乾燥肌とは?どんな人がなりやすい?セルフケアのやり方も紹介

藤井あさ美

こんにちは。皮膚科専門医の藤井あさ美(医学博士)です。

乾燥肌(ドライスキン)とは、医学的には乾皮症(かんぴしょう)あるいは皮脂欠乏症(ひしけつぼうしょう)といい、皮膚の角層と呼ばれる一番外側の層の水分量が低下して、皮膚が乾燥した状態です。

加齢や空気の乾燥、摩擦などの刺激、紫外線の影響、洗いすぎなど、いろいろな要因によって起こります。乾皮症が進行して、湿疹病変を伴うようになると皮脂欠乏性湿疹に。

乾皮症では、皮膚のかさつきやつっぱり感、かゆみや粉が吹くといった症状がみられます。

乾皮症、皮脂欠乏性湿疹の原因、どんな人がなりやすい?

皮膚の一番外側にある角層(角質層)には、体内の水分を保持し、外からの有害物質の侵入を防ぐバリアとしての機能があります。このバリア機能が低下すると、水分が外に逃げやすくなるのです。

角層では、主に3つの要素で乾燥を防いでいます。

  • 天然保湿因子
    角質細胞の内部に水分をたっぷり補給する役割を持ち、肌のうるおいに重要です。アミノ酸や尿素などが代表的。
  • 細胞間脂質
    細胞間脂質のセラミドは、水分保持作用が高く、角質細胞の間を受けてうるおいを保ちす。
  • 皮脂
    皮膚の表面は皮脂の膜で覆われており、乾燥を防ぎます。皮脂類似成分にはスクワランなどが。
角質層
引用元:持田ヘルスケア株式会社

これらの要素は、個人差はありますが、加齢とともに減少していきます。加齢変化に加え、空気の乾燥や衣類などによる摩擦や刺激、紫外線によるダメージが加わると皮膚の乾燥が進行。

また、皮膚の洗いすぎや熱いお湯での長時間の入浴、不規則な生活や心身のストレスも皮膚の乾燥を悪化させます。

生後5~6か月頃から思春期前の子供は、皮脂の分泌が少なく乾燥しがちです。また、女性は30代後半から皮脂の分泌が減少し、乾燥しやすくなります。高齢者では皮脂も発汗量も減少し、皮膚も薄くなるためさらに乾燥しやすく。

また、アトピー性皮膚炎の人や遺伝的にバリア機能に異常がみられる病気である魚鱗癬(ぎょりんせん)の人、糖尿病や肝硬変、慢性腎不全などの疾患がある人も皮膚が乾燥しやすいです。

さらに、がん治療で使用される分子標的薬(EGFR阻害薬:アービタックス®など)も副作用として皮膚の乾燥が。

分子標的薬の使用は今後も増えていくと思われ、分子標的薬の皮膚障害は症状も強く、難治であるため、治療早期から皮膚科専門医の介入が求められています(病院勤務医医時代はどんどん新しい薬が開発されるので、勉強してついていくのが大変でした)。

乾燥肌の仕組み
引用元:ロート製薬

乾皮症、皮脂欠乏性湿疹の症状

乾皮症では洗顔後や入浴後に皮膚のつっぱり感やかさつきが現れ、白く粉が吹いたようになることも。皮脂欠乏性湿疹では、皮膚の粗造化(そぞうか:ごわつき)が起きたり、赤くひび割れたりします。

乾燥によって皮膚のバリア機能が低下するため、刺激物質が入り込みやすくなり、かゆみが。

特に乾燥しやすいのは、もともと皮脂の分泌が少ない下腿(すね)です。高齢者では上背部や腰まわりにもよくみられます。膝、肘、手の甲、角層の厚いかかとなどでもみられ、顔では頬や目の周り、口の周り、くちびるなどにも。

EGFR阻害薬による皮膚乾燥
引用元:maruho

乾皮症、皮脂欠乏性湿疹の治療

乾皮症の治療の基本は保湿と生活指導です。家庭でできる対策については次の項で詳しく説明します。

乾皮症では、軽症のうちから保湿剤をしっかり使用して症状の悪化を防ぐとともに、生活改善を行い早期に症状を改善させることが重要です。

症状が悪化して湿疹病変を形成するようになった場合は、ステロイド外用剤で皮膚炎を抑え、かゆみが強く、掻破(皮膚を掻き壊す)する場合は抗ヒスタミン薬の内服を行います。

乾燥肌の治療法
引用元:maruho

自分でできる対策方法

皮膚の乾燥を防ぐためには日頃から適切なスキンケアを行うことがとても大切です。アトピー性皮膚炎や魚鱗癬などの疾患ではスキンケアも治療の大きな柱となります。

また、老人性乾皮症は誰にでも起こりるものであり、秋から冬にかけての空気の乾燥する季節では若い人でも皮膚が乾燥し、場合によっては乾皮症、皮脂欠乏性湿疹に進行。

さらに最近の研究では、赤ちゃんの時期から1日2回、保湿剤を使用するスキンケアを行った場合、行わない子に比べてアトピー性皮膚炎の発症頻度が下がることがわかっています。保湿剤を使ったスキンケアは、アトピー性皮膚炎発症予防に有用です。

