新型コロナのPCR検査、抗原検査、抗体検査。一体どう違うの?!

院長 藤田のアイコン画像院長 藤田

こんにちは。内科総合クリニック人形町 院長の藤田(総合内科専門医)です。

梅雨が長引きストレスマックスな今日この頃ですが、皆様にはいかがお過ごしでしょうか?「コロナの話題はうんざり」という方も多いかもしれません。実は私もです。

ところで、この数か月で次々と新型コロナウイルスの検査方法が3つ(PCR検査・抗体検査・抗原検査)も登場して頭がゴチャゴチャしてきたので(私だけ?!)

一度整理してスッキリさせておきたいと思います!

笑顔で人差し指を立てる女医
目次

PCR検査

もう、皆さんこの数か月耳にタコが出来るくらい聞かされてきたのがPCRという言葉。

PCR検査を巡っては「検査拡大慎重派」対「検査拡大積極派」の抗争がメディアやネットのあちこちで勃発したのも記憶に新しいですね。

PCR検査とは、サンプル中に新型コロナウイルスの遺伝子配列が存在しているのかどうかを検出する検査です。今現在新型コロナウイルスに感染しているかどうかを知るには、PCR検査がファーストチョイス、すなわち第一選択です(2回言いましたよ)。

PCRのサンプルは2通りの採取方法がある

病原体を捕まえようとするとき、当然のこととしてまずはその病原体が最も多くいる場所を狙います。新型コロナウイルスは患者さんの喉(のど)に居ますので、そこから採って来ます(肺炎を起こした患者さんでは肺にも居ます​1​)。

下の写真のように綿棒を鼻やのどに突っ込んで鼻咽頭ぬぐい液を取ります。

綿棒を鼻に突っ込んでウイルスを採取するシーン

インフルエンザの検査を受けたことがある方はご存知と思いますが、これをやられるとかなりの確率で患者さんは咳やくしゃみをします。咳やくしゃみをすると、すごい勢いで唾液・粘液の飛沫が周囲に飛び散ります。

これは大変困ったことで、マスク・ゴーグル・防護服を毎回変えて掃除を徹底したとしても感染リスクの増大は否めませんでした。

そこで、唾液(だえき)をサンプルとしたPCR検査が6月に保険認可されました。この検査は、発症から9日以内の方に限定して行われます。なぜかといいますと、唾液中の新型コロナウイルスは発症から10日を過ぎると減っていくからです。

しかし好都合な事に、発症から数日間は、新型コロナウイルスは「のど」よりも唾液中の方に多く存在するというデータが出てきています。

唾液検査は容器中に自分で「つば」を出せばいいだけなので(2ml必要なので溜めてから出していただきます)、患者さんも痛い思いをしないし、咳やくしゃみによる飛沫も発生しませんね。

PCR検査を受けるには?

上記の自費検査は別として、新型コロナPCR検査は、現在各都道府県にある感染症指定医療機関と地域のPCRセンターで行っています。

患者さんが検査を受けるまでのフローは、この2タイプの施設で異なっています。

  • 感染症指定医療機関の場合:その病院を受診した患者さんに対して医師が必要と判断すればPCR検査を行います。
  • 地域のPCRセンターの場合:PCRセンターでは地域のクリニックなど医療機関からの紹介患者さんの検査を行います。PCRセンターへ直接行っても検査を受けることは出来ません。

PCRセンターは所在地が非公表で検査を受ける方にのみ知らされます。一般の方の電話問い合わせも受け付けていません。

感染症指定医療機関がどこなのかは厚労省のHPで確認できます。

また、東京都だけの情報で恐縮ですが、特に23区内で最も安く検査できる医療機関、および最も感染症対策が完璧で安全にPCR検査が受けられるクリニックを調査してありますので、下記記事を参照ください。

PCR法の欠点

なぜ国内でPCR検査数が増えないかについては様々議論がありましたが、背景に以下のような事情があります。

  • PCRを行うには様々な試薬を混ぜる過程があり、ある程度熟練した臨床検査技師が必要
  • 試薬を入れて反応させるための、高価かつ場所を取るサーマルサイクラーという機械(下の写真)が必要
  • 結果が出るまで数時間が必要
サーマルサイクラー

他に代わりになる検査はないのでしょうか?そこで、次にあげる抗原検査が登場しました。

抗原検査

新型コロナウイルスに対する抗原検査はこの5月に保険認可されました。

PCR検査がRNAを増幅して検出するのに対し、抗原検査は新型コロナウイルスに対する抗体を用いて抗原を見つける検査です(抗体と言うものは、抗原に接すると抗原抗体反応で強力にくっつくのです)

PCRと違って標的を増幅させることは出来ないため、検出にはより多くのウイルスが必要であり、PCRに比べて感度が劣ります偽陰性が多くなります)。では、なぜそんな検査が認可されたのでしょうか?  

