薄毛の悩みは20代から40代の男性にとってごく身近な問題です。

AGA(男性型脱毛症)は適切な治療で進行を抑えたり発毛を促したりできる脱毛症ですが、治療薬の種類やAGAクリニックの選択肢が非常に多いため、「どの治療薬を選べば良いのか」「どのクリニックで治療を受ければ良いのか」と迷う方も少なくありません。
実際、AGA治療の多くは保険適用外の自由診療であり、医療機関ごとに治療方針や費用、サポート体制が異なります。
そこで本記事では、AGA治療薬の特徴や選び方を詳しく解説し、遺伝子検査を活用して自分に適した薬を見つけるメリットなどにも触れていきます。
さらにAGAクリニックを選ぶ際のポイントを紹介し、対面診療とオンライン診療の違いやそれぞれの利点・注意点についても解説します。

AGA治療薬の種類と特徴
まずはAGA治療に用いられる主な治療薬について、その種類と特徴を押さえておきましょう。
AGA治療薬は大きく分けて抜け毛の進行抑制(現状維持)を目的とした薬と、発毛を促進する薬に分類できます。それぞれの代表的な薬剤を以下に紹介します。
フィナステリド(内服薬)
フィナステリドはAGA治療で最もよく使われる内服薬です。もともと前立腺肥大症の治療薬として開発されましたが、毛髪の抜け毛抑制効果が認められています。
その作用は、薄毛の原因となるジヒドロテストステロン(DHT)の産生を抑えることです。5αリダクターゼという酵素のうち主にII型の働きを阻害し、DHTへの変換を抑制することで抜け毛の進行を食い止める効果があります。
飲み方は1日1回1錠の服用で、継続することで半年~1年ほどで効果が実感できるケースが多いです。特に頭頂部の薄毛や生え際の緩やかな後退に有効とされています。
副作用としては、性欲減退や勃起機能の低下など性機能に関わる症状がごくまれに報告されています(発生頻度は1~2%程度と低いとされています)。基本的に軽微な症状であることがほとんどですが、気になる場合は医師に相談してください。
また肝機能への影響もごくわずかにあり得るため、定期的な血液検査を行うクリニックもあります。
フィナステリドはプロペシア(先発医薬品)や各種ジェネリック医薬品として入手可能で、AGA治療の第一選択肢となることが多い薬です。

デュタステリド(内服薬)
デュタステリドはフィナステリドと同様に5αリダクターゼを阻害してDHTの産生を抑える内服薬です。
フィナステリドがII型5αリダクターゼを主に阻害するのに対し、デュタステリドはI型とII型の両方を強力に阻害するため、より幅広くDHT生成を抑制できる点が特徴です。
その効果の強さから、フィナステリドで十分な効果が得られなかった場合や、脱毛の進行度が中等度~重度でより強力な抑制効果が必要な場合に検討されます。
服用方法はフィナステリドと同様に1日1回で、薬剤名としてはザガーロ(先発品)やそのジェネリックがあります。
デュタステリドによる副作用もフィナステリドと似ています。性欲減退や勃起不全などが起こる可能性がありますが、こちらも発現率は低く、多くの方には問題なく使用できると言われています。
ただしフィナステリドよりも薬の血中半減期が長いため、体内に薬が留まる時間が長く、副作用が出た場合は症状が引きやすくなるまで少し時間を要することがあります。
いずれにせよ、定期的に医師の診察を受けながら安全に使うことが大切です。

