肥満と腎臓病を同時に抱える方にとって、GLP-1受容体作動薬(GLP-1薬)は近年もっとも注目される治療選択肢の一つです。国際的な腎臓病ガイドラインであるKDIGOや、米国糖尿病学会(ADA)のガイドラインでも、GLP-1薬の腎保護効果に対する評価は年々高まっています。
この記事では、KDIGOとADAの両ガイドラインがGLP-1薬をどのように位置づけているのか、その根拠となった臨床試験のデータとともにわかりやすく解説します。肥満や糖尿病と腎臓病の関係に不安を感じている方は、ぜひ最後までお読みください。
KDIGOガイドライン2022はGLP-1薬を糖尿病性腎臓病の治療で推奨した

KDIGO(国際腎臓病ガイドライン機構)は2022年のガイドライン改訂で、2型糖尿病と慢性腎臓病(CKD)を合併する患者に対してGLP-1受容体作動薬の使用を推奨しました。血糖コントロールだけでなく、心臓や腎臓を守る効果も期待できるとして、治療の選択肢における優先度が引き上げられています。
KDIGOが2年でガイドラインを改訂した背景
通常、国際ガイドラインの更新には数年以上の期間を要します。しかしKDIGOは2020年版ガイドラインからわずか2年で改訂を行いました。それほど新しいエビデンスが急速に蓄積されたことを意味しています。
SGLT2阻害薬やGLP-1薬に関する大規模臨床試験の結果が次々と公表され、従来の血糖降下薬としての枠を超えた腎臓・心血管保護効果が明確になりました。こうした背景から、治療推奨の更新が急務と判断されたのです。
GLP-1薬は「血糖管理が不十分な場合の優先薬」に
KDIGO 2022ガイドラインでは、2型糖尿病とCKDを併せもつ患者の血糖管理について、メトホルミンとSGLT2阻害薬を第一選択と定めています。この2剤で血糖コントロールが十分でない場合、あるいはこれらが使用できない場合には、GLP-1薬が優先的に推奨される追加薬剤として明記されました。
特に心血管イベントのリスクが高い患者では、心血管保護効果が実証されたGLP-1薬の選択が望ましいとされています。単なる血糖降下薬ではなく、複合的なリスク軽減を担う薬剤として位置づけが変わりました。
KDIGO 2022ガイドラインにおけるGLP-1薬の推奨事項
| 推奨項目 | 内容 | 推奨度 |
|---|---|---|
| 追加薬剤の優先順位 | メトホルミン・SGLT2阻害薬で不十分な場合、GLP-1薬を優先 | Practice Point 4.3 |
| 心血管保護 | 心血管ベネフィットが証明されたGLP-1薬を選択 | Practice Point 4.3.1 |
| 体重管理 | 肥満・2型糖尿病・CKD合併患者の減量にGLP-1薬を優先使用可 | Practice Point 4.2.5 |
| 消化器系副作用への配慮 | 低用量から開始し、ゆっくり増量 | Practice Point 4.3.2 |
肥満を合併するCKD患者への体重管理としてGLP-1薬を優先使用できる
注目すべきは、Practice Point 4.2.5として追加された「肥満を合併する2型糖尿病・CKD患者に対し、意図的な体重減少を目的としてGLP-1薬を優先的に使用してよい」という記載です。腎臓病領域のガイドラインで体重管理を目的としたGLP-1薬の使用が明文化されたのは画期的といえます。
肥満はCKDの進行を加速させる独立した危険因子です。腎移植を目指す患者がBMIの基準を満たすために減量が求められるケースもあり、GLP-1薬はそうした場面でも有力な選択肢となりえます。
ADA(米国糖尿病学会)はGLP-1薬の腎臓保護効果をどう評価しているか

ADA(American Diabetes Association)は毎年「Standards of Care in Diabetes」を更新しており、GLP-1薬の推奨範囲を段階的に拡大しています。2025年版では、腎臓病合併患者へのGLP-1薬処方がより明確に推奨されるようになりました。
ADAガイドラインにおけるGLP-1薬の位置づけは年々強化されている
ADAのガイドラインは、2型糖尿病患者の薬物療法を「血糖管理」と「心腎リスク軽減」の2軸で構成しています。GLP-1薬はその両方に効果を発揮する薬剤として、SGLT2阻害薬と並ぶ重要な選択肢に位置づけられています。
