「最近髪が薄くなってきた気がする」「生え際が後退してM字型になってきた」「つむじ周りの地肌が透けて見える」といったお悩みはありませんか?

そうした薄毛の症状は、AGA(男性型脱毛症)によるものかもしれません。AGAは進行性の脱毛症であり、放置すると薄毛がどんどん進行してしまいます。
本記事では、AGAの症状やセルフチェックの方法、クリニックで行う検査内容について詳しく解説します。薄毛や生え際の後退が気になり始めた方はぜひ参考にしていただき、適切な対策につなげてください。
AGA(男性型脱毛症)とは?
AGA(男性型脱毛症)とは、思春期以降の男性によく見られる脱毛症の一種です。男性ホルモンの影響などで前頭部(額)の生え際や頭頂部(つむじ周辺)の髪の毛が徐々に薄くなり、地肌が見えやすくなるのが特徴です。
側頭部や後頭部の髪は比較的残りやすく、薄毛の進行は頭頂部と前頭部に集中します。遺伝や男性ホルモン(後述するDHT)の作用が主な原因と考えられており、自然に完治することはなく進行していく脱毛症です。
AGAは決して珍しい症状ではありません。日本人男性の場合、AGAを発症する割合は20代で約10%とされ、年齢とともにその割合は高くなります。ある調査では、成人男性の約3人に1人がAGAを発症するとも言われています。

つまり薄毛に悩む男性の多くがAGAによる脱毛と考えられます。発症年齢には個人差がありますが、早い人では思春期後から発症するケースもあり、加齢とともに発症率・進行度が上がる傾向があります。
AGAは進行性であるため、一度発症すると放置しても改善することはほとんどありません。毛髪の成長サイクルが乱れて徐々に軟毛化(細く短い髪になる)し、薄毛範囲が広がっていきます。
早期に適切な対策を取らない場合、やがて毛根が寿命を迎えてしまい、毛穴から髪が生えなくなってしまいます。そうなると市販の育毛剤では改善が難しく、医療による治療や場合によっては植毛手術が必要になることもあります。
したがってAGAの可能性に気付いたら、できるだけ早めに対策を始めることが重要です。

男性型脱毛症の主な特徴
AGAには以下のような特徴があります。
進行パターンが決まっている
髪が薄くなる部位は主に額の生え際か頭頂部のどちらか、あるいは両方です。側頭部や後頭部は薄毛になりにくく、O字やM字といった典型的なパターンで進行します。

徐々に進行する
抜け毛の量や薄毛の範囲が年単位で徐々に拡大していくのがAGAの特徴です。円形脱毛症のように急激にごっそり抜けることはなく、日常生活の中で少しずつ進行します。
思春期以降に発症
男性ホルモンが関与するため、AGAは思春期以降の男性に発症します。10代後半~20代で発症するケースもありますが、症状が目立ち始めるのは30代以降という人も多いです。

遺伝の影響
家系に薄毛の人がいる場合、自分もAGAを発症しやすい傾向があります。5αリダクターゼの活性やDHT感受性は親から遺伝しうるため、親族に薄毛の方がいるとAGAリスクが高まります。
進行性で自然治癒しない
AGAは何もしなければどんどん薄毛が進行します。一度進行した毛髪は放置しても元に戻らず、適切な治療をしない限り改善しません。