フィナステリドとデュタステリドの違い
項目 | フィナステリド (商品名:プロペシア他) | デュタステリド (商品名:ザガーロ他) |
---|---|---|
阻害する酵素 | 5αリダクターゼ II型に選択的 | 5αリダクターゼ I型・II型の両方 |
DHT抑制効果 | 中程度(血中DHT約70%減少) | 高い(血中DHT約90%減少) |
推奨される場面 | 軽度~中等度のAGA、まず最初の治療に | フィナステリドで効果不十分な場合や重度のAGA |
使用開始の目安 | 初期治療として広く用いられる | 他薬で効果不十分な場合に検討 |
副作用の傾向 | 性機能関連の副作用は稀 | 性機能関連の副作用は稀だが長引く可能性 |
フィナステリドとデュタステリドはいずれもAGAの原因物質を抑える「守り」の薬ですが、その作用範囲と強さが異なります。
一般的にはまずフィナステリドから開始し、効果が不十分であればデュタステリドへの変更を検討することが多いです。
ただし、遺伝子検査などで初めからデュタステリドのほうが効果的と判断される場合は、最初からデュタステリドを選択するケースもあります。
ミノキシジル外用薬(発毛剤)
ミノキシジル外用薬は、頭皮に直接塗布するタイプの発毛促進薬です。ミノキシジルは元々血管拡張薬として開発された成分で、毛根周辺の血流を改善し毛母細胞を活性化することで発毛を促す作用があります。
日本では市販の発毛剤(医薬品)として入手可能で、有名な製品に「リアップ」などがあります。

使い方は1日2回程度、頭皮の気になる部分に液剤やフォームを塗布します。比較的手軽に始められる反面、毎日欠かさず塗る手間がかかる点や、髪のスタイリングによってはべたつきが気になる点がデメリットです。
効果としては、軟毛化した毛を太く育てたり休止期の毛を成長期に移行させたりすることで髪の密度や太さを改善します。特に頭頂部の発毛促進に一定の効果が認められています。
ただし、ミノキシジル外用薬はAGAの原因そのもの(DHTの作用)を抑えるわけではないため、抜け毛の進行を完全に止めることはできません。そのため、可能であればフィナステリドなど抜け毛抑制薬と併用するのが望ましいです。
副作用は頭皮のかゆみ・かぶれなどの皮膚トラブルが中心で、外用薬として使用する限り体全体への影響はほとんどありません。
ただし、ごく稀に成分が血中に吸収されて全身の血圧低下や動悸が起こる例も報告されています。持病のある方は使用前に医師に相談しましょう。
ミノキシジルタブレット(内服薬)
ミノキシジルタブレット(内服ミノキシジル)は、ミノキシジルを飲み薬の形で服用する治療法です。血管拡張作用が全身に及ぶため、外用薬より強力な発毛効果が期待できます。
その反面、副作用のリスクも高まるため、国内では発毛目的での使用は正式には認可されていません。
しかしAGA専門クリニックでは自由診療の範囲で処方されることがあり、特に重度の薄毛で外用薬だけでは効果が不十分なケースで検討されます。
内服ミノキシジルは1日1回または分割して服用します。発毛効果は頭頂部だけでなく生え際など広範囲に及ぶことが報告されており、半年ほど継続することで目に見えた改善が現れる人もいます。
特に、フィナステリドやデュタステリドと併用することで抜け毛予防と発毛促進の両面からアプローチでき、高い治療効果が期待できます。
注意すべき副作用として、血圧が下がることによるめまい・動悸・むくみなどがあります。また、多毛症(体毛が濃くなる)も頻度は高くありませんが起こり得る反応です。

これらの副作用は服用量に依存するため、医師が症状を見ながら適切な用量を指示します。
内服ミノキシジルを使用する場合は、必ず医師の管理下で定期的に経過をチェックし、副作用が現れたらすぐに相談できる体制を整えておきましょう。
ミノキシジル外用薬と内服薬の違い
項目 | ミノキシジル外用薬 | ミノキシジル内服薬 |
---|---|---|
使用方法 | 液体やフォームを頭皮に塗布する | 錠剤を内服する |
発毛効果の範囲 | 塗布部位中心(頭頂部向き) | 全身的(生え際含め広範囲) |
効果の強さ | 中程度(個人差あり) | 高い(外用より強力) |
主な副作用 | 頭皮のかゆみ・発赤など局所症状 | 血圧低下、動悸、むくみ、多毛症など全身症状 |
入手性 | 薬局で市販(第1類医薬品) | 医師の処方(※発毛目的はオフラベル使用) |
続けやすさ | 毎日の塗布が手間になる場合あり | 飲むだけなので手軽だが副作用注意 |
外用と内服のミノキシジルはいずれも発毛を促進する「攻め」の治療ですが、効果とリスクのバランスが異なります。薄毛の進行が軽度であればまずは外用薬から始め、必要に応じて内服薬を検討するのが一般的です。
内服ミノキシジルは強力ですがリスクも伴うため、自己判断で海外から輸入した薬を使うようなことは避け、必ず医療機関で相談してください。
なお、フィナステリド/デュタステリドとミノキシジルは目的が異なるため、併用することで相乗効果が期待できます。抜け毛抑制薬(守り)と発毛促進薬(攻め)を組み合わせることで、現状維持と新生毛の両方を目指す治療が可能です。

