アテロームとは?症状・特徴・原因や治療方法を紹介

アテロームとは

アテローム(粉瘤:ふんりゅう、アテローマと呼ぶこともあります)は、皮膚の下に嚢腫(のうしゅ:袋)ができる病気です。中年男性に多くみられ、女性の約2倍多いとされています。足底にできるものは、20歳代の若者に多いのが特徴です。

皮膚は常に基底層(きていそう)から新しい細胞が産生され、表面の古い細胞は押し上げられ、最終的に角化(かくか)して角質(かくしつ:垢のこと)となってはがれます。

アテロームでできる袋の壁は皮膚と同じような構造をしているため、袋の中に角質(垢)や皮脂がたまっていき、はじめは小さな袋であっても時間とともに少しずつ大きくなっていくのです。

顔や首、背中、耳の後ろなどにできやすく、見た目は少し盛り上がったドーム状の腫瘤(しゅりゅう:しこり)で、中央に臍窩(さいか)と呼ばれる黒い点状の開口部があります。

強くおさえると、くさいにおいのあるドロドロした粘り気のある白い物質(角質や皮脂が溜まってできたもの)がでてくることも。

おしりのアテローム
日本皮膚科学会

参考文献:粉瘤症例の検討 山口 敏之ら 日臨外会誌 68(3)、547-551、2007

アテロームができる原因

アテロームができる原因はまだはっきりとわかっていません。できやすい人は何か所もできる一方で、一生に一度もできない人も。

毛穴の上のほうにある毛包漏斗部(もうほうろうとぶ)と言われる部位が、何らかの刺激によってめくれ、皮膚の内側に袋を作ることがきっかけになり、毛穴の発達した顔や背中、お尻などにできやすいといわれています。他の人にうつる病気ではありません。

また、Gardner(ガードナー)症候群という遺伝性の病気(常染色体優性遺伝疾患:じょうせんしょくたいゆうせいいでんしっかん)では、胃や腸にポリープが多発すると同時に、アテロームも多発することがわかっています。

Gardner症候群の方の腸のポリープは癌化するため、早期発見が大切な病気です。アテロームが多発していることが診断のきっかけになることもあります。

参考文献:古川 わかお他 皮膚 第29巻 第1号 1987年 99-105 

アテロームの特徴と症状

アテロームの多くは、医学的には表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)と呼ばれるものです。名前の通り、嚢腫(のうしゅ:袋状の腫瘍)の壁が皮膚(表皮)でできています。

表皮嚢腫の大きさは、でき始めの数㎜程度と小さいものから、数㎝、場合によっては10㎝以上となり握りこぶしより大きくなることも。

小さい表皮嚢腫は皮膚の色と変わらないことが多いですが、大きいものは、腫瘤によって表面の皮膚が伸展(しんてん)され、白色~灰色に見えることもあります。また、小さいと腫瘤自体も平坦なことが多いですが、大きくなるにつれ、半球状にもりあがった腫瘤に。

臍窩(さいか)という皮膚開口部が黒い点として見えることが特徴で、そこから皮膚の下にポケットのように嚢腫(のうしゅ)ができています。

アテロームの構造
日本皮膚科学会

臍窩の周囲は表面の皮膚とくっついており、離れるにつれぶらぶらした状態となって、外から触って腫瘤の境界(壁)がわかるように。通常は、表皮嚢腫自体に、かゆみや痛みといった症状はありません。

痛みを伴う場合は、袋の壁が皮膚の下で破れて異物反応を起こしている、あるいは細菌感染を起こしており、炎症性粉瘤(えんしょうせいふんりゅう)とよばれます。

表皮嚢腫をはじめとするアテロームは基本的には良性の腫瘍です。腫瘍自体はそこで大きくなりますが、他の臓器に転移したりせず、命を落とすようなことはありません。

ただし、大型のアテローム、具体的には5㎝を超えるような場合は稀に粉瘤癌(ふんりゅうがん)と言って、癌化することがあるので要注意です。また、癌化するものは、中高年男性のお尻にできるものに多いといわれています。

そのため、5㎝を超える大きいアテロームがある場合は医療機関を受診し、手術で切除して病理検査に出すようにしてください。

(余談:私が自分で手術した中で一番大きいものは肩にできた23㎝のものでした。全身麻酔で手術しましたが、幸い癌化はしておらず、患者さんは大きなコブが取れて、非常に喜んでくださいました。)

アテロームができる場所

アテロームの多くを占める表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)は、毛穴の上のほうがめくれこんででき、毛穴のある部位なら身体のどこにでもできます。

一般的には顔や首、背中、お尻、耳の後ろなどが好発部位とされ、顔と頸(けい)部、背部で全体の6割に。また、中高年男性の陰嚢に1cm程度の大きさのアテロームが無数にできることがあり、多発性陰嚢粉瘤症(たはつせいいんのうふんりゅうしょう)と呼ばれます。