それは、抗原検査には

  • 30分程度で結果が出る
  • 特別な検査機器や試薬を必要としない

という大きな利点があるからです。 このため、抗原検査はPCR検査と組み合わせて活用することが予定されています。

抗原検査はどこで受けられるの?

新型コロナ抗原検査は、まずは患者発生数の多い都道府県における帰国者・接触者外来等から供給を開始していくことになっています。東京など大都市の帰国者・接触者外来を受診した患者さんに対し、医師が必要と判断すれば抗原検査を行います。

抗体検査

PCR検査、抗原検査と来て、最後は抗体検査です。タレントのマドンナさんが抗体検査を受けて、

「検査検査陽性!明日ドライブに行く!」

とインスタにアップして話題になったのも記憶に新しいですね。

PCR検査と抗原検査がウイルスそのものをつかまえる検査なのに対し、抗体検査はウイルスに感染した人の体内で作られた抗体を検出するというで大きく異なります。

つまり、抗体検査はその人が過去に感染した痕跡を探す検査であって、今感染しているかどうかを調べる検査ではありません。では、感染からどのくらい経ったら抗体検査で検出できるのでしょうか?

抗体検査 IgG IgM

上図にあるIgGIgMというのが抗体のことです。IgGもIgMも、発症9日後くらいから上がり始め、2週間半でピークに達しますが、IgMの方は発症後6週もするとかなり下がってますね。

一方、IgGの方は6週後でも高いままです。数年後、新型コロナウイルスIgGがどうなるかは今後のデータ待ちですが、多くの感染症で数年間に渡って高値のままです。

なので、

  • IgM陽性は、過去数週間以内の感染を示す。
  • IgG陽性は、過去数年以内の感染を示す。

抗体検査で分かる事は以上です。

くどいようですが、今現在ウイルスに感染しているのかどうかは分かりません。

また、感染症の種類によっては一度かかってIgGが陽性になれば「終生免疫」といって二度とかからないとされていますが(おたふくかぜなど)、新型コロナウイルス感染症の場合、IgGが陽性だったからといって今後新型コロナウイルスには罹らないと言えるのかどうかはまだはっきりしていませんなにせ新しい感染症なので、データが出て来るのはこれからです)

抗体検査はどこで、どうやって受けるの?

抗体検査は(PCR検査や抗原検査とは違って)保険認可されていません。各医療機関で、自費検査として自由に行っています。

抗体検査の手順

現在広く普及していて、当院でも行っているイムノクロマト法というキットを使った抗体検査のご説明をしますね。

化学発光免疫測定法と言う抗体検査法もありますが、こちらは当院では取り扱っておりません。

まず、指先に下図のような針をパチンと刺して1滴だけ採血します。(抗体とは基本血中にあるものなので、血液で調べます)

これは毛細血管採血といって、針の外径わずか0.2ミリ程度で、痛みが少ないです(通常の採血に用いる針は0.7ミリくらい)

毛細血管採血

皮膚表面に出てきた血液をスポイトで吸って、左下写真のキットに滴下します。

新型コロナウイルス抗体検査キット

すると、10分後に結果が出ます。キットのIgMのところに線が出たらIgM陽性、IgGのところに線が出たらIgG陽性です。

東京都内での抗体検査最安値&安全ランキング

首都圏在住者以外の方には関係のない話で恐縮ですが、当院が立地している東京都の抗体検査の価格調査を実施いたしました。

ただし、ご存じのとおり医療機関は新型コロナウイルスが最も集まりやすい場所ですので、物理的に院内動線や院内への出入口を分離しているか否かも大変重要な評価ポイントとなります。

よって、検査時に最も安心安全なクリニックはどこか?についても併せて言及しておりますので、下記記事をご参照ください。

まとめ

新型コロナウイルスのPCR検査、抗原検査、抗体検査についてまとめました。

簡単に言うと、

  • 今現在の新型コロナウイルス感染を疑ったらまずはPCR検査
  • 抗原検査は簡便だが精度が劣り、PCRの補助的な位置づけ。
  • PCR検査抗原検査も保険認可されており、原則医師の判断で行う。
  • PCR検査のサンプルは鼻咽頭ぬぐい液唾液の2種類の取り方がある。
  • 唾液のPCR検査は無症状の人を対象に自費で行う医療機関が増加中。
  • 抗体検査は完全自費で、過去の感染を知りたい無症状の方向け。

といったところです。それぞれの検査の違いがだいたいお分かり頂けましたら大変うれしいです。それではごきげんよう!

以上


この記事を書いた人

内科総合クリニック人形町院長 藤田医師
藤田 英理

内科総合クリニック人形町 院長
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
東京大学医学部保健学科および横浜市立大学医学部を卒業
東京大学付属病院や虎の門病院等を経て2019年11月に当院を開業
最寄駅:東京地下鉄 人形町および水天宮前(各徒歩3分)

参考文献

  1. 1.
    Wang W, Xu Y, Gao R, et al. Detection of SARS-CoV-2 in Different Types of Clinical Specimens. JAMA. Published online March 11, 2020. doi:10.1001/jama.2020.3786
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