AGA治療薬を選ぶ際のポイント
治療薬の種類を理解したところで、次にどのように自分に合った治療薬を選ぶか考えてみましょう。
AGA治療薬選びはとても重要で、薬の効果が十分発揮されれば発毛・育毛の成果が出やすくなりますし、逆に適切でない薬では時間と費用を浪費しかねません。
以下のポイントを念頭に置いて検討することが、長期的に見て満足のいく結果につながるでしょう。
AGAの進行度合いを把握する
まず、自身の薄毛の進行度を正しく認識することが出発点です。薄毛治療では、現状の症状に見合った強さの治療を行うことが重要になります。

例えば、薄毛がごく初期の方にいきなり強力な治療を行う必要はありませんし、逆に進行が進んでいるのに軽い治療だけでは効果不十分となる可能性があります。
進行度は専門の医師に判断してもらうのが確実ですが、目安として以下のようなレベル分けができます。
進行度 | 薄毛の症状の目安 | 主な治療内容 |
---|---|---|
軽度 | 抜け毛が増え始めた段階。鏡で髪のボリューム減少に気づく程度 | 内服薬(フィナステリドなど)+ミノキシジル外用薬によるケア |
中等度 | 生え際の後退や頭頂部の地肌露出がはっきりわかる | 内服薬(フィナステリド or デュタステリド)+ミノキシジル外用薬(必要に応じて内服ミノキシジル併用) |
重度 | 広範囲で薄毛が進行し、地肌が大きく露出している | 内服薬(デュタステリド)+内服ミノキシジルの積極的治療(植毛など外科的治療も検討) |
早期(軽度)の段階で治療を開始すれば、発毛を促すだけでなく今ある毛髪を維持しやすくなる利点があります。
特に軽度のうちにケアを始めると、必要な治療も比較的シンプルで済み、結果的に費用負担も少なく抑えられる傾向があります。
ご自身の進行度がわからない場合は、AGA専門クリニックで無料カウンセリングを利用するなどして客観的に評価してもらうと良いでしょう。

治療効果と副作用のバランスを考える
治療薬を選ぶ際には、効果が高い薬ほど副作用リスクも高まり得ることを理解しておきましょう。どこまで積極的な治療を行うかは、患者様自身の希望や生活スタイル、副作用への許容度によって変わります。
例えば、フィナステリドやデュタステリドは副作用として性機能に関する症状が稀にあるものの、多くの方では問題なく使えています。一方、ミノキシジルタブレットは発毛効果が強い反面、血圧低下や動悸といった全身副作用が起こる可能性があります。
そのため、「確実に発毛させたいが多少の副作用リスクは許容する」のか、「副作用は極力避けたいので穏やかな治療から始める」のかといった、自分の治療に対する考え方を整理すると良いでしょう。
医師と相談し、副作用が出にくい範囲で最大限の効果を狙う方法もあります。例えば、内服ミノキシジルを使う場合は低用量から開始して体の反応を見る、フィナステリドで様子を見ながら途中でデュタステリドに切り替えるなど、調整が可能です。
治療中に何か異変(副作用症状)を感じたら、無理せず早めに担当医に伝えるようにしましょう。

