ナトリウムが多く排泄されるほど尿酸クリアランスも高まる傾向があります。
短期的なエキセナチド投与で確認されたこの作用は、マンジャロのようなGIP/GLP-1デュアルアゴニストでも同様に発揮されると推察されています。ただし、長期投与では血中尿酸値への影響が体重減少の効果に集約される可能性も指摘されており、今後の検証が待たれます。
GLP-1受容体作動薬と尿酸排泄に関わる腎臓内の経路
| 作用経路 | 効果 | 関連する変化 |
|---|---|---|
| NHE3阻害 | 尿中pH上昇 | 尿酸の溶解度が向上 |
| ナトリウム利尿 | ナトリウム排泄増加 | 尿酸クリアランス上昇 |
| 体重減少 | インスリン感受性改善 | 尿酸産生抑制・排泄促進 |
腎機能を守りたい方へ|マンジャロのアルブミン尿改善効果と腎臓保護
マンジャロは尿酸への影響だけでなく、アルブミン尿の減少やeGFR低下の抑制といった腎保護効果も臨床試験で示されています。肥満や2型糖尿病による腎機能悪化が心配な方にとって、前向きなデータといえるでしょう。
SURPASS-4試験で確認された腎保護のサイン
2型糖尿病で心血管リスクの高い患者を対象としたSURPASS-4試験では、マンジャロ群はインスリングラルギン群と比べてアルブミン尿が有意に減少しました。また、eGFR低下40%以上・腎死・腎不全進行・新規マクロアルブミン尿の複合エンドポイントのリスクも約41%低下しています。
アルブミン尿の改善はSGLT2阻害薬の併用有無にかかわらず認められており、マンジャロの腎保護作用は既存の治療に上乗せ効果をもたらす可能性があります。
eGFR低下を抑えるマンジャロの底力
SURPASS-4試験のシスタチンC測定に基づく解析でも、マンジャロはeGFR低下速度を年間約1.8mL/min/1.73m²抑制しました。体重減少による筋肉量低下がクレアチニン値に影響する心配がありますが、シスタチンCでも同様の腎保護効果が確認されたことで信頼性は高いといえます。
SURPASS-4試験における腎関連アウトカム
| 評価項目 | マンジャロ群 | インスリン群 |
|---|---|---|
| アルブミン尿の変化 | 約7%減少 | 約37%増加 |
| 複合腎エンドポイント(HR) | 0.59 | 基準 |
| eGFR低下抑制(年間差) | +2.2mL/min/1.73m² | 基準 |
肥満がある慢性腎臓病への応用が期待される理由
肥満は慢性腎臓病(CKD)の独立したリスク因子です。肥満に伴う糸球体過濾過や腎臓周囲の脂肪組織の炎症が、腎機能を徐々にむしばんでいきます。
マンジャロは体重減少・血圧改善・血糖管理・脂質改善など多面的な作用を持つため、CKDの原因となる複数の病態に同時にアプローチできます。現在、CKDを合併した肥満患者を対象としたTREASURE-CKD試験が進行中であり、その結果が待ち望まれています。
腎臓が弱っていてもマンジャロは安全に使えるのか
腎機能が低下している方でも、マンジャロの用量調節は基本的に不要とされています。ただし消化器症状による脱水には注意が必要であり、定期的な腎機能モニタリングが安全な使用の基盤になります。
腎機能低下時のマンジャロの薬物動態
マンジャロはペプチド製剤であり、腎臓ではアミノ酸骨格の分解によって代謝されます。放射性標識を用いた試験では、投与量の約66%が尿中に、約33%が糞中に排泄されました。
腎機能障害のある患者を対象とした薬物動態試験では、軽度から重度の腎機能障害でもマンジャロの血中濃度は健常者と同程度であったと報告されています。そのため、腎機能に応じた用量調節は原則として不要です。
脱水や消化器症状による急性腎障害に注意が必要
マンジャロの副作用として吐き気や下痢が比較的多く報告されています。これらの消化器症状が長引くと脱水を招き、まれに急性腎障害(AKI)につながるケースも否定できません。
十分な水分補給を心がけるとともに、嘔吐や下痢が続く場合は早めに主治医へ相談してください。特に高齢の方や利尿薬を服用中の方は、脱水リスクが高いため一層の注意が大切です。
定期的な腎機能チェックで安心して続けられる