洗う

皮膚についた汚れや化粧などをしっかりと洗い流すこともスキンケアでは重要です。石鹸やボディーシャンプーなどの洗浄料は自分の肌にあった低刺激性のものを使うようにしましょう。

コラージュD石鹸
引用元:持田製薬



石鹸などの洗浄成分が皮膚に残っていると、かゆみなどの原因になってしまうためすすぎはしっかり行うこと、すすぎ落ちがよい石鹸を選ぶことも大切です。

湯船にゆっくりつかると、血行がよくなり、リラックス効果がありますが、お湯の温度は38~40度くらいのぬるめにし、つかる時間も10分程度にとどめておくのがよいでしょう。

からだを温めすぎると、かえってかゆみが強くなることもあるためです。体を洗うときはナイロンタオルなどでゴシゴシ擦らず、石鹸の泡でやさしく皮膚をなでるように洗いましょう。

洗いすぎは皮膚の表面を守る皮脂を過剰に除去してしまうため、注意してください。

保湿系入浴剤を使用すると、湯舟につかるだけで全身の皮膚に被膜が作られ、入浴後の乾燥を防ぐことができます。背中など自分では保湿剤を塗るのが難しい場所のケアや、保湿剤を塗るのを嫌がるお子さんにもよいでしょう。

低刺激性の石鹸だと、持田製薬のコラージュD石鹸やNOVのフォーミングソープDがお勧めです。これらはドラッグストアなどで購入可能で、私も自分のクリニックでは患者さんにサンプルをお渡ししてお勧めしています。

NOVフォーミングソープD
引用元:常磐薬品

保湿系入浴剤では、持田製薬のコラージュDメディパワー薬用保湿入浴剤や、花王のビオレuうるおいバスミルク、花王のキュレル入浴剤などがお勧めです。

補う

化粧水や保湿クリーム、保湿剤は自分の肌に合うものを選び、十分な量を正しく使いましょう。入浴後のまだ角層に水分が残っているうちに保湿剤を塗るのがよいでしょう。

水分を含んで柔らかくなった皮膚は、浸透・吸収力が高まっているので、保湿剤を塗るにはベストなタイミングです。

保湿剤にもさまざまな種類がありますが、刺激のある成分が入っているものは避けるようにしましょう。入浴後に使用するのであれば、被膜を作って水分の蒸発を防ぐ油性基剤のものがお勧めです。

また、ヘパリン類似物質など、皮膚のバリア機能改善に効果のある成分を配合しているものもよいでしょう。

医療機関で処方される代表的な保湿剤であるヒルドイドソフト軟膏®他ヒルドイド®シリーズにはこのはヘパリン類似物質が含まれています。また、最近では類似のものがドラッグストアなどで購入できます。

素敵な香りにはリラックス効果があり、人によってはメリットがありますが香料の中にはアレルギーの原因となるものも含まれるため、化粧品などでかぶれやすい人は無香料のものを選ぶほうがよいかもしれません。

保湿剤を塗る量の目安は、『クリームで肌がテカテカする程度』や『ティッシュが1枚貼り付く程度』とされています。みなさんが思っているよりも気持ち多めです。

もし、すでに皮膚炎があってステロイド外用剤をもらっている場合は入浴後のスキンケアの際に一緒に外用剤を塗るようにしてください。

私自身は、先に保湿剤を全体に塗ってから、皮膚炎がある部位にステロイド外用剤を塗るように指導していすが、逆の指導をする先生もいるようです。どちらがいいかはまだ議論が分かれています。

<保湿剤のタイプ>

保湿剤には大きく分けて2種類あります。

  • モイスチャライザー
    水分を保持する目的で使われます。例:ヘパリン類似物質、10%尿素(ウレパール®)
  • エモリエント
    皮膚から水分を蒸散させない油性の成分です。例:ワセリン
モイスチャライザー 直接的に角層水分増加作用をもたらす