以上のように、AGAは「男性によくみられる、進行性の薄毛」と言えます。次に、具体的にAGAではどのような症状が起こるのか、部位ごとの特徴やサインを解説します。
AGAの症状
AGAによる薄毛は、主に前頭部(おでこ、生え際)と頭頂部(つむじ周辺)に現れます。それぞれ薄毛の進行パターンや見え方が異なり、俗に「M字ハゲ」「O字ハゲ」などと呼ばれることもあります。
また、髪の抜け毛の増加や髪質の変化もAGAの重要なサインです。以下にAGAの代表的な症状を部位別に説明します。
M字型の生え際後退(前頭部の薄毛)
額の両側(こめかみ付近)から髪が後退し、生え際がM字型に後退していくのはAGA初期によく見られる症状です。
鏡を見たときに以前よりおでこが広くなったように感じたり、髪型で生え際を隠すのが難しくなったりします。M字部分の後退は自分でも比較的気付きやすく、周囲から「髪が後退してきたのでは?」と指摘されることも多いタイプの薄毛です。
生え際の後退が軽度(ノーウッド分類I~II型程度)であれば、見た目の変化はわずかで気づきにくい場合もあります。
しかしAGAが進行するとM字が深く食い込み、前髪全体のボリュームが減って額がどんどん広がっていきます。典型的には以下のような変化が段階的に起こります。
I型・II型 | 生え際のわずかな後退。ほとんど目立たないか、「額が少し広くなったかな?」程度。 |
III型 | 生え際の後退が進み、両側が後退してM字型がはっきりしてくる。全体の髪のボリュームもやや低下。 |
IV型以上 | 前頭部の生え際がかなり後退し、M字の中心部分(額中央)まで薄毛が進行。額から頭頂部にかけて薄毛範囲が広がる。 |
AGAの初期段階では「M字の両端が少し薄いかな?」と感じる程度でも、早めに対策を講じることが重要です。生え際の産毛のような細い毛が増えてきたら要注意です。
それ以上進行すると、おでこ全体が後退してU字型の薄毛(後述)に発展する可能性があります。
頭頂部(つむじ周辺)の薄毛
もう一つAGAで多い症状が、頭頂部(つむじ)の髪が薄くなるパターンです。頭頂部の薄毛は上から見るとアルファベットの“O”の形に地肌が見えることから「O字ハゲ」とも呼ばれます。

具体的には、つむじを中心に髪の密度が下がり、地肌が透けて見えるようになります。
頭頂部の薄毛は自分では見えづらいため、他人から指摘されて気づくケースが多いです。
例えば、床屋や美容院で「髪が薄くなってきましたね」と言われたり、家族に「つむじのあたり地肌が見えてるよ」と教えられて気付くことがあります。鏡で後頭部を映さないと確認しにくいため、見落としがちな症状です。
頭頂部の薄毛の進行も段階的です。初期は「つむじ周りの髪が少し細くなったかな?」という程度ですが、進行すると次第に薄毛範囲が拡大します。
II vertex型 | 生え際の後退(II型)に加えてつむじ周りが薄くなり始めた状態。日本人に多いパターンです。 |
III vertex型 | M字の生え際後退(III型)に加えて頭頂部の地肌がはっきり見えてくる状態。 |
IV型 | 前頭部と頭頂部の双方が薄くなり、つむじの薄毛部分が拡大。 |
V型以降 | 頭頂部の薄毛範囲がさらに広がり、前頭部の薄毛部分との間の毛の橋(ブリッジ)が細くなっていく。最終的には前後の薄毛部分が繋がります。 |
つむじ周辺の薄毛が目立つO字型のAGAは、初期段階では自覚しにくいものの、日本人男性では非常に一般的です 。
鏡で頭頂部をチェックしづらいため、「同世代より薄いかも?」と感じたら家族に見てもらったり、写真に撮って確認すると良いでしょう。
頭頂部の地肌が以前より大きく露出していると感じたら、AGAの可能性が高いため注意が必要です。
抜け毛の増加と髪質の変化
AGAの症状は見た目の薄毛だけではありません。抜け毛の本数や髪質の変化も重要なサインです。