マンジャロを使い始めたら、定期的に血液検査でクレアチニンやeGFR、尿酸値を確認しましょう。尿検査でアルブミン尿の有無を調べることも、腎臓の状態を早期に把握するために有効です。
異常が見つかった場合でも早めに対応すれば重症化を防げます。主治医と連携しながら安心して治療を継続していきましょう。
- 3か月ごとの血清クレアチニン・eGFR・尿酸値の測定
- 尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)の定期確認
- 消化器症状が強い時期は腎機能検査の頻度を増やす
- 利尿薬やNSAIDsとの併用時は特に注意を払う
尿酸値が気になる方がマンジャロを始める前に知っておきたい注意点
マンジャロは尿酸値の改善が期待できる薬剤ですが、急激な体重減少が一時的に痛風発作を誘発する場合があります。事前に正しい知識を持ち、主治医と対策を共有しておくことで、安心して治療に臨めます。
痛風発作が起きやすい時期と対策
急速に体重が落ちると、脂肪組織に蓄えられていた尿酸が一時的に血中へ放出されることがあります。これは尿酸の動員(mobilization)と呼ばれ、痛風の既往がある方では発作の引き金になりかねません。
マンジャロの開始後数か月は特に注意が必要な時期です。痛風発作の予防としてコルヒチンの少量投与が有効な場合もありますので、既往歴がある方は治療開始前に主治医と相談してください。
尿酸降下薬との併用は主治医に相談を
アロプリノールやフェブキソスタットなどの尿酸降下薬をすでに服用中の方は、マンジャロ開始後も自己判断でやめないようにしましょう。マンジャロの減量効果で尿酸値が改善しても、急な中止は痛風発作の再発を招くおそれがあります。
マンジャロと尿酸管理に関する治療開始時のポイント
| 確認事項 | 対応 | 備考 |
|---|---|---|
| 痛風の既往 | 発作予防薬を検討 | コルヒチン少量投与など |
| 尿酸降下薬の服用中 | 自己中止しない | 主治医の判断で減量を検討 |
| 腎機能の確認 | ベースラインの検査 | eGFR・UACRを記録 |
水分補給とプリン体制限で腎臓をいたわる生活習慣
マンジャロの効果を引き出すためには、薬だけに頼らず日常の食事や水分摂取にも目を向けることが大切です。1日2〜2.5リットルを目安に十分な水分をとり、尿酸の排泄を助けてあげましょう。
プリン体が多いレバーや干物、アルコール(特にビール)を控えることで腎臓への負担を減らせます。野菜や乳製品を意識して摂取することも、尿酸値の安定に役立ちます。
マンジャロと他のGLP-1受容体作動薬を尿酸値・腎機能の面で比較する
GLP-1受容体作動薬にはセマグルチドやリラグルチドなどがありますが、尿酸値や腎保護への効果は薬剤によって異なります。マンジャロはGIPとGLP-1の両方の受容体に作用するデュアルアゴニストであり、単剤のGLP-1受容体作動薬との違いを理解しておくと治療選択の参考になります。
セマグルチドやリラグルチドとの違い
17件の研究を対象としたメタ解析では、GLP-1受容体作動薬は投与前後で有意に血清尿酸値を低下させたものの、プラセボとの比較では統計的に有意差が出ませんでした。一方、マンジャロを用いたSURMOUNT-1試験ではプラセボに対して明確な尿酸低下が確認されています。
この差は主にマンジャロの体重減少効果の大きさに起因すると考えられます。体重を20%近く落とせる力は、従来のGLP-1受容体作動薬にはなかった強みです。
SGLT2阻害薬との尿酸低下作用の比較
SGLT2阻害薬は尿中のブドウ糖排泄を増やすことで、尿酸トランスポーターGLUT9を介して尿酸排泄を直接促進します。メタ解析によれば、SGLT2阻害薬はGLP-1受容体作動薬よりも血清尿酸値の低下幅が大きいと報告されています。
ただし、マンジャロはSGLT2阻害薬との併用でアルブミン尿をさらに改善させるデータがあり、両者の作用は補い合う関係にあります。肥満と糖尿病を併せ持つ方には、主治医と相談のうえで併用療法を検討する価値があるかもしれません。
肥満と2型糖尿病が併存するケースでの薬剤選択