ヒューメクタントと水で直接角層に水分を供給するため即効性がある

閉塞剤も含む製剤は間接的作用もあるため保湿効果がより持続する

ヘパリン類似物質、尿素、グリセリン、ヒアルロンなどを含む製剤

エモリエント 間接的に角層水分増加作用をもたらす

皮膚の表面を覆って水分の蒸散を抑制する油脂性成分(閉塞剤、密封剤)を含む製剤

塗布直後の直接の角層の水分増加効果はないが、油脂成分の下で徐々に水分貯留が起こり、角質水分量が増加して保湿作用をもたらす。

ワセリン(白色ワセリン、プロペトなど)、ミネラルオイル、オリーブ油など

ここでは、皮膚科でよく処方されるヒルドイド®シリーズについて説明します。

処方薬 タイプ 使用感・対象者
ヒルドイド軟膏

油中水型(油脂の中に水の粒子を混濁させたもの)のクリーム

保湿力が高く、刺激が少ない

水に流されにくい

乾燥が強い場合や、小さなお子さんなどもともと角質水分量の少ない方に使用
ヒルドイドクリーム

水中油型(水の中に油脂の粒子を混濁させたもの)のクリーム

軟膏とローションの間の位置づけ

軟膏よりも皮膚の浸透性が高い

水で流されやすい

アトピー性皮膚炎や痒疹など発汗障(汗をかきにくい)に効果

軟膏ではべたつくけれど、ローションでは乾燥する、という方によいです。

アトピー性皮膚炎などで発汗障害のある人には一番お勧め

ヒルドイドローション

水中油型(水の中に油脂の粒子を混濁させたもの)のローション

さらっとした使い心地で、広い範囲に塗るのに最適

皮膚浸透性が高いので、皮膚炎があるときは刺激を感じる場合が

ヒルドイドクリーム同様、水中油型なので水で流されやすい

べたつきが苦手な方や、夏場など乾燥がそこまでひどくないときに

広い範囲に使用したいときに

ヒルドイドフォーム

ヒルドイドローションよりもさらに水分の割合が多く、軽い付け心地

べたつかず、ローションよりさらに簡単に広い範囲に塗りひろげることが

べたつきがとにかく苦手な方にお勧め

ただし、保湿効果はヒルドイドソフト軟膏などよりも劣る

ジェネリック医薬品も多種発売されており、それらも基本的に効能は同じです

また、ドラッグストアなどで購入できる保湿剤もいくつかご紹介します。ただし、肌に合わない場合は、使用を中止してください。

<花王ニベアソフトスキンケアクリーム>

植物性天然保湿成分「ホホバオイル」配合

<ノブスキンクリームD>

ワセリン、スクワラン、ヒアルロン酸Na配合

<ニュートロジーナディープモイスチャーボディーローション>

グリセリン配合

<マツキヨヒルメナイド油性クリーム>

ヘパリン類似物質配合

守る

空気が乾燥していると、皮膚の水分も奪われやすくなるため、湿度の低い冬は室内を加湿するようにしましょう。加湿器を使用する以外にも、洗濯物を部屋干しする、入浴後に浴室の扉を開けておくなどの工夫も効果的です。

夏でも冷房を使用すると空気が乾燥することがあるので注意しましょう。また、外出時は季節にかかわらずサンスクリーン(日焼け止め)を使用し、紫外線によるダメージから皮膚を守ることも大切です。

睡眠不足や過度なダイエットは皮膚のターンオーバーの乱れにつながります。

皮膚によいとされる栄養素はたんぱく質、ビタミン類(B、C、A、Eなど)、ミネラル(亜鉛、セレン)などがありますが、特定の食品を積極的に摂取するよりも、バランスの取れた食事をとることが大切です。

乾皮症、皮脂欠乏性湿疹でしてはいけないこと

皮膚を清潔に保つのは非常に大切ですが、タオルなどでゴシゴシこするといった入浴習慣は、皮脂を取りすぎてしまったり、角質に傷をつけるなどして皮膚のバリア機能低下を引き起こします。

皮膚に直接触れる肌着には、綿などの通気性がよく、刺激の少ないものを選ぶようにしましょう。化学繊維やウールなどの衣類は、線維そのものの刺激が乾燥した皮膚にはかゆみを引き起こすことになります。

また、こういった衣類は静電気を起こしやすく、静電気には空気中のほこりや花粉などを集める働きもあるので、それが皮膚の刺激につながることも。

冬場の電気毛布の使用は皮膚の乾燥を悪化させます。極力使用しないようにし、どうしても使用したい場合は、あらかじめ電気毛布で布団を温めておいて、就寝時には電源を切る、あるいは低い温度にするようにしましょう。

まとめ

カサカサしてかゆみを伴う乾皮症は空気が乾燥する冬場だけでなく、夏でも冷房などの影響で患者さんは増えています。

単なる乾燥と放置していると、さまざまな皮膚トラブルを引き起こす可能性があります。皮膚の保湿ケアは普段からの習慣にすることをおすすめします。

もともと皮膚が乾燥しやすいお子さんや高齢者の方は特に心がけるようにしましょう。

参考文献:

①マルホ皮膚科セミナー

2019年1月10日放送

第117回日本皮膚科学会総会 教育講演40

『外用療法を知り、皮膚科外用療法の達人を目指す 保湿剤・保護剤』

東北大学 菊池 克子先生

http://medical.radionikkei.jp/maruho_hifuka/maruho_hifuka_pdf/maruho_hifuka-190110.pdf

②皮膚科Q and A  アトピー性皮膚炎 日本皮膚科学会HP