健康な人でも髪の毛は1日に50〜100本ほど抜けますが、AGAを発症するとヘアサイクルが乱れるため、通常より多くの髪が抜けるようになります。特に以下のような状況に心当たりがあれば注意が必要です。
- お風呂の排水溝が詰まる: シャンプー時に抜け落ちる髪が増え、排水口に溜まる毛髪量が以前より多くなっている。
- 枕に大量の抜け毛: 朝起きたとき、枕に付着している抜け毛の量が増え、時には枕カバーがチクチク感じるほど抜け毛が落ちている。
- 部屋の床に髪が目立つ: 日常的に床に落ちる髪の毛が多く、掃除の頻度が増えたり、床を見ると抜け毛が気になる。
- 髪が濡れると地肌が透ける: 髪を洗った後など濡れた状態で、髪のボリュームが極端に少なく感じ地肌が見える。
これらは抜け毛が通常より増えている時によく起こる状況です。AGAでは成長期の髪の寿命が短縮し、十分に太く長く育つ前に抜け落ちてしまうため、細く短い髪(軟毛)が増えていきます。
髪一本一本の「コシ」がなくなり、全体としてボリュームダウンして見えるようになるのです。
例えば「最近髪質が細く柔らかくなった」「以前よりセットしてもすぐペタンとなる」という変化はAGAによる髪のミニチュア化現象かもしれません。
このように、AGAの初期には抜け毛の増加や髪質変化といったサインが現れます。ただし抜け毛自体は誰にでも起こる現象であり、髪が抜ける=すぐAGAとは限りません。
大切なのは「抜け毛が以前より明らかに増えたか」「髪が細く弱々しくなってきたか」という点です。
数年前の自分の髪と比べて、「髪が細くなった」「毛量が減った」と感じる場合、AGAが進行している可能性があります。
以上がAGAの代表的な症状です。前頭部や頭頂部の薄毛、抜け毛増加や髪質変化といったサインに当てはまるものがないかセルフチェックしてみましょう。

次章では、AGAの薄毛がどのように進行するか、パターン別の段階について解説します。
AGAの進行パターンと段階
AGAの薄毛にはいくつかの進行パターンがあり、症状の進み具合によって段階(ステージ)に分類することができます。
一般的に用いられるのがハミルトン・ノーウッド分類というAGA進行度の指標で、脱毛の範囲やパターンに応じてⅠ型からⅦ型まで(+α)に区分されます。
ここではハミルトン・ノーウッド分類に沿ってAGAの進行段階を説明し、その後で日本人に多い薄毛パターン(M字型・O字型・U字型)についても触れます。
ハミルトン・ノーウッド分類によるAGA進行度
AGAの進行度合いは、アメリカの医師ハミルトン氏が提唱しノーウッド氏が改良した分類法(ハミルトン・ノーウッド分類)によって7つの段階に分けられます(日本では頭頂部の薄毛パターンII vertex型を加えた改良版が使われます)。

以下の表は代表的なAGA進行度の特徴です。
分類(型) | 薄毛の進行状態の概要 |
---|---|
Ⅰ型 | 生え際の後退はほとんどないか、ごくわずか。見た目上は薄毛とわからない段階。 |
Ⅱ型 | 生え際が額の左右から2cm程度後退し始めた状態。M字型が少し目立ってくるが、まだ軽度の薄毛。 |
Ⅱ vertex型 | Ⅱ型の状態に加えて頭頂部の毛髪密度が低下し始めた状態。日本人に多いパターンで、つむじ周りの薄毛が進行する。 |
Ⅲ型 | 生え際の後退がⅡ型より進み2cm以上後退して明らかなM字ハゲとなる状態。頭頂部の薄毛もわずかに併発することがある。 |
Ⅲ vertex型 | Ⅲ型の状態に加えて頭頂部の薄毛がはっきりしてくる状態。つむじ部分の地肌露出が目立ち始める。 |
Ⅳ型 | 前頭部と頭頂部の双方で薄毛が進行している状態。ただし、側頭部から上にかけて薄毛の進行していない地帯(ブリッジ)が残り、前頭部と頭頂部の薄毛部分はまだ繋がっていない。 |
Ⅴ型 | Ⅳ型がさらに進行し、ブリッジ部分も細くなって薄毛が拡大した状態。前頭部と頭頂部の薄毛部分はまだわずかに繋がっていないが、地肌は大きく露出している 。 |
Ⅵ型 | 側頭部のブリッジが消失し、前頭部と頭頂部の薄毛部位が一体化した状態 。頭頂部から後頭部にかけても脱毛範囲が広がっている。 |
Ⅶ型 | 薄毛が最も進行した段階。頭頂部から前頭部にかけてほとんど髪がなくなり、側頭部~後頭部にわずかに毛髪が残るのみ。いわゆるU字ハゲの完成形。 |
上記のように、数字が大きくなるほど薄毛の範囲・程度が進んでいます。
Ⅰ~Ⅱ型は「薄毛の兆候がわずかに現れた初期」、Ⅲ~Ⅴ型は「薄毛が目に見えて進行した中等度」、Ⅵ~Ⅶ型は「側頭部と後頭部以外ほとんど毛がない重度」の状態です。
ご自身の今の薄毛がどの程度か、鏡や写真で確認しながら当てはめてみると目安になります。
ただし、正式な診断は医師が総合的に判断して行うものです。ハミルトン・ノーウッド分類はあくまで目安ですが、「自分の薄毛が今どの段階か」を把握しておくことは今後の対策を考える上で大切です。
AGAのタイプ別パターン(M字型・O字型・U字型)
上記の進行度分類とは別に、AGAには薄毛の現れ方から大きく3つのパターンに分ける見方もあります。それが一般に言われる「M字型」「O字型」「U字型」の3タイプです。
これはハミルトン・ノーウッド分類の内容をより簡潔に表現したもので、それぞれ以下の特徴があります。
薄毛のタイプ | 主な脱毛部位 | 特徴・進行パターン |
---|---|---|
M字型 | 前頭部(額の生え際) | 額の両端から生え際が後退し、上から見ると髪型がアルファベットのM字に見える薄毛。比較的若い段階(ノーウッドⅠ~Ⅲ型)で現れやすく、自分でも鏡で確認しやすい。 |
O字型 | 頭頂部(つむじ周辺) | 頭頂部の髪が薄くなり、上から見るとO字(丸形)に地肌が露出する薄毛。額の生え際よりつむじから進行し、鏡では見えにくいため他人に指摘されて気付くことが多い。日本人はこのタイプが多い。 |
U字型 | 前頭部+頭頂部(複合型) | M字型とO字型が両方進行した状態で、額の生え際が大きく後退し頭頂部の薄毛も広がってU字状に見える。ノーウッド分類Ⅳ~Ⅶ型に該当し、側頭部と後頭部の髪だけが残った状態(いわゆる「スキンヘッドに近い」薄毛)。 |
M字型は額から、O字型は頭頂部から薄毛が進むタイプ、そしてU字型はそれらが合流して重度になったタイプです。
最初はM字型かO字型のどちらかで始まり、放置すると将来的にU字型(頭頂部と前頭部が繋がった状態)まで進行する可能性が高いです。