2025年のアップデートでは、CKD合併患者に対するGLP-1薬の使用推奨が一段と強化され、心血管イベントリスクの低減と腎機能保護の両面から処方を検討するよう明記されました。
KDIGOとADAは協調してガイドラインを作成している
KDIGOとADAは独立した組織ですが、糖尿病性腎臓病に関しては共同でコンセンサスレポートを発表するなど、連携して治療指針を示しています。両ガイドラインの方向性はおおむね一致しており、GLP-1薬を含む薬物療法の推奨内容にも大きな食い違いはありません。
両者に共通するのは、「血糖値だけでなく腎臓と心臓のアウトカムを改善する薬剤を優先すべき」という考え方です。この方針転換は、肥満を持つCKD患者さんにとって治療の幅を広げるものといえるでしょう。
ADA 2025ガイドラインでは心不全合併例にもGLP-1薬を推奨
ADA 2025ガイドラインのもう一つの注目点として、肥満と2型糖尿病を合併した心不全(特に駆出率が保たれた心不全=HFpEF)の患者に対して、GLP-1薬の使用が推奨されるようになりました。心不全は腎機能低下と密接に関連する病態であり、腎臓病を抱える患者にとっても見逃せない変化です。
| 項目 | KDIGO 2022 | ADA 2025 |
|---|---|---|
| GLP-1薬の位置づけ | 追加薬の優先候補 | 心腎リスク軽減の柱 |
| 肥満CKD患者への使用 | 体重管理目的で優先使用可 | 腎保護と体重管理を両立 |
| 心不全合併例 | 明確な記載なし | HFpEF合併例に推奨 |
FLOW試験がGLP-1薬の腎臓保護を証明した|セマグルチドの画期的データ

2024年に結果が公表されたFLOW試験は、GLP-1薬であるセマグルチドが慢性腎臓病の進行を有意に抑制した初の大規模臨床試験です。腎臓を主要評価項目とした試験でGLP-1薬の有効性が示されたことは、KDIGOやADAのガイドラインにも大きな影響を与えています。
FLOW試験の概要と対象患者
FLOW試験(Evaluate Renal Function with Semaglutide Once Weekly)は、2型糖尿病とアルブミン尿を伴うCKDを持つ3,533名を対象とした国際共同試験です。週1回のセマグルチド1.0mg皮下注射を、プラセボと比較して中央値3.4年にわたり追跡しました。
対象はeGFR(推算糸球体濾過量)が25〜75 mL/min/1.73m²の中等度から高度の腎機能低下を有する患者で、全員がレニン・アンジオテンシン系阻害薬による治療を受けていました。
主要評価項目で24%のリスク低減を達成
FLOW試験の主要評価項目は「腎不全の発症」「eGFRの50%以上低下」「腎臓関連死または心血管死」を組み合わせた複合エンドポイントです。セマグルチド群はプラセボ群に比べてこの複合エンドポイントのリスクを24%低減しました(ハザード比0.76、95%信頼区間0.66〜0.88)。
さらに、心血管死のリスクは29%低下(ハザード比0.71)、全死亡のリスクも20%低下(ハザード比0.80)と、腎臓以外のアウトカムでも優れた成績を示しています。
FLOW試験の主な結果
| 評価項目 | ハザード比 | 95%信頼区間 |
|---|---|---|
| 主要複合エンドポイント | 0.76 | 0.66〜0.88 |
| 腎臓関連の複合エンドポイント | 0.79 | 0.66〜0.94 |
| 心血管死 | 0.71 | 0.56〜0.89 |
| 主要心血管イベント | 0.82 | 0.68〜0.98 |
| 全死亡 | 0.80 | 0.67〜0.95 |
eGFRの低下速度も年間1.16 mL/min/1.73m²分の抑制効果
CKDの進行を評価するうえで重要な「年間eGFR低下速度」についても、セマグルチド群はプラセボ群と比べて年間1.16 mL/min/1.73m²ぶん穏やかな推移を示しました。腎機能の悪化を緩やかにするこの効果は、長期的にみれば透析導入の時期を遅らせる可能性を示唆するものです。
FLOW試験は当初の予定より早期に終了しました。中間解析で有効性の基準を満たしたため、倫理的観点からプラセボ群へのセマグルチド提供を速やかに進める判断がなされたのです。