陰嚢のアテローム
日本皮膚科学会

アテロームは白く石灰化して硬くなることが多いです。(余談:これも経験があります。ご本人はとても悩んでいらっしゃいました。一度の手術ですべてを取りきることはできないため、4~5個ずつに分けて何度も手術して数を減らしていきました。)

また、手のひらや足の裏には毛穴がなくても、アテロームができることがあります。これは、外傷性表皮嚢腫と言われ、軽微な外傷をきっかけに皮膚の一部が皮膚の下にめくれこんででき、HPV(Human Papiloma Virus)57とHPV60の感染が関与しています。

参考文献:

①Human papillomavirus 57 identified in a plantar epidermoid cyst: K Egawa et al. BJ Dermatol. 1998  Mar;138(3):510-4. doi: 10.1046/j.1365-2133.1998.02135.x.

②ヒトパピローマウイルスと皮膚疾患 江川 清文:ウイルス 第 58 巻 第 2 号,pp.173-182,2008

アテロームの種類

外毛根鞘性嚢腫(がいもうこんしょうせいのうしゅ)

約9割が頭部に発生し、見た目は表皮嚢腫とよく似ていますが、表皮嚢腫よりもかなり硬く触れます。

毛包由来の良性腫瘍であることは表皮嚢腫も外毛根鞘性嚢腫も同じですが、表皮嚢腫は毛包漏斗(ろうと)部(上のほう)由来なのに対し、外毛根鞘性嚢腫は毛包峡部といって漏斗部よりもやや深い部位の毛包の細胞由来です。

頭皮のアテローム
日本皮膚科学会

多発性脂腺嚢腫(たはつせいしせんのうしゅ)

皮脂で満たされた嚢胞(のうほう)が多発する病気です。嚢胞の多くは大きさ数㎜~数cmで、腋窩(えきか)や頸部、前胸部、上肢、鼠径部(そけいぶ)などにみられます。

皮膚の色あるいは淡黄色の腫瘤で、少し隆起し、表皮嚢腫よりもやや硬く触れ、先天性厚硬爪甲症(せんてんせいこうこうそうこうしょう)ではこの多発性脂腺嚢腫が高確率でみられ、ケラチン17遺伝子の変異が原因です。

参考文献:先天性厚硬爪甲症と多発性脂腺嚢腫 神田 真聡ほか 日本小児皮膚科学会雑誌 28(2)、211-213、2009

炎症性粉瘤(えんしょうせいふんりゅう)

アテローマに炎症が起こり、赤く腫れて痛みをもつようになった状態です。アテローマ自体は自覚症状がないので、炎症性粉瘤となってその存在にはじめて気づくことも。

放置すれば自壊し、破裂します。アテローマに細菌が感染して起こると考えられていましたが、アテローマの壁が外力などで破れて、内容物(垢や皮脂)が皮膚の中に漏れ出して異物反応を起こしている場合がほとんどであることがわかってきました。

お尻や背中などの体重がかかりやすい部位の少し大きめのアテローマが、炎症性粉瘤となることが多いようです。抗生物質の投与だけで治まることは少ないので、麻酔をして皮膚を切開し、異物反応を起こしているアテローマと内容物を除去する処置を行います。

アテロームの治療方法

強い炎症を伴う場合は、緊急的に皮膚を切開して中身を外に出す処置を行いますが、炎症がない場合は外科的切除(摘出術)が基本になります。飲み薬や塗り薬でアテローマは消失させることはできません

外科的切除では、メスでアテロームを表面の皮膚ごと切除して、残った皮膚を縫い合わせます。数㎝までの小さいものであれば、局所麻酔の日帰りの手術で済みますが、大きいものは入院して場合によっては全身麻酔をかけて切除をすることも。

また、1cmにもならない小さいものは、ステロイドの注射で潰す(瘢痕化:はんこんか)こともあります。さらに、くり抜き法という手術方法も。

くり抜き法とは、局所麻酔をして、 臍窩(さいか)を含めてディスポーザブルパンチという円筒状のメス(直径4~6㎜くらい)で皮膚をくり抜く施術です。内容物をしぼりだし、嚢腫の壁をできるだけ掻き出します。

傷がふさがるまで約2~3週間かかるので、その間は傷の処置が必要に。摘出術に比べると完治するまで時間がかかりますが、くり抜き法の傷跡はにきび痕程度のくぼみとなるため、大きく切除するより目立たないことが多いです。

まとめ

アテロームは、皮膚の下に嚢腫(のうしゅ)ができる症状で、皮膚の嚢腫性の良性腫瘍では最も頻度が高い病気です。良性腫瘍であるため、切除するかしないかはご本人の希望次第となります。

しかし、アテローマは炎症を起こすことがあり、放置しているとかなり大きくなることも。あまり大きくなってしまうと手術が大変になるので、ある程度の大きさ(2~3㎝)になったら、医療機関を受診して診察を受け、切除手術を検討するのがよいと思います。

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