ご自身の薄毛がM字型かO字型かを把握しておくと、進行の予測が立てやすくなります。
例えば「生え際は大丈夫だがつむじが薄い」という方はO字型の進行パターンであり、自分では気づきにくいので注意が必要です。
逆に「頭頂部は問題ないが生え際が後退している」場合はM字型で、自覚しやすい反面、早期から対策しやすいと言えます。いずれにせよAGAは徐々に進行するため、「自分の薄毛タイプはどれか?」を把握し、早めに対策することが重要です。
では、AGAかもしれないと思った場合、実際にどのように確認・診断すればよいのでしょうか。次の章では、AGAの検査・診断方法と、自宅でできるセルフチェックの方法について説明します。
AGAの検査・診断方法
AGAが疑われる場合、専門の医療機関で診断を受けることをおすすめします。AGAの診断は主に医師の問診・視診によって行われ、血液検査など特別な検査をしなくても多くの場合は判断可能です。

近年は遺伝子検査キットやホルモン検査キットを用いてAGAのリスクや原因を調べる方法もありますが、最終的な確定診断は医師の診察によります。
ここでは、クリニックでの診察内容と、必要に応じて行われる検査方法について解説します。
専門クリニックでの診察内容
AGA専門クリニックや皮膚科を受診すると、まず医師による問診と視診(触診)が行われます。問診では主に次のような事項を確認されます。
- 家族歴の確認: 両親や祖父母、兄弟など親族に薄毛の人がいるかを聞かれます。AGAは遺伝的要因が大きいため、家系に薄毛の方がいると伝えることで診断の参考になります。
- 発症時期・経過: 薄毛に気づいた時期や進行の具合について質問されます。例えば「いつ頃から抜け毛が増えましたか?」「額の後退に気付いたのは何年前くらいですか?」といった具体的な経過を医師と一緒に振り返ります。
- 生活習慣: 日頃の食生活や睡眠、ストレス、喫煙・飲酒の有無なども問診で尋ねられます。これら生活習慣はAGAの進行度や治療選択に影響するため、正直に伝えましょう。