SELECT試験でわかった|糖尿病がなくてもGLP-1薬は腎臓を守れるのか

SELECT試験の解析結果から、セマグルチドは糖尿病がない肥満・心血管疾患合併患者においても腎臓への保護効果を示しました。この知見は、GLP-1薬の腎保護作用が血糖降下とは独立したものである可能性を強く裏づけています。
SELECT試験の概要と腎臓関連の二次解析
SELECT試験は、2型糖尿病を持たないBMI 27以上の過体重・肥満で心血管疾患を合併した約17,600名を対象にした大規模試験です。主要評価項目は心血管イベントでしたが、腎アウトカムについても事前に設定された二次解析が行われました。
セマグルチド2.4mgの週1回投与により、5つの腎複合エンドポイント(腎死亡、慢性腎代替療法の開始、持続的なeGFR 15未満、eGFRの50%以上低下、持続的なマクロアルブミン尿の発症)のリスクが22%低下しました(ハザード比0.78)。
eGFRが低い集団ほど大きな恩恵を受けた
SELECT試験で特に興味深いのは、ベースラインのeGFRが60未満の患者サブグループにおいて、eGFRの改善幅がより顕著だった点です。104週時点でのeGFRの差は、全体集団では0.75 mL/min/1.73m²でしたが、eGFR 60未満の患者では2.19 mL/min/1.73m²と約3倍の効果が認められています。
腎機能がすでに低下している方ほど効果が大きいという結果は、臨床的に非常に心強いデータです。
GLP-1薬の腎保護は血糖コントロールだけでは説明できない
SELECT試験の対象者は糖尿病を持たない患者です。それにもかかわらず腎保護効果が確認されたことは、GLP-1薬による腎臓への恩恵が血糖降下作用だけに依存するものではないことを示唆しています。体重減少、血圧低下、抗炎症作用、ナトリウム利尿作用など、複数の経路が関与している可能性が考えられています。
| 比較項目 | FLOW試験 | SELECT試験 |
|---|---|---|
| 対象疾患 | 2型糖尿病+CKD | 肥満+心血管疾患(糖尿病なし) |
| 使用量 | セマグルチド1.0mg/週 | セマグルチド2.4mg/週 |
| 腎複合エンドポイント | 24%リスク低減 | 22%リスク低減 |
| eGFR低下抑制 | 年間1.16 mL/min差 | 104週で0.75 mL/min差 |
KDIGO 2024ガイドラインはCKD全般にGLP-1薬の研究推進を呼びかけた

2024年に発表されたKDIGO CKDガイドラインは、2012年版以来12年ぶりの大規模改訂です。GLP-1薬はSGLT2阻害薬やMRA(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)とともに、CKD治療の新たな選択肢として言及されています。
2012年以来の大改訂でGLP-1薬に光が当たった
KDIGO 2024 CKDガイドラインは、CKDの評価・管理に関する包括的な指針を提供しています。2012年版の発表以降に蓄積された膨大なエビデンスを反映し、SGLT2阻害薬の推奨拡大、GLP-1薬や非ステロイド型MRAの登場など、治療選択肢が大きく広がりました。
GLP-1薬については「2型糖尿病とCKDを合併する患者において腎臓・心血管保護効果が示されている」と紹介されており、KDIGOの糖尿病管理ガイドライン(2022年版)を参照するよう記載されています。
糖尿病のない肥満CKD患者を対象とした臨床試験の必要性を提起
KDIGO 2024ガイドラインで特筆すべきは、2型糖尿病を持たない過体重・肥満のCKD患者に対するGLP-1薬の効果を検証するための臨床試験を推進すべきだと明記した点です。現行のエビデンスの多くが2型糖尿病合併例を対象としているため、非糖尿病の肥満CKD患者にもGLP-1薬が有効かどうかは今後の研究に委ねられています。
- SGLT2阻害薬はCKD全般(糖尿病の有無を問わず)に推奨
- GLP-1薬は2型糖尿病合併CKDで腎臓・心血管保護効果あり
- 非糖尿病CKD患者でのGLP-1薬のエビデンスは今後の課題
肥満とCKDの「悪循環」にGLP-1薬で介入する時代がやってきた