肥満と2型糖尿病を同時に抱えている場合、血糖・体重・尿酸・腎機能のすべてに配慮した治療設計が求められます。マンジャロはこれらの指標に対して多面的に作用するため、複数の代謝異常が重なるケースで特に力を発揮するでしょう。
22件のランダム化比較試験を含むネットワークメタ解析では、SGLT2阻害薬のみが痛風リスクの有意な低下を示しましたが、GLP-1受容体作動薬もリスク低下の傾向を認めています。どの薬剤が自分に合っているかは、腎機能や尿酸値の状態を含めて主治医と一緒に判断していきましょう。
- マンジャロ:体重減少を介した尿酸低下に強み、GIP/GLP-1デュアル作用
- セマグルチド:心血管保護エビデンスが豊富、尿酸への影響は間接的
- SGLT2阻害薬:尿酸トランスポーターへの直接作用、痛風リスク低下が明確
よくある質問
- マンジャロを使うと尿酸値はどのくらい下がりますか?
-
SURMOUNT-1試験の事後解析によると、マンジャロ5mg・10mg・15mgの投与を72週間続けた結果、血清尿酸値はそれぞれ0.69mg/dL・0.92mg/dL・0.95mg/dL低下しました。プラセボ群の低下幅は0.18mg/dLでしたので、用量に応じた明確な差が認められています。
この尿酸低下効果は、ベースラインのBMIや尿酸値の高さにかかわらず一貫して確認されました。媒介分析によると、低下の約73%は体重減少によるものと推定されています。
- マンジャロは腎臓の機能を悪化させませんか?
-
複数の臨床試験データを統合した系統的レビューでは、マンジャロはeGFR(推算糸球体濾過量)に悪影響を及ぼさず、アルブミン尿を改善したと報告されています。腎臓に関する安全性プロファイルも良好であり、急性腎障害や尿路感染症のリスク増加は認められませんでした。
ただし、吐き気や下痢などの消化器症状による脱水が長引くと腎機能に負担がかかる場合があります。水分をしっかり補給し、体調の変化があれば速やかに受診することが大切です。
- マンジャロの服用中に痛風発作が起きることはありますか?
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マンジャロに限らず、急激な体重減少は脂肪組織に蓄積された尿酸を血中に放出させ、一時的に痛風発作を誘発する場合があります。特に痛風の既往がある方や高尿酸血症のある方は、治療開始後の数か月間は注意が必要です。
発作予防のためにコルヒチンの少量投与が検討されることもありますので、痛風の経験がある方はマンジャロ開始前に主治医に伝えておくようにしてください。
- マンジャロは腎臓の働きが低下している方でも使えますか?
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腎機能障害のある患者を対象とした薬物動態試験の結果、軽度から重度の腎機能低下があってもマンジャロの血中濃度に大きな変動はなく、用量調整は基本的に不要とされています。
ただし、腎機能が著しく低下している方や透析中の方については十分なデータが揃っていません。使用を検討する際は腎臓専門医と連携し、定期的にeGFRや尿検査を確認しながら進めることが安全です。
- マンジャロとSGLT2阻害薬ではどちらが尿酸値を下げる効果が大きいですか?
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メタ解析のデータによると、SGLT2阻害薬のほうがGLP-1受容体作動薬よりも血清尿酸値の低下幅が大きい傾向にあります。SGLT2阻害薬は尿中のブドウ糖排泄を通じて尿酸トランスポーターに直接作用するため、より強い尿酸排泄促進効果を発揮します。
一方、マンジャロは体重減少効果が非常に大きいため、総合的な代謝改善を通じた間接的な尿酸低下に優れています。SGLT2阻害薬との併用でアルブミン尿がさらに改善したという報告もあり、両剤を組み合わせることで腎臓へのメリットが高まる可能性があります。
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