問診に続いて、医師が患者さんの頭髪・頭皮を目視でチェックする視診が行われます。視診では以下のようなポイントを確認します。
- 薄毛の部位と範囲: 前頭部や頭頂部の薄毛の程度、進行パターン(M字かO字か)を目で見て判断します。
- 髪の太さ・密度: 健康な毛と細くなった毛(軟毛)が混在していないか、髪の毛の太さや密集度を観察します。必要に応じてマイクロスコープ(拡大鏡)で毛髪や毛穴の状態を詳しく見ることもあります。
- 頭皮の状態: 頭皮の皮脂の量や炎症の有無など、頭皮環境もチェックします。脂漏性皮膚炎など頭皮のトラブルが薄毛に影響していないか確認します。
以上の問診・視診によって、多くの場合AGAかどうかの判断がつきます。現在のところAGAか否かを客観的な数値だけで判定する明確な基準はなく、総合的な所見から医師が診断する形になります。
視診の結果、「典型的なAGAのパターンである」「他の脱毛症の可能性は低い」と判断されればAGAと診断され、治療方針の相談に進みます。
AGAに関連する検査(遺伝子検査・ホルモン検査)
必要に応じて行われることがある検査として、AGAの遺伝子検査やホルモン検査があります。
これは現在薄毛が進行しているかの診断というより、AGAになりやすい体質か、薄毛の原因となる男性ホルモンが多いか、といったことを調べる検査です。
AGA遺伝子検査
AGAの発症リスクを遺伝子的に調べる検査です。例えば5αリダクターゼの感受性や活性度に関連する遺伝子多型を解析し、「AGAになりやすい体質かどうか」を評価します。
検査方法は、頬の粘膜や唾液のサンプルを採取して郵送し、遺伝子を分析する形が一般的です。結果は数週間ほどで判明し、リスクの高さが判定されます(「リスク高」「中」「低」など段階評価)。
遺伝子検査によって将来的な薄毛リスクを事前に把握することが可能ですが、あくまで可能性の評価であり現在のAGAの確定診断とは異なる点に留意が必要です。

ホルモン検査
薄毛の原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)などのホルモン量を測定する検査です。血液や毛髪からホルモン値を測り、AGAの進行度合いを数値化する試みもあります。
たとえば毛髪ホルモン量測定キットでは、毛髪中のDHT量を測定してAGAのリスクを「低~高」などランク付けすることができます。
ホルモン値が高ければAGAが進行しやすい状態と判断でき、治療前後でホルモン値を比較することで効果判定に使う場合もあります。
セルフチェックと医師による診断の違い

AGAかどうかを自分で判断するためのセルフチェックも数多く紹介されています。しかし、薄毛の原因がAGAかどうかを素人判断で確定するのは難しいのが現実です。
セルフチェックや市販の診断キットで「AGAの疑いが高い」と思っても、最終的には医師の診察を受けて確認することが大切です。
自宅でのセルフチェックはあくまで目安と割り切り、少しでもAGAの可能性があれば専門クリニックを受診しましょう。
一般の皮膚科でもAGA治療を行っていない場合がありますので、事前にAGA対応か確認するか、AGA専門クリニックを選ぶと確実です。
以下に、自宅でのセルフチェックと専門医の診断の違いを簡単にまとめます。
チェック方法 | 内容・特徴 | 正確さ・注意点 |
---|---|---|
セルフチェック | 抜け毛の量や薄毛の部位など自分の症状からAGAか推測する自己診断法。チェックリストや鏡での観察で行う。 | あくまで主観的な目安。薄毛の原因を誤認する可能性もあり、確定診断はできない。不安なら専門医へ相談を。 |
市販の検査キット | 遺伝子検査やホルモン検査でAGAリスクを調べる郵送キット。唾液・毛髪を送付し分析する。 | 将来的なリスク評価は可能だが、現在進行中のAGAかどうかはわからない。結果の解釈には専門知識も必要。 |
医師の診察 | 薄毛治療の専門医が問診・視診で総合的に判断。必要に応じて検査も実施。 | 最も信頼性が高い診断。他の脱毛症との鑑別も行い、適切な治療計画を立ててもらえる。早期受診が肝心。 |
セルフチェックやキットでAGAの可能性に気付いたら、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
次の章では、実際に自分でできるAGAのセルフチェック方法について詳しく紹介します。
AGAのセルフチェックの仕方
「薄毛が気になるけど、これはAGAなのだろうか?」と思ったとき、まずはセルフチェックで簡単に自己診断してみましょう。専門医に相談する前の目安として、自宅でできるチェック項目をご紹介します。
ただし繰り返しになりますが、セルフチェックの結果はあくまで参考です。セルフチェックでAGAの可能性が高いと感じたら、早めにクリニックで医師の診断を受けるようにしてください。
自宅でできるAGAセルフチェック項目
以下はAGAの患者さんによく見られる症状や特徴をまとめたセルフチェック項目です。鏡の前で確認したり、最近の自分の状態を思い出しながら、当てはまるものがないかチェックしてみましょう。