肥満は高血圧、糖尿病、脂質異常症を介してCKDの発症・進行リスクを高めます。さらに、CKDそのものが活動量の低下や代謝異常を通じて肥満を悪化させるという悪循環が知られています。GLP-1薬はこの悪循環の複数の経路に同時に介入できる数少ない薬剤です。
体重減少、血糖改善、血圧低下、アルブミン尿の減少、eGFR低下速度の抑制など、多面的な効果が臨床試験で繰り返し確認されています。こうしたデータの蓄積が、国際ガイドラインにおけるGLP-1薬の評価を押し上げてきました。
GLP-1薬を腎臓病患者に使うときに注意すべきこと

GLP-1薬は多くのメリットを持つ一方で、腎機能が低下した患者に処方する際にはいくつかの注意点があります。KDIGOとADAのガイドラインでも、安全に使用するための実践的な指針が示されています。
消化器系の副作用は低用量から徐々に増量して軽減できる
GLP-1薬でもっとも多い副作用は、吐き気、嘔吐、下痢などの消化器症状です。KDIGO 2022ガイドラインのPractice Point 4.3.2でも、「低用量から開始し、ゆっくりと増量すること」が推奨されています。急激な増量を避ければ、多くの場合これらの症状は時間とともに軽減していきます。
ただし、CKD患者では食欲低下による栄養不良のリスクに注意が必要です。eGFRが30 mL/min/1.73m²を下回る進行したCKDでは、食事量の減少が筋肉の衰え(サルコペニア)を招く恐れがあるため、栄養状態のモニタリングを怠らないようにしましょう。
eGFRの値に応じた用量調整はガイドラインで明示されている
GLP-1薬は主に腎排泄ではないため、多くの製剤でeGFRに基づく厳密な用量調節は不要とされています。しかし、製剤ごとに承認条件は異なります。たとえばエキセナチドは腎機能が高度に低下した患者では推奨されていません。
一方、セマグルチドやデュラグルチドはeGFR 15以上であれば用量調節なしで使用可能とされるケースが多く、臨床試験でもeGFR 25以上の患者で有効性と安全性が確認されています。主治医と相談しながら、自分の腎機能に合った製剤を選ぶことが大切です。
DPP-4阻害薬との併用は避ける
GLP-1薬とDPP-4阻害薬(シタグリプチンやリナグリプチンなど)はいずれもインクレチン系に作用する薬剤です。KDIGO 2022ガイドラインのPractice Point 4.3.3では、両者の併用は推奨されないと明記されています。効果の上乗せが期待しにくい一方、副作用のリスクが増す可能性があるためです。
GLP-1薬処方時に確認すべきポイント
- 消化器症状を防ぐため、低用量で開始しゆっくり増量する
- 進行CKDでは食事摂取量と体組成を定期的に監視する
- 製剤ごとにeGFR下限値が異なるため添付文書を必ず確認する
- DPP-4阻害薬とGLP-1薬は併用しない
- GLP-1薬単独では低血糖リスクは低いが、SU薬やインスリン併用時は注意する
GLP-1薬は「CKD治療の第4の柱」になれるか|SGLT2阻害薬やMRAとの違い

腎臓病の進行を抑える薬剤として、RAS阻害薬、SGLT2阻害薬、非ステロイド型MRA(フィネレノン)に次ぐ「第4の柱」としてGLP-1薬を位置づける議論が腎臓病の専門家の間で活発に行われています。
CKD治療に使われる主な薬剤クラスとGLP-1薬の立ち位置
CKDの薬物療法は長年、レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬のみに頼る時代が続いていました。しかし近年はSGLT2阻害薬が腎保護のエビデンスを積み重ね、糖尿病の有無を問わずCKDへの使用が推奨されるようになっています。
CKD治療における薬剤クラスの比較
| 薬剤クラス | 主な腎保護作用 | 糖尿病不問の推奨 |
|---|---|---|
| RAS阻害薬 | アルブミン尿の減少、糸球体内圧の低下 | あり(アルブミン尿合併時) |
| SGLT2阻害薬 | eGFR低下速度の抑制、心不全リスク低減 | あり |
| 非ステロイド型MRA | アルブミン尿の減少、心血管リスク低減 | 2型糖尿病+CKD |
| GLP-1薬 | eGFR低下速度の抑制、体重減少、心血管保護 | エビデンス蓄積中 |
GLP-1薬とSGLT2阻害薬の併用は今後の研究テーマ