続けやすい費用とプランを立てる
AGA治療は短期間で完了するものではなく、長期的な継続が前提となります。
治療薬による改善効果を維持するためには、基本的に服用や塗布を続ける必要があり、途中でやめてしまうと再び薄毛が進行してしまうことが多いからです。そのため、無理なく続けられる費用計画と治療プランを立てることが大切です。
薬の費用は種類によって様々です。一般的には、フィナステリドのジェネリック薬は比較的安価(1ヶ月あたり数千円程度)で、デュタステリドはやや高めですがジェネリックであれば手が届きやすくなっています。
ミノキシジル外用薬も市販薬であれば1ヶ月数千円程度、内服ミノキシジルはクリニックによって価格設定が異なりますが外用より高くなる傾向があります。これに加えてクリニックの診察料や検査料がかかる場合もあります。
治療開始前に、毎月どのくらいの費用が発生し、それを長期的に継続できるか試算してみましょう。

クリニックの公式サイトに費用が明示されている場合は事前に確認し、明記がない場合は初回カウンセリングでしっかり質問しておくと安心です。特に「◯◯円~」といった広告だけでは実際の総費用が分からない場合もあるため、注意が必要です。
続けやすさという点では、通院の手間も考慮しましょう。仕事や家庭の都合で頻繁にクリニックに行けない方は、後述するオンライン診療の活用も一つの手です。
いずれにせよ、自分のライフスタイルに合った無理のない治療計画を立てることで、途中で投げ出さずに済み、最終的に満足のいく結果に繋がります。
遺伝子検査を活用して自分に合う薬を見つける
最近ではAGA治療において遺伝子検査を活用することが注目されています。

AGA関連の遺伝子検査を行うことで、個々人の体質に合った薬の選択を事前に推測することが可能になります。例えば、遺伝子検査により以下のような項目を調べるケースが多いです。
- 男性ホルモン受容体のタイプ(遺伝的にDHTの影響を受けやすいか)
- 5αリダクターゼ酵素の活性度(DHT産生量の個人差)
- ミノキシジルの代謝効率(ミノキシジルが体内で効きやすいか)
- AGAの進行リスクに関わる遺伝子多型(薄毛になりやすい体質かどうか)
こうした遺伝的情報を知ることで、フィナステリドやデュタステリドが効きやすい体質か、あるいはミノキシジルで発毛効果が出やすいタイプかをある程度予測できます。その結果に基づき、最初から自分に合いそうな治療薬を選ぶことで、試行錯誤の期間を短縮できる可能性があります。
遺伝子検査を活用するメリットは、治療の“当たり外れ”を減らせる点にあります。わざわざ相性の悪い薬を何ヶ月も試して効果が出ずに落胆する、といった遠回りを避けられるのは、時間的にも費用的にも大きな利点でしょう。
また、自分の体質を知っておくことで、副作用リスクへの備えにもなります。たとえば代謝が遅いタイプなら薬の血中濃度が上がりやすいかもしれない、といった情報から慎重な用量設定が可能です。
もちろん、遺伝子検査が結果のすべてを決定づけるわけではありません。生活習慣やストレス、頭皮の状態など遺伝子以外の要因も発毛に影響します。
そのため最終的には医師が総合的に判断して治療方針を決めますが、遺伝子検査の結果は有力な判断材料となります。