- 産毛のような細く短い髪が増えてきた(髪全体が以前より細く柔らかい)
- 以前に比べて抜け毛が明らかに増えた(洗髪時や起床時に抜け毛が多い)
- 家族・親族に薄毛の人がいる(父母や祖父母、叔父などに同じような薄毛のパターンがある)
- 額の生え際が後退してきたと感じる(昔の写真と比べておでこが広がっている)
- 頭頂部(つむじ)の地肌が透けて見える(後頭部の写真を見ると地肌の露出が増えている)
- 同年代の他人と比べて自分の髪が薄いと感じる(周囲の同世代男性より髪のボリュームが少ない)
- 頭皮が脂っぽくベタついている(皮脂の分泌が多く、夕方には髪がテカる)
- 脂肪分の多い食事が多い(揚げ物や肉中心の食生活で野菜が少ない)
- タバコを吸う習慣がある(長年の喫煙習慣がある)
上記の項目のうち複数当てはまる場合、AGAである可能性が高いと考えられます。
とくに生え際やつむじの薄毛が目立ち始めている、抜け毛の増加を実感しているといった症状があれば、「もしかするとAGAかもしれない」と疑ってみてください。
家族歴や生活習慣の項目(脂っぽい食事・喫煙など)は直接の症状ではありませんが、AGAの発症リスクに関わる要因です。
例えば皮脂の分泌が多いと毛穴が詰まりやすくなり、喫煙習慣は頭皮の血行不良を招いて発毛に悪影響を与えます。これらに心当たりがある場合は、薄毛予防のため生活習慣を見直すことも大切です。
セルフチェックを行う際の注意点
セルフチェックの結果、「AGAかもしれない」と感じても自己判断で断定しないことが肝心です。薄毛にはAGA以外にもさまざまな原因があり(後述)、専門医でも判断が難しいケースがあります。
セルフチェックはあくまで受診のきっかけ作りと割り切りましょう。
また、抜け毛や薄毛の感じ方には個人差があります。「抜け毛が増えた」と感じても、実際には季節的な一時的増加だったり、ストレス・生活習慣による一過性の脱毛(休止期脱毛)かもしれません。
逆に自分では平気だと思っていても周囲から見ればAGAが進行しているケースもあります。主観だけで判断せず、客観的な視点を持つことが大切です。
セルフチェックをする際は以下の点に注意してください。
- 過去との比較: 今の状態だけでなく、数年前や若い頃の写真と見比べて変化を確認する(徐々の進行に気付きやすくなります)。
- 第三者の意見: 家族や親しい人に自分の薄毛具合を客観的に見てもらう(自分では気付かない頭頂部などの状態を教えてもらえます)。
- 定期的な観察: 一度チェックして終わりではなく、数ヶ月おきに状態を観察する(進行しているかどうかを継続的に把握します)。
セルフチェックでAGAの疑いがある場合は
セルフチェックの結果、AGAの疑いが高まった場合は、できるだけ早めにAGA専門のクリニックで診察を受けましょう。
前述のとおり、セルフチェックは確定診断ではありませんが、「薄毛が進行しているかも」という不安を感じた時点で専門医に相談することが大切です。
一般的な皮膚科でもAGA治療に対応している所もありますが、クリニックによっては扱っていない場合もあります。
AGA専門クリニックであれば予約やカウンセリングが取りやすく、オンライン診療に対応している所もあります。医師による診断を受ければ、自分の薄毛の原因が明確になり、フィナステリドなど適切な治療法を提案してもらえます。
早期に治療を始めることで、現状維持や改善の可能性が高まります。
性ですが、治療によって進行を止めたり発毛を促したりすることが可能です。セルフチェックで気になる点があれば、まずは医師の診察を受けるのが薄毛改善への近道です。
AGAと他の脱毛症の違い