FLOW試験の参加者のうちSGLT2阻害薬を併用していた患者は約15%にとどまります。両剤の併用による腎保護効果の上乗せがあるかどうかは、今後の臨床研究で解明が待たれる領域です。
2024年に発表されたメタ解析では、GLP-1薬の腎臓・心血管保護効果はSGLT2阻害薬の使用の有無にかかわらず一貫していたと報告されています。これは両剤が異なる経路で腎臓を守っている可能性を示唆するものであり、将来的には併用療法が標準治療に組み込まれるかもしれません。
肥満を抱えるCKD患者にはGLP-1薬ならではの強みがある
SGLT2阻害薬やMRAにはない、GLP-1薬特有のメリットは「大幅な体重減少効果」です。肥満が腎臓病の進行因子であることを考えると、体重を10〜15%減らす力を持つGLP-1薬は、単に血糖や血圧を改善するだけでなく、根本的なリスク因子に対処できる薬剤です。
腎移植を希望していてもBMIの基準を超えているために待機リストに入れない患者にとって、GLP-1薬による減量は移植へのアクセスを開く手段にもなりえます。KDIGOがこの点を強調しているのは非常に意義深いことです。
よくある質問
- KDIGOガイドラインではGLP-1受容体作動薬をどのような患者に推奨していますか?
-
KDIGO 2022ガイドラインでは、2型糖尿病と慢性腎臓病を合併する患者が、メトホルミンとSGLT2阻害薬で十分な血糖コントロールが得られない場合、またはこれらの薬剤が使用できない場合に、GLP-1受容体作動薬を優先的に追加する薬剤として推奨しています。
さらに、肥満を合併している場合には体重管理を目的としたGLP-1薬の優先使用も認められています。心血管保護効果が証明された製剤を選択することも推奨されており、血糖管理にとどまらない多面的なベネフィットが期待されています。
- GLP-1受容体作動薬のFLOW試験ではどのような腎保護効果が確認されましたか?
-
FLOW試験では、セマグルチド1.0mgの週1回投与により、腎不全の発症やeGFRの50%以上低下、腎臓・心血管関連死を含む主要複合エンドポイントのリスクが24%低下しました。年間のeGFR低下速度もプラセボ群と比較して1.16 mL/min/1.73m²分だけ緩やかでした。
加えて、心血管死のリスクは29%低下、全死亡のリスクも20%低下しています。試験は中間解析で有効性が確認されたため、当初の予定より早期に終了しました。
- ADA(米国糖尿病学会)はGLP-1受容体作動薬の腎臓保護効果をどう評価していますか?
-
ADAは毎年更新する「Standards of Care in Diabetes」において、GLP-1受容体作動薬を2型糖尿病とCKDを合併する患者の心腎リスク軽減に有効な薬剤として推奨しています。2025年版では腎保護を目的としたGLP-1薬の処方がより明確に推奨されました。
ADAの方針はKDIGOのガイドラインとも整合性が取れており、両団体は糖尿病性腎臓病の治療方針について連携してコンセンサスを形成しています。
- GLP-1受容体作動薬を腎機能が低下した患者に使用する場合、どのような点に注意が必要ですか?
-
GLP-1受容体作動薬は、吐き気や下痢などの消化器症状がもっとも多い副作用です。KDIGOガイドラインでは低用量から開始して徐々に増量することが推奨されています。特に進行したCKD(eGFR 30未満)では、食欲低下に伴う栄養不良や筋肉量の減少に注意が必要です。
製剤ごとに腎機能に応じた使用基準が異なるため、主治医と相談のうえで適切な薬剤を選択してください。また、DPP-4阻害薬との併用は推奨されていません。
- GLP-1受容体作動薬は糖尿病がなくても腎臓を保護できますか?
-
SELECT試験の二次解析において、2型糖尿病を持たない肥満・心血管疾患合併患者でも、セマグルチドは腎複合エンドポイントのリスクを22%低下させました。この結果は、GLP-1薬の腎保護効果が血糖降下作用だけでは説明できないことを示しています。
ただし、現時点では糖尿病のないCKD患者に対するGLP-1薬の使用は、ガイドライン上の正式な推奨には至っていません。KDIGO 2024ガイドラインでは、この分野での臨床試験の推進が必要だと提言されています。
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