事実、「遺伝子検査なしでは適合する治療薬を的確に見出すのは難しい」とも言われており、検査をすることで高い確率で相性の良い薬を選べる手がかりを得られるのです。
遺伝子検査を受けていない状態で手探りで薬を試す場合、自分にピッタリの治療薬に辿り着くまでに時間と費用を要する可能性があります。
最初から遺伝子検査を活用すれば、その分無駄を減らし、より効果的な治療へ早くたどり着けるでしょう。
遺伝子検査の活用による効果的な治療薬選定
ここまで遺伝子検査の有用性について触れましたが、改めて遺伝子検査を活用したAGA治療薬選びのポイントを整理します。
遺伝子検査で分かること
AGAの遺伝子検査では主に以下のような情報が得られます。
- 男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)の遺伝子型:AGAの発症に強く関与する部位です。特定の型を持つ人は男性ホルモン(DHT)の影響を受けやすく、AGAになりやすい傾向があります。
- 5αリダクターゼの活性に関わる遺伝子:この酵素の活性が遺伝的に高い人はDHTの産生量が多く、フィナステリド/デュタステリドが特に有効と考えられます。
- ミノキシジル代謝酵素(SULT1A1など)の遺伝子多型:ミノキシジルを有効成分に変換する酵素の活性を調べ、外用・内服ミノキシジルの効果の出やすさを予測します。
- 薄毛の進行リスクに関わる遺伝的素因:AGAになりやすさ・進みやすさに関連する複数の遺伝子の組み合わせを総合的に評価します。
これらの結果を総合して、「フィナステリド(またはデュタステリド)が効きやすい体質か」や「ミノキシジルで発毛しやすいタイプか」などを判定します。

例えば、男性ホルモン受容体の感受性が高いタイプであれば原因物質であるDHTを抑えるフィナステリド/デュタステリドの恩恵を受けやすいでしょうし、逆にホルモン感受性が低いのにAGAが進行している場合はミノキシジルなど別アプローチの重要性が増すかもしれません。
遺伝子検査のメリットと注意点
メリット
遺伝子検査の最大の利点は、治療を個々人に合わせてカスタマイズしやすくなることです。前述のように、自分に合いそうな薬の見通しを立てやすくなるため、効率的な治療につながります。
結果的に効果が感じられない薬に長時間取り組んでしまうリスクを減らし、モチベーション維持にも役立つでしょう。
また、自分の薄毛リスクや将来像を知ることで、予防的な対策や心構えもできるという心理的メリットもあります。
注意点
一方で、遺伝子検査は万能ではありません。検査結果が良かったから絶対にその薬でフサフサになる保証があるわけではなく、逆に適合度が低いと出た薬でも効果が出る場合もあり得ます。
遺伝子は生涯変わらないものですが、薄毛には食生活や睡眠、ストレスといった環境因子も大きく影響します。
したがって、遺伝子検査の結果はあくまでも治療方針決定の補助ツールとして位置づけ、最終判断は医師の経験と総合評価に委ねることが重要です。
「遺伝子検査を受けたから絶対に失敗しない」とは言い切れませんが、何も手がかりがない状態より格段に治療の命中率を上げる有用な手段であることは確かです。
遺伝子検査を上手に活用しつつ、医師と二人三脚で自分に最適な治療薬を見つけていく姿勢が大切です。
AGAクリニックの選び方
適切な治療薬の目星がついたら、次は治療を受ける医療機関(クリニック)選びです。
どんなに良い薬でも、サポートしてくれるクリニックの選択を誤ると、十分な効果が得られなかったり不安が残ったりすることがあります。

以下のポイントに注目して、信頼できるAGAクリニックを選びましょう。
AGA治療の専門性を重視する
AGA治療は皮膚科や内科など一般のクリニックでも対応している場合がありますが、可能であればAGA治療を専門的に行っているクリニックを選ぶことをおすすめします。
専門クリニックでは症例数が多く、医師が薄毛治療の経験を豊富に積んでいるため、一人ひとりの状態に合わせた多様なアプローチが期待できます。
具体的には、一般皮膚科ではフィナステリドの処方程度しか行わないケースもありますが、AGA専門クリニックであればデュタステリドや内服ミノキシジルの提案、さらに発毛メソセラピー(成長因子の頭皮注入)や植毛手術など高度な選択肢まで含めて検討できます。
また、昨今注目の遺伝子検査を治療に取り入れているクリニックもあり、そうした新しい技術や情報を提供してもらえるのも専門機関ならではです。