薄毛の原因はAGA以外にもさまざまあります。ここでは、AGAと混同しやすい代表的な脱毛症との違いについて解説します。正しく理解しておくことで、自分の薄毛の原因を見極めやすくなります。
円形脱毛症との違い
円形脱毛症は、ある日突然丸いハゲ(脱毛斑)ができる自己免疫性の脱毛症です。AGAとの主な違いは以下のとおりです。
項目 | AGA(男性型脱毛症) | 円形脱毛症 |
---|---|---|
脱毛の仕方 | 前頭部・頭頂部を中心に毛全体が徐々に薄くなる。境界があいまいで、広範囲にゆっくり進行。 | 特定の部位の毛が円形または楕円形にごっそり抜け落ちる。 |
進行速度 | 数年かけてゆっくり進行(本人が自覚しにくい)。長期にわたり徐々に範囲拡大。 | わずか数日〜数週間で急速に脱毛斑ができる。短期間で抜け、本人も気づかぬうちに進行。 |
発症対象 | 主に思春期以降の男性(成人男性なら誰でも可能性あり)。女性は稀(FAGAは別型)。子供はほぼ発症しない。 | 男性女性問わず子供から大人まで発症する可能性あり。幼児〜高齢者まで年代を選ばない。 |
原因 | 男性ホルモン(DHT)の作用と遺伝的素因。ホルモンが毛周期を乱し毛が細く短くなる。 | 自己免疫疾患(免疫異常で毛根が攻撃される)。アトピー素因やストレスも関与。 |
自然回復 | 進行性で治療しない限り自然には治らない。放置すれば悪化する。 | 視線回復することも少なくない |
このように、円形脱毛症は「部分的・急激」な脱毛、AGAは「全体的・徐々」の脱毛という違いがあります。
見分け方としては、丸いハゲがあるかどうかが一つのポイントです。もし鏡で頭を見て円形のはげがあれば円形脱毛症の可能性が高く、AGAとは異なるアプローチ(皮膚科でのステロイド治療等)が必要になります。
一方、丸い脱毛斑ではなく全体的な薄毛であればAGAの疑いが強まります。

その他の脱毛症や一時的な薄毛との違い
AGA以外にも髪が薄くなる原因として休止期脱毛症(ストレスや栄養不足で起こる一時的な抜け毛増加)や、粃糠性脱毛(ひこうせいだつもう)(脂漏性皮膚炎など頭皮の状態悪化による脱毛)、牽引性脱毛(髪型の圧迫による脱毛)などがあります。
それぞれ特徴が異なりますが、AGAと比べた場合のポイントを簡単に挙げます。
- 休止期脱毛: 短期間で一時的に抜け毛が増えるが、原因が解消されれば再び髪が生えて元に戻る。AGAのように特定の部位が薄くなるというより、全体のボリュームが落ちる。
- 粃糠性脱毛: 頭皮の皮脂やフケによる炎症で毛が抜ける。一時的に抜け毛が増えるが、頭皮環境を整えれば回復しうる。AGAと併発するケースもあり、単独で起こればAGAほどパターン的ではない。
- 牽引性脱毛: ポニーテールやエクステなどで毛根が引っ張られ続けることで起こる脱毛。生え際など引っ張られる部分が薄くなるが、原因を取り除けば進行は止まる。
このように、AGAは基本的に進行性かつ慢性的である点が他の脱毛症と異なります。逆に言えば、「一時的に抜け毛が増えただけでまた元に戻った」という場合はAGAではなかった可能性が高いです。
ご自身の薄毛がどのタイプか迷う場合、やはり専門医の診断を仰ぐことが確実でしょう。
AGAの症状やセルフチェック、検査内容について理解が深まったところで、次は「なぜAGAが起こるのか?」という原因について知っておきましょう。