症例数が多く経験豊富な医師ほど、薄毛の進行度合いや体質に応じて治療を細かくカスタマイズしてくれる傾向にあります。その結果、より効率的に発毛効果を得られる可能性が高まります。
まずはホームページなどでクリニックの実績や治療メニューを確認し、自分の求める治療を提供していそうかチェックしてみましょう。
カウンセリングや検査が丁寧かどうか
AGA治療は長期戦です。最初のスタートラインである初診時のカウンセリングや検査が充実しているかは、良いクリニック選びの重要な基準になります。
初回に十分な時間をかけて、患者の悩みや希望をしっかり聞き取ってくれるか、薄毛の状態を丁寧に診察・分析してくれるかを確認しましょう。

具体的には、マイクロスコープで頭皮や毛根の状態を見せてくれたり、現在の毛量を測定してくれるクリニックもあります。
また、血液検査でホルモン値や肝機能をチェックし、薬を安全に使える状態か評価してくれるところもあります。さらに、先述したAGA遺伝子検査をオプションや標準プランとして提供し、患者さんごとのリスクや薬の効きやすさを踏まえた治療提案をしてくれるクリニックなら、一層安心できるでしょう。
治療開始後のフォロー体制も大切です。定期的な経過観察や、必要に応じた治療方針の見直しをしてくれるか、途中で不安なことがあった時に相談しやすい雰囲気か、といった点も選択のポイントとなります。
患者が自分自身で対策を取りやすい環境が整っているか(例えば日常でのケア方法のアドバイスがあるか、質問に丁寧に答えてくれるスタッフがいるか等)を見極めることも重要です。
長期間にわたるAGA治療だからこそ、信頼関係を築けるクリニックを選びましょう。
料金体系の透明性
AGAクリニックを選ぶ際には、料金設定が明瞭であることも重要です。AGA治療は自由診療のため、クリニックによって治療費用が大きく異なります。
極端に安価な価格を広告している場合、実際に行ってみたら別の高額なプランを勧められた…というケースもゼロではありません。逆に高額なコースを提示されたものの、その根拠が不明瞭で納得できないといった例もあります。
信頼できるクリニックは、ホームページ等で薬代や検査費用、診察料などをわかりやすく明示しています。初回○○円、以降月額○○円、といった形で総費用の見通しが立てられるでしょう。

不明な点があれば、初回相談時に遠慮なく質問し、納得のいく説明が得られるか確認してください。
また、治療が長期になることを考えると、支払い方法(都度払い・定額制・ローンなど)の選択肢があるかも実用面では大切です。
料金について曖昧な説明しかないクリニックや、不安をあおって高額プランに誘導しようとするような対応が見られた場合は、慎重に検討したほうが良いでしょう。
通いやすさとサポート体制
どんなに評判の良いクリニックでも、通院が困難な場所にあったり予約が取りにくかったりすると治療は長続きしません。生活の中で無理なく通えるクリニックを選びましょう。
自宅や職場からの距離、通いやすい交通手段があるか、診療時間は自分の都合と合うか(仕事帰りに間に合う夜間診療や土日診療の有無)などを確認します。

加えて、クリニックのスタッフ対応や緊急時の連絡方法などのサポート体制もチェックポイントです。
例えば、治療薬の副作用が出た際にすぐ相談・対応してもらえるか、メールや電話での問い合わせに迅速に応じてくれるかといった点です。
万全のフォロー体制が整っているクリニックであれば、万一トラブルがあっても安心して治療を継続できます。
通院のハードルが高いと感じる方は、次に述べるオンライン診療も視野に入れてみてください。最近はオンライン診療を併用して通院頻度を減らすなど、柔軟に対応しているクリニックも増えています。
以上のポイントを踏まえると、総合的に見て遺伝子検査を実施しているクリニックで治療を受けることが後悔しない選択につながります。
自分の体質に合った治療を提案してくれるクリニックなら、より高い満足度でAGA治療に取り組めるでしょう。
オンライン診療という選択肢
近年、病院に直接行かなくてもスマホやパソコンで医師の診察を受けられるオンライン診療(遠隔診療)が普及してきました。

AGA治療でもオンライン診療を利用できるクリニックが増えており、忙しくて通院時間を取れない方や近くに専門クリニックがない方にとって大きな助けとなっています。
ここではオンライン診療のメリット・デメリットを確認し、上手な活用法を考えてみます。
オンライン診療のメリット
- 通院の手間がかからない:クリニックまでの移動時間や交通費が不要です。自宅や職場から診療を受けられるため、時間の節約になります。
- 全国どこからでも専門医にアクセスできる:遠方に住んでいて近隣にAGA専門クリニックがない場合でも、オンラインで都市部の専門医に診てもらえます。
- プライバシーが保ちやすい:待合室で知り合いに会う心配もなく、周囲の目を気にせず相談できます。自宅でリラックスした状態で受診できる点も利点です。
- 定期的なフォローが楽:薬の継続処方や経過相談をリモートで完結できるため、忙しい時期でも治療ペースを維持しやすくなります。
オンライン診療を活用すれば、仕事が多忙でクリニックに行く時間が取れない方でも治療を継続しやすくなります。
医師とはビデオ通話で顔を合わせて問診や症状の確認を行い、必要な薬は後日自宅に郵送される仕組みです。通院ストレスが格段に減るため、多くの患者さんがその便利さを実感しています。

オンライン診療のデメリット
- 直接の頭皮診察が難しい:カメラ越しでは細かな頭皮の状態や毛髪の太さなどをチェックしにくく、対面診療に比べて得られる情報が限られます。
- 施術系の治療が受けられない:メソセラピー(注射)や植毛手術など、来院が必要な処置はオンラインではできません。あくまで内服薬・外用薬中心の治療になります。
- 検査に工夫が必要:血液検査や遺伝子検査を行う場合、自宅採取キットの郵送や提携先医療機関での検査など、対面より手間がかかります。
- 緊急時の対応に制限:もし重い副作用症状が出た場合など、オンラインだけでは完結できず対面での診察が必要になるケースもあります。
これらのデメリットを補うために、オンライン診療では事前に症状や写真を詳しく伝えたり、自宅で採取できる検査キットを活用したりする工夫が行われています。
クリニックによってはスマホで撮影した頭部の画像を送ってもらい診断に役立てるところもあります。また、必要に応じて定期的に対面診療と組み合わせることで、より正確な評価を行うケースもあります。
オンライン診療を上手に利用するポイントは、「自宅でできること」と「直接行った方が良いこと」を見極めることです。
普段の薬の受け取りや相談はオンラインで簡便に済ませつつ、年に一度は対面で詳しい検査を受ける、といったハイブリッドな利用も検討してみてください。
オンライン診療で遺伝子検査を受けるには
オンライン診療でも、遺伝子検査を活用できるクリニックがあります。方法としては、遺伝子検査キットを自宅に郵送してもらい、自分で唾液や口腔粘膜を採取して返送するという流れになります。

後日、検査結果が医療機関に届き、オンラインの診察時に医師がその結果を踏まえて治療薬を提案してくれるという仕組みです。
わざわざ通院することなく遺伝子検査を受けられるのはオンライン診療の大きな魅力の一つです。ただし、遺伝子検査に対応しているオンラインAGAクリニックはまだごくわずかです。
まとめ

AGA治療で後悔しないためには、自分に合った治療薬選びと信頼できるクリニック選びの両方が欠かせません。
本記事で解説したように、薄毛の進行度や治療薬の特徴を踏まえて薬を選択し、必要に応じて遺伝子検査を活用することで、無駄の少ない効果的な治療が可能になります。
また、治療を任せるクリニックに関しても、専門性・カウンセリングの丁寧さ・料金の透明性・通いやすさといったポイントをチェックし、自分に合う医療機関を選びましょう。
特に、遺伝子検査を取り入れているクリニックで治療を受けることは、ご自身に適したオーダーメイドの治療を提供してもらえるという意味で後悔しにくい選択と言えます。
最近はオンライン診療という便利な選択肢も登場し、自宅にいながら専門的な治療を受けることも可能です。
薄毛治療は長期にわたるものですが、正しい知識と手厚いサポートがあれば心強いものです。ぜひ本記事の内容を参考に、納得のいくAGA治療への一歩を踏み出してみてください。

当院調べでは、遺伝子検査に対応しているオンライン診療サービスは現時点で一箇所のみです。詳しくは、遺伝子検査が受けられるオンライン診療について特集したページをご覧ください。

よくある質問(FAQ)
- フィナステリドとデュタステリドはどちらを先に試すべきでしょうか?
-
一般的にはまずフィナステリドから始めるのが推奨されています。フィナステリドはAGA治療薬としての使用実績が長く、安全性に関するデータも豊富で、副作用も比較的穏やかな傾向があるためです。
効果が十分でない場合や薄毛の進行度が強い場合に、デュタステリドへの切り替えや併用を検討することが多いです。
ただし、遺伝子検査でデュタステリドのほうが適合度が高いという結果が出た場合には、初めからデュタステリドを選択するケースもあります。
- ミノキシジルの外用薬だけでも十分な効果は得られるでしょうか?
-
軽度のAGAであればミノキシジル外用薬だけでも一定の発毛効果が期待できる場合があります。ただしミノキシジル外用は原因物質であるDHTの産生を抑えるものではないため、抜け毛の進行自体を食い止める力は弱いです。
そのため、薄毛の進行を抑制するフィナステリドやデュタステリドと併用することが推奨されます。
特に進行度が中等度以上の場合は、発毛促進と抜け毛予防の両面からアプローチすることで効果を最大化できるでしょう。
- 一度AGA治療をやめたら、薄毛がまた進行してしまいますか?
-
はい、AGA治療の効果は治療を続けている間だけ持続する傾向が強いです。
フィナステリドやデュタステリドでDHTの影響を抑えている間は抜け毛が減り髪の状態が維持されますが、服用を中止すると再びDHTの作用で薄毛がゆっくりと進行してしまう可能性があります。
ミノキシジルも使用をやめれば発毛効果は徐々になくなります。したがって、「ここまで生えたから治療終了」というよりは、どの時点で治療を終了するかは慎重に判断する必要があります。
治療を止めるタイミングについては、担当医と相談しながら決めることをおすすめします。
- 市販の育毛剤や育毛シャンプーではAGA改善は難しいのでしょうか?
-
市販の育毛剤や育毛シャンプーは、頭皮の環境を整えたり髪にハリ・コシを与えたりする効果が期待できます。しかし、AGAの主原因であるホルモン作用を抑制する効果は医療用の治療薬ほど強くありません。
特に進行度の高い薄毛の場合、市販品だけで改善を期待するのは難しいのが現実です。
抜け毛が気になり始めた初期段階であれば、市販製品でケアしつつ経過を見るのも一つの手ですが、すでに地肌がかなり見えるレベルであれば、医師による治療薬を導入したほうが確実性が高いでしょう。
市販の育毛ケアはあくまでサポートとして捉え、治療薬と併用する形で取り入れると良いです。
- 遺伝子検査を受ければ必ず自分に最適な薬がわかるのですか?
-
遺伝子検査によって「この薬が一番効く」と100%断言できるわけではありませんが、高い確率で相性の良い薬を選ぶための指針が得られます。
検査結果を踏まえることで、フィナステリドやデュタステリドの効きやすさ、ミノキシジルの効果を得やすいタイプかをある程度推測できるため、闇雲に試すより当たり外れが少なくなる傾向があります。
また、副作用リスクの把握にも役立ちます。とはいえ、実際の発毛効果には個人差があり、生活習慣など遺伝子以外の要因も影響します。
そのため「絶対にこの薬でOK」という保証ではありませんが、遺伝子情報を持って治療に臨むことは非常に有益だと言えます。
治療薬およびAGAクリニックの選び方についてある程度理解できたと思った方は、薄毛遺伝子検査について学習してみましょう。知っていると知らないとでは結果に雲泥の差が出ますので。